家庭礼拝 2025年3月3日 ヨブ記 6:1-30 ヨブの応答①
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起
ヨブはやっとエリファズの言葉に対して応答します。エリファズが、滔々と自分の正論を雄弁に語り、なんとかヨブの考え方を改めさせようとしますが、ヨブの答えはそれに直接反論をするものではありませんでした。エリファズは自分が今まで調べ上げて来た正しい考え方をのべて、見よこれがわれらの極めたところ、これこそ確かだ、と言いきっているのに対し、ヨブの応答はそんなことはどうでもよい、それよりどうしてこの自分の苦しみを理解してくれないのだと訴えているようです。ヨブは自分が正しいことをやってきたと思って生きてきました。神様も、ヨブのことを、地上に彼ほどのものはいまい。無垢な正しい人で、神を畏れ、悪を避けて生きている。というほどの人だったのです。それなのにどうしてこんなに苦しい思いに合わなければならないのかと嘆いています。ヨブの苦しみは、自分の財産や、子供たちや、自分の健康を失ったからではありません。それよりも、神様から、罪ある者のように攻め立てられていることに最も深く傷ついて、悩んでいるのです。神様に最も深く信頼し、従っていると思っているのに、どうしてこのように神様から憎まれ、苦しめられ、欺かれているのかという疑問と向けどころのない怒りがヨブ自身を苦しめているのです。
この事に対して、エリファズは、あなたは自分が正しいと思っているが、人間はどこで間違いを犯しているかわからないものだ。だから自分の過ちを悔い改めて、神様の懲らしめを受け入れるべきではないか。何故これが分からないのかと言い続けたのです。
ヨブの大きな間違いは、自分はいつも正しいことをしていた。もしこれがそうでなかったら、自分は神の前に立ってはいけない。これは自分の正しさがかかっている大きな問題なのだと、自分の正しさにこだわり続けた事なのです。これはエリファズが指摘した通りのことなのですが、ヨブにとって必要だったのはそれに反駁することではなく、その苦しみを理解してくれて、共に苦しみ寄り添ってくれる友がいることだったのです。
承
それでは、ヨブの苦しみの言葉を聞いてみましょう。1節から7節です。
ヨブ 6:1 ヨブは答えた。
ヨブ 6:2 わたしの苦悩を秤にかけ/わたしを滅ぼそうとするものを/すべて天秤に載せるなら
ヨブ 6:3 今や、それは海辺の砂よりも重いだろう。わたしは言葉を失うほどだ。
ヨブ 6:4 全能者の矢に射抜かれ/わたしの霊はその毒を吸う。神はわたしに対して脅迫の陣を敷かれた。
ヨブ 6:5 青草があるのに野ろばが鳴くだろうか。飼葉があるのに牛がうなるだろうか。
ヨブ 6:6 味のない物を塩もつけずに食べられようか。玉子の白身に味があろうか。
ヨブ 6:7 わたしのパンが汚れたもののようになれば/わたしの魂は触れることを拒むだろう。
この様に、ヨブはまず、自分の苦しみがいかほどのものであるかを語り始めたのです。ヨブの苦しみを天秤で測ったならばそれは海辺の砂よりも重いだろうと言いました。それは圧倒的な苦しみであり、計り知れない苦しみであり、そのために言葉が発せなくなる、失語症になる寸前であると言うほどなのです。ヨブが七日の間友と共に一言も言葉を発しなかったのはこの事のせいなのかもしれません。
そのヨブの苦しみというのは、単に災難にあったと言う苦しみではなく、愛し信頼し畏れ崇めていた神様から、毒矢で射抜かれたようなもので、そのショックはすさまじかったのです。神様は私に恐ろしい脅迫の陣を敷かれたと言って、神様から攻められ続けている思いを語ったのです。そして神様が恵を与えてくださっているなら、決して自分は苦しまなかったであろうと言ったのです。そして自分はたとえ飢えても、穢れたものには決して近づかないだろうと言ったのです。
ヨブの言葉はエリファズに対してではなく神様に対して、そして自分に対して向けられます。9節から13節までです。
