家庭礼拝 2023年5月4日 サムエル記上 24:1-23 エン・ゲディにおけるダビデ
起
今日の物語の中で、一番大切なことは、ダビデがサウルを殺すことが出来たのに、主が油を注がれた方を殺すことはできないと言って、殺さなかったことのように思います。ですがそれよりももっと大切なことがあります。それは、サウルを殺さなかった、ダビデの思いを知ったサウルが、21節で、
サム上 24:21 今わたしは悟った。お前は必ず王となり、イスラエル王国はお前の手によって確立される。
この様にサウル自身の言葉で、イスラエル王国の王位継承はダビデであると告白したことなのです。これでダビデは、何の罪を犯すことなく、神によってもサウルによっても次のイスラエルの王と指名されたのです。すべてが神の手にゆだねられたのです。
今日の話のキーワードは選ばれたもの、油注がれたものという言葉の意味です。ダビデも、サウルもサムエルによって油注がれたものです。その油注がれたもの同士が敵になってしまったのです。私達で言えば善人のクリスチャンと悪人のクリスチャンが出会ったときどうするかということなのです。相手は悪人だから裁こうというのが普通の人の考えです。それが神の御心ではないかとさえいうのです。ですが本当に神の選びというものを知っている人は、その人が善人であろうが悪人であろうが、主が選ばれたのには人には理解できない神の恵みがあるのだということを信じているのです。だから神が選ばれた人を人間がさばいてはいけないと考えるのです。私たちが敵と出会った時、自分は主から選ばれたものであるが、相手はそうではないと考えるのは簡単です。ですが、相手も主から選ばれた人であると認めることはとても難しいのです。人の心では、それは悪だと裁いてしまうのですが、神の霊はその人が選ばれたのには神様の御心によると、善悪を超えた判断を要求してくるのです。これが今日の話の中に出てくる、ダビデとサウルそして周りの兵士たちの思いと判断となってくるのです。そしてこの事の結果は、サウルの口から、次の王はダビデであると自ら語らせることになるのです。霊的な思いが人の思いを超えたのです。神によって選ばれた人たち、私たちクリスチャンもそうですが、その裁きを神に委ねることが、選ばれた人たちの道なのです。
承
さて聖書の言葉ですが、ダビデ達が、マオンの荒れ野にいたとき、サウルとその兵がダビデを狙って襲ってきたので、ダビデ達は山を回り込むようにして逃れましたが、その距離はだんだん縮められました。いよいよ危ないかと思われるとき、救いの手が現れたのです。ペリシテ人が国に侵入しているとの知らせを聞いて、サウルはそこを立ち去って、ペリシテを追い払いに行ったのです。今日は、そのあとの話です。1節から3節です。
サム上 24:1 ダビデはそこから上って行って、エン・ゲディの要害にとどまった。
サム上 24:2 ペリシテ人を追い払って帰還したサウルに、「ダビデはエン・ゲディの荒れ野にいる」と伝える者があった。
サム上 24:3 サウルはイスラエルの全軍からえりすぐった三千の兵を率い、ダビデとその兵を追って「山羊の岩」の付近に向かった。
この様にダビデ達はサウルの追っ手を逃れて、エン・ゲディの要害に隠れていました。するとペリシテ人を追い払ったサウルが、ダビデはエン・ゲディの荒れ野にいるとの知らせを聞いて、またやってきたのです。えりすぐりの3千人の兵を引き連れて、ダビデのいるところまでやってきたのです。
そしてここで、普通ならあり得ない、奇跡的なことが起こります。神様の業としか思えません。4節から8節です。
サム上 24:4 途中、羊の囲い場の辺りにさしかかると、そこに洞窟があったので、サウルは用を足すために入ったが、その奥にはダビデとその兵たちが座っていた。
サム上 24:5 ダビデの兵は言った。「主があなたに、『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。思いどおりにするがよい』と約束されたのは、この時のことです。」ダビデは立って行き、サウルの上着の端をひそかに切り取った。
サム上 24:6 しかしダビデは、サウルの上着の端を切ったことを後悔し、
サム上 24:7 兵に言った。「わたしの主君であり、主が油を注がれた方に、わたしが手をかけ、このようなことをするのを、主は決して許されない。彼は主が油を注がれた方なのだ。」
サム上 24:8 ダビデはこう言って兵を説得し、サウルを襲うことを許さなかった。サウルは洞窟を出て先に進んだ。
