家庭礼拝 2021年2月3日 創世記 47:13-31ヨセフの政策、ヤコブの遺言
起
今日の聖書の個所でヨセフ物語は終わります。その後はまたヤコブ物語に戻って、ヤコブが、ヨセフの子たちを祝福したり、12人の息子たちに一人一人に遺言を語ったりしますが、息子たちへの言葉は祝福だけでなく、その罪を裁く厳しい言葉にもなっています。そして、ヤコブは埋葬され、ヨセフの死をもって、創世記は完了するのです。すなわち、創世記は天地創造の後、アダムとエバから人類が始まって、ノアの洪水の話があり、アブラハム、イサク、ヤコブと信仰が継承され、ヨセフの死をもって終わると言うのが創世記の構成なのです。
今日の話はヨセフ物語の、完結編として、ヨセフのエジプトにおける政策のことを語っていますが、それはヨセフがその政策によって、いかにエジプトに大きな富をもたらし、ヨセフの偉大さを具体的に示すものとなったかを語っています。ヨセフの夢はここに成就したのです。
承
さて、ヨセフが行った政策とはどんなものだったでしょうか。まずは13節と14節です。
創
47:13 飢饉が極めて激しく、世界中に食糧がなくなった。エジプトの国でも、カナン地方でも、人々は飢饉のために苦しみあえいだ。
創
47:14 ヨセフは、エジプトの国とカナン地方の人々が穀物の代金として支払った銀をすべて集め、それをファラオの宮廷に納めた。
さて7年間続く予定のエジプトの飢饉はますます激しくなり世界中に食糧がなくなりました。これはエジプトだけでなく、カナン地方もその他の地方もみな飢饉に襲われて、その飢饉のために人々は苦しみあえいでいたのです。でもエジプトはヨセフの提言を受け入れて、食糧を蓄えていました。
ヨセフが予言したように、飢饉は長年起こり、エジプトだけでなく、世界中に飢饉が起こって食料がなくなってきたのです。世界中と言っても当時は、今のイラクからエジプトに至る国々のことを言っている程度です。当然そこにはカナン地方も含まれて、飢饉に苦しんでいました。ヨセフはあらかじめ、ファラオの夢で、豊作が7年続き、飢饉が7年続くことがわかっていたので、多くの食糧を貯えることが出来たので、この飢饉の時に食糧の穀物を売って、大量の銀貨を得、それをファラオの宮廷に収めたのです。
この様に最初のうちは銀貨で食べ物を買うことのできた人々も、買った食料を食べつくすと、またファラオのところに行って、食料を分けてほしいとお願いするのです。15節から17節です。
創
47:15 エジプトの国にもカナン地方にも、銀が尽き果てると、エジプト人は皆、ヨセフのところにやって来て、「食べる物をください。あなたさまは、わたしどもを見殺しになさるおつもりですか。銀はなくなってしまいました」と言った。
創
47:16 ヨセフは答えた。「家畜を連れて来なさい。もし銀がなくなったのなら、家畜と引き換えに与えよう。」
創
47:17 人々が家畜をヨセフのところに連れて来ると、ヨセフは、馬や、羊や牛の群れや、ろばと引き換えに食糧を与えた。ヨセフはこうして、その年、すべての家畜と引き換えに人々に食糧を分け与えた。
飢饉に苦しんでいる人々は「食べる物をください。あなたさまは、わたしどもを見殺しになさるおつもりですか。銀はなくなってしまいました」と言って、食べるものを要求するのです。するとヨセフは「家畜を連れて来なさい。もし銀がなくなったのなら、家畜と引き換えに与えよう。」と言い、次は家畜と交換しようと言うのです。人々は食べるものがなくては死んでしまうので、馬や、羊や牛の群れや、ろばと引き換えに食糧を買ったのです。食べるものがなくなった人々は自分の財産をどんどん減らしていき、それでも何とか生きていたのです。
銀や家畜で食べ物を買うことが出来た人々でも、その食物はいつかなくなってしまいます。ですから、食料がなくなりそれを買うお金も物のなくなって困っている人々のために、ヨセフは次のような政策を行うのです。18節から21節です。
創
47:18 その年も終わり、次の年になると、人々はまたヨセフのところに来て、言った。「御主君には、何もかも隠さずに申し上げます。銀はすっかりなくなり、家畜の群れも御主君のものとなって、御覧のように残っているのは、わたしどもの体と農地だけです。
創
