家庭礼拝 2023年11月26日 サムエル記下 19:2-15 エルサレムへの帰還
起
今日の19章は少し長いので二つに切って学んでいきます。今日は15節までで、最初は「ヨアブ、ダビデを非難する」、となっている小見出しと、次は、「エルサレムへの帰還」となっている小見出しです。この個所は戦いには勝利したが、それは最愛の息子を死なせなければならなかったという、とても重い悲しみを抱えたダビデの、悲しい勝利の時だったのです。
反乱軍を滅ぼすためには、最愛の息子に死を与えなければならなかったという立場は、愛する人々ではあるが罪を犯した人々を死から救うために、自分の一人子を死なせなければならなかった神様の思いに通じるところがあるのです。ですから、私達は今日の聖書からダビデの思いを知ることが出来れば、神様がイエス様を失うことがどれほどの悲しみであったかが分かるのです。神様は超然として、一人子を死に渡されたのではなく、ダビデのような悲しみを経ていたのではないかと思うのです。
今日の箇所では、将軍のヨアブが、ダビデがいつまでも個人的な悲しみにおぼれているのを非難して、王として兵士たちをたたえ、人々の前に凱旋王としての姿を見せなさいと叱責するのです。ヨアブの言っていることは正しいことなのです。ですから、ダビデもその言葉に従って、悲しみを振り切って、立ち上がり、城門の席について、兵士たちは皆、王の前に集まったのです。この様にしてなんとかその時を乗り越えることはできたのですが、これからはこの将軍ヨアブとの間に隙間風が吹いてくるのです。ダビデはもうこの将軍ヨアブとはやっていけなくなるのです。息子アブサロムを殺したのも、このヨアブであることはわかっていたはずです。また過去にはダビデと和解したアブネルを、勝手に暗殺したことも知っていました。ヨアブはこの世的な打算的な人で、勝つためには冷酷に何でもやる人なのです。それに対して、ダビデは神に信頼し、神の裁きに委ねて、人々を許すことが出来る人だったのです。そのような考え方の違いが最後には決定的な亀裂となっていくのです。
承
今日の話は、ダビデに対して反乱軍を起こした息子アブサロムが死んで、ダビデ軍が勝利したとの知らせが届いてからの話です。ダビデはその勝利の喜びよりもアブサロムの死をとても悲しんだのです。そして私がお前に変わって死ねばよかったとさえ言って嘆いたのです。そのようにダビデ王が嘆いているとの知らせが将軍のヨアブに届きました。2節から4節です。
サム下 19:2 王がアブサロムを悼んで泣いているとの知らせがヨアブに届いた。
サム下 19:3 その日兵士たちは、王が息子を思って悲しんでいることを知った。すべての兵士にとって、その日の勝利は喪に変わった。
サム下 19:4 その日兵士たちは、戦場を脱走して来たことを恥じる兵士が忍び込むようにして、こっそりと町に入った。
この様に、ダビデ軍は戦いに勝利したのですが、喜びに満ちた凱旋をすることが出来ませんでした。王が息子を思って悲しんでいることを知ったからです。すべての兵士にとって、その日の勝利は喜びを表す日ではなく、王の息子を失った喪に変わってしまったのです。その日、ダビデの兵士たちは勝利の凱旋をして町に入るのではなく、脱走兵たちが恥じ入るようにして、忍び込むように、こっそりと町に入ったというのです。
この様な様子を知って、将軍ヨアブはもう黙っておれませんでした。せっかく王のために命を懸けて戦ってきた者たちが、自分達がしてきたことが間違いであるかのように、こそこそしており、敵の王が死んだことをダビデ王が嘆き悲しんでいたからです。そこで、ヨアブは泣き叫んでいるダビデにこう言ったのです。5節から7節です。
サム下 19:5 王は顔を覆い、大声で叫んでいた。「わたしの息子アブサロム、アブサロム。わたしの息子、わたしの息子よ。」
サム下 19:6 ヨアブは屋内の王のもとに行き、言った。「王は今日、王のお命、王子、王女たちの命、王妃、側女たちの命を救ったあなたの家臣全員の顔を恥にさらされました。
サム下 19:7 あなたを憎む者を愛し、あなたを愛する者を憎まれるのですか。わたしは今日、将軍も兵士もあなたにとっては無に等しいと知らされました。この日、アブサロムが生きていて、我々全員が死んでいたら、あなたの目に正しいと映ったのでしょう。
