家庭礼拝 2024年1月31日 列王記上 3:1-28 ソロモンの知恵
起
今日の箇所は、いよいよソロモンが国内の乱れを正して、自分の政治を行おうとしているときのことです。ソロモンが、当面の政治的敵対者を滅ぼして、新しい体制を作り、自分もエジプトのファラオの娘を王妃として迎え入れて、外交的にも安定した状態になりました。これからは内政に努めて、国を治めていかなければなりません。賢明なソロモンでしたが、それでもうまく国を治められるか不安だったのです。それで、聖なる高台で、生贄の祭壇に1千頭もの焼き尽くす捧げものを捧げました。これは前代未聞のことでした。それだけの生贄の血を流してもソロモンは自分の罪が許され、神の祝福のもとにあるかまだ確信できていなかったのです。
その様な時ソロモンは、神様が、夢枕に立つのを見ました。神様はソロモンに言いました。「何事でも願うがよい。あなたに与えよう」するとソロモンは、「あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。そうでなければ、この数多いあなたの民を裁くことが、誰にできましょう。」と言って、富や栄光や長寿を求めるのではなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めたのです。神様はその事を喜び、「見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。わたしはまた、あなたの求めなかったもの、富と栄光も与える。生涯にわたってあなたと肩を並べうる王は一人もいない。」と言って喜んでくれたのでした。
そしてその後半には、その知恵をもって人々をどのように正しく裁いたのか、具体的な話が続きます。その話は生まれたばかりの子供を奪い合う二人の女の話ですが、どちらが本当の母親かを見極めるために、その子供を二つに切って渡せと言った話で、本当の母親は子供がかわいそうなので、それは止めてくれ、相手にその子を渡すからと言ったという話です。これは脚色されて、大岡越前の守がそのような裁判をしたという話もありましたが、ソロモンの話からとってきたのだと思います。この様に、今日の話は国の王として、ソロモンが何を一番大切としたかがわかる貴重な話となっています。
承
それでは聖書の言葉を読んでみましょう。1節から3節です。
王上 3:1 ソロモンは、エジプトの王ファラオの婿となった。彼はファラオの娘を王妃としてダビデの町に迎え入れ、宮殿、神殿、エルサレムを囲む城壁の造営が終わるのを待った。
王上 3:2 当時はまだ主の御名のために神殿が建てられていなかったので、民は聖なる高台でいけにえをささげていた。
王上 3:3 ソロモンは主を愛し、父ダビデの授けた掟に従って歩んだが、彼も聖なる高台でいけにえをささげ、香をたいていた。
この様に、ソロモンは王となってから、国内の敵対勢力を滅ぼし、新しい、国づくりをして、祭司や将軍などの人事も刷新しました。そして対外的にはエジプトの王のファラオの娘を王妃として迎えて、盤石の体制を作り上げていたのです。この時ソロモンは宮殿や、神殿、そしてエルサレムを囲む城壁などを作り上げることに着手していました。神殿に関してはダビデの時に作ろうとしたのですが、神様から、多くの血を流したダビデではなくその次の世代に行わせなさいという言葉があったので、ダビデはそのための資材をたくさん集めて準備をしていたのです。主の神殿と王の宮殿はそれから20年をかけて作り上げていったのです。ですからまだ神殿がないので、ソロモンは聖なる高台で、生贄を捧げ、香を焚いていたのです。この頃はまだ、ソロモンは主を愛し、父ダビデの受けた掟に従って歩んでいたのですが。年老いていくうちに多くの妻を持ち、異邦の神々の影響を受け、主なる神から、だんだんと離れて行ってしまうのです。
国内の基礎が盤石になると、ソロモンは国の威信を高めるためと、それでも残る自己の不安を打ち消すために聖なる高台の上で、多くの生贄を捧げたのです。すると神様が現れたのです。4節から10節です。
王上 3:4 王はいけにえをささげるためにギブオンへ行った。そこに重要な聖なる高台があったからである。ソロモンはその祭壇に一千頭もの焼き尽くす献げ物をささげた。
王上 3:5 その夜、主はギブオンでソロモンの夢枕に立ち、「何事でも願うがよい。あなたに与えよう」と言われた。
王上 3:6 ソロモンは答えた。「あなたの僕、わたしの父ダビデは忠実に、憐れみ深く正しい心をもって御前を歩んだので、あなたは父に豊かな慈しみをお示しになりました。またあなたはその豊かな慈しみを絶やすことなくお示しになって、今日、その王座につく子を父に与えられました。
王上 3:7 わが神、主よ、あなたは父ダビデに代わる王として、この僕をお立てになりました。しかし、わたしは取るに足らない若者で、どのようにふるまうべきかを知りません。
