家庭礼拝 2021年9月29日 出エジプト記 20:22-23:17契約の書①‐③
起
十戒が与えられた後は、その内容を詳しく補足する「契約の書」と言われるものが続きます。ここには神様がモーセに対して、イスラエルの人々にこう言いなさいと言って、16項目の内容が20章から23章まで続きます。そのうちの3項目を今日の学びとするのですが、全部のその項目だけを上げると、①祭壇について、②奴隷について、③死に値する罪、④身体の傷害、⑤財産の損傷、⑥盗みと財産の保管、⑦処女の誘惑、⑧死に値する罪、⑨人道的律法、⑩祭儀的律法、⑪法廷において、⑫敵対する者とのかかわり、⑬訴訟において、⑭安息年、⑮安息日、⑯祭りについて、と続きます。十戒が憲法なら、こちらは法律です。具体的な規制の内容が書かれているのです。またこの内容をさらに詳しく細かく説明する話が続きます。これらがモーセの律法と言われるもので、イスラエルの民に、厳しい規律を求めていくのです。さらに後の人たち、祭司たちや律法学者たちがその内容を解釈して、さらに細かい厳しい律法を作っていくのです。それ等は口伝律法と呼ばれて、文書化されてはいないのですが、守らなければならない律法として、一般の人々の自由を縛り、とても窮屈な生活を強いられることになるのです。そうなると弱い人々貧しい人々がまず、その犠牲者となるので、イエス様がその律法からの解放を与え、神様の救いを説いて、人々の前に現れたのはそのためです。
この契約の書は、十戒のすぐ後に続く、十戒に準ずる書としての扱いとなっていますが、その内容は、すでに古くからハムラビ法典などで行われていた、世俗法が習慣的に取り入れられているところもあるのです。このような世俗法と、イスラエル古来の宗教・倫理の法を合わせて、この契約の書がまとめられたと考えられています。ですから、モーセよりも後の人たちによって、まとめられたと思われます。
承
それではその契約の書と呼ばれる個所の具体的な内容を学んでみましょう。最初は祭壇について語られています。22節から26節です。
◆(1)祭壇について
出 20:22 主はモーセに言われた。イスラエルの人々にこう言いなさい。あなたたちは、わたしが天からあなたたちと語るのを見た。
出 20:23 あなたたちはわたしについて、何も造ってはならない。銀の神々も金の神々も造ってはならない。
出 20:24 あなたは、わたしのために土の祭壇を造り、焼き尽くす献げ物、和解の献げ物、羊、牛をその上にささげなさい。わたしの名の唱えられるすべての場所において、わたしはあなたに臨み、あなたを祝福する。
出 20:25 しかし、もしわたしのために石の祭壇を造るなら、切り石で築いてはならない。のみを当てると、石が汚されるからである。
出 20:26 あなたは、階段を用いて祭壇に登ってはならない。あなたの隠し所があらわにならないためである。
この契約の書は、神様がモーセを通して語られて、イスラエルの人々に伝えられたという形式をとっています。そして、その内容はまず、あなたたちは私が天からあなたたちと語るのを見た、と神様が語ったことから始まります。これはシナイ山のふもとにイスラエルの民が集められ、雷鳴の鳴り響く中で、神様がシナイ山に降りられ、語られたことを言っています。このような前置きを言って、そのあとに本題に入ります。それは、
出 20:23 あなたたちはわたしについて、何も造ってはならない。銀の神々も金の神々も造ってはならない。
という言葉でした。これはモーセの十戒の第二戒にあたる、あなたはいかなる像も作ってはならないという、戒律を受けての話です。今日の個所ではさらに、銀の神々も金の神々も造ってはならないと、言われました。これは実際に、そのような金や銀の像を作って、拝んでいる人たちがいたからです。
次に命じたのは土の祭壇を作り、その上で捧げものをささげなさいと命じました。石で祭壇を作る場合は切り石で築いてはいけないと言われました。のみを充てると、石が汚されるからだと言います。この律法はあまり守られていなかったようです。なぜなら、エルサレム神殿は切り石で築かれているからです。あの有名な嘆きの壁などは切り石の象徴みたいな真っ平らなものです。
さらに、階段を用いて祭壇に登ってはならない、と言いました。それは、あなたの隠し所があらわにならないためである、というのです。当時の階段は段差の大きいものが多かったので、足を持ち上げたときに、下から恥部が見えてしまうから、厳粛な祭壇の儀式のときには、厳かに登れるように階段を用いてはならないといったのです。ですがその後の時代には、祭司はズボンのようなものをはくようになったので、多分階段を使っていたのではないかと思います。
転
最初に出てきたのは、神様の儀式をする祭壇の話ですから、重要です。ですが2番目に出てくるのが奴隷についてですから、ちょっと意外です。かなりこの世的な戒めになるわけですが、当時は奴隷というのが結構社会的な問題になっていたのだと思います。ここで言われる奴隷とは借金を肩に奴隷にされてしまう人々のことです。しかもそれはヘブライ人である同胞の人の奴隷なのです。1節から11節にこう書いてあります。
◆(2)奴隷について
出 21:1 以下は、あなたが彼らに示すべき法である。
