家庭礼拝 2023年7月19日 サムエル記下 3:22-39 アブネル、暗殺される
起
前回の所では、アブネルがイスラエル統一のために尽力し、ダビデとも和平協定を結び、共にその祝宴を催して、これで全イスラエルの統一がなるかという所まで行きました。ですがここから悲劇が起こるのです。ダビデの司令官であった、ヨアブが多くの戦利品を携えて、略奪から帰ってくると、アブネルがダビデのもとに来たことを知らせたものがあったのです。ヨアブはそのことを聞いて怒りました。どうしてかというとヨアブにとって、アブネルは弟の仇であり恨みがあったのです。ヨアブの弟アサエルは足の速い男で、ギブオンの戦いで、アブネルを追いかけていったとき、アブネルに槍で殺されてしまったのです。それでヨアブはアブネルが来た話を聞いてすぐにダビデに、どうしてとらえて殺さなかったのですか。あの男はあなたを欺いて、あなたのなさることを調べ上げて、あなたを捕らえて殺すでしょうと言ったのです。ヨアブにはダビデの考えはわかりませんでした。ですが、自分たちの憎しみの方が勝っていたのです。
それでヨアブは、ダビデには黙って、アブネルに使いを出して連れ戻し、静かなところで話したいと言って、城門の中に誘い込み、その場で、アブネルの下腹をついて殺したのです。
ダビデはその話を聞いてとても驚き、アブネルの死を悼み悲しんで、鄭重に葬儀を行いヘブロンに葬ったのです。この様にしたのは、アブネルの死はダビデの意図によるものではないことを広く知らしめ、イスラエルの反感を買わないように、務めたのです。一方ダビデはアブネルを殺したヨアブと弟アビシャイについては何も処罰はしなかったのです。この二人はダビデのユダヤ軍のために大変な貢献をしたからです。だからこの事のために処罰をすることはできなかったのです。ですがこの二人の行った暗殺が間違っているとも考えていたのです。それで、38節39節では不思議な言葉を残しています。それは、こう言っているのです。
サム下 3:38 王は家臣に言った。「今日、イスラエルの偉大な将軍が倒れたということをお前たちは悟らねばならない。
サム下 3:39 わたしは油を注がれた王であるとはいえ、今は無力である。あの者ども、ツェルヤの息子たちはわたしの手に余る。悪をなす者には主御自身がその悪に報いられるように。」
この様に、イスラエルの司令官アブネルを偉大な将軍とたたえ、一方で、私は油を注がれた王であるとはいえ、今は無力である。と言っているのです。この事は何を言っているのかというと、自分は王であるのに、部下から無視されて、このような暗殺をされてしまい、しかもいまだにそのヨアブとアビシャイを処罰する力がないということを言っているのです。そして、「あの者ども、ツェルヤの息子たちはわたしの手に余る。悪をなす者には主御自身がその悪に報いられるように。」と言ったのです。あのものども、ツェルヤの息子たちとはヨアブとアビシャイのことで、この者たちは私の手に余る、と言い、悪をなす者には主御自身がその悪に報いられるように。と言って、自らは処罰せず、神様にその報いをゆだねられたのです。この話はヨアブたちが弟の恨みを晴らすために殺したともいえるし、ダビデがヨアブたちに命じて暗殺させたとも考えられるのです。ですが、この物語を美化するために、ダビデには何の罪もなかったとするために、このように語られているのかもしれません。
承
それでは聖書を読んでみましょう。事件はダビデがアブネルを送り出してから起こりました。22節から25節です。
ダビデはアブネルを送り出し、アブネルは平和のうちに出発した。
サム下 3:22 そこへダビデの家臣を率いたヨアブが多くの戦利品を携えて略奪から帰って来た。アブネルは平和のうちに送り出された後で、ヘブロンのダビデのもとにはいなかった。
サム下 3:23 ヨアブと彼に同行していた全軍が到着すると、「ネルの子アブネルが王を訪ねて来ましたが、平和のうちに送り出されて去りました」とヨアブに告げる者があった。
サム下 3:24 ヨアブは王のもとに行き、こう言った。「どうなさったのです。アブネルがあなたのもとにやって来たのに、なぜ送り出し、去らせてしまわれたのですか。
サム下 3:25 ネルの子アブネルをよくご存じのはずではありませんか。あの男が来たのは、王を欺いて動静を探り、王のなさることをすべて調べるためなのです。」