王上 3:8 僕はあなたのお選びになった民の中にいますが、その民は多く、数えることも調べることもできないほどです。
王上 3:9 どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。そうでなければ、この数多いあなたの民を裁くことが、誰にできましょう。」
王上 3:10 主はソロモンのこの願いをお喜びになった。
この様に、エルサレムの近くにギブオンと言ういけにえを捧げる聖なる高台があったのです。その高台で、ソロモンはなんとその祭壇に一千頭もの焼き尽くす献げ物をささげたのでした。これはかつてないような大規模なものだったのです。国の威信を高めるとともに、イスラエルの罪と自分の罪を清めるための捧げものだったのです。
ソロモンはその夜、主が、枕もとに立つ夢を見たのです。そして主がこう言われるのを聞いたのです。「何事でも願うがよい。あなたに与えよう」神様はソロモンの主への捧げものを喜ばれたのです。そして褒美を与えようというのです。するとソロモンはこう答えました。「あなたの僕、わたしの父ダビデは忠実に、憐れみ深く正しい心をもって御前を歩んだので、あなたは父に豊かな慈しみをお示しになりました。またあなたはその豊かな慈しみを絶やすことなくお示しになって、今日、その王座につく子を父に与えられました。わが神、主よ、あなたは父ダビデに代わる王として、この僕をお立てになりました。しかし、わたしは取るに足らない若者で、どのようにふるまうべきかを知りません。僕はあなたのお選びになった民の中にいますが、その民は多く、数えることも調べることもできないほどです。どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。そうでなければ、この数多いあなたの民を裁くことが、誰にできましょう。」と願ったのです。ソロモンは父ダビデの信仰を敬っていたのです。ダビデが主に対して、忠実に、憐れみ深く正しい心をもって御前を歩んだので、主は、豊かな慈しみを絶やすことなくお示しになられたが、ダビデ王の代わりに王となった私は取るに足りないものですと、謙遜に告白しました。そして、ソロモンはいよいよ願い事を言うのです。ソロモンはこう言ったのです。「民は多く、数えることも調べることもできないほどです。どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。そうでなければ、この数多いあなたの民を裁くことが、誰にできましょう。」と願ったのです。ソロモンが願ったものは豊かさや権力ではなく、民のために、聞き分ける心をお与えください。そして正しくさばき、善と悪を判断することが出来るようにしてくださいと願ったのです。
すると神様はどうしたでしょうか。10節から14節です。
王上 3:10 主はソロモンのこの願いをお喜びになった。
王上 3:11 神はこう言われた。「あなたは自分のために長寿を求めず、富を求めず、また敵の命も求めることなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた。
王上 3:12 見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。
王上 3:13 わたしはまた、あなたの求めなかったもの、富と栄光も与える。生涯にわたってあなたと肩を並べうる王は一人もいない。
王上 3:14 もしあなたが父ダビデの歩んだように、わたしの掟と戒めを守って、わたしの道を歩むなら、あなたに長寿をも恵もう。」
神様はこの願いを喜びました。そしてこう言ったのです。「あなたは自分のために長寿を求めず、富を求めず、また敵の命も求めることなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた。見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。こう言って、ソロモンに知恵に満ちた賢明な心を与えたのでした。そして、その知恵と知識は世界中の人が驚き仰ぎ見るほどのものになって行ったのです。
それだけでなく、神様はダビデの求めなかったものまで与えると約束してくださいました。それは富と栄光も与えると約束したのです。この約束は実現し、ソロモンのイスラエルはとても栄えて、後々、ソロモンの財宝と呼ばれるものまでも現れたのです。またそれだけでもなくさらに、条件付きで長寿をも恵もうと言いました。その条件とは、もしあなたが父ダビデの歩んだように、わたしの掟と戒めを守って、わたしの道を歩むならと言うことでした。ソロモンの晩年は異邦の神々の影響を受け、多くの妻を持ち、だんだんと神から離れていったので、ダビデの様に歩んだとは言えません。ソロモンは700人の王妃と、300人の側室がいたと言われています。ソロモンがイスラエルを治めたのは40年と書かれていますから、寿命は50歳くらいかもしれません。長寿とは言えませんでした。