47:19 どうしてあなたさまの前で、わたしどもと農地が滅んでしまってよいでしょうか。食糧と引き換えに、わたしどもと土地を買い上げてください。わたしどもは農地とともに、ファラオの奴隷になります。種をお与えください。そうすれば、わたしどもは死なずに生きることができ、農地も荒れ果てないでしょう。」
創
47:20 ヨセフは、エジプト中のすべての農地をファラオのために買い上げた。飢饉が激しくなったので、エジプト人は皆自分の畑を売ったからである。土地はこうして、ファラオのものとなった。
創 47:21 また民については、エジプト領の端から端まで、ヨセフが彼らを奴隷にした。
飢饉が長引く中で、牛や羊などの家畜と、食べ物を交換したので、人々は生きながらえることが出来たのです。さらに長引く飢饉のために、もう一度、ヨセフところに行って、食べるものを売ってくれるようにとお願いするのです。ですがこの人々にはもうお金も家畜もなくなっていたのです。一体どうしたでしょうか。人々はもう残っているのは、私どもの体と農地だけですと言って、ヨセフに食糧を懇願するのです。そして、食糧と引き換えに、わたしどもと土地を買い上げてください。わたしどもは農地とともに、ファラオの奴隷になります。種をお与えください、と言って、進んで土地を手放しファラオの奴隷になると言ったのです。ヨセフはそれにこたえて、エジプト中のすべての農地をファラオのために買い上げたのです。このように、のちの人が、どうして土地はファラオのものなのかと聞かれた場合、土地がファラオのものになったのは、人々から土地を取り上げたのではなく。飢饉のとき、人々が進んで、生きるために奴隷になったのだとそのことを、正当化して語っているのです。これは土地だけでなく、すべての人々もまた、ファラオのものであることがどうしてそうなったのかをも説明しています。このこともまた、人々が進んで奴隷になったと言うことなのです。ですが一つだけ、ファラオのものにならないところがありました。それが祭司の農地です。ヨセフはすべてファラオに買い取られた土地と農民たちに対して、新しい政策を行いました。それは、人々を救い、ファラオを豊かにする政策でした。22節から26節です。
創
47:22 ただし、祭司の農地だけは買い上げなかった。祭司にはファラオからの給与があって、ファラオが与える給与で生活していたので、農地を売らなかったからである。
創
47:23 ヨセフは民に言った。「よいか、お前たちは今日、農地とともにファラオに買い取られたのだ。さあ、ここに種があるから、畑に蒔きなさい。
創
47:24 収穫の時には、五分の一をファラオに納め、五分の四はお前たちのものとするがよい。それを畑に蒔く種にしたり、お前たちや家族の者の食糧とし、子供たちの食糧としなさい。」
創
47:25 彼らは言った。「あなたさまはわたしどもの命の恩人です。御主君の御好意によって、わたしどもはファラオの奴隷にさせていただきます。」
創
47:26 ヨセフはこのように、収穫の五分の一をファラオに納めることを、エジプトの農業の定めとした。それは今日まで続いている。ただし、祭司の農地だけはファラオのものにならなかった。
ヨセフは、買い上げた土地と、その農民に対してこう言いました。「よいか、お前たちは今日、農地とともにファラオに買い取られたのだ。さあ、ここに種があるから、畑に蒔きなさい。収穫の時には、五分の一をファラオに納め、五分の四はお前たちのものとするがよい。それを畑に蒔く種にしたり、お前たちや家族の者の食糧とし、子供たちの食糧としなさい。」農民たちは今までと同じように、そこで働くことが出来、生き続けることが出来たのです。その様にさせてもらえたのはヨセフの新しい政策によってでした。それはファラオの種を用いて、それを畑にまいて、穀物を育て、その収穫の5分の一をファラオに収め、5分の4はその農民たちのものとすると言うことでした。それを自分たちの食料にし、子供たちの食料にして、生活し、残りの種をまた新たに撒いて収穫するようにと言われたのです。農民たちはそのことに感謝してこう言いました。「あなたさまはわたしどもの命の恩人です。御主君の御好意によって、わたしどもはファラオの奴隷にさせていただきます。」このように人々は喜んでファラオの奴隷となって、そこで生活することが出来たのです。ファラオのものにならなかったのは祭司の土地と人だけでした。と言うのも祭司にはファラオからの給与があって、ファラオが与える給与で生活していたので、農地を売る必要がなかったからです。
