家庭礼拝 2021年9月8日 出エジプト記 18:1-27 エトロのモーセ訪問
起
今日の個所は、エトロのモーセ訪問という小見出しですが、このエトロの話は出エジプトの旅の中に突然一回だけ出てくる話です。ですが、のちのイスラエルの体制を近代化することになる、印象深い話でもあります。このエトロという人はモーセの奥さんのお父さん、すなわち舅です。モーセはエジプトで、王子としての生活をしていた時、エジプト人を殺してしまい、それが表ざたになり、捕えられるのではないかと思ってエジプトを逃げ出し、三角形のシナイ半島を超えて、ミディアンの地まで逃げて、そこで、ツィポラという女性と結婚します。結婚しても家も何もないので、そのお父さんの舅の家で羊を飼って生活していたのです。この舅のエトロは、もともとは祭司なのです。ですから信仰においてはアブラハムの信仰を受け継いでいるのです。エジプトで生活していたモーセの家庭も祭司の家でした。ですから、兄のアロンはその祭司の職を継いでいるのです。このように、モーセに関係している人たちは祭司職が多いのです。
モーセはこのミディアンで生活しているとき、神様からエジプトに行ってイスラエルの人々を導き出すように命じられて、家族を連れてエジプトに行ったのですが、それからはずっとその舅とは会うことはありませんでした。それが、モーセがエジプトを打ち破り、シナイ半島を超えて、アモリ人とも戦って勝利した話を聞いて、モーセと会うために、先に帰ってきていたモーセの妻である娘と孫たちをつれて会いに来たのです。というのもこのミディアンは死海のずっと南側になりますが、エジプトに比べたら、モーセのいた場所、それはシナイ半島のカディシュではないかと言われていますが、そこはこのミディアンの近くだったのです。
モーセは、この舅と会い自分の家族と再会して、宴をして喜びましたが、次の日にエトロは驚くような光景を見たのです。それはモーセの判断を仰ぐために、長い列をなして待っている人々でした。それはモーセが一人で何もかもやっているので、人々はみなモーセに、その判断を仰ぎに来たのです。モーセが法律で、モーセが裁判官なのです。神様と直接話ができるのはモーセしかいないので、モーセが判断せざるを得なかったのです。ですが、この舅は、そんなことをしていては、モーセも人々もみな疲れ果ててしまう。自分ですべて処理するのではなく、軽いものはほかの人たちに任せて、モーセは、モーセにしかできない重要なことをしなさいと勧めたのです。モーセもその意見を尊重して、そのように、他の人に任せてやれる体制を作るのです。モーセにはモーセの律法というものがあってそれがのちのイスラエルの憲法のようになっていくのですが、それはこのような多くの人々を公平に裁くためにそのような律法に基づいて裁くようにすれば、そのことをほかの人々に委ねて行い、モーセはもっと大切な神様と直接語り合うことに時間を取ることができるようになると考えたのです。民数記11章24節では、この時、モーセを助ける70人の長老が選ばれたとされています。これと同じようなことが原始キリスト教にもありました。原始キリスト教徒が多くの貧しい人々を抱えて共同生活をしていた時に、その時一番大切なことはいかに多くの人々に食事を公平に与えるかということと考えていました。そのことでよくいざこざが起こったのです。そのために使徒たちはその食事のことで頭を悩ませ、信仰的なことから、だんだんと離れてこの世的な煩いに陥ったのです。そんな時に、これではいけないということで、「あなた方の中から、御霊と知恵とに満ちた、評判の良い人たち7人を探してほしい。その人たちにこの仕事を任せ、私達はもっぱら祈りとみ言葉の御用にあたることにしよう」といったことが使徒の6章3節に書かれています。これが教会の執事の初めでした。こうすることによって、使徒たちは神様との大切な祈りの時間を与えられ、モーセもまた仕事をほかの人に委ねることによって、神様との対話の時間が与えられるようになるのです。
今日の聖書の個所では、このようなイスラエルの組織的な働きの仕組みがどのように始まったのかが教えられる個所なのです。
承
それでは、モーセとこの舅との再会の場面がどのようであったかを見てみましょう。1節から7節です。
出 18:1 モーセのしゅうとで、ミディアンの祭司であるエトロは、神がモーセとその民イスラエルのためになされたすべてのこと、すなわち、主がイスラエルをエジプトから導き出されたことを聞いた。
出 18:2 モーセのしゅうとエトロは、モーセが先に帰していた妻のツィポラと、
出 18:3 二人の息子を連れて来た。一人は、モーセが、「わたしは異国にいる寄留者だ」と言って、ゲルショムと名付け、
出 18:4 もう一人は、「わたしの父の神はわたしの助け、ファラオの剣からわたしを救われた」と言って、エリエゼルと名付けた。
