家庭礼拝 2023年9月13日 サムエル記下 11:1-26 ウリヤの妻バト・シェバ

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起 

 今日の話は、ダビデの起こしたスキャンダル、不倫問題です。しかもそれは悪質です。どうしてこの話をこれほど詳しく聖書に残したのでしょうか。ダビデの王位継承の話では、サウル王家に手を出すことなく、ただ神様の御手の業に委ねて、手を汚さずに、王位を継承してきたダビデが、どうしてここで、こんな失態をしてしまったのでしょうか。

この話をこれほど詳しく語っているのには理由があります。それは隠すには隠し切れない理由があるからです。この不倫によって生まれた子供は死に、その後に生まれた子がダビデの王位を継ぐからです。ダビデにはたくさん子供があったのですが、神様の導かれたのは、この不倫の女から生まれた次の子供に王位を継がせることだったのです。こうなるとこの王となる子供の母のことを詳しく知らせざるを得ないのです。その子供と言うのが、あの有名なソロモンです。とても知恵と力のある王様で、イスラエルの神殿を建てて、イスラエルの最高の繁栄の時を築いた王様です。この王となった子供がどのような経緯で生まれたのかを、詳しく聖書の中で語られなければならなかったのです。

この不倫が悪質だというのは、不倫の相手がダビデの忠実な部下であり、その時アンモン人との戦いに命を懸けて一生懸命にイスラエルのために戦っていたウリヤと言うものの妻のバト・シェバと言う女性に目がくらんでしまったのです。彼女はとても美しく、生理による穢れから身を清めるために、水浴びをしていたところをダビデに見られてしまったのです。ダビデはその女のことを調べさせ、夫のある身であることを知っていながら、その欲情を抑えきれずに、宮殿に召し入れて、床を共にしたのです。これがまず、最初の姦淫の罪です。

ところが、これだけで終わりませんでした。バト・シェバはその不倫によって妊娠してしまったのです。夫は戦争に出て行って、帰ってきていないので、このままでは不倫をしたことが発覚してしまい、石打ちの刑で殺されてしまいます。そこでダビデは計略を用いました。この夫のウリヤを戦場から返して妻のもとにおらせ、その結果、子供が出来たという風にしようとしたのです。そうすればダビデとの関係を疑われずに済むからです。ところがこのウリヤは戦場から帰ってきても自分の家には帰ろうとしなかったのです。それは自分たちの戦場の仲間が、戦いの中で野宿しているのに、自分だけ、家に帰って、飲み食いしたり、妻と床を共にしたりできるはずがない、と言って家に帰らなかったのです。それほどウリヤはまじめな人であり、忠実な家臣であったのです。それなのにダビデは自分の罪を覆い隠すために、この様な策略でごまかそうとしたのが二つ目の罪です。これは偽証の罪に相当します。

ダビデは、その計略に失敗したので、ウリヤを戦場に戻すことにしました。そしてさらに恐ろしい計略を考えたのです。それはウリヤを戦場の激しい場所に送り込んで、死なせてしまうという計略です。そうすればだれも文句を言うものがなくなるからです。ダビデはその上官のヨアブに命じて、計略を用いて戦死させよと命じたのです。そしてその計略通り、ウリヤは戦いの最前線で戦死したのです。これが三つ目の罪で、殺人に等しい罪です。

この様な罪を犯した後で、ウリヤの喪が明けると、ダビデは人をやって彼女を王宮に引き取り、妻にしたのです。そして彼女は男の子を産みました。ですが、ダビデのしたことは主の御心に適わなかった、と最後に書かれています。これは当然のことです。この事によって、ダビデは神様に裁かれる身となるのです。そしてこの生まれてきた子供は死に、その後に生まれた子供がソロモンであり、ダビデの王位を継承するものとなるのです。

事の始まりはこのようなことでした。1節から3節です。

サム下 11:1 年が改まり、王たちが出陣する時期になった。ダビデは、ヨアブとその指揮下においた自分の家臣、そしてイスラエルの全軍を送り出した。彼らはアンモン人を滅ぼし、ラバを包囲した。しかしダビデ自身はエルサレムにとどまっていた。