この様に、ダビデはアブサロムの死を悼んで、顔を覆って、大声で泣き叫んでいたのです。とても戦いの勝利を喜べる状態ではありませんでした。するとヨアブは、そのように取り乱しているダビデのところに行ってこう言ったのです。「王は今日、王のお命、王子、王女たちの命、王妃、側女たちの命を救ったあなたの家臣全員の顔を恥にさらされました。あなたを憎む者を愛し、あなたを愛する者を憎まれるのですか。わたしは今日、将軍も兵士もあなたにとっては無に等しいと知らされました。この日、アブサロムが生きていて、我々全員が死んでいたら、あなたの目に正しいと映ったのでしょう。」この様に言ったのです。ヨアブの言ったことももっともな話です。このままアブサロムを生かしておいたら彼らが勝利し、王も、王子も、王女たちも王妃も側女たち、も皆殺しになることは目に見えているのです。それなのに、そのアブサロムを殺した兵士たちが、悪い事でもしたかのように、こそこそとエルサレムに帰って来なければならなかったのは兵士たちに恥をさらさせているようなものだと言うのです。そして、アブサロムが生きていて、私たち全員が死んでしまったほうが良いと、あなたはお考えなのでしょうかと、ダビデに問い詰めました。それはもっともなことで、ここではヨアブの言い分は理に適っているのです。ヨアブは兵士たち全員のためにも、ダビデに王としての働きをしてほしいと願ったのです。そうでないと、もう誰もダビデについていくものがいなくなるからです。
ヨアブは、ダビデを説得して、とにかく王として兵士たちの前に出て、彼らを励ましてくださいと忠告したのです。8節と9節です。
サム下 19:8 とにかく立って外に出、家臣の心に語りかけてください。主に誓って言いますが、出て来られなければ、今夜あなたと共に過ごす者は一人もいないでしょう。それはあなたにとって、若いときから今に至るまでに受けたどのような災いにもまして、大きな災いとなるでしょう。」
サム下 19:9 王は立ち上がり、城門の席に着いた。兵士は皆、王が城門の席に着いたと聞いて、王の前に集まった。
この様に、ヨアブはダビデが自分の息子の死のことで嘆き悲しんでばかりいないで、王のために命を懸けて働いてきた兵士たちの前に出て、王として、家臣の心に語り掛けてください。彼らの労をねぎらい励ましを与えてくださいと言ったのです。ヨアブはそれだけでなく、もしダビデにそれが出来なければ、今夜中にもあなたに従っていくものは一人もいなくなるでしょう。それは今までにない災いをあなたにもたらすでしょうと、脅かしているのです。ヨアブは忠告するだけでなく、王を脅すような所もあるのです。だから、この後からはだんだんとダビデはヨアブから離れていくようになるのです。ヨアブは王に対して強くなりすぎたのです。
このヨアブの忠告であり脅しでもある言葉に従って、ダビデはその悲しみを振り切って立ち上がり、城門の王の席に着いたのです。兵士は皆、王が城門の席に着いたと聞いて王の前に集まりました。やっとダビデは王としての働きをすることが出来たのです。ここでダビデが兵士たちを前にして、何をしたのか、何を言ったのかは語られていません。ただ、王はその悲しみの中から立ち上がって城門の席に着いたとだけ書かれているのです。その時のことを言い表すことのできないような思いがあったのだと思うのです。
神様が、一人子のイエスを十字架に渡された時、どれほどの悲しみにあったのかは聖書には一言も書かれていません。だからと言って、神様に悲しみがなかったわけではないのです。この時の悲しみは表現することが出来ないのです。神様はその事があっても、だれにも知られずに、立ち上がって、神の座で御業を行っていたのです。私達は、その時のダビデの心に思いを寄せるとともに、神様の思いにも心を寄せるべきなのです。
転
アブサロムが死んで戦いは終わりました。その後どうなっていくのでしょうか10節と11節です。
イスラエル軍はそれぞれ自分の天幕に逃げ帰った。
サム下 19:10 イスラエル諸部族の間に議論が起こった。「ダビデ王は敵の手から我々を救い出し、ペリシテの手からも助け出してくださった。だが今は、アブサロムのために国外に逃げておられる。
サム下 19:11 我々が油を注いで王としたアブサロムは戦いで死んでしまった。それなのに、なぜあなたたちは黙っているばかりで、王を連れ戻そうとしないのか。」