この様にサウルがダビデを追いかけて、エン・ゲディの要害へ行く途中で、サウルは用を足すために洞窟に入りました。そこでサウルは長い服を着て、腰のあたりが見えないようにし、用を足したのです。ところが驚いたことにその奥にはダビデとその兵たちがいたのです。ダビデの兵は、主があなたに、『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。思いどおりにするがよい』と約束されたのは、この時のことです。」と言ってサウルを殺すことをダビデに進めたのですが、ダビデはサウルの上着の端を密かに切り取っただけでした。それでもダビデは主が油を注がれた方に、手をかけたことを後悔し、「わたしの主君であり、主が油を注がれた方に、わたしが手をかけ、このようなことをするのを、主は決して許されない。彼は主が油を注がれた方なのだ。」と兵士たちに言ったのです。そして、サウルを襲うことを許されなかったのです。兵士たちもダビデも同じ神様の言葉を信じているのですが、考えは違っていたのです。兵士たちには神様が『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。思いどおりにするがよい』と言っているように思えたのです。一方ダビデは、主が油を注がれた方に手をかけてはいけない。そうすれば裁かれる。と聞いたのです。それぞれの信仰がここで試されたのです。ダビデは、たとえ相手が敵であっても、自分に危害を加える相手であっても、主が選ばれた方に手をかけてはならない、と信じていたのです。主が選ばれたのだから、人間には、はかり知ることのできない神様の計画があるのだと考えていたのです。それで兵士たちにサウルを襲うことを許しませんでした。
転
さて、そのあとダビデはどうしたでしょうか。9節から13節です。
サム上 24:9 ダビデも続いて洞窟を出ると、サウルの背後から声をかけた。「わが主君、王よ。」サウルが振り返ると、ダビデは顔を地に伏せ、礼をして、
サム上 24:10 サウルに言った。「ダビデがあなたに危害を加えようとしている、などといううわさになぜ耳を貸されるのですか。
サム上 24:11 今日、主が洞窟であなたをわたしの手に渡されたのを、あなた御自身の目で御覧になりました。そのとき、あなたを殺せと言う者もいましたが、あなたをかばって、『わたしの主人に手をかけることはしない。主が油を注がれた方だ』と言い聞かせました。
サム上 24:12 わが父よ、よく御覧ください。あなたの上着の端がわたしの手にあります。わたしは上着の端を切り取りながらも、あなたを殺すことはしませんでした。御覧ください。わたしの手には悪事も反逆もありません。あなたに対して罪を犯しませんでした。それにもかかわらず、あなたはわたしの命を奪おうと追い回されるのです。
サム上 24:13 主があなたとわたしの間を裁き、わたしのために主があなたに報復されますように。わたしは手を下しはしません。
サム上 24:14 古いことわざに、『悪は悪人から出る』と言います。わたしは手を下しません。
サム上 24:15 イスラエルの王は、誰を追って出て来られたのでしょう。あなたは誰を追跡されるのですか。死んだ犬、一匹の蚤ではありませんか。
この様にサウルは、ダビデ達のいることに気が付かず、用を足し洞窟を出ていくと、ダビデ達も気が付かれないように洞窟を出ました。するとダビデはサウルの背後から声をかけたのです。それは、サウルに対して勝ち誇って言うのではなく、王に対して忠実な家臣の態度をとって声をかけたのです。サウルが振り返ってみると、なんとダビデは顔を地に伏せ、土下座して礼をし、サウルにこの様に言ったのです。「ダビデがあなたに危害を加えようとしている、などといううわさになぜ耳を貸されるのですか。今日、主が洞窟であなたをわたしの手に渡されたのを、あなた御自身の目で御覧になりました。そのとき、あなたを殺せと言う者もいましたが、あなたをかばって、『わたしの主人に手をかけることはしない。主が油を注がれた方だ』と言い聞かせました。」ダビデが最初に語ったのは、サウルがダビデを悪者にしているのではなく、サウルの取り巻きが、ダビデのことを悪くいって、あなたに危害を加えようとしていると言うので、あなたはそれを信じてしまったのですね。どうしてそんなことを信じるのですかと言ったのです。あくまでもダビデはこれがサウルの本心ではないと思って語りかけているのです。
