家庭礼拝 2020年11月11日 創世記 37:12-36ヨセフ、エジプトに売られる
起
いよいよヨセフがエジプトに売られることになります。昔ならば、よくあった悲劇ですが、これが民族を救う大きな出来事になります。そこに神様が働いておられたのです。
ヨセフがエジプトに売られることになったのは、ヨセフが17歳の時です。もう大人とみなされても良い年です。売られることになったのは、家が貧しいからではありません。ヤコブ、イスラエルの家は大変な財産を持っていたのです。ではなぜ売られてしまったのか、それは、兄弟から憎まれ嫌われたからでした。子供の中で、一人だけ高貴な人の着る長い晴れ着を着ていて、父親の寵愛を受け,兄弟たちのひがみ妬みを受けたのです。弟だけは別でしたが、ヨセフの兄たちは、すべてヨセフを妬んでいたのです。しかもヨセフは不思議な夢を何度も見て、それを兄たちに話すのが、まるで自分が王様になった夢でも見ているのかのようなものだったので、ますますあの夢見るものと言って嫌われたのです。ですが、ヨセフにはそのような兄たちを畏れたり、嫌ったり、苦しんだりする様子は見られないのです。
ヨセフをエジプト売ったのは実際は兄弟たちではなく、通りかかった商人たちでした。兄たちがヨセフを穴に落として、その弟をどうしようかと相談している間に、その商人たちがヨセフを穴から助け出し、ほかの商人に売ったのです。ですが、兄弟たちの悪意のせいでそうなったのですから、ヨセフがエジプトに売られたのは、兄たちのせいであると言ってもいいのです。今日の個所にはその様子が、事細かに詳しく書かれているのです。
承
事の初めはこうなります。12節から17節です。
創
37:12 兄たちが出かけて行き、シケムで父の羊の群れを飼っていたとき、
創
37:13 イスラエルはヨセフに言った。「兄さんたちはシケムで羊を飼っているはずだ。お前を彼らのところへやりたいのだが。」「はい、分かりました」とヨセフが答えると、
創
37:14 更にこう言った。「では、早速出かけて、兄さんたちが元気にやっているか、羊の群れも無事か見届けて、様子を知らせてくれないか。」父はヨセフをヘブロンの谷から送り出した。ヨセフがシケムに着き、
創
37:15 野原をさまよっていると、一人の人に出会った。その人はヨセフに尋ねた。「何を探しているのかね。」
創
37:16 「兄たちを探しているのです。どこで羊の群れを飼っているか教えてください。」ヨセフがこう言うと、
創
37:17 その人は答えた。「もうここをたってしまった。ドタンへ行こう、と言っていたのを聞いたが。」ヨセフは兄たちの後を追って行き、ドタンで一行を見つけた。
ヤコブの家では羊をたくさん飼っていたので、兄たちがその世話をしていたようです。それも家の近くで飼っているのではなく遊牧しながら、ずっと遠くまで行っていたようです。この時は羊を連れて、シケムのほうで羊の群れを飼っていました。父ヤコブの住んでいたヘブロンからこのシケムまでは直線距離で85kmほどもあるので、曲がりくねっていけば100kmくらいにもなったでしょう。シケムはこのヘブロンよりもずっと北のほうにあります。死海のほうからガリラヤ湖に向かう方角にあります。どうしてこんなにも遠くで羊を飼っていたのかを考えると、ヤコブの飼っている羊たちは数が多いので、牧草地の多い北のほうまで行かないと充分ではなかったのかもしれません。こんな遠いところに行っているので、兄たちがどうしているのか父のヤコブ・イスラエルが心配したのです。家に残っているのは一番若い、ヨセフと弟ベニヤミンだけでしょう。他に、男と女の召使たちもいたはずなのですが、この遊牧には付いていった様子はありません。父親のヤコブは兄たちがどうしているのか心配して、ヨセフにこう言ったのです。「兄さんたちはシケムで羊を飼っているはずだ。お前を彼らのところへやりたいのだが。」そういうと、ヨセフは嫌がりもしないで「はい、分かりました」と答えたのです。ですからヨセフは兄たちに意地悪をされるからいやだとは思っていないようです。すると父ヤコブは更にこう言ったのです。「では、早速出かけて、兄さんたちが元気にやっているか、羊の群れも無事か見届けて、様子を知らせてくれないか。」と言って、ヨセフをヘブロンの谷から送り出しました。ヨセフはだいぶ子供たちの事を心配していたようです。