家庭礼拝 2023年11月8日 サムエル記下 18:1-32 戦闘とアブサロムの死
起
いよいよ、ダビデの逃亡軍とアブサロムのイスラエル軍の戦いが始まります。この戦いが始まる前にアヒトフェルがアブサロムに提案して、12000の兵を私に選ばせてください、今夜のうちに出発してダビデを追跡します。と言って、ダビデを殺そうとしたのですから、ダビデの逃亡軍はその半分以下の人数だと思います。
この18章の最初にはダビデが自分の兵を調べて、三部隊に分け、三分の一をヨアブの指揮下に、三分の一をツェルヤの子、ヨアブの弟アビシャイの指揮下に、三分の一をガト人イタイの指揮下においた。とあります。全体の人数はわからないのですが、イタイの指揮下にあったガト人の人数が600人ですから、単純に計算すればその三倍の1800人です。兵士の数は多くても2500人くらいだと思います。この逃亡軍には家族たちも含まれるので、全体ではその倍近くいたかもしれません。ですから、アヒトフェルが、12000人の兵士がいれば打ち破れると思ったのは当然のことです。
この少人数の軍で何万人にもなるイスラエル軍とどのように戦うことが出来るのでしょうか。ただ、ダビデの軍にも強みはありました。イスラエル軍は、正規の軍ではないので、地方で普通の生活をしていた人々が呼び出しをかけられて寄せ集められた素人軍団です。一方ダビデの軍は百戦錬磨の正規軍です。アヒトフェルの提案が否定されたのも、この違いに恐れを抱いていたからなのです。それでもその10倍以上の兵隊で襲い掛かればダビデもかなわないだろうというのがフシャイの提案で、これだけいればアブサロム王が先頭に立って行っても大丈夫ですと言われてその気になって先陣を切って進めていくわけです。
一方ダビデの軍は兵を三つに分け、組織的に動くようにし、作戦を立て、少人数でも戦える方法を考えました。そしてダビデも一緒に出陣すると言ったことに対して、戦い方を知っている兵士は、ダビデに出陣してはだめだというのです。他の人が滅んでもあなたさえ生きていれば十分に戦えるのですと言ったので、ダビデはそれに従うことにしました。
この様に対照的な軍隊の激突となるのですが、ダビデが選んだ戦場は人数の多い方に有利な平原ではなく、少数の兵士でもゲリラ的に戦える、森の中で行われたのです。この森は密林で、戦いはその地の全面に広がったが、イスラエル軍はその密林で死んだ者が剣で死んだものよりも多かったというのです。崖から落ちたり、沼に落ちたり、木に体を打ち付けたり、獣や蛇に襲われて死んだのだと思いますが、この戦いで、イスラエル軍が失った兵士は2万人だったと言います。きっと敵がどこにいるかもわからずやみくもに弓など打って、同士討ちもあったのだと思います。完全にダビデの作戦勝ちなのです。
この様な状況の中でイスラエルは大敗北して、アブサロムはラバに乗って逃げるときに密林の樫の大木の絡まりあった枝の下を通った時、頭がその木に引っかかり、彼は宙吊りになってラバはそのまま逃げてしまったというのです。頭が木に引っかかったというので、首が木の枝の股に入り込んだのかと思っていましたが、注解書では、アブサロムは豊かな美しい髪を持っていたので、その髪に枝が突き刺さり引っかかって取れなくなったのだろうと言っています。それにしてもどうしてその枝を切り落とせなかったのでしょうか。たぶんその時には気を失って、何もできなくなっていたのだと思います。
そのアブサロムを発見した兵士がヨアブに知らせると、どうしてすぐに殺さなかったのだと言いました。するとその兵士は、ダビデ王があなたたち指導者に、アブサロムを守れと命じていたので、私は殺すことが出来ませんと言ったのです。するとヨアブは木に引っかかったままのアブサロムのところに行き、投げ槍でアブサロムの心臓を突き刺して、殺しました。何故ヨアブはこのような冷酷なことをしたのでしょうか。ヨアブは戦いのプロですから、どうすれば戦いを終わらせることが出来るか知っていたのです。たとえダビデの命令であっても、この戦いを終わらせるにはアブサロムを殺すしかないと考えて殺したのです。そしてその通りこれで戦いは終わるのです。