出 18:5 モーセのしゅうとエトロは、モーセの息子たちと妻を連れて荒れ野に行き、神の山に宿営しているモーセのところに行った。
出 18:6 彼はモーセに、「あなたのしゅうとであるわたし、エトロがあなたの妻と二人の子供を連れて来た」と伝えると、
出 18:7 モーセは出て来てしゅうとを迎え、身をかがめて口づけした。彼らは互いに安否を尋ね合ってから、天幕の中に入った。
モーセは妻の故郷であるミディアンに近づいた時、先に妻と子供たちをミディアンにいる舅のエトロの所に帰していたのです。きっとその時、娘のツィポラから、モーセがエジプトとたたかって、イスラエルの人々を導き出したことを聞いていたのだと思います。二人の子供は息子たちで、寄留者という意味のゲルショム、もう一人は神は私の助けという意味のエリエゼルでした。しばらく故郷で過ごしたツィポラと子供たちはおじいさんのエトロに連れられて、またモーセの所にやってきました。そしてモーセに家族を連れてきたことを伝えると、モーセは身をかがめてエトロに口づけしてあいさつし、天幕に入って落ち着いたのです。
そこでモーセは舅のエトロに今まであったいろいろなことを話し、神様のなさったことに感謝をささげたのです。8節から12節です。
出 18:8 モーセはしゅうとに、主がイスラエルのためファラオとエジプトに対してなされたすべてのこと、すなわち、彼らは途中であらゆる困難に遭遇したが、主が彼らを救い出されたことを語り聞かせると、
出 18:9 エトロは、主がイスラエルをエジプト人の手から救い出し、彼らに恵みを与えられたことを喜んで、
出 18:10 言った。「主をたたえよ/主はあなたたちをエジプト人の手から/ファラオの手から救い出された。主はエジプト人のもとから民を救い出された。
出 18:11 今、わたしは知った/彼らがイスラエルに向かって/高慢にふるまったときにも/主はすべての神々にまさって偉大であったことを。」
出 18:12 モーセのしゅうとエトロは焼き尽くす献げ物といけにえを神にささげた。アロンとイスラエルの長老たちも皆来て、モーセのしゅうとと共に神の御前で食事をした。
モーセは天幕の中で、舅のエトロに今までに起こったいろいろの困難と、神様がいかにそこから救い出してくださったのかを語り聞かせました。エトロはミディアンにすむミディアン人ですからアブラハムの子孫でありその信仰を受け継いでいます。ミディアンというのはアブラハムの最初の妻サラが死んでから後妻に取ったケトラの子供の一人です。アブラハムが全財産をイサクに譲った時に、子供たちの間で争いにならないように、ケトラの子供たちは遠くに遠ざけ、イサクと争わないようにしたのです。その子供の一人のミディアンの子孫が、シナイ半島の近くで、大きな部族になっていたのです。そのミディアン人がエトロです。このようにエトロもアブラハムの信仰を受け継いでいるので、神様によって、イスラエルが救われたことを聞いて、神様を賛美したのです。そして、モーセと祭司でもあるエトロは焼き尽くす捧げものといけにえを神様に捧げたのです。この時にはモーセの兄アロンとイスラエルの長老たちも皆来て、モーセの舅と一緒に神のみ前で食事をしたのでした。
転
宴の後の次の日、舅のエトロはモーセの働き方が大変なのを見て驚いてしまいました。いったいどんな働き方をしていたのでしょうか。13節から18節です。
出 18:13 翌日になって、モーセは座に着いて民を裁いたが、民は朝から晩までモーセの裁きを待って並んでいた。
出 18:14 モーセのしゅうとは、彼が民のために行っているすべてのことを見て、「あなたが民のためにしているこのやり方はどうしたことか。なぜ、あなた一人だけが座に着いて、民は朝から晩まであなたの裁きを待って並んでいるのか」と尋ねた。
出 18:15 モーセはしゅうとに、「民は、神に問うためにわたしのところに来るのです。
出 18:16 彼らの間に何か事件が起こると、わたしのところに来ますので、わたしはそれぞれの間を裁き、また、神の掟と指示とを知らせるのです」と答えた。
出 18:17 モーセのしゅうとは言った。「あなたのやり方は良くない。
出 18:18 あなた自身も、あなたを訪ねて来る民も、きっと疲れ果ててしまうだろう。このやり方ではあなたの荷が重すぎて、一人では負いきれないからだ。
