家庭礼拝 2021年7月14日 出エジプト記 13:1-10 除酵祭
起
出エジプトとは何を意味するのでしょうか。イスラエル人にとっては、奴隷であったエジプトから、神様が約束したカナンの地に移住して、神様を祭ることです。イスラエル民族にとって、それは奴隷としてエジプト人に仕えるものから、神の民として、神に仕えるものへと転換することを意味します。それはイスラエル民族の独立であり、死んだ者が生き返るほどの大きな変化です。
そしてこの出エジプトが意味するものは、私たち信仰者にとっても大きな意味のあるものです。それは、私たちがこの世の欲望の世界に生きるものから、信仰の世界に生きるものへと出発することを意味しているからです。出エジプトがとても大変だったように、私たちがこの世の欲望の世界を振り切って、信仰の霊的な世界に生きることはとても大変なのです。まず、この世の欲望の世界を振り切ることは自分の力ではできないのです。出エジプトが神様の力で成し遂げられたように、私たちがこの世の欲望の世界から脱出するためには、神様の力がなければとてもできないのです。私には力がないからそんなことはできないなどという必要はないのです。誰も自分の力ではできないのです。ただ神様の力にゆだねて行うだけなのです。そしてこの世の欲望から脱出したと思っても、信仰的な苦難に出会ったりすると、すぐにこんなことなら、以前のようにもっと楽に生きた方がよかったと、元に戻りたくなるのです。エジプトに10の災害がやってきたのは、イスラエルの民がエジプトに帰りたくなっても帰れなくするためなのです。イスラエル人が戻ってくると、また災いが起こると思わせるためなのです。私たちもまた、一度信仰の世界に入ったならば、もう二度と元の世界には戻れないように、神様が備えてくださっているのです。そしてもう前に進むしかないと決心させてくださるのです。
今日の聖書の話は、除酵祭の規定の話です。ここではエジプトを出発する前にモーセがイスラエルの民に除酵祭をこのように守りなさいと教えた内容になっていますが、実際に除酵祭を守るのは約束の地カナンに入ってからです。ですがここでは旅の出発に先立って、目的地に着いたら、それを守るように書いてあります。この除酵祭とは、パンに入れる酵母を入れないで、パンを食べるお祭りということになります。それは出エジプトの時に、神様に命じられて、種入れぬパンを食べたということですが、それは出発があわただしかったので、ゆっくりパンを発酵させて食べる暇もなかったので、種入れぬパンを食べたという言ことにもなります。この除酵祭は一週間行われます。その間、酵母入りのパンがあってはならないし、その領土のどこにも酵母があってはならないというのです。この酵母というのは何を意味するのでしょうか。この酵母とはほんのちょっとあるだけでパン全体を膨らますほどの大きな影響を与えるものです。それはエジプトの欲望の種を意味するのです。エジプトの欲望の種がちょっとでも残っていると、それはすぐに全体に影響して、信仰よりも神様よりも、自分たちの欲望を満たしてくれるものが良いと思うようになってしまうのです。ですからそのような欲望の種を、すっかりイスラエルの民の中から抜き取りなさいというのです。そのためには一週間完全にイスラエルの民の中から、そのエジプトの欲望の種を除けば、本当の信仰に生きることができることを意味しているのです。
私たちも信仰に入っているとはいっても、このような欲望の種を残していて、いつそれが大きく膨れてくるかわからないのです。ですからそのことの戒めとして、除酵祭を行い、私たちのうちにあるこの世的な欲望を取り除けるように、清い生活を続けなさいということを意味します。
除酵祭とは、私たちの心の中に残っている罪の種、欲望の種を取り除くように、この出エジプトの出来事を記念して行うお祭りなのです。
承
今日の聖書の個所は、最初に初子の奉献について語られます。1節と2節です。
出 13:1 主はモーセに仰せになった。
出 13:2 「すべての初子を聖別してわたしにささげよ。イスラエルの人々の間で初めに胎を開くものはすべて、人であれ家畜であれ、わたしのものである。」
