家庭礼拝 2021年1月13日 創世記 45:1-28 ヨセフ、身を明かす

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起 

今日の、聖書の個所で、ヨセフはついに自分の身を明かすことになります。それは自分の身を明かすタイミングが来たから、水戸黄門のように、我こそはと身を明かしたわけではありません。むしろ身を明かすまいと頑張っていたのに、あまりにもの感動で、胸が張り裂けそうになって、我慢できずに身を明かしたのです。ヨセフをそこまで感動させて、身を明かさせたのは、ユダの必死の思いの懇願でした。末の弟のベニヤミンを父のもとに返さなかったなら、父はその悲しみのために死んでしまうだろう。そうなれば自分が責任をもって、ベニヤミンを連れて帰ると言った約束を果たせなくなるし、父の苦しみを見るには忍びないと言ったのです。だから、自分が身代わりに奴隷になるからどうか、このベニヤミンを父のもとに返してくれと、ヨセフに懇願したのです。この、ユダの捨て身の願いにヨセフは心を打たれたのです。ヨセフが17歳でエジプトに売られるときには、ユダはこう言ったのです。「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あれだって肉親の弟だから。」と、ヨセフの身を案じるよりも、殺すよりも売った方がまだましだと考える、打算的な人だったのです。それが今は自分の命を投げ出してでも、ヨセフの弟の身代わりになると言っていることにヨセフは心を打たれたのです。このような兄弟になら、自分の身を明かして、ともに兄弟の名乗りを上げることが出来ると考えたので、ヨセフはこらえきれず泣きながら、自分はあなたたちの兄弟のヨセフだと告白したのです。

このときヨセフと兄弟たちの間には大きな力の差がありました。兄弟たちはヨセフの力の前にはひとたまりもなかったので、兄たちは昔の自分たちの罪のことを思い出して、恐怖に駆られたり、自分たちの責任のなすりあいをしたり、責任逃れのためにパニックになったりするのではないかと心配したのです。そして兄弟たちを安心させるために、ヨセフは自分がエジプトに売られてきたのは神様が計画されて、先に私を遣わされたのだと説明しました。これはヨセフが単に兄弟を安心させるためではなく、自分に降りかかる出来事をすべて、神様の計画と考えているから言えることだったのです。すべての苦難の中に神様の意味を見出していたのです。意味の分からない苦難が一番苦しい苦しみなのです。その苦難の中に、神様が与えてくださった意味を理解することが出来ればそれは苦難ではなく、喜ばしい試練になるのです。希望の持てる意味のある試練になるのです。ヨセフ物語はそれを語ろうとしています。今日はそのクライマックスのところです。

さて、ヨセフがユダの切々たる懇願を聞いた後、どうなったでしょうか。1節から3節です。

創 45:1 ヨセフは、そばで仕えている者の前で、もはや平静を装っていることができなくなり、「みんな、ここから出て行ってくれ」と叫んだ。だれもそばにいなくなってから、ヨセフは兄弟たちに自分の身を明かした。

創 45:2 ヨセフは、声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、ファラオの宮廷にも伝わった。

創 45:3 ヨセフは、兄弟たちに言った。「わたしはヨセフです。お父さんはまだ生きておられますか。」兄弟たちはヨセフの前で驚きのあまり、答えることができなかった。

 ヨセフはついに自分の身を明かしました。ユダの懇願を聞いて、心がはちきれる感動で満たされたとき、もはや平静でいることが出来なくなったのです。そして、家臣の者たちに「みんな、ここから出て行ってくれ」と叫んだのです。もう誰にも邪魔されず、思いのたけを語りたかったのです。そして家臣たちが部屋から出て行くと、ヨセフは声をあげて泣いたのです。号泣したのです。その声を聴いてただ事ではないと思い、エジプト人たちはファラオの宮廷にも伝えました。ヨセフは兄弟たちに言いました。「わたしはヨセフです。お父さんはまだ生きておられますか。」と言うと、兄弟たちはヨセフの前で驚きのあまり、答えることができなかったといいます。兄弟たちには複雑ないろいろな思いが一度に山津波のように襲ってきたと思います。前から兄弟であることを知っているヨセフでさえも、泣き出したくらいですから、突然ヨセフだと言われた兄弟の驚きは、もっと大きなものだったのです。そして以前からヨセフに対しては罪を犯したと言う思いに責められていた兄弟は、今度はヨセフに殺されるかもしれないと言う恐怖の入り混じった驚きだったと思います。ですがヨセフが最初に語ったことは、お父さんはまだ生きておられますかと言う、父の安否を尋ねる言葉だったのです。ヨセフも父親のことをよほど愛し思っていたのかもしれません。