この様にエジプトでは祭司以外はほとんどファラオの奴隷となっていたのです。イスラエルの人々もまたその奴隷となってしまったのですが、それはイスラエル人だけでなくエジプト人のほとんどが奴隷であったと言うことであり、特別の事ではなかったのです。
転
さて、イスラエル人たちは、エジプトの国に住み着いて、子供を産んでどんどん増えていきました。そのような中で、ヤコブは年老いて、いよいよ死が迫ってきていることを感じて、遺言をヨセフに語るのです。27節から31節です。
創 47:27 イスラエルは、エジプトの国、ゴシェンの地域に住み、そこに土地を得て、子を産み、大いに数を増した。
創 47:28 ヤコブは、エジプトの国で十七年生きた。ヤコブの生涯は百四十七年であった。
創 47:29 イスラエルは死ぬ日が近づいたとき、息子ヨセフを呼び寄せて言った。「もし、お前がわたしの願いを聞いてくれるなら、お前の手をわたしの腿の間に入れ、わたしのために慈しみとまことをもって実行すると、誓ってほしい。どうか、わたしをこのエジプトには葬らないでくれ。
創 47:30 わたしが先祖たちと共に眠りについたなら、わたしをエジプトから運び出して、先祖たちの墓に葬ってほしい。」ヨセフが、「必ず、おっしゃるとおりにいたします」と答えると、
創 47:31 「では、誓ってくれ」と言ったので、ヨセフは誓った。イスラエルは、寝台の枕もとで感謝を表した。
この箇所では、イスラエルと言う名前が、イスラエル民族と言う意味と、ヤコブ・イスラエルと言う個人の名前と両方の意味で使われているので注意が必要です。ヤコブはエジプトに着いたときに130歳でしたが、それからエジプトで17年間も長生きしました。そして、147歳でその生涯を終えたのです。ヤコブが死ぬ日が近づいたとき、ヤコブはベットに横たわっていました。そして、ヨセフを呼び寄せてこう言いました。「もし、お前がわたしの願いを聞いてくれるなら、お前の手をわたしの腿の間に入れ、わたしのために慈しみとまことをもって実行すると、誓ってほしい。どうか、わたしをこのエジプトには葬らないでくれ。わたしが先祖たちと共に眠りについたなら、わたしをエジプトから運び出して、先祖たちの墓に葬ってほしい。」これは、自分に神様から与えられた土地はエジプトではなく、カナンの土地であることを自覚していたことと、神様が必ずその地に連れ戻してくださると言う言葉を信じていたからだと思います。自分をカナンの先祖たちの墓に葬ってほしいと言うことをヨセフに誓わせたのです。その誓わせ方は、ヨセフの手をヤコブの股の間に入れて誓うと言う誓い方です。これは腿の間と言う表現をしていますが、男性性器に触れて誓うと言うことです。それほどこの時代は男性性器が神聖で大事なものだったのです。それは命に触れて誓うと言った感じだったと思います。このようなことは以前にもありました。アブラハムが僕に誓わせたときです。イサクの嫁をアラム・ナハライムから連れてこさせるときに誓わせた方法で、その僕は主人アブラハムの腿の間に手を入れ、このことを彼に誓ったとあります。ヨセフはヤコブに誓うように言われて、「必ず、おっしゃるとおりにいたします」と言って、その方法で誓ったのです。そして約束通り、ヤコブをカナンの地の先祖の墓に葬るのです。その詳しい話はこれからまたお話しすることになります。
結
この様に、このエジプトでの豊作と飢饉の年はそれぞれ7年ずつ続きますが、その中で、ヨセフはファラオのために夢解きをし、その働きが認められて、宰相の地位まで上り詰め、ヤコブの一族をカナンから呼び寄せエジプトで生活できるようにしてあげました。また世界中の人々のために食糧を供給し、ファラオのために莫大な財産を築き上げることもできました。これらはみな神様の導きによって与えられた恵みでした。ヨセフは夢見る人でしたが、その夢は神様から与えられた啓示であり、その夢をことごとく実現していったのです。そしてヤコブの子孫はこのエジプトで、天の星のごとく、海の砂のごとく増えて言ったのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、ヨセフは何時もあなたとともにいる人でした。聖書には神様がヨセフとともにいると言うことはあからさまには示されていませんでしたが、夢の中に現れ、苦難の中でもそれらがどんな意味を持っているのかをいつもヨセフに示し続けたのです。ですからヨセフはどのような状況の中にあっても慌てふためくことはありませんでした。神様がともにいてくださることほど心強いものはありません。人の助けも宝物も、うつろいやすいものです。どうか何時までも朽ちない宝をあなたのもとにもって、あなたの導きを与えられるものでありますように、導いてください。どんなことの中にもあなたの御心を聞き続ける耳を持つことが出来ますように。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>