でもこの神の約束は夢だったのです。ですがソロモンはその夢の約束を信じました。そして、エルサレムに帰り、主の契約の箱の前に立って、焼き尽くす献げ物と和解の献げ物をささげ、家臣のすべてを招いて宴を張ったとあります。聖書にもあるように、信じて疑わなければその通りになるということを信じていたのです。神の国を求めるものには必要なものは加えて与えられることを信じていたのです。
転
そして、主が、ソロモンにその知恵に満ちた、賢明な心を与えたことを証明するような逸話が残されているのです。16節から28節です。
そこに登場するのは二人の遊女です。この頃の王様は、遊女のようなものの争いまで裁かなければならなかったのですから大変です。この二人が争っていたのはどちらが、赤ん坊の母親かと言うことでした。二人は同じ家に住んでいて、同じころに出産しました。この家に二人きりしかいなかったときに、三日後に産んだ女の人が、寝ているときに赤ん坊によりかかったため、この人の赤ん坊が死んでしまったというのです。よくある添い寝していて、子供を窒息させてしまう事故のようです。すると、夜中にもう一方の女の人が寝ている間に、その人の赤ん坊を取り換えて、死んだ子をその人の懐に寝かせていったというのです。朝起きて乳を含ませようとすると、自分の生んだ子ではなくしかも死んでいるので、『生きているのがわたしの子で、死んだのはあなたの子だ』と、二人の間で争いになり、ソロモン王の裁判を受けることになったのです。この時ソロモン王は二人の言い分を聞いて、「剣を持って来るように」と命じました。そして、「生きている子を二つに裂き、一人に半分を、もう一人に他の半分を与えよ。」と命じたのです。そんなことをしたら、赤ん坊は死んでしまいます。すると、生きている子の母親は、その子を哀れに思うあまり、「王様、お願いです。この子を生かしたままこの人にあげてください。この子を絶対に殺さないでください」と言いました。しかし、もう一人の女は、「この子をわたしのものにも、この人のものにもしないで、裂いて分けてください」と言ったのです。この話で面白いのは、生きている子の母親と言うのは先に産んだ人なのか後で産んだ人なのか良くわからないのです。最初に産んだ女は子供を入れ替えたと言っていますが、それが本当かどうかもわからないのです。死んでいればすっかり様子が変わりますから、自分の子でないように思うはずです。そして、ソロモンが下した判決も良く分からないのです。王は「この子を生かしたまま、さきの女に与えよ。この子を殺してはならない。その女がこの子の母である。」と言いましたが、先の女とはどの女なのかはわからないのです。ただ殺さないでくれと言った母親が、本当の母親であろうということが推測されますが、先に産んだ母親か、あとで産んだ母親かはわからないのです。ですがはっきりと分かるのは、子供の命を助けようとした母親が本当の母親であろうということなのです。このソロモンの判決は、その母親の愛情を確かめる判決となり、それが本当の母親であるという判決となったのです。
結
ソロモンは、若くして、王となりましたが、不安でした。戦いや、外交には優れていましたが、日常の裁判にどれだけ対応できるかわからなかったのです。その裁判は遊女同士の争いにさえも王が判決を下さなければならなかったので正しい判断が出来るかどうかわからなかったのです。ソロモンは神様に委ねました。そして神様が、「何事でも願うがよい。あなたに与えよう」と言われた時に、「どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください」と願ったのです。すると神様はその事を喜んでソロモンに、「今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。」と約束されました。この知恵に満ちた賢明な心によって、ソロモンは二人の遊女のどちらが本当の母親かを見極め子供を母親の手に渡したのです。ソロモンが願ったことが富や力ではなく、知恵に満ちた賢明な心であったことが、神様に喜ばれたのです。
(一分間黙想)(お祈り)
神様、ソロモンは何が希かと言われた時に、富でも力でもなく、民を公平に裁く賢明な心を願ったのでした。ソロモンが願ったのは民の幸せであり、平安でありました。その事を神様は喜ばれたのです。私たちも、何が希かと言われた時に、自分のことではなく、多くの人々の幸せを願うことが出来るでしょうか。どうか自分の思いを捨て、あなたにすべてを委ねて、あなたが願うことを願うことが出来ますように。あなたが行うことを行わせてください。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇列王記上:)>> ◆ソロモンの知恵