 そしてヨセフは更に言いました。信じられないでいる兄弟たちを近くに引き寄せて、確認させ、殺されるかもしれないと恐怖を感じたものには安心させる言葉をかけたのです。4節から8節です。

創 45:4 ヨセフは兄弟たちに言った。「どうか、もっと近寄ってください。」兄弟たちがそばへ近づくと、ヨセフはまた言った。「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。

創 45:5 しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。

創 45:6 この二年の間、世界中に飢饉が襲っていますが、まだこれから五年間は、耕すこともなく、収穫もないでしょう。

創 45:7 神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのは、この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生き永らえさせて、大いなる救いに至らせるためです。

創 45:8 わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。神がわたしをファラオの顧問、宮廷全体の主、エジプト全国を治める者としてくださったのです。

 目の前の偉い人がヨセフだと告白されても驚きのあまり、何も言えない兄弟たちに対して、「どうか、もっと近寄ってください。」と言って確認させたのです。そして、もう一度、「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。」と言ったのです。ですが兄弟は、このあなたたちがエジプトに売ったヨセフと言う言葉を聞くことが恐ろしかったのです。昔の出来事が目の前に現れてくるのです。ですからヨセフはすぐに兄弟たちを安心させる言葉を語りました。それは、「しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。」と語ったのです。普通ならば、私をエジプトに売り飛ばしてよくも苦しみをかけたなと言いそうなところですが、ヨセフはそれを売り飛ばされたのではなく、神様が私を先にエジプトに遣わされたのだと言ったのです。それは意味のあることだったと言うのです。だから私はあなたたちを恨みに思うことはないので、そのことを悔やんだり、お互いに責任を責めたりする必要はありません、すべては神様の御計画なのですと語ったのです。そしてどうして神様がヨセフを先にお遣わしになったのかと言えば、この飢饉がこれからまだ5年も続くことを語り、こう言いました。「この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生き永らえさせて、大いなる救いに至らせるためです。わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。神がわたしをファラオの顧問、宮廷全体の主、エジプト全国を治める者としてくださったのです。」と言って、兄弟たちを責める思いは全くなく、飢饉に備えて神様に遣わされて、一族を救うためにエジプトに遣わされたとのことを繰り返し語るのです

そしてヨセフは、父に対してもこのように伝えてくださいと言いました。9節から13節です。

創 45:9 急いで父上のもとへ帰って、伝えてください。『息子のヨセフがこう言っています。神が、わたしを全エジプトの主としてくださいました。ためらわずに、わたしのところへおいでください。

創 45:10 そして、ゴシェンの地域に住んでください。そうすればあなたも、息子も孫も、羊や牛の群れも、そのほかすべてのものも、わたしの近くで暮らすことができます。

創 45:11 そこでのお世話は、わたしがお引き受けいたします。まだ五年間は飢饉が続くのですから、父上も家族も、そのほかすべてのものも、困ることのないようになさらなければいけません。』

創 45:12 さあ、お兄さんたちも、弟のベニヤミンも、自分の目で見てください。ほかならぬわたしがあなたたちに言っているのです。

創 45:13 エジプトでわたしが受けているすべての栄誉と、あなたたちが見たすべてのことを父上に話してください。そして、急いで父上をここへ連れて来てください。」

エジプトで生きていたヨセフが父に伝えてほしいと願ったことはこうでした。『息子のヨセフがこう言っています。神が、わたしを全エジプトの主としてくださいました。ためらわずに、わたしのところへおいでください。そして、ゴシェンの地域に住んでください。そうすればあなたも、息子も孫も、羊や牛の群れも、そのほかすべてのものも、わたしの近くで暮らすことができます。そこでのお世話は、わたしがお引き受けいたします。まだ五年間は飢饉が続くのですから、父上も家族も、そのほかすべてのものも、困ることのないようになさらなければいけません。』ヨセフが父に伝えたかったことは三つありました。一つ目は、ヨセフは生きていて、神様によってエジプトの宰相になっていること、二つ目は皆でエジプトに来てゴシェンの地域に住んでほしいと言うこと、三つめは、まだ5年間は飢饉が続くので、エジプトに来ればみんなが助かることでした。ゴシェンと言うのはエジプトの一番東端のシナイ半島に近い国境地帯です。これはエジプトの中心地は川の多いデルタで、農耕地帯なので、ヤコブの一族のような遊牧民が暮らすところではないのです。それよりはゴシェン地方のような荒れ地でも遊牧に適したところに住んだ方が良いだろうと言うことなのです。