この様に、ダビデとアブネルが平和の内に話し合いができ、いよいよイスラエル統一が進むかというときのことだったのです。アブネルがヘブロンを出た後丁度入れ違いに、ダビデの軍隊を率いていたヨアブが近隣の国を襲って略奪し、多くの戦利品を持って帰ってきたのです。当時のダビデ達の経済的基盤はこの様に近隣の国からの略奪によって成り立っていたのです。
ヘブロンに帰ってきたヨアブは、イスラエルのアブネルがダビデ王を訪ねてやってきて、話をし、平和のうちに送り出されて帰りました、と告げられました。それを聞くとヨアブは怒ってダビデのもとに行き、「どうなさったのです。アブネルがあなたのもとにやって来たのに、なぜ送り出し、去らせてしまわれたのですか。ネルの子アブネルをよくご存じのはずではありませんか。あの男が来たのは、王を欺いて動静を探り、王のなさることをすべて調べるためなのです。」と言ったのです。ヨアブがアブネルを悪く思うのにはいくつかの理由がありました。まず第一は弟アサエルがアブネルに殺されたということ。第二には、アブネルはずっとダビデを殺そうと付け狙って来たし、サウルが死んでからも、傀儡政権を作って、ダビデと戦っていたこと。第三にもしダビデがアブネルと手を組めば、彼は自分と同じような司令官になり、自分の立場が弱くなること、などがあったのです。だからヨアブはアブネルとは絶対手を組みたくなかったのです。
転
ヨアブがダビデに文句を言った後、ヨアブは勝手にとんでもないことをしてしまったのです。26節から30節です。
サム下 3:26 ヨアブはダビデのもとを引き下がると、アブネルを追って使いを出した。使いはボル・シラからアブネルを連れ戻した。ダビデはそのことを知らなかった。
サム下 3:27 アブネルがヘブロンに戻ると、ヨアブは静かなところで話したいと言って城門の中に誘い込み、その場でアブネルの下腹を突いて殺し、弟アサエルの血に報いた。
サム下 3:28 後にこれを聞いたダビデは言った。「ネルの子アブネルの血について、わたしとわたしの王国は主に対してとこしえに潔白だ。
サム下 3:29 その血はヨアブの頭に、ヨアブの父の家全体にふりかかるように。ヨアブの家には漏出の者、重い皮膚病を病む者、糸紡ぎしかできない男、剣に倒れる者、パンに事欠く者が絶えることのないように。」
サム下 3:30 ヨアブと弟のアビシャイがアブネルを殺したのは、ギブオンの戦いで彼らの弟アサエルをアブネルが殺したからであった。
この様に、ヨアブはダビデのもとを引きさがると、ダビデには断りもせず、アブネルに使いを出し、帰る途中のアブネルをヘブロンに連れ戻したのです。そして、ヨアブはアブネルに静かなところで話したいことがあると言って誘い出し、その場で、アブネルの下腹を剣で突いて殺したのです。そこにはアブネルに殺された、弟アサエルの仇を討つという思いがあったのです。30節には殺したのはヨアブだけでなく、その弟アビシャイも加わって弟の仇を撃ったことが書かれています。
この事を後で知らされたダビデは驚きました。そして、この事に関しては自分はまったく知らされていなくて潔白であることを言い表してこう言ったのです。
「ネルの子アブネルの血について、わたしとわたしの王国は主に対してとこしえに潔白だ。その血はヨアブの頭に、ヨアブの父の家全体にふりかかるように。ヨアブの家には漏出の者、重い皮膚病を病む者、糸紡ぎしかできない男、剣に倒れる者、パンに事欠く者が絶えることのないように。」と言って、自分の潔白を公に言い表し、その責任はすべてヨアブにあると言って、その子孫がそのために呪われよとさえ言ったのです。これを公にしたのは、この暗殺がダビデもかかわっているとしたら、イスラエルとの戦争がまた起こり、せっかく、統一成されようとしていたことがすべて崩れ去るからです。
アブネルがヨアブによって殺されたことを知ったダビデはその後どうしたでしょうか。31節から34節です。
サム下 3:31 ダビデは、ヨアブとヨアブの率いる兵士全員に向かって、「衣服を裂き、粗布をまとい、悼み悲しんでアブネルの前を進め」と命じ、ダビデ王自身はアブネルのひつぎの後に従った。
サム下 3:32 一同はアブネルをヘブロンに葬った。王はその墓に向かって声をあげて泣き、兵士も皆泣いた。