そして、今日洞窟であったこと、それは、いつでもサウルを殺すことが出来、部下たちはあなたを殺せというものもいたが、私は手を下さないよう言ったこと。それはサウルは主が油を注がれた選ばれた方なのだから、人間の思いで手を下してはいけないと思ったからです。と言ったのです。そしてあなたの上着の端を私は持っています。殺そうと思えば本当に殺せたのです。と言いました。ダビデは、私はあなたに対して何の罪も犯していないのに、あなたは私の命を奪おうと追い回されるのですかと言いました。この様にダビデはサウルを敵としてではなく、神によって油を注がれた方として、敬意をもって対しているのです。どんなに殺されそうなことになってもそうだったのです。ダビデにとって、神に選ばれた人というのは自分の好き嫌いで、対応する相手ではないのです。その裁きは神様に委ねてこう言うのです。「主があなたとわたしの間を裁き、わたしのために主があなたに報復されますように。わたしは手を下しはしません。」ダビデは、神様がその裁きを行い、あなたに報復されますようにと言ったのです。だから私はあなたに手を下しませんと言ったのです。そしてこの言葉通り、サウル王は、ダビデによって打たれることなく、ペリシテ人たちによってギルボア山に追い込まれて、そこでヨナタンは先に討たれ、サウルは剣の上に倒れ自害することになるのです。これが神による裁きだったのです。
ダビデはさらにサウルに語り続けると、サウルは声をあげて泣き悔い改めたのです。そして、お前は私より正しいと言い、お前は必ず王となると言ったのです。16節から23節です。
サム上 24:16 主が裁き手となって、わたしとあなたの間を裁き、わたしの訴えを弁護し、あなたの手からわたしを救ってくださいますように。」
サム上 24:17 ダビデがサウルに対するこれらの言葉を言い終えると、サウルは言った。「わが子ダビデよ、これはお前の声か。」サウルは声をあげて泣き、
サム上 24:18 ダビデに言った。「お前はわたしより正しい。お前はわたしに善意をもって対し、わたしはお前に悪意をもって対した。
サム上 24:19 お前はわたしに善意を尽くしていたことを今日示してくれた。主がわたしをお前の手に引き渡されたのに、お前はわたしを殺さなかった。
サム上 24:20 自分の敵に出会い、その敵を無事に去らせる者があろうか。今日のお前のふるまいに対して、主がお前に恵みをもって報いてくださるだろう。
サム上 24:21 今わたしは悟った。お前は必ず王となり、イスラエル王国はお前の手によって確立される。
サム上 24:22 主によってわたしに誓ってくれ。わたしの後に来るわたしの子孫を断つことなく、わたしの名を父の家から消し去ることはない、と。」
サム上 24:23 ダビデはサウルに誓った。サウルは自分の館に帰って行き、ダビデとその兵は要害に上って行った。
この様にダビデはあくまでもこのさばきを神に委ね、神様が私をサウルから救ってくださいますようにと言ったのです。ダビデの考えの中心はいつも神様であり私心のない純粋なものでした。きっとその時のダビデの声は聖霊に満たされて、人間の語る言葉とは思えないほどだったのだと思います。サウルは、ダビデよ、これはお前の声かといって、声をあげて泣いたのです。サウルにはその声が神の声か天使の声に聞こえたのです。そしてこういいました。「お前はわたしより正しい。お前はわたしに善意をもって対し、わたしはお前に悪意をもって対した。」と言って悔い改め、「今わたしは悟った。お前は必ず王となり、イスラエル王国はお前の手によって確立される。」とやっとダビデを王の後継者として認めたのです。今まではこのことを認めたくないために、執拗にダビデを殺そうとしていたのです。王の後継者は息子のヨナタンにしたかったのです。この様に、ダビデのこの試練は、サウルによって後継者はダビデであると言わせることにあったのです。でもサウルは神に背いたものとして裁かれる運命となったのです。サウルはダビデが王となっても、私の子孫を断つことなく、私の名を父の家から消し去ることはないようにしてくれと、誓わせたのです。ダビデはこのサウルとの誓もあり、またヨナタンとの誓もあって、ヨナタンの息子を最後まで保護することとなったのです。
結
ダビデはいくらサウルに攻められても、サウルに仕返しをしようとは思いませんでした。それはサウルもまた神によって選ばれたものであるからです。いかに打ち倒すチャンスが現れても部下からこれは神様が与えてくださったチャンスですと言われても手を出すことはしませんでした。それは裁くのは神様であり、神様がその報いを与えてくださるから、自分から手を出すことはしないとの信仰からでした。その様なダビデの思いはサウルまで届いて、サウルもまた、次の王位はダビデが継承するものであることを認めました。ダビデの神への信頼が、力による復讐よりも勝ったのです。
(一分間黙想)(お祈り)