これは12章で、エジプトに神様が現れて、初子が皆撃たれた話を受けての話になります。エジプト人にしろイスラエル人にしろ、すべての初子は神様のものなのです。エジプト人の初子は撃たれて死にました。イスラエル人の初子は神様にささげなさいと言われるのです。実際には子羊の犠牲をもってあがなうことになるのですが、その詳しいことは11節からの初子についての所で再び語られます。初子をささげることは、アブラハムの時から行われました。アブラハムはイサクをモリヤの地で生贄として捧げようとしたとき天使に止められて、身代わりの雄羊を与えられました。このように、神様は初子を聖別していたのです。今エジプトを出ようとするときにこのことが再確認されたのです。
そしてそのあとで除酵祭について語られます。3節から5節です。
出 13:3 モーセは民に言った。「あなたたちは、奴隷の家、エジプトから出たこの日を記念しなさい。主が力強い御手をもって、あなたたちをそこから導き出されたからである。酵母入りのパンを食べてはならない。
出 13:4 あなたたちはアビブの月のこの日に出発する。
出 13:5 主が、あなたに与えると先祖に誓われた乳と蜜の流れる土地、カナン人、ヘト人、アモリ人、ヒビ人、エブス人の土地にあなたを導き入れられるとき、あなたはこの月にこの儀式を行わねばならない。
この除酵祭の規定は、エジプトを脱出する前にモーセから民に語られた言葉ですが、それを実行するのは約束の地、カナンに着いてから、この儀式を行わなければならないと語られています。それはなぜかというと、出エジプトをして、荒れ野でさまよっている間は、自分だけの力では生きることができず、その信仰によって神様を忘れずに生きているのですが、約束の地に定住して安心すると、もう神様のことも苦しかった出エジプトのことも忘れて、欲望の世界に戻ってしまう恐れがあるからです。だから、その苦しかった出来事を、そして神様の恵みと導きとを忘れないようにするためにこの除酵祭を毎年しなさいと言われるのです。これは出エジプトを果たしたアビブの月これは古代歴での呼び方で、イスラエル歴ではニサンの月と同じです。私たちの暦では3月末くらいです。この月に酵母を入れないパンを一週間食べて、古い欲望の種を落として清めるのです。これは過ぎ越しの祭りの後にすぐ続けて行われます。
この除酵祭に関してはさらに詳しく具体的に述べられています。6節と7節です。
出 13:6 七日の間、酵母を入れないパンを食べねばならない。七日目には主のための祭りをする。
出 13:7 酵母を入れないパンを七日の間食べる。あなたのもとに酵母入りのパンがあってはならないし、あなたの領土のどこにも酵母があってはならない。
まず7日の間酵母を入れないパンを食べなければらないのは当然ですが、自分のもとに酵母入りのパンがあってもならないというのです。家だけではなく領土のどこにも酵母があってはならないという徹底なのです。これは単に酵母だけを意味するのではなく、神様から離れて罪を犯す欲望の種をも言っているのです。そのような罪の種を家にも領土内にも少しも入れてはいけないと徹底しているのです。それを7日間続けて清めなければならないと言っているのです。そしてそれが終わった時には神様に感謝の祭りをささげるのです。このようにして、イスラエル人はこの出エジプトの出来事を忘れないようにしたのです。酵母の入ったパンを食べることは罪を犯すことを意味します。そのような罪を犯してはいけないのは当然考えられることですが、それを自分の家にも自分の領土にもその酵母を置いてはならないとなると、罪を犯さないようにするだけでなく、罪なる欲望を思ってもいけない、自分たちのいるところにそのようなものを置いてもいけないということを意味します。そのような罪の種から完全に清くなるのが除酵祭が求めるところなのです。
転
このことを自分たちが守るだけでなく、自分の子供たちにもきちんと伝えていかなければならないことをこのように語っています。8節から10節です。
出
13:8 あなたはこの日、自分の子供に告げなければならない。『これは、わたしがエジプトから出たとき、主がわたしのために行われたことのゆえである』と。
出
13:9 あなたは、この言葉を自分の腕と額に付けて記憶のしるしとし、主の教えを口ずさまねばならない。主が力強い御手をもって、あなたをエジプトから導き出されたからである。
出
13:10 あなたはこの掟を毎年定められたときに守らねばならない。