出 21:2 あなたがヘブライ人である奴隷を買うならば、彼は六年間奴隷として働かねばならないが、七年目には無償で自由の身となることができる。
出 21:3 もし、彼が独身で来た場合は、独身で去らねばならない。もし、彼が妻帯者であった場合は、その妻も共に去ることができる。
出 21:4 もし、主人が彼に妻を与えて、その妻が彼との間に息子あるいは娘を産んだ場合は、その妻と子供は主人に属し、彼は独身で去らねばならない。
出 21:5 もし、その奴隷が、「わたしは主人と妻子とを愛しており、自由の身になる意志はありません」と明言する場合は、
出 21:6 主人は彼を神のもとに連れて行く。入り口もしくは入り口の柱のところに連れて行き、彼の耳を錐で刺し通すならば、彼を生涯、奴隷とすることができる。
出 21:7 人が自分の娘を女奴隷として売るならば、彼女は、男奴隷が去るときと同じように去ることはできない。
出 21:8 もし、主人が彼女を一度自分のものと定めながら、気に入らなくなった場合は、彼女が買い戻されることを許さねばならない。彼は彼女を裏切ったのだから、外国人に売る権利はない。
出 21:9 もし、彼女を自分の息子のものと定めた場合は、自分の娘と同じように扱わなければならない。
出 21:10 もし、彼が別の女をめとった場合も、彼女から食事、衣服、夫婦の交わりを減らしてはならない。
出 21:11 もし、彼がこの三つの事柄を実行しない場合は、彼女は金を支払わずに無償で去ることができる。
まず一番重要なのは最初の言葉の、2節目です。こうなっています。
出 21:2 あなたがヘブライ人である奴隷を買うならば、彼は六年間奴隷として働かねばならないが、七年目には無償で自由の身となることができる。
奴隷を買うとなっていますが、それもあるでしょうか、多くは借金を返せずに子供などが奴隷に売られてしまうケースなのです。このイスラエルの律法の素晴らしいことは、1週間ごとに来る安息日や7年ごとに来る安息年、そして50年ごとに来るヨエルの年、など、神様が作られたものを大切にして、苦しみを軽減したり開放したりすることです。今日の奴隷の話は同胞のヘブライ人に限った話で、7年後の安息年の年には奴隷として買われたものでも解放され自由にされるという話なのです。これがヨベルの年、すなわち安息年を7回過ぎた7×7の49年目の次の年すなわち50年目にはすべての解放を祝うヨベルの年となり奴隷も借金も取られた土地も全部戻ってくるのです。また土地も手入れをせずに休ませるのです。
この奴隷を開放するにもいろいろな決め事があって、結婚した場合、子供ができた場合、奴隷のままでいたい場合、奴隷を気に入らなくなった場合、などにわたっていろいろと決めてあって、あとでトラブルにならないようにしているのです。ですがここで基本的なことは奴隷は安息年の7年目には解放されるということが保証されていることなのです。この根底には隣人を愛しなさいという、神様の思いがあるのです。これは日本の国では考えも及ばない決め事です。
三つ目の律法は、死刑となる場合の決め事です。12節から17節です。
◆(3)死に値する罪
出 21:12 人を打って死なせた者は必ず死刑に処せられる。
出 21:13 ただし、故意にではなく、偶然、彼の手に神が渡された場合は、わたしはあなたのために一つの場所を定める。彼はそこに逃れることができる。
出 21:14 しかし、人が故意に隣人を殺そうとして暴力を振るうならば、あなたは彼をわたしの祭壇のもとからでも連れ出して、処刑することができる。
出 21:15 自分の父あるいは母を打つ者は、必ず死刑に処せられる。
出 21:16 人を誘拐する者は、彼を売った場合も、自分の手もとに置いていた場合も、必ず死刑に処せられる。
出 21:17 自分の父あるいは母を呪う者は、必ず死刑に処せられる。
ここには死刑に該当するものとして、人を殺した場合、自分と父母に暴力をふるったり、呪ったりした場合、それと誘拐をした場合が挙げられています。私たちの感覚とと大きく違うのは父母に対する暴力や暴言などが即死刑になるほど、親の権威は守られていたということです。それは神様に準ずるものとしての親の地位があるからです。逆に言えば親には子供の殺生与奪の権利があるようなもので、子供は親に逆らえなかったのです。ですがそれも時代と共に薄れていったようです。
まず人を死なせた場合ですが、これは故意によるものか事故によるものかで別れてきます。もし故意に殺した場合は、いくら祭壇にすがって逃れようとしても、そこから連れ出して死刑にすることができると書かれています。一方、故意ではなく事故で相手を殺してしまった場合は、定められた街に逃れて、生き延びることができるとされています。これが逃れの町というものでパレスチナの地域ではどこから行っても一日で行ける距離の所に置かれています。ヨルダン川東部に3つ、西部に3つ置かれていて、正しい裁判を待つことができました。
人を誘拐することは昔からとても多く行われていて、親たちの心配の種でした。今も誘拐は重罪になりますが、この時代はすぐに死刑になるほどの重罪です。誘拐して売ろうが売るまいが関係なく、誘拐ということだけで死刑になるのです。これも人間を大切にする思いからのものです。
結