そしてこの戦いが終わり、二人の伝令がそれぞれ、ダビデの元にその結果を伝えに行きました。ダビデにとって、この戦いに勝つことよりも、アブサロムの安否の方が大切だったのです。果たしてその伝令の言葉を聞いてダビデはどうするのでしょうか。
承
では、聖書に従って読んでいきましょう。1節から5節です。
サム下 18:1 ダビデは彼に従う兵を調べ、千人隊の長と百人隊の長を任命した。
サム下 18:2 次いでダビデは兵士を三部隊に分け、三分の一をヨアブの指揮下に、三分の一をツェルヤの子、ヨアブの弟アビシャイの指揮下に、三分の一をガト人イタイの指揮下においた。ダビデ王は兵士に言った。「わたしもお前たちと共に出陣する。」
サム下 18:3 兵士は言った。「出陣なさってはいけません。我々が逃げ出したとしても彼らは気にも留めないでしょうし、我々の半数が戦死しても気にも留めないでしょう。しかしあなたは我々の一万人にも等しい方です。今は町にとどまり、町から我々を助けてくださる方がよいのです。」
サム下 18:4 「わたしはお前たちの目に良いと映ることをしよう」と王は言って、町の城門の傍らに立ち、兵士は皆、百人隊、千人隊となって出て行った。
サム下 18:5 王はヨアブ、アビシャイ、イタイに命じた。「若者アブサロムを手荒には扱わないでくれ。」兵士は皆、アブサロムについて王が将軍たち全員に命じるのを聞いていた。
この様にダビデは、少ない兵士の軍隊を組織化し、三つの部隊に分けて、それぞれの司令官をヨアブとその弟アビシャイそして外人部隊のガト人イタイを指名した。ダビデが自分も一緒に出陣しようと言った時、それを止めて、町にとどまりそこから我々を助けてくれるのが良いのですと進言した兵士がいました。万が一ダビデが倒れでもしたら、すべてが終わりになるからです。ここでは進言したのが兵士となっていますが、きっと3人の将軍の中の誰かでしょう。アブサロムが自ら出陣したのとは反対の方針で進めたのです。ダビデはその事はわかっていたのですが、アブサロムの事が気になって自分も出陣しようとしたのです。ですから、自分が行かないと決めたとき、3人の将軍に、アブサロムを手荒に扱わないでほしい、と命じていたのです。それを他の兵士たちもみな聞いていたのです。
転
さて本格的な戦いがいよいよ始まりました。どのような結果になるのでしょうか。6節から8節です。
サム下 18:6 兵士たちはイスラエル軍と戦うために野に出て行った。戦いはエフライムの森で起こり、
サム下 18:7 イスラエル軍はそこでダビデの家臣に敗れた。大敗北で、その日、二万人を失った。
サム下 18:8 戦いはその地の全面に広がり、その日密林の餌食になった者は剣が餌食にした者よりも多かった。
この様に、ダビデの軍とイスラエル軍の戦いはエフライムの森で起こりました。イスラエル軍の軍勢は圧倒的に多かったので、平地で戦えばその数でダビデ軍は負けてしまいます。ですからダビデは戦いの場面を森の中に誘い込んで、ゲリラ戦のような形で戦ったのだと思います。そうすれば目に見えない敵と戦っているようで、イスラエル軍は恐怖に陥るからです。そこでどのように戦ったのかは詳しくは書かれていません。結果としてイスラエル軍はダビデの軍に負けて大敗北となったのです。その日だけで2万人も死に、しかもその時剣で死んだものよりも、密林の餌食になって死んだ者の方が多かったというのです。いったいどのような密林の餌食だったのかはわかりませんが、崖や、沼や、密林の蛇や、獣の餌食になったのかもしれないし、疑心暗鬼で同士討ちをしたのかもしれません。とにかくイスラエル軍は大敗北したのです。
イスラエル軍は大敗北を喫し、その大将である、アブサロムはどうなったのでしょうか。9節から18節です。
