家庭礼拝 2020年10月7日 創世記 35:1-15 再びベテルへ
起
先週はシケムで起こった事件の話で、ヤコブの二人の息子が、妹のディナの恨みを晴らすために、シケムの男たちを皆殺しにし、町の財産をも略奪しました。ヤコブはここにいたら、この土地のものから復讐を受けて滅ぼされてしまうかもしれないと思って、とても不安になりました。すると今回の聖書の個所で、神様が現れ、ベテルに行ってそこに住みなさいと教えてくれたのです。このシケムとベテルというのはイスラエルにとってとても大切な町なのです。アブラハム時代から、イサク、ヤコブとくるわけですが、実はイスラエルの部族はまだ定住の地を得てはいないのです。その中でヤコブは、エサウからの復讐の恐怖から解放されて、やっとこのシケムに定住しようと思って、シケムの父ハモルの息子たちから土地の一部を百ケシタで買い取り、そこに祭壇を立てて、それをエル・エロエ・イスラエルと呼んだと言います。エル・エロエ・イスラエルというのはイスラエルの神エルという意味で、イスラエルの神様が本当の神様ですということをここに祭ったのです。百ケシタで買い取った土地というのは、羊百匹分の価値のある土地のようです。ヤコブはそのようなお金を払って土地を買い祭壇を築き、ここに定住するつもりでいたのですが、息子たちが事件を犯したのでここに住むことができなくなってしまったのです。このシケムは、アブラハムが初めてカナンに入った時に祭壇を作ったところですから、ヤコブとしてもここに住みたかったのですが、それがかなわなくなってきたのです。
そして今日の聖書の個所で神様からベテルに行って住みなさいと命じられるのです。このベテルはシケムと後のエルサレムとの間にあり、幾分エルサレムに近いところにあります。このベテルもヤコブには深い思いのある場所で、ヤコブがエサウを恐れて、リベカの兄のいるハランに向かっていくときに、このベテルで初めて神様に出会った場所なのです。ここでは天使たちが天にまで達する階段を上り下りしていて、神様がヤコブに、「地上の士族はすべてあなたとあなたの子孫によって祝福に入る。見よ、私はあなたとともにいる。あなたがどこへ行っても、私はあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。私はあなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」と約束された場所なのです。それでヤコブはそこに記念碑を立ててベテル(神の家)と名付けたのです。すなわち、このベテルはヤコブの信仰の原点になるところなのです。
この記念すべき二つの町を移動するとき、ヤコブはそこで何をしたでしょうか。それが今日の聖書の個所の話となるのです。
承
さて、二人の息子がシケムで、男たちを皆殺しにしたので、ヤコブは土地の者たちが、集団で襲ってきて、自分たちが皆殺しにされるかもしれないと恐れました。そのような中で、神様がヤコブに現れたのです。1節から4節です。
創
35:1 神はヤコブに言われた。「さあ、ベテルに上り、そこに住みなさい。そしてその地に、あなたが兄エサウを避けて逃げて行ったとき、あなたに現れた神のための祭壇を造りなさい。」
創
35:2 ヤコブは、家族の者や一緒にいるすべての人々に言った。「お前たちが身に着けている外国の神々を取り去り、身を清めて衣服を着替えなさい。
創
35:3 さあ、これからベテルに上ろう。わたしはその地に、苦難の時わたしに答え、旅の間わたしと共にいてくださった神のために祭壇を造る。」
創
35:4 人々は、持っていた外国のすべての神々と、着けていた耳飾りをヤコブに渡したので、ヤコブはそれらをシケムの近くにある樫の木の下に埋めた。
神様はヤコブに現れて、ベテルに行ってそこに住みなさいと命じました。なぜならばそこはヤコブが神様と出会った記念すべき場所だったからです。神様はヤコブに、その地に、あなたが兄エサウを避けて逃げて行ったとき、あなたに現れた神のための祭壇を造りなさい、と命じたのです。最初に現れた時には、記念碑を立てましたが、今度は祭壇を作りなさいと命じたのです。今度こそここに定住しなさいということなのです。ヤコブとしてはシケムに定住するつもりで、土地の一部を百ケシタで買い取り、そこに祭壇を立てて祈りを捧げていたのですから、そこを捨てて、また別の土地に行くことはつらかったはずなのです。ですが神様は、あなたと出会った最初の場所ベテルに行ってそこに祭壇を築きなさいと命じたのです。ヤコブはシケムに代価を払って土地を買い祭壇を立てたのですが、そこは神様が祭壇を立てなさいと言ったわけではなかったので、本来の場所とは違っていたのかもしれません。ですが今度は神様がベテルに祭壇を築きなさいと言ったのですから、今度こそ神様が示した定住の土地なのかもしれません。