ヨブ 6:9 神よ、どうかわたしを打ち砕き/御手を下し、滅ぼしてください。
ヨブ 6:10 仮借ない苦痛の中でもだえても/なお、わたしの慰めとなるのは/聖なる方の仰せを覆わなかったということです。
ヨブ 6:11 わたしはなお待たなければならないのか。そのためにどんな力があるというのか。なお忍耐しなければならないのか。そうすればどんな終りが待っているのか。
ヨブ 6:12 わたしに岩のような力があるというのか。このからだが青銅のようだというのか。
ヨブ 6:13 いや、わたしにはもはや助けとなるものはない。力も奪い去られてしまった。
この様にヨブの言葉はエリファズに対する反論ではなく、神様に対して祈り、自分に対してつぶやいているのです。まず神様に対してはこう言いました。
ヨブ 6:9 神よ、どうかわたしを打ち砕き/御手を下し、滅ぼしてください。
ヨブ 6:10 仮借ない苦痛の中でもだえても/なお、わたしの慰めとなるのは/聖なる方の仰せを覆わなかったということです。
ヨブが神様に対して願ったことは、自分を滅ぼしてくださいと言うことでした。この様に、良く分からないことで、信じている神様から罰を与えられ苦しめられるくらいなら、滅ぼしてくださいと言うことを言ったのです。でもヨブのたった一つの慰めは、このような状況にあっても、神様をあきらめることなく離れることなく、まだ神様の顔を見つめていることだったのです。それでもヨブの力はどんどん奪い去られて行って、神様の恵みを待つ力もなくなってきたと言います。そしてもう待つ力もなくなってきたと言うのに、待ったからと言ってどんな終わりが来るのかと嘆き、自分につぶやいているのです。
転
次にヨブの心は、友に対して向けられ、友に対してこう訴えました。14節から21節です。
ヨブ 6:14 絶望している者にこそ/友は忠実であるべきだ。さもないと/全能者への畏敬を失わせることになる。
ヨブ 6:15 わたしの兄弟は流れのようにわたしを欺く。流れが去った後の川床のように。
ヨブ 6:16 流れは氷に暗く覆われることもあり/雪が解けて流れることもある。
ヨブ 6:17 季節が変わればその流れも絶え/炎暑にあえば、どこかへ消えてしまう。
ヨブ 6:18 そのために隊商は道に迷い/混沌に踏み込んで道を失う。
ヨブ 6:19 テマの隊商はその流れを目当てにし/シェバの旅人はそれに望みをかけて来るが
ヨブ 6:20 確信していたのに、裏切られ/そこまで来て、うろたえる。
ヨブ 6:21 今や、あなたたちもそのようになった。破滅を見て、恐れている。
この様に、友に対して心を向けて語った言葉は友に対する落胆です。私の兄弟は流れのように私を欺くと言います。兄弟の心の思いが流れのように変化して、留まることを知らないと言うのです。ヨブは友の心の思いが川の水の様で潤してくれると思ったのだが、その川の流れはそこにはなかったと落胆しているのです。ヨブは、絶望しているものにこそ友は忠実であるべきだと訴えます。これは、友人に対して、絶望している私にただ寄り添ってほしいと言うことを訴えているのだと思います。川の流れのように、そこに流れて潤してほしいと言っているのだと思います。ですが、潤すどころか、自分が神になったような気になって、友を裁いてはいけないと言うことを言っているような気もします。友が、水の流れのように過ぎ去っていくものではなく、共に確かに悩みを共感してとどまってくれるようにと願っているのです。
この友の心の移ろいやすさを例えて、砂漠に流れる川の水が、季節のたびに流れが変わり消えてしまうようだと言います。その川を目当てに進んできた隊商たちは道に迷い、うろたえてしまい、ここに川があるはずだと思っていたのに裏切られたと、戸惑いうろたえると言うのである。あなたたちの心もそのようであり、私の破滅を見て、その心は変わり信頼から怖れへと変わっていると言っているのです。その流れは潤すものではなく枯れ切った川になったと言っているのです。ヨブはその枯れ切った川を見て、裏切られた思いをしているのです。