サム下 11:2 ある日の夕暮れに、ダビデは午睡から起きて、王宮の屋上を散歩していた。彼は屋上から、一人の女が水を浴びているのを目に留めた。女は大層美しかった。

サム下 11:3 ダビデは人をやって女のことを尋ねさせた。それはエリアムの娘バト・シェバで、ヘト人ウリヤの妻だということであった。

 ここでの書き出しは年が改まり、王たちが出陣する時期になったとあります。これは雨期が終わり、乾季になったので、王たちが出陣して、本格的な全面戦争に入る時期になったということです。10章ではアンモンとアラムとの戦いと言うことで、アンモンの戦いに傭兵として戦ったアラムが反ってイスラエルに打ちのめされ、敗北したので、周辺諸国がイスラエルに隷属するようになりました。ですが、アンモンもアラムもイスラエルに滅ぼされたわけではありません。アンモンはこの後もイスラエルと争っていたのです。そして年が改まって、いよいよ本格的に戦う時期になり、王たちが出陣する時期となったと表わされています。ですがダビデはこの戦いに出るべき時に出陣せず、ヨアブに任せて、イスラエルの全軍を送り出したのです。イスラエル軍はアンモン人を滅ぼしてラバを包囲したとその優勢が語られています。

一方ダビデはと言うと、そのような戦争に煩わされることなく、昼寝から起きて、王宮の屋上を散歩していて、屋上から一人の女が水を浴びているのを目にとめたと言います。女は大変美しかったので、欲情を感じてしまいました。ダビデはその女のことを調べさせると、ヘト人ウリヤの妻バト・シェバであることが分かりました。人の妻であるので、これで終わるなら何でもないことですが、ダビデは大変な間違いを犯したのです。

4節と5節です。事件が起こりました。

サム下 11:4 ダビデは使いの者をやって彼女を召し入れ、彼女が彼のもとに来ると、床を共にした。彼女は汚れから身を清めたところであった。女は家に帰ったが、

サム下 11:5 子を宿したので、ダビデに使いを送り、「子を宿しました」と知らせた。

ダビデはバト・シェバ人の妻であることを知りながら、彼女を王宮に召し入れ、床を共にしたのです。これは律法に背く姦淫の罪を犯したことになるのです。バト・シェバが水を浴びていたのは,生理の穢れを落とすために水で清めていたのです。それを見ていたダビデは欲情に駆られて、床を共にしました。これを聞くと、ダビデもばかなことをしたなと思う人が多いはずです。そんなことを我慢することが出来ないなんて、なんて弱い男だと思うかもしれません。でもこれはそのような強い誘惑を感じることのないものには言えることでも、強い誘惑に駆られて、打ち負けそうになるものにはどうしようもないことかもしれません。ここでダビデが、助けを求めて、神様を思い起こせなかったのが、大きな問題かもしれません。

この事の結果、バト・シェバはダビデの子を宿してしまったのです。それでダビデにそのことを知らせました。と言うのも、夫が戦場にいるのに子を宿したというのは、姦淫をした証拠になるからです。姦淫を犯したものは石打ちの刑で殺されます。ダビデも、このままでは済まされません。

 それでダビデはこの出来事のもみ消しに奔走するのです。6節から11節です。

サム下 11:6 ダビデはヨアブに、ヘト人ウリヤを送り返すように命令を出し、ヨアブはウリヤをダビデのもとに送った。

サム下 11:7 ウリヤが来ると、ダビデはヨアブの安否、兵士の安否を問い、また戦況について尋ねた。

サム下 11:8 それからダビデはウリヤに言った。「家に帰って足を洗うがよい。」ウリヤが王宮を退出すると、王の贈り物が後に続いた。

サム下 11:9 しかしウリヤは王宮の入り口で主君の家臣と共に眠り、家に帰らなかった。

サム下 11:10 ウリヤが自分の家に帰らなかったと知らされたダビデは、ウリヤに尋ねた。「遠征から帰って来たのではないか。なぜ家に帰らないのか。」

サム下 11:11 ウリヤはダビデに答えた。「神の箱も、イスラエルもユダも仮小屋に宿り、わたしの主人ヨアブも主君の家臣たちも野営していますのに、わたしだけが家に帰って飲み食いしたり、妻と床を共にしたりできるでしょうか。あなたは確かに生きておられます。わたしには、そのようなことはできません。」