サム下 18:9 アブサロムがダビデの家臣に出会ったとき、彼はらばに乗っていたが、らばが樫の大木のからまりあった枝の下を通ったので、頭がその木にひっかかり、彼は天と地の間に宙づりになった。乗っていたらばはそのまま走り過ぎてしまった。
サム下 18:10 兵の一人がこれを見て、ヨアブに知らせた。「アブサロムが樫の木に宙づりになっているのを見ました。」
サム下 18:11 ヨアブは知らせに来た者に言った。「見たなら、なぜその場で地に打ち落とさなかったのか。銀十枚と革帯一本を与えただろうに。」
サム下 18:12 その兵はヨアブに言った。「たとえこの手のひらに銀千枚の重みを感じるとしても、王子をこの手にかけたりはしません。王があなたとアビシャイ、イタイに、若者アブサロムを守れ、と命じられたのを我々は耳にしました。
サム下 18:13 仮に、わたしが彼の命を奪ってそれを偽ろうとしても、王には何一つ隠せません。あなたもわたしを非とする側に立つでしょう。」
サム下 18:14 「それなら、お前に期待はしない」とヨアブは言った。アブサロムは樫の木にひっかかったまま、まだ生きていた。ヨアブは棒を三本手に取り、アブサロムの心臓に突き刺した。
サム下 18:15 ヨアブの武器を持つ従卒十人が取り囲んでアブサロムを打ち、とどめを刺した。
サム下 18:16 ヨアブは角笛を吹いて兵士を引き止めたので、彼らはイスラエル軍の追跡をやめて戻って来た。
サム下 18:17 彼らはアブサロムを降ろし、森の中の大穴に投げ込み、その上に石を積み上げて非常に大きな塚を作った。イスラエルの全軍はそれぞれの天幕に逃げ帰った。
サム下 18:18 アブサロムは生前、王の谷に自分のための石柱を立てていた。跡継ぎの息子がなく、名が絶えると思ったからで、この石柱に自分の名を付けていた。今日もアブサロムの碑と呼ばれている。
この様に、大敗北を喫したイスラエル軍は森の中を逃げまどっていたのです。軍は統率を失って、バラバラになったのです。そして王様のアブサロムも、ごく少数の者たちを従えて森の中を逃げていました。もしかすると一人になっていたのかもしれません。その時、ダビデの家臣に見つかったのです。こちらも家臣たちとなっていないので家臣は一人かもしれませんが、兵士たちが何人かついていたようです。アブサロムは恐怖から、すぐに逃げ出しました。アブサロムはラバに乗っていたので、慌てて逃げてしまい、密林の中にある、大きな樫の木の複雑に絡み合った枝の下を通る時に、頭がその木に引っかかったのだと言います。引っかかったのはアブサロムの豊かな髪の毛であるという人もいます。そしてラバはそのまま逃げてしまったのでアブサロムは木にぶら下がったまま動けなくなってしまったのです。もしかするとそのまま気を失っていたのかもしれません。それで兵士の一人がすぐに、そのことを将軍のヨアブに知らせたのです。すると、どうしてすぐに殺さなかったのだと言ったのですが、ダビデ王が手荒なことをするなと命じていたはずですと反論したのです。するとヨアブは、お前には頼まないと言って、自ら出て行って、アブサロムを見つけました。するとまだ生きていたので、ヨアブは棒を三本手に取り、アブサロムの心臓に突き刺した、と書かれています。この棒というのはただの棒ではなく、投げ槍のようです。投げ槍を投げて、心臓に突き刺したのです。これで死んだと思われますが、ヨアブの従卒10人が最後のとどめを刺したと書かれています。そしてアブサロムを木からおろして、森の中の大穴に投げ込み、その上に石を積み上げて非常に大きな塚を作ったのです。敵の大将を討ち取ったので、もう戦争をする必要はありません。ヨアブは角笛を吹いて兵士を引き止め、引き返させ、イスラエルの兵士たちもそれぞれの天幕に逃げ帰ったのです。これで戦争は終わったのです。百戦錬磨のヨアブは戦争の終わらせ方を知っていたのです。敵の大将のとどめを刺さなければ戦争は終わらないと知っていたのです。だから、ダビデから殺すなと言われていても戦いを終わらすために殺したのです。
