家庭礼拝 2022年12月21日 サムエル記上 8:1-22 民、王を求める
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起
サムエル記とは、不思議な題名の記録です。サムエル記となっているのに、サムエルが指導者として活躍したことはあまり書かれていません。サムエルに関する記述は、サムエルが子供時代にエリのところの神殿で神の箱の番をしていた時に神の声を聴いて、それをエリに話したことが一つと、それから20年後に、イスラエルの民が主を慕い求めるので、あなた方の中から異教の神々を取り除きなさいと命じて、ミツパにイスラエルの人々を集めて、神に祈り、裁きを行っているときに、ペリシテ人が攻めてきたので、神に祈って、生贄を捧げると、神様がペリシテ人の上に雷鳴をとどろかされて、撃退したという話だけです。
そして、今日の聖書の箇所では、もうサムエルは年老いてしまい、息子たちに裁きの仕事を任せたのですが、そのような後継者に満足せず、イスラエルの人々は、自分たちに王を立ててくださいと願って、その願いをかなえてやることにしているのです。ですから、これからはもう指導者としてのサムエルは登場しないのです。これからは王様の時代になるのです。そしてこのサムエル記はサムエルのことよりも、最初の王となったサウル王のことと、その後継者となったダビデ王のことがこれからずっと書かれているのです。そのボリュウムの方が何十倍も多いのに、どうしてこれがサムエル記という名前なのか不思議な気がします。むしろサウル記とかダビデ記としたほうがよさそうです。
ところがこれをサムエル記としたことには深い意味があります。それはこれまでのイスラエルが、預言者を指導者として、12部族をまとめ裁いていた時代から、サムエルが、新しく王様を立て、イスラエルを支配する時代を開いていったからです。ですからサムエル記というのは、イスラエルの時代の大転換期という意味に相当するのです。その大転換点の中心にいたのがサムエルということで、そのあとにサウル王やダビデ王が続くことになります。そう言った意味で、サウル時代やダビデ時代もサムエル記という一つの時代の中に入れられているのです。
サムエルは人々の強い願いによって、イスラエルに王を立てることを迫られたのですが、本当はそれには反対だったのです。ほかの国々は人が王様となってその国を支配し、統率していったのですが、イスラエルの国は神様がイスラエルの国の王であって、預言者がその神様の言葉を伝えて、イスラエルの国を統率していったのです。ですからイスラエルの国に、人間の王様を立てるということは、神様の支配ではなく人間の支配のほうがいいということになり、神様を軽んじることになるからです。サムエルは神様に祈って御言葉をもらいました。意外なことに、神様は人々の願うようにさせなさいと言って、王様を立てることを許しますが、そこにはいろいろな困難があり、人々は結局王様の奴隷となって仕えなければならなくなることを言うのです。
サムエル記に書かれていることは、神様は人々の願いを聞き入れてサムエルによって王を立てたが、それは結局どのような事になるのかをよく知りなさいということが語られているのだと思います。
承
それでは今日の聖書の箇所に移ります。1節から3節です。
サム上 8:1 サムエルは年老い、イスラエルのために裁きを行う者として息子たちを任命した。
サム上 8:2 長男の名はヨエル、次男の名はアビヤといい、この二人はベエル・シェバで裁きを行った。
サム上 8:3 しかし、この息子たちは父の道を歩まず、不正な利益を求め、賄賂を取って裁きを曲げた。
ペリシテとの戦いもなくなって平和な時代になりました。サムエルは年老いて、自分の後継者として、息子たちを任命しました。長男がヨエルで、次男がアビヤと言いました。二人はサムエルの様にベエル・シェバでイスラエルの裁きを行うものになりましたが、サムエルのように、神の御心によって裁くのではなく、不正な利益を求め、わいろを取って、不正な裁きを行っていたのです。なぜこのような立派な予言者の子供が神の道を歩まず不正な道を歩むようになるのでしょうか。これはサムエルが子供時代に仕えていたエリの息子たちとそっくりです。やはり不正を行って、人々からとがめられていたのです。
そのような、サムエルの息子たちの不正に嫌気をさして、長老たちはサムエルにクレームをつけたのです。4節と5節です。