この様に、ダビデは司令官のヨアブに命じて、ウリヤをダビデのもとに送り返すように言いました。表向きはヨアブの安否、兵士の安否を確認し、戦況について尋ねることでした。ですが本当の目的は、バト・シェバがダビデによって妊娠したことがばれないように、ウリヤを自宅に戻し、妻と一緒に過ごさせて、妊娠したのは夫のウリヤであるとの、状況証拠を作るための画策なのです。そのためにダビデは、「家に帰って足を洗うがよい。」と言い、王からの贈り物も送らせました。ところがダビデの計画通りにはいかず、ウリヤは自分の家に帰らず、王宮の入り口で、主君の家臣と共に眠ったのでした。ダビデはウリヤに、なぜ家に帰らないのかと言うと、「神の箱も、イスラエルもユダも仮小屋に宿り、わたしの主人ヨアブも主君の家臣たちも野営していますのに、わたしだけが家に帰って飲み食いしたり、妻と床を共にしたりできるでしょうか。あなたは確かに生きておられます。わたしには、そのようなことはできません。」この様に、みんなが仮小屋に泊まり、野営しているのに、自分だけが妻のところで床を共にしたり、飲み食いしたりできるでしょうかと言ったのです。とても立派な兵士です。何の落ち度もない兵士です。ところがダビデは自分のやったことをごまかすために、ウリヤを家に帰すのが失敗したと気が付くと、さらに大きな罪を犯してしまうのです。

さて、ダビデの計画がうまくいかないと知ったダビデは、次の計画に移るのです。それはウリヤを死なせるという計画です。12節から17節です。

サム下 11:12 ダビデはウリヤに言った。「今日もここにとどまるがよい。明日、お前を送り出すとしよう。」ウリヤはその日と次の日、エルサレムにとどまった。

サム下 11:13 ダビデはウリヤを招き、食事を共にして酔わせたが、夕暮れになるとウリヤは退出し、主君の家臣たちと共に眠り、家には帰らなかった。

サム下 11:14 翌朝、ダビデはヨアブにあてて書状をしたため、ウリヤに託した。

サム下 11:15 書状には、「ウリヤを激しい戦いの最前線に出し、彼を残して退却し、戦死させよ」と書かれていた。

サム下 11:16 町の様子を見張っていたヨアブは、強力な戦士がいると判断した辺りにウリヤを配置した。

サム下 11:17 町の者たちは出撃してヨアブの軍と戦い、ダビデの家臣と兵士から戦死者が出た。ヘト人ウリヤも死んだ。

 この様に、ウリヤを家に帰して、妻と寝たという既成事実を作ることに失敗したダビデは、ウリヤを戦場に送り返すことに決めました。でも最後にもう一度試してみました。それはウリヤを招いて食事を共にし、酔わせて朦朧とすれば、意志が弱くなって家に帰るかと思ったのですが、それでもウリヤは家には帰らなかったのです。それでダビデはヨアブ宛に手紙を書いて、それをウリヤに預けました。そこにはウリヤを激しい戦いの最前線に出して、彼を戦死させよと書かれていたのです。しかもウリヤを一人残して、退却して、戦死させよと書いてあったのです。とんでもないことです。忠実で、何一つ過ちのない兵士を、その妻を奪うために、殺してしまおうと計画したのですから。この手紙を受け取ったヨアブは、この計画に反対することなく、着実に進めました。ダビデとヨアブはこのように、阿吽の呼吸によって、相手が何を望んでいるかを見抜き、それが例え、道に反したことでも、平気でやってしまうような関係だったのです。だから、前のイスラエルの司令官アブネルが暗殺された時、ヨアブはダビデの了解なしに勝手な行動をして、殺したというのは、ここにもダビデの思いを汲んだ、阿吽の呼吸があったとしか思えないのです。だからダビデはヨアブを処分しなかったのです。ダビデの、醜い部分の泥をこのヨアブはいつもかぶって、実行していたのです。