◆ヨセフの政策
創 47:13 飢饉が極めて激しく、世界中に食糧がなくなった。エジプトの国でも、カナン地方でも、人々は飢饉のために苦しみあえいだ。
創 47:14 ヨセフは、エジプトの国とカナン地方の人々が穀物の代金として支払った銀をすべて集め、それをファラオの宮廷に納めた。
創 47:15 エジプトの国にもカナン地方にも、銀が尽き果てると、エジプト人は皆、ヨセフのところにやって来て、「食べる物をください。あなたさまは、わたしどもを見殺しになさるおつもりですか。銀はなくなってしまいました」と言った。
創 47:16 ヨセフは答えた。「家畜を連れて来なさい。もし銀がなくなったのなら、家畜と引き換えに与えよう。」
創 47:17 人々が家畜をヨセフのところに連れて来ると、ヨセフは、馬や、羊や牛の群れや、ろばと引き換えに食糧を与えた。ヨセフはこうして、その年、すべての家畜と引き換えに人々に食糧を分け与えた。
創 47:18 その年も終わり、次の年になると、人々はまたヨセフのところに来て、言った。「御主君には、何もかも隠さずに申し上げます。銀はすっかりなくなり、家畜の群れも御主君のものとなって、御覧のように残っているのは、わたしどもの体と農地だけです。
創 47:19 どうしてあなたさまの前で、わたしどもと農地が滅んでしまってよいでしょうか。食糧と引き換えに、わたしどもと土地を買い上げてください。わたしどもは農地とともに、ファラオの奴隷になります。種をお与えください。そうすれば、わたしどもは死なずに生きることができ、農地も荒れ果てないでしょう。」
創 47:20 ヨセフは、エジプト中のすべての農地をファラオのために買い上げた。飢饉が激しくなったので、エジプト人は皆自分の畑を売ったからである。土地はこうして、ファラオのものとなった。
創 47:21 また民については、エジプト領の端から端まで、ヨセフが彼らを奴隷にした。
創 47:22 ただし、祭司の農地だけは買い上げなかった。祭司にはファラオからの給与があって、ファラオが与える給与で生活していたので、農地を売らなかったからである。
創 47:23 ヨセフは民に言った。「よいか、お前たちは今日、農地とともにファラオに買い取られたのだ。さあ、ここに種があるから、畑に蒔きなさい。
創 47:24 収穫の時には、五分の一をファラオに納め、五分の四はお前たちのものとするがよい。それを畑に蒔く種にしたり、お前たちや家族の者の食糧とし、子供たちの食糧としなさい。」
創 47:25 彼らは言った。「あなたさまはわたしどもの命の恩人です。御主君の御好意によって、わたしどもはファラオの奴隷にさせていただきます。」
創 47:26 ヨセフはこのように、収穫の五分の一をファラオに納めることを、エジプトの農業の定めとした。それは今日まで続いている。ただし、祭司の農地だけはファラオのものにならなかった。
◆ヤコブの遺言
創 47:27 イスラエルは、エジプトの国、ゴシェンの地域に住み、そこに土地を得て、子を産み、大いに数を増した。
創 47:28 ヤコブは、エジプトの国で十七年生きた。ヤコブの生涯は百四十七年であった。
創 47:29 イスラエルは死ぬ日が近づいたとき、息子ヨセフを呼び寄せて言った。「もし、お前がわたしの願いを聞いてくれるなら、お前の手をわたしの腿の間に入れ、わたしのために慈しみとまことをもって実行すると、誓ってほしい。どうか、わたしをこのエジプトには葬らないでくれ。
創 47:30 わたしが先祖たちと共に眠りについたなら、わたしをエジプトから運び出して、先祖たちの墓に葬ってほしい。」ヨセフが、「必ず、おっしゃるとおりにいたします」と答えると、
創 47:31 「では、誓ってくれ」と言ったので、ヨセフは誓った。イスラエルは、寝台の枕もとで感謝を表した。