神様、ダビデはサウルからいかに追い詰められても決して手を出すことはしませんでした。神が油を注がれた方に手を下してはならないという思いからでした。そして裁くのは神様であり、神様が報いを与えてくださるということに委ねていたのです。私たちも、敵に対してなら力をもって報いてしまおう、と思いがちですが、すべては神様の御心です。どうか神様に委ねて、神様の裁きに委ねることが出来ますように。そして罪を犯すことなく、あなたの恵みにあずかることが出来ますように。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇サムエル記上)>>
◆エン・ゲディにおけるダビデとサウル
サム上 24:1 ダビデはそこから上って行って、エン・ゲディの要害にとどまった。
サム上 24:2 ペリシテ人を追い払って帰還したサウルに、「ダビデはエン・ゲディの荒れ野にいる」と伝える者があった。
サム上 24:3 サウルはイスラエルの全軍からえりすぐった三千の兵を率い、ダビデとその兵を追って「山羊の岩」の付近に向かった。
サム上 24:4 途中、羊の囲い場の辺りにさしかかると、そこに洞窟があったので、サウルは用を足すために入ったが、その奥にはダビデとその兵たちが座っていた。
サム上 24:5 ダビデの兵は言った。「主があなたに、『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。思いどおりにするがよい』と約束されたのは、この時のことです。」ダビデは立って行き、サウルの上着の端をひそかに切り取った。
サム上 24:6 しかしダビデは、サウルの上着の端を切ったことを後悔し、
サム上 24:7 兵に言った。「わたしの主君であり、主が油を注がれた方に、わたしが手をかけ、このようなことをするのを、主は決して許されない。彼は主が油を注がれた方なのだ。」
サム上 24:8 ダビデはこう言って兵を説得し、サウルを襲うことを許さなかった。サウルは洞窟を出て先に進んだ。
サム上 24:9 ダビデも続いて洞窟を出ると、サウルの背後から声をかけた。「わが主君、王よ。」サウルが振り返ると、ダビデは顔を地に伏せ、礼をして、
サム上 24:10 サウルに言った。「ダビデがあなたに危害を加えようとしている、などといううわさになぜ耳を貸されるのですか。
サム上 24:11 今日、主が洞窟であなたをわたしの手に渡されたのを、あなた御自身の目で御覧になりました。そのとき、あなたを殺せと言う者もいましたが、あなたをかばって、『わたしの主人に手をかけることはしない。主が油を注がれた方だ』と言い聞かせました。
サム上 24:12 わが父よ、よく御覧ください。あなたの上着の端がわたしの手にあります。わたしは上着の端を切り取りながらも、あなたを殺すことはしませんでした。御覧ください。わたしの手には悪事も反逆もありません。あなたに対して罪を犯しませんでした。それにもかかわらず、あなたはわたしの命を奪おうと追い回されるのです。
サム上 24:13 主があなたとわたしの間を裁き、わたしのために主があなたに報復されますように。わたしは手を下しはしません。
サム上 24:14 古いことわざに、『悪は悪人から出る』と言います。わたしは手を下しません。
サム上 24:15 イスラエルの王は、誰を追って出て来られたのでしょう。あなたは誰を追跡されるのですか。死んだ犬、一匹の蚤ではありませんか。
サム上 24:16 主が裁き手となって、わたしとあなたの間を裁き、わたしの訴えを弁護し、あなたの手からわたしを救ってくださいますように。」
サム上 24:17 ダビデがサウルに対するこれらの言葉を言い終えると、サウルは言った。「わが子ダビデよ、これはお前の声か。」サウルは声をあげて泣き、
サム上 24:18 ダビデに言った。「お前はわたしより正しい。お前はわたしに善意をもって対し、わたしはお前に悪意をもって対した。
サム上 24:19 お前はわたしに善意を尽くしていたことを今日示してくれた。主がわたしをお前の手に引き渡されたのに、お前はわたしを殺さなかった。
サム上 24:20 自分の敵に出会い、その敵を無事に去らせる者があろうか。今日のお前のふるまいに対して、主がお前に恵みをもって報いてくださるだろう。
サム上 24:21 今わたしは悟った。お前は必ず王となり、イスラエル王国はお前の手によって確立される。
サム上 24:22 主によってわたしに誓ってくれ。わたしの後に来るわたしの子孫を断つことなく、わたしの名を父の家から消し去ることはない、と。」
サム上 24:23 ダビデはサウルに誓った。サウルは自分の館に帰って行き、ダビデとその兵は要害に上って行った。