王上 3:1 ソロモンは、エジプトの王ファラオの婿となった。彼はファラオの娘を王妃としてダビデの町に迎え入れ、宮殿、神殿、エルサレムを囲む城壁の造営が終わるのを待った。
王上 3:2 当時はまだ主の御名のために神殿が建てられていなかったので、民は聖なる高台でいけにえをささげていた。
王上 3:3 ソロモンは主を愛し、父ダビデの授けた掟に従って歩んだが、彼も聖なる高台でいけにえをささげ、香をたいていた。
王上 3:4 王はいけにえをささげるためにギブオンへ行った。そこに重要な聖なる高台があったからである。ソロモンはその祭壇に一千頭もの焼き尽くす献げ物をささげた。
王上 3:5 その夜、主はギブオンでソロモンの夢枕に立ち、「何事でも願うがよい。あなたに与えよう」と言われた。
王上 3:6 ソロモンは答えた。「あなたの僕、わたしの父ダビデは忠実に、憐れみ深く正しい心をもって御前を歩んだので、あなたは父に豊かな慈しみをお示しになりました。またあなたはその豊かな慈しみを絶やすことなくお示しになって、今日、その王座につく子を父に与えられました。
王上 3:7 わが神、主よ、あなたは父ダビデに代わる王として、この僕をお立てになりました。しかし、わたしは取るに足らない若者で、どのようにふるまうべきかを知りません。
王上 3:8 僕はあなたのお選びになった民の中にいますが、その民は多く、数えることも調べることもできないほどです。
王上 3:9 どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。そうでなければ、この数多いあなたの民を裁くことが、誰にできましょう。」
王上 3:10 主はソロモンのこの願いをお喜びになった。
王上 3:11 神はこう言われた。「あなたは自分のために長寿を求めず、富を求めず、また敵の命も求めることなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた。
王上 3:12 見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。
王上 3:13 わたしはまた、あなたの求めなかったもの、富と栄光も与える。生涯にわたってあなたと肩を並べうる王は一人もいない。
王上 3:14 もしあなたが父ダビデの歩んだように、わたしの掟と戒めを守って、わたしの道を歩むなら、あなたに長寿をも恵もう。」
王上 3:15 ソロモンは目を覚まして、それが夢だと知った。ソロモンはエルサレムに帰り、主の契約の箱の前に立って、焼き尽くす献げ物と和解の献げ物をささげ、家臣のすべてを招いて宴を張った。
王上 3:16 そのころ、遊女が二人王のもとに来て、その前に立った。
王上 3:17 一人はこう言った。「王様、よろしくお願いします。わたしはこの人と同じ家に住んでいて、その家で、この人のいるところでお産をしました。
王上 3:18 三日後に、この人もお産をしました。わたしたちは一緒に家にいて、ほかにだれもいず、わたしたちは二人きりでした。
王上 3:19 ある晩のこと、この人は寝ているときに赤ん坊に寄りかかったため、この人の赤ん坊が死んでしまいました。
王上 3:20 そこで夜中に起きて、わたしの眠っている間にわたしの赤ん坊を取って自分のふところに寝かせ、死んだ子をわたしのふところに寝かせたのです。
王上 3:21 わたしが朝起きて自分の子に乳をふくませようとしたところ、子供は死んでいるではありませんか。その朝子供をよく見ますと、わたしの産んだ子ではありませんでした。」
王上 3:22 もう一人の女が言った。「いいえ、生きているのがわたしの子で、死んだのがあなたの子です。」さきの女は言った。「いいえ、死んだのはあなたの子で、生きているのがわたしの子です。」二人は王の前で言い争った。
王上 3:23 王は言った。「『生きているのがわたしの子で、死んだのはあなたの子だ』と一人が言えば、もう一人は、『いいえ、死んだのはあなたの子で、生きているのがわたしの子だ』と言う。」
王上 3:24 そして王は、「剣を持って来るように」と命じた。王の前に剣が持って来られると、
王上 3:25 王は命じた。「生きている子を二つに裂き、一人に半分を、もう一人に他の半分を与えよ。」
王上 3:27 王はそれに答えて宣言した。「この子を生かしたまま、さきの女に与えよ。この子を殺してはならない。その女がこの子の母である。」
王上 3:28 王の下した裁きを聞いて、イスラエルの人々は皆、王を畏れ敬うようになった。神の知恵が王のうちにあって、正しい裁きを行うのを見たからである。