ここで書かれているイスラエル軍というのはアブサロムのもとでダビデ軍と戦った兵士たちです。この兵士たちは、それぞれの部族の軍の天幕に逃げ帰ったのです。そして各部族の長老たちはアブサロムが死んで、イスラエル軍が敗れたことを知ったはずです。すると諸部族の間でこれからどうすべきかの議論が起こったのです。この諸部族はアブサロムに油を注いで、王として受け入れ従ったのですから、ダビデから見れば敵になるわけです。ですが、アブサロムが死んでしまった今となれば、もうダビデに敵対する理由は何もなくなったのです。だから国外に逃げておられるダビデ王をどうして連れ戻そうとはしないのかという議論が起こったのです。ですが、今まで殺そうとしていた立場から今度は王になってくださいという立場になるのですから、チョット状況は複雑なのです。だからすぐには王として戻ってくださいとは言えなかったのです。
するとダビデは、自分から手を打って、諸部族の者がダビデを迎え入れやすくするためにユダの長老たちやイスラエルの将軍のアマサなどに人を遣わして、ダビデの考えていることを伝えていって、ユダの人々の心を一つにもっていったのです。12節から15節です。
サム下 19:12 イスラエルのすべての人々の声はダビデ王の家にまで届いた。王は、祭司ツァドクとアビアタルのもとに人を遣わしてこう言った。「ユダの長老たちにこう言ってくれ。あなたたちは王を王宮に連れ戻すのに遅れをとるのか。
サム下 19:13 あなたたちはわたしの兄弟、わたしの骨肉ではないか。王を連れ戻すのに遅れをとるのか。
サム下 19:14 アマサに対してはこう言ってくれ。お前はわたしの骨肉ではないか。ヨアブに代えてこれから先ずっと、お前をわが軍の司令官に任じないなら、神が幾重にもわたしを罰してくださるように。」
サム下 19:15 ダビデはユダのすべての人々の心を動かして一人の人の心のようにした。ユダの人々は王に使者を遣わし、「家臣全員と共に帰還してください」と言った。
この様にイスラエルの人々は、アブサロムがなくなった今、ダビデを再び王として迎えるべきではないのかという議論があちこちで行われていたのですが、なかなかそれを実行に移すところまではなかったのです。でもそのイスラエルの人々の声はダビデの元にまで聞こえてきました。するとダビデは自分から先手を打ち始めたのです。
ダビデは、エルサレムにいるダビデの腹心である祭司ツァドクとアビアタルのもとに人を遣わしてこう言いました。「ユダの長老たちにこう言ってくれ。あなたたちは王を王宮に連れ戻すのに遅れをとるのか。あなたたちはわたしの兄弟、わたしの骨肉ではないか。王を連れ戻すのに遅れをとるのか。アマサに対してはこう言ってくれ。お前はわたしの骨肉ではないか。ヨアブに代えてこれから先ずっと、お前をわが軍の司令官に任じないなら、神が幾重にもわたしを罰してくださるように。」
イスラエルは北と南とでは少し考え方が違うのです。ライバル意識があったようです。ダビデは南側のユダに対して、いろいろと世話になっていたこともあったので、まず、ユダに対して働きかけました。そしてユダの長老たちにこう言ったのです。あなたたちは王を王宮に連れ戻すのに、北イスラエルの人々に後れを取ってはならない。あなた方が私を連れ戻しなさい。あなた方は私の兄弟なのだから、と言ったのです。そしてイスラエル軍の将軍であるアマサに対してはこう言って介入したのです。私がエルサレムに戻ったら、ヨアブではなくあなたをわが軍の司令官にするから私のもとに従ってくれ。と言ったのです。簡単に書いてあって見落としそうになることですがこれは大変なことなのです。この戦いで勝った将軍はヨアブであり、負けた将軍はアマサです。それに、今までずっとダビデの司令官として、ダビデに従ってきたヨアブなのですが、たびたびダビデの意に反することを行い、アブサロムを殺した張本人であり、ダビデを恫喝するような態度を取り始めたヨアブを更迭しようとしている言葉だからです。この事はこの後どう響いてくるのでしょうか。アマサとヨアブはいとこ同士です。その両方の母親が兄弟なのです。この様にいろいろなことが絡み合ってくるのです。