サム上 8:4 イスラエルの長老は全員集まり、ラマのサムエルのもとに来て、
サム上 8:5 彼に申し入れた。「あなたは既に年を取られ、息子たちはあなたの道を歩んでいません。今こそ、ほかのすべての国々のように、我々のために裁きを行う王を立ててください。」
サムエルはラマという所に住んでいたのですが、そこにイスラエルの長老たちが全員集まってサムエルに申し入れたのです。「あなたは既に年を取られ、息子たちはあなたの道を歩んでいません。今こそ、ほかのすべての国々のように、我々のために裁きを行う王を立ててください。」と言ったのです。イスラエルという国はちょっと変わった国で、12部族がそれぞれの部族を長老たちが治めており、12の国が集まったような国なのです。ですが何か起こった場合にはこの12部族を神様のもとに取りまとめる預言者によって裁かれ導かれるという形のもので、通常は各部族に任されているのです。ですがイスラエルが遊牧民時代から、カナンに定着して安定した生活をするようになると、ほかの国々が持っているような王様が治める国が欲しくなったのです。このような王様なら、戦いが起こった時に、真っ先に敵と戦ってくれるし、国で何か災難が起こってもすぐにリーダーシップをとってくれるだろうと考えたのです。今まではこのような時には、神様に頼っていたのですが、イスラエルもだんだん安定してくると神様よりも人間が治める国のほうがいいのではないかと思い始めていたのです。ですから、ほかのすべての国々のように、我々のために裁きを行う王を立ててくださいと願ったのです。でもこの長老たちは王様を立てることはその国民にどんな犠牲を払わなければならないかを理解してはいなかったのです。
このような王様を立ててくださいという要求をする長老たちの話を聞いて、サムエルはどうしたでしょうか。6節から9節です。
サム上 8:6 裁きを行う王を与えよとの彼らの言い分は、サムエルの目には悪と映った。そこでサムエルは主に祈った。
サム上 8:7 主はサムエルに言われた。「民があなたに言うままに、彼らの声に従うがよい。彼らが退けたのはあなたではない。彼らの上にわたしが王として君臨することを退けているのだ。
サム上 8:8 彼らをエジプトから導き上った日から今日に至るまで、彼らのすることといえば、わたしを捨てて他の神々に仕えることだった。あなたに対しても同じことをしているのだ。
サム上 8:9 今は彼らの声に従いなさい。ただし、彼らにはっきり警告し、彼らの上に君臨する王の権能を教えておきなさい。」
イスラエルの長老たちは自分たちにも裁きを行う王を与えてくださいと願ったのですが、サムエルはそれが神様をおろそかにする悪いことと思いました。どうしてそう思うかというと、それは神様に頼らず人の力に頼ろうとする思いだからです。イスラエルの王は神様なのです。ですが、イスラエルの人々はほかの国々と同じように、王を持ち兵隊を持ち国家としての体制を整えたいと思ったのです。ですがサムエルにはそのような人の力に頼るものは、いつしか滅びることが予見されていたのです。それで、本当にそれでよいかどうかを神様に尋ねたのです。
すると神様は意外な答えをしました。それは、「民があなたに言うままに、彼らの声に従うがよい。彼らが退けたのはあなたではない。彼らの上にわたしが王として君臨することを退けているのだ。彼らをエジプトから導き上った日から今日に至るまで、彼らのすることといえば、わたしを捨てて他の神々に仕えることだった。あなたに対しても同じことをしているのだ。今は彼らの声に従いなさい。ただし、彼らにはっきり警告し、彼らの上に君臨する王の権能を教えておきなさい。」と言ったのです。神様の言ったことは、民の言うことに従いなさいということ。そしてそれは指導者としてのあなたを退けたのではなく、神を退けたのだということ。王を立てるときに必要な王の権能を教えておきなさいということでした。王の権能を教えるというのは、王にはどんな特権があり、人々から、どのようなものを取り上げ、人々を奴隷のように使うことが出来るのだということを理解して、王というものを立てなさいということなのです。
転
サムエルは神様から伝えられたことをイスラエルの民に伝えました。そうすることによって、もしかすると王様を立てると自分たちにつらいことが起きるからやめるかもしれないと期待したのです。10節から18節です。
サム上 8:10 サムエルは王を要求する民に、主の言葉をことごとく伝えた。