さらにヨブは、友に対してこう言ったのです。ここでは、ヨブの「私が、」と言う言葉と「あなたたちは、」という言葉が示すようにヨブの自己主張がなされます。何を訴えようとしているのでしょうか。22節から30節です。
ヨブ 6:22 わたしが言ったことがあろうか/「頼む、わたしのために/あなたたちの財産を割いて
ヨブ 6:23 苦しめる者の手から救い出し/暴虐な者の手からわたしを贖ってくれ」と。
ヨブ 6:24 間違っているなら分からせてくれ/教えてくれれば口を閉ざそう。
ヨブ 6:25 率直な話のどこが困難なのか。あなたたちの議論は何のための議論なのか。
ヨブ 6:26 言葉数が議論になると思うのか。絶望した者の言うことを風にすぎないと思うのか。
ヨブ 6:27 あなたたちは孤児をすらくじで取り引きし/友をさえ売り物にするのか。
ヨブ 6:28 だが今は、どうかわたしに顔を向けてくれ。その顔に、偽りは言わない。
ヨブ 6:29 考え直してくれ/不正があってはならない。考え直してくれ/わたしの正しさが懸っているのだ。
ヨブ 6:30 わたしの舌に不正があろうか/わたしの口は滅ぼすものを/わきまえていないだろうか。
まずヨブが言ったことは、友のために何か願い事を言ったことがあったかということです。お願いだから、あなたたちの財産を分けてくれとか、この苦しみを与える者から贖ってくれとか言ったことがあるかということでした。ヨブはこの世のものや、人を頼ることなくただ神様を見つめているだけだと言うのです。そうでなかったら言ってくれというのです。
そして友の語っていることに対して、あなたたちは一生懸命議論しようとしているが、何のためにそんなことをして自分の主張の正しさを言おうとしているのか、言葉数が多ければいいと思っているのか。絶望して語る私の言葉を意味のないものだと思うのか、率直に苦しみを語る話がなぜだめなのか。と反論するのです。
そして友人に対してむしろ、あなたたちの方が考え直してくれと迫るのです。エリファズがヨブの考えを変えさせようとしたのに対して、ヨブはむしろエリファズの考えこそ直してくれというのです。ヨブから見ると、エリファズはヨブの外見を見て、心を見ていない、人間としてみていないと言う思いがあるのです。みすぼらしい孤児や、落ちぶれた友人を適当に処分する者のように、人間としてみていないではないかというのです。一律に決まりきった方法で裁こうとしているではないか、だから私に顔を向け、その心を見てくれ、その顔には偽りは言わないからと、人と人との交わりを求めているのです。
そしてともに、考え直してくれ、不正があってはならない。考え直してくれ、私の正しさがかかっているのだと言うのです。一方的にしゃくし定規に裁くのではなく、私にも心があり私にも自分の考える正しさがあることを理解してくれと言っているのです。私は決して、不正を言っているわけではない。私は神様がその口に不正があったら滅ぼされる方であることを知っている。だから私は不正や偽りを言わないから、私の言うことにも理解を示してほしいと訴えたのです。
結
ヨブはこの理解不能な災難と苦悩の中にあって、嘘偽りのない悩みと苦しみを語りましたが、友人のエリファズは、それを、神様に反論するものだととらえて、神様が罪のないものを罰するはずがない、神様の懲らしめを受け入れなさい、悔い改めなさいと説得したのです。