今日の律法の教えは、神様をまつる祭壇の話と、同じ同胞であるヘブライ人の奴隷に対する、安息年の7年目での開放の話、そして、死刑に関する話でした。モーセに与えられた、神様の十戒から、その戒めはだんだんと細かく規定され、複雑になっていきます。そのためにその実際の適用を研究する、律法学者などが現れて、人々に無用な要求をするようにもなってきました。もともとはイスラエルの国を一つのルールでしっかりと統率していこうとするものでした。当初のころは、この律法によって、イスラエルはまとまることができ、国もだんだん強いものになっていったのですが、その後もこの律法はどんどん増えていき、弱い人や貧しい人にはその律法を守ることができず、汚れた人という差別を受けるようになっていくのです。このことの救いのために現れたのがイエス様であり、もともとは人々の安息と解放の日であった安息日も規則のための規則となっていたのです。イエス様はその規則を破って、人々をいやし、そのために祭司長や律法学者からにらまれ、ねたまれて、殺されてしまうことになったのです。物事も運用次第で、良いものにも悪いものにもなってしまいます。それは神様の御心を忘れるところから起こるのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、あなたが与えてくださった、律法によって人々は定められた、ルールを守って生きていくようになり、秩序が与えられました。ですがその解釈が行き過ぎて本来あるものからかけ離れていくとき、それはむしろ大きな弊害となりました。神様、あなたは規則ではなく、人々を愛することを教えてくださった神様です。そのことをイエス様は思い起こさせてくださいました。私達もまた、形式にとらわれることなく、あなたの愛を実践していくものでありますように。いつもあなたの御心がどこにあるのかを求めて聞き従っていくことができますように。
この祈りを、主イエスキリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇出エジプト記)>>
■契約の書
◆(1)祭壇について
出 20:22 主はモーセに言われた。イスラエルの人々にこう言いなさい。あなたたちは、わたしが天からあなたたちと語るのを見た。
出 20:23 あなたたちはわたしについて、何も造ってはならない。銀の神々も金の神々も造ってはならない。
出 20:24 あなたは、わたしのために土の祭壇を造り、焼き尽くす献げ物、和解の献げ物、羊、牛をその上にささげなさい。わたしの名の唱えられるすべての場所において、わたしはあなたに臨み、あなたを祝福する。
出 20:25 しかし、もしわたしのために石の祭壇を造るなら、切り石で築いてはならない。のみを当てると、石が汚されるからである。
出 20:26 あなたは、階段を用いて祭壇に登ってはならない。あなたの隠し所があらわにならないためである。
◆(2)奴隷について
出 21:1 以下は、あなたが彼らに示すべき法である。
出 21:2 あなたがヘブライ人である奴隷を買うならば、彼は六年間奴隷として働かねばならないが、七年目には無償で自由の身となることができる。
出 21:3 もし、彼が独身で来た場合は、独身で去らねばならない。もし、彼が妻帯者であった場合は、その妻も共に去ることができる。
出 21:4 もし、主人が彼に妻を与えて、その妻が彼との間に息子あるいは娘を産んだ場合は、その妻と子供は主人に属し、彼は独身で去らねばならない。
出 21:5 もし、その奴隷が、「わたしは主人と妻子とを愛しており、自由の身になる意志はありません」と明言する場合は、
出 21:6 主人は彼を神のもとに連れて行く。入り口もしくは入り口の柱のところに連れて行き、彼の耳を錐で刺し通すならば、彼を生涯、奴隷とすることができる。
出 21:7 人が自分の娘を女奴隷として売るならば、彼女は、男奴隷が去るときと同じように去ることはできない。
出 21:8 もし、主人が彼女を一度自分のものと定めながら、気に入らなくなった場合は、彼女が買い戻されることを許さねばならない。彼は彼女を裏切ったのだから、外国人に売る権利はない。
出 21:9 もし、彼女を自分の息子のものと定めた場合は、自分の娘と同じように扱わなければならない。
出 21:10 もし、彼が別の女をめとった場合も、彼女から食事、衣服、夫婦の交わりを減らしてはならない。
出 21:11 もし、彼がこの三つの事柄を実行しない場合は、彼女は金を支払わずに無償で去ることができる。
◆(3)死に値する罪
出 21:12 人を打って死なせた者は必ず死刑に処せられる。
出 21:13 ただし、故意にではなく、偶然、彼の手に神が渡された場合は、わたしはあなたのために一つの場所を定める。彼はそこに逃れることができる。
出 21:14 しかし、人が故意に隣人を殺そうとして暴力を振るうならば、あなたは彼をわたしの祭壇のもとからでも連れ出して、処刑することができる。
出 21:15 自分の父あるいは母を打つ者は、必ず死刑に処せられる。
出 21:16 人を誘拐する者は、彼を売った場合も、自分の手もとに置いていた場合も、必ず死刑に処せられる。
出 21:17 自分の父あるいは母を呪う者は、必ず死刑に処せられる。