さて、戦いは終わって、その結果をダビデに報告する伝令の話に移ります。不思議なことにこの個所はイスラエルとの戦闘とアブサロムの死を語っている重要な箇所と同じくらいのボリュームで語られています。何故でしょうか。19節から27節です。
サム下 18:19 ツァドクの子アヒマアツは言った。「走って行って、主が王を敵の手から救ってくださったという良い知らせを王に伝えます。」
サム下 18:20 ヨアブは彼に、「今日、お前が知らせるのはよくない。日を改めて報告するがよい。今日は知らせないでおこう。王の息子が死んだのだ」と言い、
サム下 18:21 クシュ人に命じた。「行って、お前が見たとおりに王に報告せよ。」クシュ人はヨアブに一礼して走り去った。
サム下 18:22 ツァドクの子アヒマアツは再びヨアブに、「どんなことになろうと、わたしもクシュ人を追って走りたいのです」と願った。「子よ、お前はどうしてそんなに走りたいのだ。お前が行って知らせるほどの良い知らせではない」とヨアブは言ったが、
サム下 18:23 どんなことになろうと行きたいと言うので、ヨアブは「走るがよい」と答えた。アヒマアツは低地に道をとり、クシュ人を追い越した。
サム下 18:24 ダビデは二つの城門の間に座っていた。城壁に沿った城門の屋根には、見張りが上って目を上げ、男がただ一人走って来るのを見た。
サム下 18:25 見張りは王に呼びかけて知らせた。王は、「一人だけならば良い知らせをもたらすだろう」と言った。その男が近づいて来たとき、
サム下 18:26 見張りはもう一人の男が走って来るのに気がつき、門衛に呼びかけて言った。「また一人で走って来る者がいます。」王は、「これもまた良い知らせだ」と言った。
サム下 18:27 見張りは、「最初の人の走り方はツァドクの子アヒマアツの走り方のように見えます」と言った。王は、「良い男だ。良い知らせなので来たのだろう」と言った。
この様に、この報告の場面が詳しく語られているのは、ダビデがこの報告に対してどのような気持ちで待っていたのか、また報告する側も、どのような気持ちで報告しようとしていたのかが複雑に関係していたからなのです。この報告は良い知らせでもあり悪い知らせでもあるのです。その立場によって、その意味が変わってくるということで、この事が詳しく語られているのです。
ここではダビデに対して、報告する側として、報告したがっているツァドクの子アヒマアツとそれを命令する立場の将軍ヨアブと最初に命じられて出発したクシュ人の3人が出てきます。まずツァドクの子アヒマアツというのはダビデに命じられてアブサロムのいるエルサレムに戻った祭司ツァドクの子アヒマアツなのです。この人はエルサレムで、アブサロムの動きをつかんだらダビデにすぐに知らせる役割を持っており、アヒトフェルの計画を知った時にもダビデに知らせて、ヨルダン川の向こう側に逃がした実績のある人です。ですから重要な知らせは、自分がダビデに伝えるのが使命だと思っているような人なのです。ですから勝利した時、すぐにヨアブに、「走って行って、主が王を敵の手から救ってくださったという良い知らせを王に伝えます。」と言ったのです。この勝利は、主がもたらしてくださったという信仰的な確信があったのです。ですが、ヨアブは彼に、「今日、お前が知らせるのはよくない。日を改めて報告するがよい。今日は知らせないでおこう。王の息子が死んだのだ」と言ったのです。さすがにヨアブです。この出来事の良いことと悪いことの両方をしっかりと見ていたのです。良いこととは勝利したこと悪い事とはダビデの息子が死んだことなのです。以前にサウルが死んだことを良い知らせと思って知らせたものが、反対にサウルを殺したものという悪い知らせとなってダビデに殺されたものや、サウルの息子イシュ・ボシェトを殺してよい知らせのつもりで伝えたものが、サウルの息子を殺した悪人として殺されたことをヨアブはしっかりと知っていたのです。