サム下 3:33 王はアブネルを悼む歌を詠んだ。「愚か者が死ぬように/アブネルは死なねばならなかったのか。
サム下 3:34 手を縛られたのでもなく/足に枷をはめられたのでもないお前が/不正を行う者の前に倒れるかのように/倒れねばならなかったのか。」兵士は皆、彼を悼んで更に泣いた。
この様に、ダビデはアブネルがヨアブに暗殺されることを聞くと、すぐにはヨアブを処罰することなく、まず、ヨアブとヨアブの率いる兵士全員に向かって話をしたのでした。それはダビデはこの事を深く悲しみ、弔意を示すために、厳かに葬儀を行うというものでした。そして兵士全員に、「衣服を裂き、粗布をまとい、悼み悲しんでアブネルの前を進め」と命じ、ダビデ王自身はアブネルのひつぎの後に従ったのでした。そしてアブネルをヘブロンに葬って、ダビデはその墓の前で声をあげて泣き、兵士もみな泣いたと言います。これで兵士たちはみなダビデと同じ思いになったのです。さらに、ダビデはアブネルを悼む歌を詠んでどうしてアブネルは死ななければならなかったのかと、痛恨の思いを歌にして、皆に聞かせたのでした。兵士たちはそれを聞いてさらに泣いたのでした。
ダビデはひどくアブネルのため悲しみ嘆きましたが、すぐにヨアブたちを処罰しなかったのはヨアブの弟を殺されたヨアブに同情するものもたくさんいたからだと思います。ですが、すぐに処罰や批難をすることなく、アブネルを悼んで葬儀を進めたのですが、その心のうちは次のようなものでした。35節から39節です。
サム下 3:35 兵士は皆、まだ日のあるうちにダビデに食事をとらせようとやって来た。しかし、ダビデは誓って言った。「日の沈む前に、わたしがパンであれほかの何であれ、口にするようなことがあるなら、神が幾重にも罰してくださるように。」
サム下 3:36 兵士は皆これを知って、良いことと見なした。王のすることは常に、兵士全員の目に良いと映った。
サム下 3:37 すべての兵士、そして全イスラエルはこの日、ネルの子アブネルが殺されたのは王の意図によるものではなかったことを認めた。
サム下 3:38 王は家臣に言った。「今日、イスラエルの偉大な将軍が倒れたということをお前たちは悟らねばならない。
サム下 3:39 わたしは油を注がれた王であるとはいえ、今は無力である。あの者ども、ツェルヤの息子たちはわたしの手に余る。悪をなす者には主御自身がその悪に報いられるように。」
この様に、ダビデは食事をとらずに嘆いていました。兵士が食事をとらせようとするのですが、「日の沈む前に、わたしがパンであれほかの何であれ、口にするようなことがあるなら、神が幾重にも罰してくださるように。」と言って、神のみ前にその悲しみが真実であることを表そうとしたのです。兵士たちも、これを見て、これは本当にアブネルの死を悲しんでいるのだ、アブネルが殺されたのはダビデが指示したのだというものもいたが、そうではなかったのだと、ユダヤのすべての兵士も、イスラエルのすべての人々もダビデの思いを理解したのです。それでイスラエルとの間に戦いが始まることは避けられたのです。
ですがダビデは、アブネルを暗殺したヨアブたちを処罰することはしなかったのです。そして家臣たちには、こう言ったのです。「今日、イスラエルの偉大な将軍が倒れたということをお前たちは悟らねばならない。わたしは油を注がれた王であるとはいえ、今は無力である。あの者ども、ツェルヤの息子たちはわたしの手に余る。悪をなす者には主御自身がその悪に報いられるように。」この様に、ダビデはアブネルがイスラエルの偉大な将軍であったことを家臣たちに知らしめた一方、自分は無力なために、アブネルを暗殺したツェルヤの息子たちすなわちヨアブと弟のアビシャイを裁くことが出来ない。あの者たちは私の手に余る、と言ったのです。そして、その裁きは悪を裁かれる主御自身がさばいてくださるようにと、主の御手に委ねたのです。
結