そしてヨセフはもう一度兄弟たちに向かって、自分をよく見てくれ、そしてこのことを父によく話して、急いで父をここに連れてきてくれと言ったのです。

こうしてヨセフは自分の身を明かし、兄弟たちと和解をするのです。そのことがファラオにも伝わり、ファラオからも特別の配慮をするようにと言葉をいただいたのです。14節から21節です。

創 45:14 ヨセフは、弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミンもヨセフの首を抱いて泣いた。

創 45:15 ヨセフは兄弟たち皆に口づけし、彼らを抱いて泣いた。その後、兄弟たちはヨセフと語り合った。

創 45:16 ヨセフの兄弟たちがやって来たという知らせがファラオの宮廷に伝わると、ファラオも家来たちも喜んだ。

創 45:17 ファラオはヨセフに言った。「兄弟たちに、こうするように言いなさい。『家畜に荷を積んでカナンの地に行き、

創 45:18 父上と家族をここへ連れて来なさい。わたしは、エジプトの国の最良のものを与えよう。あなたたちはこの国の最上の産物を食べるがよい。』

創 45:19 また、こうするよう命じなさい。『エジプトの国から、あなたたちの子供や妻たちを乗せる馬車を引いて行き、父上もそれに乗せて来るがよい。

創 45:20 家財道具などには未練を残さないように。エジプトの国中で最良のものが、あなたたちのものになるのだから。』」

創 45:21 イスラエルの息子たちはそのとおりにした。ヨセフは、ファラオの命令に従って、彼らに馬車を与え、また道中の食糧を与えた。

 この様に、自分の身を明かして父に伝える言葉を語ると、ヨセフはまず弟ベニヤミンの首を抱いて泣きました。兄弟たちとも皆口づけし彼らを抱いて泣いたのです。そして再会の喜びを交わしたのです。ヨセフのすごいところは恨むと言うことがなかったことです。すべての試練は神様からくるものですべて意味のあることであるとの受け止め方なのです。ですから、兄弟たちを恨むことは全くなかったのです。むしろそのことの意味をいつも神様に尋ねていたのです。

 このようにヨセフの兄弟たちが来ていると言うことがファラオにも伝わりました。するとファラオも家来たちもみな喜んでくれました。そしてファラオからも直々のお言葉があったのです。それはヨセフにこう言いました。「兄弟たちに、こうするように言いなさい。『家畜に荷を積んでカナンの地に行き、父上と家族をここへ連れて来なさい。わたしは、エジプトの国の最良のものを与えよう。あなたたちはこの国の最上の産物を食べるがよい。』また、こうするよう命じなさい。『エジプトの国から、あなたたちの子供や妻たちを乗せる馬車を引いて行き、父上もそれに乗せて来るがよい。家財道具などには未練を残さないように。エジプトの国中で最良のものが、あなたたちのものになるのだから。』」それは、国王から直々にエジプトに来ることを招待されたのです。そしてエジプトの最良のものを与えるから、何も持たずに来なさい。子供や妻たちや父上の乗る馬車を引いて、それに乗せて、来なさいと言ったのです。そして、兄弟たちはその通りにして、馬車と食料をもってカナンに帰ることになったのです。

 いよいよ兄弟たちはカナンに帰ることになりました。ヨセフは兄弟や父に贈り物をし、仲良く帰るように言って送り出したのです。22節から28節です。

創 45:22 ヨセフは更に、全員にそれぞれ晴れ着を与えたが、特にベニヤミンには銀三百枚と晴れ着五枚を与えた。

創 45:23 父にも、エジプトの最良のものを積んだろば十頭と、穀物やパン、それに父の道中に必要な食糧を積んだ雌ろば十頭を贈った。

創 45:24 いよいよ兄弟たちを送り出すとき、出発にあたってヨセフは、「途中で、争わないでください」と言った。

創 45:25 兄弟たちはエジプトからカナン地方へ上って行き、父ヤコブのもとへ帰ると、

創 45:26 直ちに報告した。「ヨセフがまだ生きています。しかも、エジプト全国を治める者になっています。」父は気が遠くなった。彼らの言うことが信じられなかったのである。