この距離はちょっと様子を見てくると言った距離ではなく、2日か3日かけて旅をするような距離なのです。一人で行けば途中で何が起こるかわからないのです。でもヨセフはもう大人になっていたので、一人で行ったのです。きっとヤコブの家ではその時期になると毎年、シケムで遊牧するようになっていて、ヨセフも何回かそこに行ったことがあったのだろうと思います。ヨセフはそのシケムに着きましたが、いつもみんながいるはずの場所に、兄たちも羊たちもいないので、兄たちを探して野原をさまよっていました。すると一人の人に出会って、その人が「何を探しているのかね。」と尋ねました。ヨセフは「兄たちを探しているのです。どこで羊の群れを飼っているか教えてください。」ヨセフがこう尋ねると、その人は兄たちと出会っていて、こう答えました。「もうここをたってしまった。ドタンへ行こう、と言っていたのを聞いたが。」と言ったのです。それで、ヨセフは兄たちの後を追って行き、ドタンで一行を見つけたのです。ドタンというのはシケムよりもさらに北に24kmもあるところです。きっとこのコースもお決まりの遊牧のコースだったのでしょう。ヨセフはドタンまで探しに行ってやっと兄たちを見つけたのです。この時代の人たちは、このような長距離を平気で徒歩で移動していたようです。でもここには書いてありませんが、ヨセフは馬かロバを使ったかもしれません。
ヨセフが、羊の群れをはるか遠くに見つけたように、兄たちもヨセフをはるか遠くに見つけたのです。それはヨセフが、裾の長い晴れ着を着ているので、すぐにわかったのかもしれません。兄たちはどうしたでしょうか、18節から22節です。
創
37:18 兄たちは、はるか遠くの方にヨセフの姿を認めると、まだ近づいて来ないうちに、ヨセフを殺してしまおうとたくらみ、
創
37:19 相談した。「おい、向こうから例の夢見るお方がやって来る。
創
37:20 さあ、今だ。あれを殺して、穴の一つに投げ込もう。後は、野獣に食われたと言えばよい。あれの夢がどうなるか、見てやろう。」
創
37:21 ルベンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から助け出そうとして、言った。「命まで取るのはよそう。」
創
37:22 ルベンは続けて言った。「血を流してはならない。荒れ野のこの穴に投げ入れよう。手を下してはならない。」ルベンは、ヨセフを彼らの手から助け出して、父のもとへ帰したかったのである。
兄たちは全員ヨセフを相当憎んでいたようです。ヨセフが一人で遠くまで来たことを幸いに、この機会に殺してしまおうと相談したのです。すぐにこんな話になるというのは、いつもそんな話をしていたに違いないです。それなのに、そんな事には気づかず、一人でやって来たヨセフは素直というか世間知らずというか全くそんな心配などしないできたのです。父ヤコブは少し心配して、遠慮して、ヨセフに頼んだ感じです。そして兄たちは「おい、向こうから例の夢見るお方がやって来る。さあ、今だ。あれを殺して、穴の一つに投げ込もう。後は、野獣に食われたと言えばよい。あれの夢がどうなるか、見てやろう。」と、このチャンスを逃すものかと、殺す相談をして穴に投げ込んでやろうとしていたのです。どうせ誰にもわからないから、父には野獣に食われたと言えばいいだろうと思っていたのです。ヤコブの息子たちには気の荒い息子たちがたくさんいたのです。特にシケムでの妹ディナのことで復讐した兄のシメオンとレビは二人だけでシケムの一族を皆殺しにするようなことをしでかす人たちだったのです。ですからヤコブ一人を殺すくらいなんでもなかったのです。ですが長男のルベンは、長男だけあって少し分別があったのです。彼らの手からヨセフを助け出そうとして、こう言いました。「命まで取るのはよそう。」「血を流してはならない。荒れ野のこの穴に投げ入れよう。手を下してはならない。」ルベンは、ヨセフを彼らの手から助け出して、父のもとへ帰したかったのである、と書いてあります。長男ルベンにはまだそれだけの良識があったのですが、それも手遅れになるのです。
転
さて、ヨセフはそんなことを兄たちが考えているとは知らず、一人で兄たちのところまでやってきました。すると何が起こったでしょうか。23節から28節です。
創 37:23 ヨセフがやって来ると、兄たちはヨセフが着ていた着物、裾の長い晴れ着をはぎ取り、