それでもヨブは、自分は人を頼ることをせず、ただ神様を見つめていたのです。ですがその語ることは助けてくださいと言うのではなく、このみじめな命を取り去ってくださいと言うだけです。そしてその友には、私は何の嘘偽りは言っていない、どうか私の語ることを理解してくれ、私の苦しみや悩む思いを感じてほしい、しゃくし定規に裁かないでほしいと訴えたのです。この議論はまだまだ続くのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様。私達は悩んでいる人、苦しんでいる人を見ると、それを助けるつもりで、こうすればいいのに、ああ考えればいいのにと、教えたり、指示したがります。そしてその通りにないとなんと馬鹿な奴だろうと裁いてしまったりします。ですがそのような人たちが求めているのはそのような教えではないのです。その苦しみを共に分かち合ってくれる人が欲しいのです。ともにその悩みを感じてほしいのです。私たちがそのような兄弟姉妹と出会ったときに、教えるのではなく、共に悩みを担うものとなることが出来ますように。支えあうものとなることが出来ますように。私たちの思いが導かれますように。
この祈りを主、イエスキリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇ヨブ記:)>>
ヨブ 6:1 ヨブは答えた。
ヨブ 6:2 わたしの苦悩を秤にかけ/わたしを滅ぼそうとするものを/すべて天秤に載せるなら
ヨブ 6:3 今や、それは海辺の砂よりも重いだろう。わたしは言葉を失うほどだ。
ヨブ 6:4 全能者の矢に射抜かれ/わたしの霊はその毒を吸う。神はわたしに対して脅迫の陣を敷かれた。
ヨブ 6:5 青草があるのに野ろばが鳴くだろうか。飼葉があるのに牛がうなるだろうか。
ヨブ 6:6 味のない物を塩もつけずに食べられようか。玉子の白身に味があろうか。
ヨブ 6:7 わたしのパンが汚れたもののようになれば/わたしの魂は触れることを拒むだろう。
ヨブ 6:8 神よ、わたしの願いをかなえ/望みのとおりにしてください。
ヨブ 6:9 神よ、どうかわたしを打ち砕き/御手を下し、滅ぼしてください。
ヨブ 6:10 仮借ない苦痛の中でもだえても/なお、わたしの慰めとなるのは/聖なる方の仰せを覆わなかったということです。
ヨブ 6:11 わたしはなお待たなければならないのか。そのためにどんな力があるというのか。なお忍耐しなければならないのか。そうすればどんな終りが待っているのか。
ヨブ 6:12 わたしに岩のような力があるというのか。このからだが青銅のようだというのか。
ヨブ 6:13 いや、わたしにはもはや助けとなるものはない。力も奪い去られてしまった。
ヨブ 6:14 絶望している者にこそ/友は忠実であるべきだ。さもないと/全能者への畏敬を失わせることになる。
ヨブ 6:15 わたしの兄弟は流れのようにわたしを欺く。流れが去った後の川床のように。
ヨブ 6:16 流れは氷に暗く覆われることもあり/雪が解けて流れることもある。
ヨブ 6:17 季節が変わればその流れも絶え/炎暑にあえば、どこかへ消えてしまう。
ヨブ 6:18 そのために隊商は道に迷い/混沌に踏み込んで道を失う。
ヨブ 6:19 テマの隊商はその流れを目当てにし/シェバの旅人はそれに望みをかけて来るが
ヨブ 6:20 確信していたのに、裏切られ/そこまで来て、うろたえる。
ヨブ 6:21 今や、あなたたちもそのようになった。破滅を見て、恐れている。
ヨブ 6:22 わたしが言ったことがあろうか/「頼む、わたしのために/あなたたちの財産を割いて
ヨブ 6:23 苦しめる者の手から救い出し/暴虐な者の手からわたしを贖ってくれ」と。
ヨブ 6:24 間違っているなら分からせてくれ/教えてくれれば口を閉ざそう。
ヨブ 6:25 率直な話のどこが困難なのか。あなたたちの議論は何のための議論なのか。
ヨブ 6:26 言葉数が議論になると思うのか。絶望した者の言うことを風にすぎないと思うのか。
ヨブ 6:27 あなたたちは孤児をすらくじで取り引きし/友をさえ売り物にするのか。
ヨブ 6:28 だが今は、どうかわたしに顔を向けてくれ。その顔に、偽りは言わない。
ヨブ 6:29 考え直してくれ/不正があってはならない。考え直してくれ/わたしの正しさが懸っているのだ。
ヨブ 6:30 わたしの舌に不正があろうか/わたしの口は滅ぼすものを/わきまえていないだろうか。