創 45:27 彼らはヨセフが話したとおりのことを、残らず父に語り、ヨセフが父を乗せるために遣わした馬車を見せた。父ヤコブは元気を取り戻した。

創 45:28 イスラエルは言った。「よかった。息子ヨセフがまだ生きていたとは。わたしは行こう。死ぬ前に、どうしても会いたい。」

 ヨセフは送り出す前に、兄弟たちには晴れ着をそれぞれに与えたのです。特にベニヤミンだけには銀300枚と晴れ着5枚を与えて、実の兄弟のきずなを強めたのです。父にもいろいろな贈り物を積んだロバ10頭と、それ以外に旅に必要な食料を積んだ雌ろば10頭を贈ったのです。このようにして、兄弟を送り出したのですが、その時にヨセフは特に、「途中で、争わないでください」と言ったのです。これはどうしてでしょうか。ベニヤミンだけ特に多くの贈り物があったからでしょうか。それとも父に送る贈り物の分配を争うことでしょうか。多分このことは、ヨセフをエジプトに売り飛ばすことに関しても兄弟の意見が分かれたように、そのことの責任を問うことで、兄弟が争うことがないようにと言うことではないかと思います。最初に兄弟がエジプトに来た時に、末の弟をここに連れてくるようにと言われて、一人だけ人質を残すようにいわれた時も、長男のルベンがほかの兄弟に向かって、「あの時私は、あの子に悪いことをするな、と言ったではないか。お前たちは耳を貸そうともしなかった。だから、あの子の血の報いを受けるのだ。」と言って、兄弟と言い争ったのです。きっとそのような言い争いが起こるのではないかと心配して、ヨセフは途中で争わないでください。私はそのことを気にしていませんから、と言っているのだと思います。

 兄弟たちがカナンの地に着き、父ヤコブにエジプトで起こった一切を語りました。そして、「ヨセフがまだ生きています。しかも、エジプト全国を治める者になっています。」と言うと、父は気が遠くなったのです。彼らの言うことが信じられないほど驚いたからです。息子たちは、ヨセフが話したことを語って、父を乗せる馬車を見せて、エジプトに来るようにと言っていることを語ると、ヤコブが元気を取り戻して、こう言ったのです。「よかった。息子ヨセフがまだ生きていたとは。わたしは行こう。死ぬ前に、どうしても会いたい。」と言ったのです。父ヤコブもまた、ヨセフが死んでしまったかもしれないことに、自責の念を持っていたのです。あのときヨセフを一人で、兄弟たちのところに様子を見に行かせなければこうならなかったのに、と思っていたのです。ですから何としてももう一度ヨセフにあって、その喜びを伝えたいと思ったのです。そして死ぬ前にどうしても会いたいと言ったのです。そしてヤコブと一族はエジプトに行くことになります。

ついにヨセフは、兄弟に自分の身を明かして、和解の抱擁をして、父と共にエジプトに来るようにと兄弟たちに言いました。この物語の一番大切なことは、ヨセフが奴隷として売られて、苦しみにあっていると思われたことが、実は、神様がヤコブの一族を将来の飢饉のときに助けるために、ヨセフを先に遣わして、エジプトの宰相にして、一族をエジプトに招かせたのだと言うことです。そのことによって一族が救われたと言うことです。これはイエス様が、私が先に天の国に行ってあなた方のために住むところを用意してあげようと約束したことに似ています。私たちにはいろいろな試練が起こりますが、その時にその試練の意味が見出せなければ、ただ苦しいだけの試練です。ですがそこに神様の計画と意味とを見出し、将来に希望を持つことが出来るならば、その試練は輝かしい試練になるのです。そのことをこのヤコブ物語は語っているのです。 

 

(一分間黙想)(お祈り)

天の父なる神様。ヤコブは試練の中にいつも神様の計画を見出し、その意味を見出していました。ヤコブにとってその苦しみは希望につながる苦しみでした。ですから、誰をも恨むこともなく、ただ神様の御心を行うことが出来たのです。神様、私たちもいつもあなたの御計画を見出し、そのことの意味を問うことが出来ますように。どのようなことの中にもあなたの良き御業が隠されていることを知ることが出来ますように。そして感謝しつつ、御名を崇めて賛美することが出来ますように。

この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン

 