モーセは座について、民を裁いていた、とありますが、何を裁いていたのでしょうか。何百万人もいる人々の中ですから、常にその中でいざこざが起こり、トラブルが起こり、それを正しくさばいてみんなが納得するようにしないと争いが収まらないのです。モーセのもとには一日中そのような問題を抱えた人々が、モーセのもとに裁きを訴えてやってきたのです。ですからその順番を待つ人たちは朝から晩まで、モーセの裁きを待って並んでいる状態だったのです。それを見て舅のエトロは驚いたのです。モーセはエトロに、「民は、神に問うためにわたしのところに来るのです。彼らの間に何か事件が起こると、わたしのところに来ますので、わたしはそれぞれの間を裁き、また、神の掟と指示とを知らせるのです」説明しました。するとエトロはモーセにこう言いました。「あなたのやり方は良くない。あなた自身も、あなたを訪ねて来る民も、きっと疲れ果ててしまうだろう。このやり方ではあなたの荷が重すぎて、一人では負いきれないからだ。」何もかもモーセが一人でやっているこのやり方ではきっとみんな疲れ果てて、最後には失敗するだろうというのです。
ではどうすればよいのか、エトロはモーセにこう勧めるのです。19節から27節です。
出 18:19 わたしの言うことを聞きなさい。助言をしよう。神があなたと共におられるように。あなたが民に代わって神の前に立って事件について神に述べ、
出 18:20 彼らに掟と指示を示して、彼らの歩むべき道となすべき事を教えなさい。
出 18:21 あなたは、民全員の中から、神を畏れる有能な人で、不正な利得を憎み、信頼に値する人物を/選び、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長として民の上に立てなさい。
出 18:22 平素は彼らに民を裁かせ、大きな事件があったときだけ、あなたのもとに持って来させる。小さな事件は彼ら自身で裁かせ、あなたの負担を軽くし、あなたと共に彼らに分担させなさい。
出 18:23 もし、あなたがこのやり方を実行し、神があなたに命令を与えてくださるならば、あなたは任に堪えることができ、この民も皆、安心して自分の所へ帰ることができよう。」
出 18:24 モーセはしゅうとの言うことを聞き入れ、その勧めのとおりにし、
出 18:25 全イスラエルの中から有能な人々を選び、彼らを民の長、すなわち、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長とした。
出 18:26 こうして、平素は彼らが民を裁いた。難しい事件はモーセのもとに持って来たが、小さい事件はすべて、彼ら自身が裁いた。
出 18:27 しゅうとはモーセに送られて、自分の国に帰って行った。
舅のエトロはモーセに二つのことを勧めました。一つは人々に掟と指示を出して、進むべき道となすべきことを教えることでした。これが有名なモーセの律法となって来るのです。律法の中でも十戒は一番有名ですが、それは憲法のようなもので、その原則に基づいて、いろいろな法律、すなわち掟と指示を定めました。これによって人々がなすべきことがなんであるかをわかるようにしたのです。もう一つは、その掟に基づいて裁く人を多数置くことでした。今まではモーセ一人でしたが、掟が定まればそれに基づいて多くの人がその裁きを行うことができるので、神を畏れる有能な人で、不正な利得を憎み、信頼に値する人物を/選び、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長として民の上に立てなさい、と勧めたのです。民数記ではその数が70人もいたと語られています。出発したときには成人男子が60万人いたと言われますので、おおざっぱに成人男子1万人に一人の裁判官がいた感じです。これだけいれば何とかなりそうな気もします。
このようにして難しい事件はモーセのもとでさばきましたが、小さい事件はすべてそのような選ばれた者たちがさばきました。そのことを勧めた舅のエトロは安心してモーセに送られて、自分の国のミディアンに帰っていったのです。
結
このようにして、舅エトロの勧めによって、イスラエルは律法に基づく法治国家のような体制を得ることができました。律法が普通の法律と違うのは、民事や刑事訴訟のほかに、信仰をも裁く掟があるということです。それで、律法という名前になっていますが、英語ではこれはどちらもLawであり、この法律の言葉が日本に伝わった時には法律という言葉はなくて、律法という言葉を使っていたのです。それがいつしか、民事刑事を裁く法律は、法律と呼ばれるようになったのです。イスラエルの民は律法によって自分たちが何を守ればよいのかわかってきたのでそれをしっかりと守り、神様に対して罪を犯さずに生きていく方法が示されたのです。これがイスラエル民族の優れたことだったのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、あなたはモーセを通して律法を与えて、イスラエルが一つの方向に罪を犯すことなく生きることができるようにしてくださいました。そのきっかけを与えてくれたのはミディアン人の舅エトロです。その働きの大きかったのはその後のイスラエルの歩みを見ればわかります。あなたはエトロをモーセに遣わして、イスラエルの民が神の前に正しく歩めるようにしてくださったのです。私たちの前にも、イエスキリストの教えが与えられ、正しく歩むように導いて下さっています。どうかその教えを大切に受け止め、その御心を行うことができますように。