この様にして、ウリヤを死なせることに成功したヨアブはダビデに報告を送ります。それは普通の戦況報告の中に含ませて報告したのです。18節から22節です。

サム下 11:18 ヨアブはダビデにこの戦いの一部始終について報告を送り、

サム下 11:19 使者に命じた。「戦いの一部始終を王に報告し終えたとき、

サム下 11:20 もし王が怒って、『なぜそんなに町に接近して戦ったのか。城壁の上から射かけてくると分かっていたはずだ。

サム下 11:21 昔、エルベシェトの子アビメレクを討ち取ったのは誰だったか。あの男がテベツで死んだのは、女が城壁の上から石臼を投げつけたからではないか。なぜそんなに城壁に接近したのだ』と言われたなら、『王の僕ヘト人ウリヤも死にました』と言うがよい。」

サム下 11:22 使者は出発し、ダビデのもとに到着してヨアブの伝言を、すべて伝えた。

 この様にヨアブは戦況報告を使者に持たせ、その作戦が良くなかったために多数の死者を出したことを王から叱られたら、この様に言いなさいと、その言い訳の言葉まで用意していたのです。

それは、どうしてそんなに城壁に接近したのか、そんなことは、危険極まりないことが分かっているではないかと怒って言ったら、『王の僕ヘト人ウリヤも死にました』と言うように伝えたのです。これで、王はその作戦がヘト人ウリヤを死なせるために、ヨアブによって仕組まれた作戦であることを理解すると分かっていたからです。

使者は、ヨアブに教えられたとおり、ダビデに戦況の報告を伝えに行きました。22節から25節です。

サム下 11:22 使者は出発し、ダビデのもとに到着してヨアブの伝言を、すべて伝えた。

サム下 11:23 使者はダビデに言った。「敵は我々より優勢で、野戦を挑んで来ました。我々が城門の入り口まで押し返すと、

サム下 11:24 射手が城壁の上から僕らに矢を射かけ、王の家臣からも死んだ者が出、王の僕ヘト人ウリヤも死にました。」

サム下 11:25 ダビデは使者に言った。「ヨアブにこう伝えよ。『そのことを悪かったと見なす必要はない。剣があればだれかが餌食になる。奮戦して町を滅ぼせ。』そう言って彼を励ませ。」

サム下 11:26 ウリヤの妻は夫ウリヤが死んだと聞くと、夫のために嘆いた。

サム下 11:27 喪が明けると、ダビデは人をやって彼女を王宮に引き取り、妻にした。彼女は男の子を産んだ。ダビデのしたことは主の御心に適わなかった。

この様にヨアブの使者は教えられたとおりにダビデに報告をしました。ダビデがどうしてそんなことをしたのだと怒り出す前に、ウリヤも死んだことを話したのです。するとダビデは、命令をヨアブが果たしたことを知って、穏やかに使者にこう言ったのです。「ヨアブにこう伝えよ。『そのことを悪かったと見なす必要はない。剣があればだれかが餌食になる。奮戦して町を滅ぼせ。』そう言って彼を励ませ。」と言ったのです。さも、心優しい王だと思わせるように、部下を死なせたことを悪かったとみなす必要はない。誰かが倒れるのだと、さもいたわるように言ったのです。

ダビデとヨアブにはこの様に表向きの顔と、隠された顔のあることは知っていたほうが良いかもしれません。ダビデが神の子として、罪のない行いをしていたわけでもないのです。これがイエス様とは違う所です。