創 37:24 彼を捕らえて、穴に投げ込んだ。その穴は空で水はなかった。
創 37:25 彼らはそれから、腰を下ろして食事を始めたが、ふと目を上げると、イシュマエル人の隊商がギレアドの方からやって来るのが見えた。らくだに樹脂、乳香、没薬を積んで、エジプトに下って行こうとしているところであった。
創 37:26 ユダは兄弟たちに言った。「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。
創 37:27 それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あれだって、肉親の弟だから。」兄弟たちは、これを聞き入れた。
創 37:28 ところが、その間にミディアン人の商人たちが通りかかって、ヨセフを穴から引き上げ、銀二十枚でイシュマエル人に売ったので、彼らはヨセフをエジプトに連れて行ってしまった。
何も知らないヨセフが、兄弟たちのところにやってくると、その兄たちはヨセフが来ていた着物の、裾の長い晴れ着をはぎ取り、穴の中に投げ込みました。ヨセフはこの時も、裾の長い晴れ着を着ていたのです。これは高貴な人の着る着物であり、父親ヤコブの寵愛の象徴だったのです。それは憎しみの象徴でもあったのです。ですから兄たちはその裾の長い晴れ着をはぎ取って、穴に投げ込んだのです。この穴がどのような穴かはわかりません。もしかすると井戸の穴かもしれません。でもその穴の中には水はありませんでした。しかも一人では上って出てくることができなかったのです。ですからヨセフはその穴の中で、出してくれ、誰か助けてくれと騒いでいたと思うのです。兄たちは、たぶんその穴から、少し離れた場所で、食事をしていました。するとイシュマエル人の隊商が、ギレアドの方からやってくるのが見えました。この人たちは、らくだに樹脂、乳香、没薬を積んで、エジプトに下って行こうとしているところだったのです。これらはイエス様が生まれた時に東方の博士たちが持ってきた、乳香、没薬と同じで、メソポタミヤ地方の特産だったのでしょう。それをエジプトに売って商売をしている人たちでした。
この隊商を見たユダがこういうのです。ユダというのはヤコブとレアの間に生まれた4番目の男の子で、兄弟たちの中でだんだん力をつけてくるようになりました。ユダはこう言ったのです。「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あれだって、肉親の弟だから。」そういうと兄弟たちは、それもそうだと、これを聞き入れたのです。レアの子供の長男のルベンは少し優しいところのある人で、次男と三男のシメオンとレビは乱暴者で、4男のユダはくせ者の知恵者です。一応弟に手をかけるのはよそうと言いながら、弟をイシュマエル人に売って、儲けようという考えなのです。兄弟たちはこの考え方に賛成し、ヨセフの居る穴を見に行くと、もう誰もいなかったのです。彼らが来る前に、ミディアン人の商人たちが通りかかって、ヨセフを穴から引き上げ、銀二十枚でイシュマエル人に売ったので、彼らはヨセフをエジプトに連れて行ってしまったのです。こんな風に人を売ったり買ったりすることができることが、今の時代だと不思議ですが、このヨセフの時代だと、この穴から救ってやったのだから、お前の命は俺のものだ、だから売ってもいいのだ、ということになるのだと思います。
そのあとはどうなったのでしょうか、29節から35節を読んでみましょう。
創 37:29 ルベンが穴のところに戻ってみると、意外にも穴の中にヨセフはいなかった。ルベンは自分の衣を引き裂き、
創 37:30 兄弟たちのところへ帰り、「あの子がいない。わたしは、このわたしは、どうしたらいいのか」と言った。
創 37:31 兄弟たちはヨセフの着物を拾い上げ、雄山羊を殺してその血に着物を浸した。
創 37:32 彼らはそれから、裾の長い晴れ着を父のもとへ送り届け、「これを見つけましたが、あなたの息子の着物かどうか、お調べになってください」と言わせた。
創 37:33 父は、それを調べて言った。「あの子の着物だ。野獣に食われたのだ。ああ、ヨセフはかみ裂かれてしまったのだ。」
創 37:34 ヤコブは自分の衣を引き裂き、粗布を腰にまとい、幾日もその子のために嘆き悲しんだ。