時間がたてば、子孫たちはなぜこんなことをしているのかと疑問に思います。その時イスラエルの人たちはこのように子供たちに告げなさいと言われるのです。『これは、わたしがエジプトから出たとき、主がわたしのために行われたことのゆえである』と告げなさいと言ったのです。それは、神様がイスラエルの民をエジプトの奴隷の身分から救ってくださったのであり、その時に種入れぬパンを用意して、エジプト脱出を準備したことを思い起こし、その神様の大いなる業を忘れないようにするためにするのであるということを子供たちに語ったのです。そして、子供に教えるだけではなく、この言葉を自分の腕と、額につけて忘れないようにし、絶えずその主の教えを口ずさみなさい、と言っているのです。このことを現代でも忠実に守っているイスラエル人がいます。小さな小箱を腕と額につけて、その中にこの言葉を書いて入れておいて、決してその言葉を忘れないようにしているのです。その言葉とは、『これは、わたしがエジプトから出たとき、主がわたしのために行われたことのゆえである』という言葉なのです。このようにして、イスラエルの民は、神様がイスラエルの民をエジプトから救い出してくださったことを決して忘れないようにしているのです。
結
イスラエルの民はついにエジプト脱出の時を迎えました。その前に神様はカナンに着いたら行うべき祭りについて詳しく語りました。その内容は、エジプトを出発したアビブの月に毎年除酵祭をしなさいということでした。それは種入れぬパンを一週間食べて、神様がイスラエルの民にしてくださった大いなる業を思い、エジプトを脱出した人々の苦難をしのびなさいということなのでした。そしてまたこのエジプト脱出は、私たちがこの世の欲望の世界から、霊的な信仰の世界への出発であり、そのために神様が助けてくださった大いなる業を思うことでもあります。イスラエルの民はこのことを決して忘れまいとして、腕にも額にも小さな箱をつけ、その中に主の言葉を書いて入れておいたのです。私達もまた、信仰を与えてくださった神様の恵みと導きとを、ひと時も忘れてはいけないのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様。あなたはイスラエルの民をエジプトから導き出してくださいました。そしてそのことを忘れないように除酵祭を毎年行い、種入れぬパンの祭りをするように言いました。このことによって、イスラエルの民はあなたがエジプトから導き出して下さった神様であることを信じ伝えていくことができたのです。私たちもまた、あなたが私たちを、罪の世界から信仰の世界へと導きだしてくださった方であることを覚えて、いつも感謝と賛美とお捧げることが出来ますように。そのことを片時も忘れることなく額と腕に刻み込んでおくことができますように。
この祈りを、主イエスキリストの御名によって、お祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇出エジプト記)>>
◆初子の奉献
出
13:1 主はモーセに仰せになった。
出
13:2 「すべての初子を聖別してわたしにささげよ。イスラエルの人々の間で初めに胎を開くものはすべて、人であれ家畜であれ、わたしのものである。」
◆除酵祭
出
13:3 モーセは民に言った。「あなたたちは、奴隷の家、エジプトから出たこの日を記念しなさい。主が力強い御手をもって、あなたたちをそこから導き出されたからである。酵母入りのパンを食べてはならない。
出
13:4 あなたたちはアビブの月のこの日に出発する。
出
13:5 主が、あなたに与えると先祖に誓われた乳と蜜の流れる土地、カナン人、ヘト人、アモリ人、ヒビ人、エブス人の土地にあなたを導き入れられるとき、あなたはこの月にこの儀式を行わねばならない。
出
13:6 七日の間、酵母を入れないパンを食べねばならない。七日目には主のための祭りをする。
出
13:7 酵母を入れないパンを七日の間食べる。あなたのもとに酵母入りのパンがあってはならないし、あなたの領土のどこにも酵母があってはならない。
出
13:8 あなたはこの日、自分の子供に告げなければならない。『これは、わたしがエジプトから出たとき、主がわたしのために行われたことのゆえである』と。
出
13:9 あなたは、この言葉を自分の腕と額に付けて記憶のしるしとし、主の教えを口ずさまねばならない。主が力強い御手をもって、あなたをエジプトから導き出されたからである。
出
13:10 あなたはこの掟を毎年定められたときに守らねばならない。