そのあと聖書にはこう書かれています。26節と27節です。

サム下 11:26 ウリヤの妻は夫ウリヤが死んだと聞くと、夫のために嘆いた。

サム下 11:27 喪が明けると、ダビデは人をやって彼女を王宮に引き取り、妻にした。彼女は男の子を産んだ。ダビデのしたことは主の御心に適わなかった。

この様にウリヤの妻は、自分のためにウリヤが死んだことを悟ったと思います。自分が身ごもったことを知られずに済むために、殺されたと思ったでしょう。そのために妻は激しく嘆いたと思います。ですがその喪が明けると、ダビデは人をやって彼女を王宮に引き取り妻にしました。バト・シェバはまだ悲しみの中にあったと思いますが、ダビデにしてもいつまでも家に置いておくわけにはなりません。身ごもっていることが知られてしまうからです。そしてまた、激しい戦いに臨んで戦死した英雄の死を無駄にしないで、やもめになったその妻を引き取るという、とてもやさしい王の役割をも果たすことが出来るのです。この様に、ダビデはいつもきれいごとに隠されていたのですが、この事だけは隠すわけにはいかなかったのです。何故かと言えば、バト・シェバはその後、男の子を生んだのです。そしてその子は死ぬ運命にありました。そしてその後、また生まれた子がはソロモンとなり、ダビデの王位を継承する偉大な王となったからです。ですから、そのことを隠しておくわけにはいかなかったのです。

今日の聖書の中には、ほとんど神様のことは出てきません。ダビデはこれらのことを神様の知らないところでやっているつもりだったのです。神様には隠してやっているつもりだったのです。ですが神様はすべてご存じでした。今日の聖書の箇所の最後には、ただ一か所、神様が出てきます。それは「ダビデのしたことは主の御心にかなわなかった。」この言葉が、今日の聖書の箇所の一番大切な言葉です。どんなことをしたにせよ、主の御心にかなわないことはいけないのです。だから、いつも神様の御心に聞くことが大切なのです。

ダビデは、国中の若者たちがイスラエルの国のために戦いに出ているときに、その兵士の妻の水浴している姿を見て情欲を感じ、不倫を犯してしまいました。ダビデはその不倫の罪だけではなく、れを覆い隠そうとする罪も犯し、さらにはその妻を得るために、その夫を死なせるという大きな罪まで犯してしまいました。その間ダビデの心は神様から離れていました。ダビデは自分の思い通りにその妻を自分の妻とすることが出来ましたが、神様はそれを知っておられました。それは主の御心にかなわなかったのです。ですからこれから起こることが、どのような事になるのかを暗示しているのです。

 

(一分間黙想)(お祈り)

天の父なる神様。いかに自分ではうまくやったつもりでも、神様の目を逃れることはできません。神様はそれをいつも見ており、御心に適うことかどうかを見ておられます。ですから、私たちはいつも神様の御心から離れず、御心に聞いて行うことが大切です。どうか自分の思いや考えに流されることなく、神様の御心に適うことを行うことが出来ますように。すべてを委ねて行うことが出来ますように。

この祈りを、主イエス・キリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン

 

<<聖書の箇所(旧約聖書:◇サムエル記下)>>  

 

◆ウリヤの妻バト・シェバ

サム下 11:1 年が改まり、王たちが出陣する時期になった。ダビデは、ヨアブとその指揮下においた自分の家臣、そしてイスラエルの全軍を送り出した。彼らはアンモン人を滅ぼし、ラバを包囲した。しかしダビデ自身はエルサレムにとどまっていた。