サム上 8:11 彼はこう告げた。「あなたたちの上に君臨する王の権能は次のとおりである。まず、あなたたちの息子を徴用する。それは、戦車兵や騎兵にして王の戦車の前を走らせ、
サム上 8:12 千人隊の長、五十人隊の長として任命し、王のための耕作や刈り入れに従事させ、あるいは武器や戦車の用具を造らせるためである。
サム上 8:13 また、あなたたちの娘を徴用し、香料作り、料理女、パン焼き女にする。
サム上 8:14 また、あなたたちの最上の畑、ぶどう畑、オリーブ畑を没収し、家臣に分け与える。
サム上 8:15 また、あなたたちの穀物とぶどうの十分の一を徴収し、重臣や家臣に分け与える。
サム上 8:16 あなたたちの奴隷、女奴隷、若者のうちのすぐれた者や、ろばを徴用し、王のために働かせる。
サム上 8:17 また、あなたたちの羊の十分の一を徴収する。こうして、あなたたちは王の奴隷となる。
サム上 8:18 その日あなたたちは、自分が選んだ王のゆえに、泣き叫ぶ。しかし、主はその日、あなたたちに答えてはくださらない。」
サムエルは神様の言葉をイスラエルの人々に伝えた後、王の権能について語りました。それは若者たちを徴用し兵士にすること。王の田畑を耕作し刈り入れをすること。武器や戦車の用具を作ること。娘たちは王のために料理女などの仕事をすること。ブドウ畑やオリーブ畑やほかの畑の一部を没収し、家臣のために分け与えること。また穀物やブドウの収穫の十分の一を王の家臣に分け与えること。それだけでなく、奴隷たちも家畜をも若者たちをも徴用して王のために働かせること。また羊の十分の一を徴収すること。この様にすることはイスラエルがエジプトで奴隷になったのと同じなのであるが、これからはあなたたちが選んだ王の奴隷になること。この様なことを覚悟して、王を立てなさいと言ったのです。そしていつの日かあなたたちは自分たちが選んだ王のために泣き叫ぶようなことがあっても、神様はあなたたちに答えてくださらないだろうと言ったのです。
サムエルはこのように言って、神の御心に背いて王を立てても、あなたたちに良いことはなく、きっとそのために泣き叫ぶようになるから、王を立てずに、神の御心に従うものになりなさいと勧めたのです。ですがその結果は、19節から22節です。
サム上 8:19 民はサムエルの声に聞き従おうとせず、言い張った。「いいえ。我々にはどうしても王が必要なのです。
サム上 8:20 我々もまた、他のすべての国民と同じようになり、王が裁きを行い、王が陣頭に立って進み、我々の戦いをたたかうのです。」
サム上 8:21 サムエルは民の言葉をことごとく聞き、主の耳に入れた。
サム上 8:22 主はサムエルに言われた。「彼らの声に従い、彼らに王を立てなさい。」サムエルはイスラエルの人々に言った。「それぞれ、自分の町に帰りなさい。」
イスラエルの人々はサムエルの声に聞き従おうとはしませんでした。そして、「いいえ。我々にはどうしても王が必要なのです。我々もまた、他のすべての国民と同じようになり、王が裁きを行い、王が陣頭に立って進み、我々の戦いをたたかうのです。」と言ったのです。イスラエルの人々は、周りの国の脅威に耐え切れなかったのかもしれません。周りの国々には、強力な王と、兵隊がおり、強大な力を誇っていたので、王もいないイスラエルはとても頼りなく見えたのだと思います。それで、我々にはどうしても王が必要なのですと言ったのです。神様だけでは頼りなくて心配だ、まして、サムエルの息子たちのような不正ばかりしている指導者の下では太刀打ちできないと言いたかったのです。そしてイスラエルのように預言者や祭司が裁きを行うのではなく、王が裁きを行い、戦いのときには王が陣頭に立って進み戦うような国でなければ安心して暮らせないと言ったのです。サムエルは、そのイスラエルの民の言葉を、神様に伝えました。すると神様はサムエルに、「彼らの声に従い、彼らに王を立てなさい。」と言って、王を立てることを許したのです。サムエルは、神様が人々の希望通りに王を立てることを許されたことを話して、わかったからそれぞれ、自分の町に帰りなさいと言いました。この様にして、この時から、イスラエルは王政の国家としての道を歩み始めるのです。これはイスラエルにとって大きな転換点です。これ以前のイスラエルとこれ以降のイスラエルはガラッと変わってしまうのです。その転換点の中心にいたのがサムエルなので、この一連の出来事をサムエル記として記録されているのです。
結