ですから、祭司の子が自分がダビデに知らせに行くと言った時に、何が起こるかわからないからお前は行くなと言ったのです。そして、代わりにあまり関係のない クシュ人に命じて「行って、お前が見たとおりに王に報告せよ。」と言ったのです。たぶんこのクシュ人はヨアブと一緒に行ってアブサロムを殺した一人なのだと思います。このクシュ人は何も知らないので、きっと良い知らせとして伝えたつもりが、ダビデに殺されるかもしれないということを知ったうえで、ヨアブは命じたのです。そして、そのクシュ人はすぐに出発しました。
ところが、アヒマアツは再びヨアブに、「どんなことになろうと、わたしもクシュ人を追って走りたいのです」と願ったのです。この時にはアヒマアツはどのような危険があるのか悟ったようですが、それでもダビデにこの主が与えてくださった勝利を知らせるのは自分の役割だという思いが強かったのです。それで、もしどんなことになっても、自分が伝えに行きたいのですと言ったのです。ヨアブはその覚悟を知って、「走るがよい」と許可したのです。
アヒマアツは走るのが得意なような人で、クシュ人の道とは別の低地を通って追い越していきダビデの待っている城に向かったのです。その城ではダビデが今か今かと城門の上で、その良い知らせを待っていました。一人で来るのは良い知らせと決めてあったようで、アヒマアツが来るのを見て、これは良い知らせだと喜びました。そしてまた別の男が来たのを知らされて、これもまたよい知らせに違いないと喜んだのです。ですが、ダビデが待っていたのはアブサロムの無事だけだったのです。
さてその報告の結果はどうなるのでしょうか。28節から32節です。
サム下 18:28 アヒマアツは「王に平和」と叫び、地にひれ伏して礼をし、言った。「あなたの神、主はほめたたえられますように。主は主君、王に手を上げる者どもを引き渡してくださいました。」
サム下 18:29 王が、「若者アブサロムは無事か」と尋ねると、アヒマアツは答えた。「ヨアブが、王様の僕とこの僕とを遣わそうとしたとき、大騒ぎが起こっているのを見ましたが、何も知りません。」
サム下 18:30 王が、「脇に寄って、立っていなさい」と命じたので、アヒマアツは脇に寄り、そこに立った。
サム下 18:31 そこへクシュ人が到着した。彼は言った。「主君、王よ、良い知らせをお聞きください。主は、今日あなたに逆らって立った者どもの手からあなたを救ってくださいました。」
サム下 18:32 王はクシュ人に、「若者アブサロムは無事か」と尋ねた。クシュ人は答えた。「主君、王の敵、あなたに危害を与えようと逆らって立った者はことごとく、あの若者のようになりますように。」
この様に、最初に報告できたのはアヒマアツでした。そして、ダビデに「あなたの神、主はほめたたえられますように。主は主君、王に手を上げる者どもを引き渡してくださいました。」と、主によって勝利したことを報告したのです。するとダビデはすぐに、「若者アブサロムは無事か」と尋ねました。すると、アヒマアツは「ヨアブが、王様の僕とこの僕とを遣わそうとしたとき、大騒ぎが起こっているのを見ましたが、何も知りません。」と、アブサロムの事は知らないと言ったのです。このことを言うと危険だということが分かっていたのです。
次に後から来たクシュ人にも尋ねました。クシュ人の勝利した報告を聞いた後、同じように、「若者アブサロムは無事か」と尋ねたのです。するとそのクシュ人は見た儘を報告しろと言われたように、「主君、王の敵、あなたに危害を与えようと逆らって立った者はことごとく、あの若者のようになりますように。」と答えたのです。この言い回しはちょっと変な感じがするのですが、解釈すれば、あの若者が死んだように、あなたの敵たちが皆死んでしまいますように、と言ったことと同じなのです。この答え方で、ダビデはアブサロムが死んだことが分かったのです。