サム下 11:2 ある日の夕暮れに、ダビデは午睡から起きて、王宮の屋上を散歩していた。彼は屋上から、一人の女が水を浴びているのを目に留めた。女は大層美しかった。

サム下 11:3 ダビデは人をやって女のことを尋ねさせた。それはエリアムの娘バト・シェバで、ヘト人ウリヤの妻だということであった。

サム下 11:4 ダビデは使いの者をやって彼女を召し入れ、彼女が彼のもとに来ると、床を共にした。彼女は汚れから身を清めたところであった。女は家に帰ったが、

サム下 11:5 子を宿したので、ダビデに使いを送り、「子を宿しました」と知らせた。

サム下 11:6 ダビデはヨアブに、ヘト人ウリヤを送り返すように命令を出し、ヨアブはウリヤをダビデのもとに送った。

サム下 11:7 ウリヤが来ると、ダビデはヨアブの安否、兵士の安否を問い、また戦況について尋ねた。

サム下 11:8 それからダビデはウリヤに言った。「家に帰って足を洗うがよい。」ウリヤが王宮を退出すると、王の贈り物が後に続いた。

サム下 11:9 しかしウリヤは王宮の入り口で主君の家臣と共に眠り、家に帰らなかった。

サム下 11:10 ウリヤが自分の家に帰らなかったと知らされたダビデは、ウリヤに尋ねた。「遠征から帰って来たのではないか。なぜ家に帰らないのか。」

サム下 11:11 ウリヤはダビデに答えた。「神の箱も、イスラエルもユダも仮小屋に宿り、わたしの主人ヨアブも主君の家臣たちも野営していますのに、わたしだけが家に帰って飲み食いしたり、妻と床を共にしたりできるでしょうか。あなたは確かに生きておられます。わたしには、そのようなことはできません。」

サム下 11:12 ダビデはウリヤに言った。「今日もここにとどまるがよい。明日、お前を送り出すとしよう。」ウリヤはその日と次の日、エルサレムにとどまった。

サム下 11:13 ダビデはウリヤを招き、食事を共にして酔わせたが、夕暮れになるとウリヤは退出し、主君の家臣たちと共に眠り、家には帰らなかった。

サム下 11:14 翌朝、ダビデはヨアブにあてて書状をしたため、ウリヤに託した。

サム下 11:15 書状には、「ウリヤを激しい戦いの最前線に出し、彼を残して退却し、戦死させよ」と書かれていた。

サム下 11:16 町の様子を見張っていたヨアブは、強力な戦士がいると判断した辺りにウリヤを配置した。

サム下 11:17 町の者たちは出撃してヨアブの軍と戦い、ダビデの家臣と兵士から戦死者が出た。ヘト人ウリヤも死んだ。

サム下 11:18 ヨアブはダビデにこの戦いの一部始終について報告を送り、

サム下 11:19 使者に命じた。「戦いの一部始終を王に報告し終えたとき、

サム下 11:20 もし王が怒って、『なぜそんなに町に接近して戦ったのか。城壁の上から射かけてくると分かっていたはずだ。

サム下 11:21 昔、エルベシェトの子アビメレクを討ち取ったのは誰だったか。あの男がテベツで死んだのは、女が城壁の上から石臼を投げつけたからではないか。なぜそんなに城壁に接近したのだ』と言われたなら、『王の僕ヘト人ウリヤも死にました』と言うがよい。」

サム下 11:22 使者は出発し、ダビデのもとに到着してヨアブの伝言をすべて伝えた。

サム下 11:23 使者はダビデに言った。「敵は我々より優勢で、野戦を挑んで来ました。我々が城門の入り口まで押し返すと、

サム下 11:24 射手が城壁の上から僕らに矢を射かけ、王の家臣からも死んだ者が出、王の僕ヘト人ウリヤも死にました。」

サム下 11:25 ダビデは使者に言った。「ヨアブにこう伝えよ。『そのことを悪かったと見なす必要はない。剣があればだれかが餌食になる。奮戦して町を滅ぼせ。』そう言って彼を励ませ。」

サム下 11:26 ウリヤの妻は夫ウリヤが死んだと聞くと、夫のために嘆いた。

サム下 11:27 喪が明けると、ダビデは人をやって彼女を王宮に引き取り、妻にした。彼女は男の子を産んだ。ダビデのしたことは主の御心に適わなかった。