サムエルは、王を立てたいというイスラエルの人々の希望をよいとは思っていませんでした。イスラエルは神を王とし、神様の御心に従う国であって、人間が立てた王に従う国ではないからです。ですがイスラエルは、ほかの国々と同じように強力な王様のもとでの国を作りたいと願ったのです。サムエルは、王様を持つとどんな大変なことが起こるかを話しましたが、イスラエルの人々はそれを聞き入れず、王を立てることを願ったのです。それで神様も、王を立てることをお許しになりました。そしてイスラエルはここから新しい歩みをするようになるのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様。イスラエルは神に頼らず、王に頼ることを選びました。これから起こることをサムエルは説明しましたが、聞き入れませんでした。イスラエルは人の思いにとらわれ、神様に頼ることを忘れたのです。このことから起こる悲劇をこれから学びますが、どうか神様、私たちが、人を頼ることなく力に頼ることなく、ただ神にのみ、より頼むものでありますように。目先のことに惑わされることなく、しっかりとあなたを見つめ、あなたの御声に聞き従うことが出来ますように。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇サムエル記上)>>
◆民、王を求める
サム上 8:1 サムエルは年老い、イスラエルのために裁きを行う者として息子たちを任命した。
サム上 8:2 長男の名はヨエル、次男の名はアビヤといい、この二人はベエル・シェバで裁きを行った。
サム上 8:3 しかし、この息子たちは父の道を歩まず、不正な利益を求め、賄賂を取って裁きを曲げた。
サム上 8:4 イスラエルの長老は全員集まり、ラマのサムエルのもとに来て、
サム上 8:5 彼に申し入れた。「あなたは既に年を取られ、息子たちはあなたの道を歩んでいません。今こそ、ほかのすべての国々のように、我々のために裁きを行う王を立ててください。」
サム上 8:6 裁きを行う王を与えよとの彼らの言い分は、サムエルの目には悪と映った。そこでサムエルは主に祈った。
サム上 8:7 主はサムエルに言われた。「民があなたに言うままに、彼らの声に従うがよい。彼らが退けたのはあなたではない。彼らの上にわたしが王として君臨することを退けているのだ。
サム上 8:8 彼らをエジプトから導き上った日から今日に至るまで、彼らのすることといえば、わたしを捨てて他の神々に仕えることだった。あなたに対しても同じことをしているのだ。
サム上 8:9 今は彼らの声に従いなさい。ただし、彼らにはっきり警告し、彼らの上に君臨する王の権能を教えておきなさい。」
サム上 8:10 サムエルは王を要求する民に、主の言葉をことごとく伝えた。
サム上 8:11 彼はこう告げた。「あなたたちの上に君臨する王の権能は次のとおりである。まず、あなたたちの息子を徴用する。それは、戦車兵や騎兵にして王の戦車の前を走らせ、
サム上 8:12 千人隊の長、五十人隊の長として任命し、王のための耕作や刈り入れに従事させ、あるいは武器や戦車の用具を造らせるためである。
サム上 8:13 また、あなたたちの娘を徴用し、香料作り、料理女、パン焼き女にする。
サム上 8:14 また、あなたたちの最上の畑、ぶどう畑、オリーブ畑を没収し、家臣に分け与える。
サム上 8:15 また、あなたたちの穀物とぶどうの十分の一を徴収し、重臣や家臣に分け与える。
サム上 8:16 あなたたちの奴隷、女奴隷、若者のうちのすぐれた者や、ろばを徴用し、王のために働かせる。
サム上 8:17 また、あなたたちの羊の十分の一を徴収する。こうして、あなたたちは王の奴隷となる。
サム上 8:18 その日あなたたちは、自分が選んだ王のゆえに、泣き叫ぶ。しかし、主はその日、あなたたちに答えてはくださらない。」
サム上 8:19 民はサムエルの声に聞き従おうとせず、言い張った。「いいえ。我々にはどうしても王が必要なのです。
サム上 8:20 我々もまた、他のすべての国民と同じようになり、王が裁きを行い、王が陣頭に立って進み、我々の戦いをたたかうのです。」
サム上 8:21 サムエルは民の言葉をことごとく聞き、主の耳に入れた。
サム上 8:22 主はサムエルに言われた。「彼らの声に従い、彼らに王を立てなさい。」サムエルはイスラエルの人々に言った。「それぞれ、自分の町に帰りなさい。」