<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>  

◆ヨセフ、身を明かす

創 45:1 ヨセフは、そばで仕えている者の前で、もはや平静を装っていることができなくなり、「みんな、ここから出て行ってくれ」と叫んだ。だれもそばにいなくなってから、ヨセフは兄弟たちに自分の身を明かした。

創 45:2 ヨセフは、声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、ファラオの宮廷にも伝わった。

創 45:3 ヨセフは、兄弟たちに言った。「わたしはヨセフです。お父さんはまだ生きておられますか。」兄弟たちはヨセフの前で驚きのあまり、答えることができなかった。

創 45:4 ヨセフは兄弟たちに言った。「どうか、もっと近寄ってください。」兄弟たちがそばへ近づくと、ヨセフはまた言った。「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。

創 45:5 しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。

創 45:6 この二年の間、世界中に飢饉が襲っていますが、まだこれから五年間は、耕すこともなく、収穫もないでしょう。

創 45:7 神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのは、この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生き永らえさせて、大いなる救いに至らせるためです。

創 45:8 わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。神がわたしをファラオの顧問、宮廷全体の主、エジプト全国を治める者としてくださったのです。

創 45:9 急いで父上のもとへ帰って、伝えてください。『息子のヨセフがこう言っています。神が、わたしを全エジプトの主としてくださいました。ためらわずに、わたしのところへおいでください。

創 45:10 そして、ゴシェンの地域に住んでください。そうすればあなたも、息子も孫も、羊や牛の群れも、そのほかすべてのものも、わたしの近くで暮らすことができます。

創 45:11 そこでのお世話は、わたしがお引き受けいたします。まだ五年間は飢饉が続くのですから、父上も家族も、そのほかすべてのものも、困ることのないようになさらなければいけません。』

創 45:12 さあ、お兄さんたちも、弟のベニヤミンも、自分の目で見てください。ほかならぬわたしがあなたたちに言っているのです。

創 45:13 エジプトでわたしが受けているすべての栄誉と、あなたたちが見たすべてのことを父上に話してください。そして、急いで父上をここへ連れて来てください。」

創 45:14 ヨセフは、弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミンもヨセフの首を抱いて泣いた。

創 45:15 ヨセフは兄弟たち皆に口づけし、彼らを抱いて泣いた。その後、兄弟たちはヨセフと語り合った。

創 45:16 ヨセフの兄弟たちがやって来たという知らせがファラオの宮廷に伝わると、ファラオも家来たちも喜んだ。

創 45:17 ファラオはヨセフに言った。「兄弟たちに、こうするように言いなさい。『家畜に荷を積んでカナンの地に行き、

創 45:18 父上と家族をここへ連れて来なさい。わたしは、エジプトの国の最良のものを与えよう。あなたたちはこの国の最上の産物を食べるがよい。』

創 45:19 また、こうするよう命じなさい。『エジプトの国から、あなたたちの子供や妻たちを乗せる馬車を引いて行き、父上もそれに乗せて来るがよい。

創 45:20 家財道具などには未練を残さないように。エジプトの国中で最良のものが、あなたたちのものになるのだから。』」

創 45:21 イスラエルの息子たちはそのとおりにした。ヨセフは、ファラオの命令に従って、彼らに馬車を与え、また道中の食糧を与えた。

創 45:22 ヨセフは更に、全員にそれぞれ晴れ着を与えたが、特にベニヤミンには銀三百枚と晴れ着五枚を与えた。

創 45:23 父にも、エジプトの最良のものを積んだろば十頭と、穀物やパン、それに父の道中に必要な食糧を積んだ雌ろば十頭を贈った。

創 45:24 いよいよ兄弟たちを送り出すとき、出発にあたってヨセフは、「途中で、争わないでください」と言った。

創 45:25 兄弟たちはエジプトからカナン地方へ上って行き、父ヤコブのもとへ帰ると、

創 45:26 直ちに報告した。「ヨセフがまだ生きています。しかも、エジプト全国を治める者になっています。」父は気が遠くなった。彼らの言うことが信じられなかったのである。

創 45:27 彼らはヨセフが話したとおりのことを、残らず父に語り、ヨセフが父を乗せるために遣わした馬車を見せた。父ヤコブは元気を取り戻した。

創 45:28 イスラエルは言った。「よかった。息子ヨセフがまだ生きていたとは。わたしは行こう。死ぬ前に、どうしても会いたい。」