創 37:35 息子や娘たちが皆やって来て、慰めようとしたが、ヤコブは慰められることを拒んだ。「ああ、わたしもあの子のところへ、嘆きながら陰府へ下って行こう。」父はこう言って、ヨセフのために泣いた。
創 37:36 一方、メダンの人たちがエジプトへ売ったヨセフは、ファラオの宮廷の役人で、侍従長であったポティファルのものとなった。
穴の様子を見に行ったのは長男のルベンでした。長男としての責任を感じていたのかもしれません。もしかすると逃がそうとしていたのかもしれません。ところがルベンが穴を除いてみると、その穴にはヨセフがいなかったのです。驚いてルベンは後悔のために自分の衣を引き裂き、兄弟のところに戻りました。そしてこう言ったのです。「あの子がいない。わたしは、このわたしは、どうしたらいいのか」と言ったのです。ルベンは長男でしたが兄弟に対して強いリーダーシップをとるわけではなく、むしろ父親に対して、忠実な息子だったので、ヨセフを無事に返せなかったことを悔やんだのです。すると、兄弟たちはヨセフの着物を拾い上げ、雄山羊を殺してその血に着物を浸したのです。彼らはそれから、裾の長い晴れ着を父のもとへ送り届け、「これを見つけましたが、あなたの息子の着物かどうか、お調べになってください」と言わせたのでした。兄弟たちは誰か使いを使わして、そのように言わせたのです。直接自分たちでヤコブに言った訳ではないのです。多分これを考えたのは4男のユダで、使いに行ったのは長男のルベンではないかと思います。
父のヤコブはその服を見て、「あの子の着物だ。野獣に食われたのだ。ああ、ヨセフはかみ裂かれてしまったのだ。」ヤコブは自分の衣を引き裂き、粗布を腰にまとい、幾日もその子のために嘆き悲しみました。息子や娘たちが皆やって来て、慰めようとしましたが、ヤコブは慰められることを拒んで、「ああ、わたしもあの子のところへ、嘆きながら陰府へ下って行こう。」父はこう言って、ヨセフのために泣いたというのです。ヤコブの嘆きはもう誰にも慰められないほど激しかったのです。
ヨセフはいったいどのようになったのでしょうか。ここでメダンの人たちがエジプトに売ったということが書かれていますが、メダンとはミディアン人の事のようです。ミディアン人がイシュマエル人に売り、イシュマエル人がエジプト人に売り最終的に、ファラオの宮廷の役人で、侍従長であったポティファルのものとなったと言うのです。多分ヨセフが小さいころから高貴な人の着る服を着せられて、育ちの良い生活をしていたので、その品の良さが、宮廷につかえている侍従長の目に留まったのでしょう。その人の名はは、ポティファルという侍従長でした。
結
この様にして、ヨセフは売られてエジプトに行き宮廷につかえる侍従長のものとなりました。ここにはいろいろな偶然が重なっており、どれが欠けてもこのようにはならなかったのです。ヤコブが息子たちを心配して、ヨセフを使いに出そうと思ったこと、ヨセフが嫌がらずに、使いに出たこと。シケムで兄弟が見つからなかったとき、一人の人に出会ったこと。その人がたまたま兄弟たちがドタンに行こう、と言っていたのを聞いたこと。兄弟たちがいきなりヨセフを殺さず、穴に入れたこと。そのあと兄弟たちが、ゆっくりと食事をし、ヨセフのことを相談して時間がかかったこと。その間に、ミディアン人がたまたま穴の側を通りかかって、ヨセフを助けたこと。そしてヨセフをイシュマエル人に売ったこと。イシュマエル人はこれからエジプトに行って、商売をしてこようとしていたこと。樹脂、乳香、没薬などは、高貴な人たちが用いるものだったので、侍従長と知り合いだったのではないかと思います。そしてそこでヨセフが気に入られたことなどの度重なる偶然が、ヨセフをエジプトの侍従長のもとへと運んだのです。ここには神様の深い御計画があったことを、私たちはあとから知るようになります。その時は不幸な出来事と思われても、その奥には神様の深い御計画があるかもしれないのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、ヨセフはヤコブの大きな寵愛を受けましたが、兄弟に妬まれて、エジプトに売られていくことになってしまいました。そこにはいくつもの偶然が重なって、人の目には不思議な出来事として映ります。どんな出来事の中にもあなたの御計画があることを受け入れて、目先のことにとらわれず、ただあなたを信じあなたにゆだねて、すべてを受け入れていくことができますように。私たちの狭い考えや狭い思いで物事を判断せず、決めつけることがありませんように。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>