結
この様にして、イスラエル軍とダビデの軍の戦いは終わりました。圧倒的優勢のイスラエル軍に対して、ダビデの軍は森の中でゲリラ戦を仕掛けて、イスラエル軍の統率が取れなくなって敗れて逃げ去ってしまったのです。アブサロムも逃げましたが、アブサロムはダビデの願いに反して死にました。戦いを早く終わらせるために、ヨアブが殺したのです。この章の最後に、ダビデにどのように報告されたかが詳しく書かれていますが、この章の中心は、ダビデが息子アブサロムをどのように思っていたのかを教えてくれるものです。ダビデは決して息子を殺さないように願っていましたが、そのようにはできなかったのです。これもまた、ダビデがウリヤの妻バトシェバを奪い、ウリヤを殺してしまった罪の報いなのかもしれません。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、ダビデの軍は圧倒的なイスラエル軍に対抗して勝利しました。報告するものは皆、「あなたの神、主はほめたたえられますように。主は主君、王に手を上げる者どもを引き渡してくださいました。」と言って、主がダビデに味方してくださったことを感謝して報告しましたが、ダビデにとっては最愛の息子を失う知らせとなりました。これもまた神様のご計画だったのです。神様は良いことも悪いこともその人の行いに応じて与えられるのです。私達には何が良いのかは本当にはわかりません。どうか神様が与えてくださったものをすべて、感謝して受け入れていくことが出来ますように。あなたの御心に従うことが出来ますように。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇サムエル記下)>>
サム下 18:1 ダビデは彼に従う兵を調べ、千人隊の長と百人隊の長を任命した。
サム下 18:2 次いでダビデは兵士を三部隊に分け、三分の一をヨアブの指揮下に、三分の一をツェルヤの子、ヨアブの弟アビシャイの指揮下に、三分の一をガト人イタイの指揮下においた。ダビデ王は兵士に言った。「わたしもお前たちと共に出陣する。」
サム下 18:3 兵士は言った。「出陣なさってはいけません。我々が逃げ出したとしても彼らは気にも留めないでしょうし、我々の半数が戦死しても気にも留めないでしょう。しかしあなたは我々の一万人にも等しい方です。今は町にとどまり、町から我々を助けてくださる方がよいのです。」
サム下 18:4 「わたしはお前たちの目に良いと映ることをしよう」と王は言って、町の城門の傍らに立ち、兵士は皆、百人隊、千人隊となって出て行った。
サム下 18:5 王はヨアブ、アビシャイ、イタイに命じた。「若者アブサロムを手荒には扱わないでくれ。」兵士は皆、アブサロムについて王が将軍たち全員に命じるのを聞いていた。
◆戦闘とアブサロムの死
サム下 18:6 兵士たちはイスラエル軍と戦うために野に出て行った。戦いはエフライムの森で起こり、
サム下 18:7 イスラエル軍はそこでダビデの家臣に敗れた。大敗北で、その日、二万人を失った。
サム下 18:8 戦いはその地の全面に広がり、その日密林の餌食になった者は剣が餌食にした者よりも多かった。
サム下 18:9 アブサロムがダビデの家臣に出会ったとき、彼はらばに乗っていたが、らばが樫の大木のからまりあった枝の下を通ったので、頭がその木にひっかかり、彼は天と地の間に宙づりになった。乗っていたらばはそのまま走り過ぎてしまった。
サム下 18:10 兵の一人がこれを見て、ヨアブに知らせた。「アブサロムが樫の木に宙づりになっているのを見ました。」
サム下 18:11 ヨアブは知らせに来た者に言った。「見たなら、なぜその場で地に打ち落とさなかったのか。銀十枚と革帯一本を与えただろうに。」