この祈りを、主イエスキリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇出エジプト記)>>
◆エトロのモーセ訪問
出 18:1 モーセのしゅうとで、ミディアンの祭司であるエトロは、神がモーセとその民イスラエルのためになされたすべてのこと、すなわち、主がイスラエルをエジプトから導き出されたことを聞いた。
出 18:2 モーセのしゅうとエトロは、モーセが先に帰していた妻のツィポラと、
出 18:3 二人の息子を連れて来た。一人は、モーセが、「わたしは異国にいる寄留者だ」と言って、ゲルショムと名付け、
出 18:4 もう一人は、「わたしの父の神はわたしの助け、ファラオの剣からわたしを救われた」と言って、エリエゼルと名付けた。
出 18:5 モーセのしゅうとエトロは、モーセの息子たちと妻を連れて荒れ野に行き、神の山に宿営しているモーセのところに行った。
出 18:6 彼はモーセに、「あなたのしゅうとであるわたし、エトロがあなたの妻と二人の子供を連れて来た」と伝えると、
出 18:7 モーセは出て来てしゅうとを迎え、身をかがめて口づけした。彼らは互いに安否を尋ね合ってから、天幕の中に入った。
出 18:8 モーセはしゅうとに、主がイスラエルのためファラオとエジプトに対してなされたすべてのこと、すなわち、彼らは途中であらゆる困難に遭遇したが、主が彼らを救い出されたことを語り聞かせると、
出 18:9 エトロは、主がイスラエルをエジプト人の手から救い出し、彼らに恵みを与えられたことを喜んで、
出 18:10 言った。「主をたたえよ/主はあなたたちをエジプト人の手から/ファラオの手から救い出された。主はエジプト人のもとから民を救い出された。
出 18:11 今、わたしは知った/彼らがイスラエルに向かって/高慢にふるまったときにも/主はすべての神々にまさって偉大であったことを。」
出 18:12 モーセのしゅうとエトロは焼き尽くす献げ物といけにえを神にささげた。アロンとイスラエルの長老たちも皆来て、モーセのしゅうとと共に神の御前で食事をした。
出 18:13 翌日になって、モーセは座に着いて民を裁いたが、民は朝から晩までモーセの裁きを待って並んでいた。
出 18:14 モーセのしゅうとは、彼が民のために行っているすべてのことを見て、「あなたが民のためにしているこのやり方はどうしたことか。なぜ、あなた一人だけが座に着いて、民は朝から晩まであなたの裁きを待って並んでいるのか」と尋ねた。
出 18:15 モーセはしゅうとに、「民は、神に問うためにわたしのところに来るのです。
出 18:16 彼らの間に何か事件が起こると、わたしのところに来ますので、わたしはそれぞれの間を裁き、また、神の掟と指示とを知らせるのです」と答えた。
出 18:17 モーセのしゅうとは言った。「あなたのやり方は良くない。
出 18:18 あなた自身も、あなたを訪ねて来る民も、きっと疲れ果ててしまうだろう。このやり方ではあなたの荷が重すぎて、一人では負いきれないからだ。
出 18:19 わたしの言うことを聞きなさい。助言をしよう。神があなたと共におられるように。あなたが民に代わって神の前に立って事件について神に述べ、
出 18:20 彼らに掟と指示を示して、彼らの歩むべき道となすべき事を教えなさい。
出 18:21 あなたは、民全員の中から、神を畏れる有能な人で、不正な利得を憎み、信頼に値する人物を/選び、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長として民の上に立てなさい。
出 18:22 平素は彼らに民を裁かせ、大きな事件があったときだけ、あなたのもとに持って来させる。小さな事件は彼ら自身で裁かせ、あなたの負担を軽くし、あなたと共に彼らに分担させなさい。
出 18:23 もし、あなたがこのやり方を実行し、神があなたに命令を与えてくださるならば、あなたは任に堪えることができ、この民も皆、安心して自分の所へ帰ることができよう。」
出 18:24 モーセはしゅうとの言うことを聞き入れ、その勧めのとおりにし、
出 18:25 全イスラエルの中から有能な人々を選び、彼らを民の長、すなわち、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長とした。
出 18:26 こうして、平素は彼らが民を裁いた。難しい事件はモーセのもとに持って来たが、小さい事件はすべて、彼ら自身が裁いた。
出 18:27 しゅうとはモーセに送られて、自分の国に帰って行った。