◆ヨセフ、エジプトに売られる
創 37:12 兄たちが出かけて行き、シケムで父の羊の群れを飼っていたとき、
創 37:13 イスラエルはヨセフに言った。「兄さんたちはシケムで羊を飼っているはずだ。お前を彼らのところへやりたいのだが。」「はい、分かりました」とヨセフが答えると、
創 37:14 更にこう言った。「では、早速出かけて、兄さんたちが元気にやっているか、羊の群れも無事か見届けて、様子を知らせてくれないか。」父はヨセフをヘブロンの谷から送り出した。ヨセフがシケムに着き、
創 37:15 野原をさまよっていると、一人の人に出会った。その人はヨセフに尋ねた。「何を探しているのかね。」
創 37:16 「兄たちを探しているのです。どこで羊の群れを飼っているか教えてください。」ヨセフがこう言うと、
創 37:17 その人は答えた。「もうここをたってしまった。ドタンへ行こう、と言っていたのを聞いたが。」ヨセフは兄たちの後を追って行き、ドタンで一行を見つけた。
創 37:18 兄たちは、はるか遠くの方にヨセフの姿を認めると、まだ近づいて来ないうちに、ヨセフを殺してしまおうとたくらみ、
創 37:19 相談した。「おい、向こうから例の夢見るお方がやって来る。
創 37:20 さあ、今だ。あれを殺して、穴の一つに投げ込もう。後は、野獣に食われたと言えばよい。あれの夢がどうなるか、見てやろう。」
創 37:21 ルベンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から助け出そうとして、言った。「命まで取るのはよそう。」
創 37:22 ルベンは続けて言った。「血を流してはならない。荒れ野のこの穴に投げ入れよう。手を下してはならない。」ルベンは、ヨセフを彼らの手から助け出して、父のもとへ帰したかったのである。
創 37:23 ヨセフがやって来ると、兄たちはヨセフが着ていた着物、裾の長い晴れ着をはぎ取り、
創 37:24 彼を捕らえて、穴に投げ込んだ。その穴は空で水はなかった。
創 37:25 彼らはそれから、腰を下ろして食事を始めたが、ふと目を上げると、イシュマエル人の隊商がギレアドの方からやって来るのが見えた。らくだに樹脂、乳香、没薬を積んで、エジプトに下って行こうとしているところであった。
創 37:26 ユダは兄弟たちに言った。「弟を殺して、その血を覆っても、何の得にもならない。
創 37:27 それより、あのイシュマエル人に売ろうではないか。弟に手をかけるのはよそう。あれだって、肉親の弟だから。」兄弟たちは、これを聞き入れた。
創 37:28 ところが、その間にミディアン人の商人たちが通りかかって、ヨセフを穴から引き上げ、銀二十枚でイシュマエル人に売ったので、彼らはヨセフをエジプトに連れて行ってしまった。
創 37:29 ルベンが穴のところに戻ってみると、意外にも穴の中にヨセフはいなかった。ルベンは自分の衣を引き裂き、
創 37:30 兄弟たちのところへ帰り、「あの子がいない。わたしは、このわたしは、どうしたらいいのか」と言った。
創 37:31 兄弟たちはヨセフの着物を拾い上げ、雄山羊を殺してその血に着物を浸した。
創 37:32 彼らはそれから、裾の長い晴れ着を父のもとへ送り届け、「これを見つけましたが、あなたの息子の着物かどうか、お調べになってください」と言わせた。
創 37:33 父は、それを調べて言った。「あの子の着物だ。野獣に食われたのだ。ああ、ヨセフはかみ裂かれてしまったのだ。」
創 37:34 ヤコブは自分の衣を引き裂き、粗布を腰にまとい、幾日もその子のために嘆き悲しんだ。
創 37:35 息子や娘たちが皆やって来て、慰めようとしたが、ヤコブは慰められることを拒んだ。「ああ、わたしもあの子のところへ、嘆きながら陰府へ下って行こう。」父はこう言って、ヨセフのために泣いた。
創 37:36 一方、メダンの人たちがエジプトへ売ったヨセフは、ファラオの宮廷の役人で、侍従長であったポティファルのものとなった。