ダビデはこのように、サウルの死に対しても、アブネルの死に対しても自分の手を汚すことはありませんでした。むしろその死を悼んで、自分の潔白を表したのです。だからこそ、ダビデはイスラエルを統一できたのです。一方アブネルを暗殺した、ヨアブとその弟アビシャイの裁きは神に委ね、またサウル王の裁きに関しても神に委ねて、自分から手を下すことはしなかったのです。ダビデはこのように、思いあがって自分で裁くようなことはせず、いつも神様の御心に聞き、神様の裁きに委ねることのできる人だったのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、ダビデは自分の身の潔白を表し、アブネルの死を悼みました。ダビデに無断で、その暗殺をした、ヨアブとアビシャイの裁きに関しては神様に委ねることにしました。これらの出来事の後ろには、神様のご計画があると信じてのことだと思います。神様のご計画を信じることのできる人は、神様に委ねることが出来るのです。どうか私たちも思い煩うことなく、あなたがすべて良きことへと導いてくださる方であることを信じて委ねていくことが出来ますように。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇サムエル記下)>>
◆アブネル、暗殺される
ダビデはアブネルを送り出し、アブネルは平和のうちに出発した。
サム下 3:22 そこへダビデの家臣を率いたヨアブが多くの戦利品を携えて略奪から帰って来た。アブネルは平和のうちに送り出された後で、ヘブロンのダビデのもとにはいなかった。
サム下 3:23 ヨアブと彼に同行していた全軍が到着すると、「ネルの子アブネルが王を訪ねて来ましたが、平和のうちに送り出されて去りました」とヨアブに告げる者があった。
サム下 3:24 ヨアブは王のもとに行き、こう言った。「どうなさったのです。アブネルがあなたのもとにやって来たのに、なぜ送り出し、去らせてしまわれたのですか。
サム下 3:25 ネルの子アブネルをよくご存じのはずではありませんか。あの男が来たのは、王を欺いて動静を探り、王のなさることをすべて調べるためなのです。」
サム下 3:26 ヨアブはダビデのもとを引き下がると、アブネルを追って使いを出した。使いはボル・シラからアブネルを連れ戻した。ダビデはそのことを知らなかった。
サム下 3:27 アブネルがヘブロンに戻ると、ヨアブは静かなところで話したいと言って城門の中に誘い込み、その場でアブネルの下腹を突いて殺し、弟アサエルの血に報いた。
サム下 3:28 後にこれを聞いたダビデは言った。「ネルの子アブネルの血について、わたしとわたしの王国は主に対してとこしえに潔白だ。
サム下 3:29 その血はヨアブの頭に、ヨアブの父の家全体にふりかかるように。ヨアブの家には漏出の者、重い皮膚病を病む者、糸紡ぎしかできない男、剣に倒れる者、パンに事欠く者が絶えることのないように。」
サム下 3:30 ヨアブと弟のアビシャイがアブネルを殺したのは、ギブオンの戦いで彼らの弟アサエルをアブネルが殺したからであった。
サム下 3:31 ダビデは、ヨアブとヨアブの率いる兵士全員に向かって、「衣服を裂き、粗布をまとい、悼み悲しんでアブネルの前を進め」と命じ、ダビデ王自身はアブネルのひつぎの後に従った。
サム下 3:32 一同はアブネルをヘブロンに葬った。王はその墓に向かって声をあげて泣き、兵士も皆泣いた。
サム下 3:33 王はアブネルを悼む歌を詠んだ。「愚か者が死ぬように/アブネルは死なねばならなかったのか。
サム下 3:34 手を縛られたのでもなく/足に枷をはめられたのでもないお前が/不正を行う者の前に倒れるかのように/倒れねばならなかったのか。」兵士は皆、彼を悼んで更に泣いた。
サム下 3:35 兵士は皆、まだ日のあるうちにダビデに食事をとらせようとやって来た。しかし、ダビデは誓って言った。「日の沈む前に、わたしがパンであれほかの何であれ、口にするようなことがあるなら、神が幾重にも罰してくださるように。」
サム下 3:36 兵士は皆これを知って、良いことと見なした。王のすることは常に、兵士全員の目に良いと映った。
サム下 3:37 すべての兵士、そして全イスラエルはこの日、ネルの子アブネルが殺されたのは王の意図によるものではなかったことを認めた。
サム下 3:38 王は家臣に言った。「今日、イスラエルの偉大な将軍が倒れたということをお前たちは悟らねばならない。
サム下 3:39 わたしは油を注がれた王であるとはいえ、今は無力である。あの者ども、ツェルヤの息子たちはわたしの手に余る。悪をなす者には主御自身がその悪に報いられるように。」