ダビデはこのようにしてユダの人々に訴えてその心を動かしたので、最初王になった時のように、まずユダの王として返り咲きました。ユダの人々は王に使者を遣わして、「家臣全員と共に帰還してください」と言ってダビデを王として迎えることにしたのです。
結
ダビデはアブサロムの死を嘆いて、王としての役割を見失っていましたが、ヨアブの言葉もあって、その悲しみを振り切って、王は立ち上がり、城門の席に着いたのです。そしてまずユダの人々に働きかけて、ユダの王として戻ることが出来ました。ですがこのいきさつの中で、ダビデはヨアブとの距離を置き、代わってアマサを司令官として迎えることを約束したのです。この事は新たな火種となっていくのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様。ダビデは愛する息子を失い勝利をしたのですが、それは喜びではなく悲しみでした。ヨアブにはそのことが十分理解できませんでした。ダビデ王が立ち上がって城門の席に着いた時、その心も神様のもとに立ち返っていたと思います。神様にすべてを委ねたのだと思います。その時からダビデは果敢に事を進めていきました。あなたにすべてを委ねるとき、私達は自由になり、正しく判断できるようになります。どうか私たちが、いつもあなたに委ねて、自由に正しい決断を行っていくことが出来ますように導いてください。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇サムエル記下)>>
◆ヨアブ、ダビデを非難する
サム下 19:2 王がアブサロムを悼んで泣いているとの知らせがヨアブに届いた。
サム下 19:3 その日兵士たちは、王が息子を思って悲しんでいることを知った。すべての兵士にとって、その日の勝利は喪に変わった。
サム下 19:4 その日兵士たちは、戦場を脱走して来たことを恥じる兵士が忍び込むようにして、こっそりと町に入った。
サム下 19:5 王は顔を覆い、大声で叫んでいた。「わたしの息子アブサロム、アブサロム。わたしの息子、わたしの息子よ。」
サム下 19:6 ヨアブは屋内の王のもとに行き、言った。「王は今日、王のお命、王子、王女たちの命、王妃、側女たちの命を救ったあなたの家臣全員の顔を恥にさらされました。
サム下 19:7 あなたを憎む者を愛し、あなたを愛する者を憎まれるのですか。わたしは今日、将軍も兵士もあなたにとっては無に等しいと知らされました。この日、アブサロムが生きていて、我々全員が死んでいたら、あなたの目に正しいと映ったのでしょう。
サム下 19:8 とにかく立って外に出、家臣の心に語りかけてください。主に誓って言いますが、出て来られなければ、今夜あなたと共に過ごす者は一人もいないでしょう。それはあなたにとって、若いときから今に至るまでに受けたどのような災いにもまして、大きな災いとなるでしょう。」
サム下 19:9 王は立ち上がり、城門の席に着いた。兵士は皆、王が城門の席に着いたと聞いて、王の前に集まった。
◆エルサレムへの帰還
イスラエル軍はそれぞれ自分の天幕に逃げ帰った。
サム下 19:10 イスラエル諸部族の間に議論が起こった。「ダビデ王は敵の手から我々を救い出し、ペリシテの手からも助け出してくださった。だが今は、アブサロムのために国外に逃げておられる。
サム下 19:11 我々が油を注いで王としたアブサロムは戦いで死んでしまった。それなのに、なぜあなたたちは黙っているばかりで、王を連れ戻そうとしないのか。」
サム下 19:12 イスラエルのすべての人々の声はダビデ王の家にまで届いた。王は、祭司ツァドクとアビアタルのもとに人を遣わしてこう言った。「ユダの長老たちにこう言ってくれ。あなたたちは王を王宮に連れ戻すのに遅れをとるのか。
サム下 19:13 あなたたちはわたしの兄弟、わたしの骨肉ではないか。王を連れ戻すのに遅れをとるのか。
サム下 19:14 アマサに対してはこう言ってくれ。お前はわたしの骨肉ではないか。ヨアブに代えてこれから先ずっと、お前をわが軍の司令官に任じないなら、神が幾重にもわたしを罰してくださるように。」
サム下 19:15 ダビデはユダのすべての人々の心を動かして一人の人の心のようにした。ユダの人々は王に使者を遣わし、「家臣全員と共に帰還してください」と言った。