サム下 18:12 その兵はヨアブに言った。「たとえこの手のひらに銀千枚の重みを感じるとしても、王子をこの手にかけたりはしません。王があなたとアビシャイ、イタイに、若者アブサロムを守れ、と命じられたのを我々は耳にしました。
サム下 18:13 仮に、わたしが彼の命を奪ってそれを偽ろうとしても、王には何一つ隠せません。あなたもわたしを非とする側に立つでしょう。」
サム下 18:14 「それなら、お前に期待はしない」とヨアブは言った。アブサロムは樫の木にひっかかったまま、まだ生きていた。ヨアブは棒を三本手に取り、アブサロムの心臓に突き刺した。
サム下 18:15 ヨアブの武器を持つ従卒十人が取り囲んでアブサロムを打ち、とどめを刺した。
サム下 18:16 ヨアブは角笛を吹いて兵士を引き止めたので、彼らはイスラエル軍の追跡をやめて戻って来た。
サム下 18:17 彼らはアブサロムを降ろし、森の中の大穴に投げ込み、その上に石を積み上げて非常に大きな塚を作った。イスラエルの全軍はそれぞれの天幕に逃げ帰った。
サム下 18:18 アブサロムは生前、王の谷に自分のための石柱を立てていた。跡継ぎの息子がなく、名が絶えると思ったからで、この石柱に自分の名を付けていた。今日もアブサロムの碑と呼ばれている。
◆二人の急使
サム下 18:19 ツァドクの子アヒマアツは言った。「走って行って、主が王を敵の手から救ってくださったという良い知らせを王に伝えます。」
サム下 18:20 ヨアブは彼に、「今日、お前が知らせるのはよくない。日を改めて報告するがよい。今日は知らせないでおこう。王の息子が死んだのだ」と言い、
サム下 18:21 クシュ人に命じた。「行って、お前が見たとおりに王に報告せよ。」クシュ人はヨアブに一礼して走り去った。
サム下 18:22 ツァドクの子アヒマアツは再びヨアブに、「どんなことになろうと、わたしもクシュ人を追って走りたいのです」と願った。「子よ、お前はどうしてそんなに走りたいのだ。お前が行って知らせるほどの良い知らせではない」とヨアブは言ったが、
サム下 18:23 どんなことになろうと行きたいと言うので、ヨアブは「走るがよい」と答えた。アヒマアツは低地に道をとり、クシュ人を追い越した。
サム下 18:24 ダビデは二つの城門の間に座っていた。城壁に沿った城門の屋根には、見張りが上って目を上げ、男がただ一人走って来るのを見た。
サム下 18:25 見張りは王に呼びかけて知らせた。王は、「一人だけならば良い知らせをもたらすだろう」と言った。その男が近づいて来たとき、
サム下 18:26 見張りはもう一人の男が走って来るのに気がつき、門衛に呼びかけて言った。「また一人で走って来る者がいます。」王は、「これもまた良い知らせだ」と言った。
サム下 18:27 見張りは、「最初の人の走り方はツァドクの子アヒマアツの走り方のように見えます」と言った。王は、「良い男だ。良い知らせなので来たのだろう」と言った。
サム下 18:28 アヒマアツは「王に平和」と叫び、地にひれ伏して礼をし、言った。「あなたの神、主はほめたたえられますように。主は主君、王に手を上げる者どもを引き渡してくださいました。」
サム下 18:29 王が、「若者アブサロムは無事か」と尋ねると、アヒマアツは答えた。「ヨアブが、王様の僕とこの僕とを遣わそうとしたとき、大騒ぎが起こっているのを見ましたが、何も知りません。」
サム下 18:30 王が、「脇に寄って、立っていなさい」と命じたので、アヒマアツは脇に寄り、そこに立った。
サム下 18:31 そこへクシュ人が到着した。彼は言った。「主君、王よ、良い知らせをお聞きください。主は、今日あなたに逆らって立った者どもの手からあなたを救ってくださいました。」
サム下 18:32 王はクシュ人に、「若者アブサロムは無事か」と尋ねた。クシュ人は答えた。「主君、王の敵、あなたに危害を与えようと逆らって立った者はことごとく、あの若者のようになりますように。」