これを聞いたヤコブはどうしたでしょうか。ヤコブは、家族の者や一緒にいるすべての人々にこう言ったのです。「お前たちが身に着けている外国の神々を取り去り、身を清めて衣服を着替えなさい。」ヤコブは本当の神様だけを信じていましたが、妻や子供や、召使たちはいろいろな神様を信じていたのです。それをヤコブは寛容に受け入れていたのです。ヤコブが妻たちを連れて、ラバンのところから逃げた時も、妻のラケルはラバンの家の守り神を盗んできて、それをラバンが探し回るという騒動がありました。ラケルはそれを隠し通して、ずっとその守り神を持っていたと思います。ですが今、息子たちの起こした事件のために、自分たちが皆殺しにされるかもしれないと思った時に、守ってくださる神様はヤコブの神様しかいないということを知ったと思います。ですからヤコブが家族や召使たちに身に付けている外国の神々を取り去りなさい、と言った時にその言葉に従うことにしたのです。そして本当のヤコブの神様に従うために身を清めて衣服を着替えなさいという指示に従ったのです。
ヤコブは神様にベテルへ行きなさいと言われたとき、もう何もかも捨てて初心に帰ろうとしたのです。最初にベテルで神様に出会ったときには、ヤコブは何も持っていませんでした。何も頼るものがなかったのです。ただ神様だけが支えだったのです。其の時の状態に戻ろうと決心し初心に帰る覚悟を決めたのです。
そしてヤコブはみんなにこう言ったのです。「さあ、これからベテルに上ろう。わたしはその地に、苦難の時わたしに答え、旅の間わたしと共にいてくださった神のために祭壇を造る。」この神様だけが私たちを救ってくださるのだから、この神様だけに祈りをささげる祭壇を作るのだと言ったのです。
そして、人々は、持っていた外国のすべての神々と、着けていた耳飾りをヤコブに渡したので、ヤコブはそれらをシケムの近くにある樫の木の下に埋めた、と書いてあります。この外国のすべての神々の中にはラケルが盗んできたラバンの家の守り神もあったと思います。ほかの人々もヤコブの神様しか救ってくれないだろうと信じて、皆ヤコブに神々を渡したのです。耳飾りも渡したとありますが、そこには神々が彫られていたという話もあります。このように、余計なものは全て片付けて、シケムの近くの樫の木の下に埋めて、身を清めて、ベテルに向かったのです。
そのあとヤコブたちはどうしたでしょうか、5節から7節です。
創
35:5 こうして一同は出発したが、神が周囲の町々を恐れさせたので、ヤコブの息子たちを追跡する者はなかった。
創
35:6 ヤコブはやがて、一族の者すべてと共に、カナン地方のルズ、すなわちベテルに着き、
創
35:7 そこに祭壇を築いて、その場所をエル・ベテルと名付けた。兄を避けて逃げて行ったとき、神がそこでヤコブに現れたからである
こうして、ヤコブたちは土地の人々を恐れて出発したのですが、神様が周囲の町々を恐れさせたので、ヤコブの息子たちを追跡する者はなかった、とあります。誰も襲ってはこなかったのです。神様が守ってくださったのです。そして無事にベテルに着きました。当時はまだルズという名前だったのです。ベテルというのはヤコブが名付けた名前です。ヤコブがそこに祭壇を築いて、その場所をエル・ベテルと名付けました。それは神の家のエルという意味です。エルというのは神様という意味です。エルサレムやイスラエルのエルも同じで神様を表しているのです。ここでもベテルが、兄のエサウを避けて逃げて行ったときにヤコブに現れた場所だからということが記されています。
転
ベテルでの新しい生活が始まった時、神様は再びヤコブを祝福するために現れたのです。8節から13節です。
創 35:8 リベカの乳母デボラが死に、ベテルの下手にある樫の木の下に葬られた。そこで、その名はアロン・バクト(嘆きの樫の木)と呼ばれるようになった。
創 35:9 ヤコブがパダン・アラムから帰って来たとき、神は再びヤコブに現れて彼を祝福された。
創 35:10 神は彼に言われた。「あなたの名はヤコブである。しかし、あなたの名はもはやヤコブと呼ばれない。イスラエルがあなたの名となる。」神はこうして、彼をイスラエルと名付けられた。
創 35:11 神は、また彼に言われた。「わたしは全能の神である。産めよ、増えよ。あなたから/一つの国民、いや多くの国民の群れが起こり/あなたの腰から王たちが出る。
創 35:12 わたしは、アブラハムとイサクに与えた土地を/あなたに与える。また、あなたに続く子孫にこの土地を与える。」
創 35:13 神はヤコブと語られた場所を離れて昇って行かれた
ここではまず、リベカの乳母デボラが死んだということが書かれています。リベカがイサクと結婚するときに一緒に来た侍女たちがいましたが、そのほかに乳母も一緒に来たことが24章に書かれています。その乳母の名前がデボラであるということはここで初めてわかります。そしてこの乳母が死ぬ前に、リベカはもう死んでいたようです。そして、アブラハムとサラの葬られている、マクペラの洞穴に葬られていたのです。そのあとイサクもそこに葬られました。ヤコブの妻レアもそこに葬られたのです。ヤコブは死ぬ前にその洞穴に一緒に葬ってほしいと言って死にました。リベカが死んでからも乳母デボラはヤコブに仕えていて、155歳くらいで死んだようです。ずいぶん長生きしていました。そしてベテルの樫の木の下に葬られたのです。
ヤコブがラバンと一緒に居たパダン・アラムからこのベテルの地に戻ってきたときに、神様は再びヤコブに現れて彼を祝福されたと言います。このベテルはヤコブが最初に神様に祝福された場所です。神様はヤコブを祝福してこう言ったのです。「あなたの名はヤコブである。しかし、あなたの名はもはやヤコブと呼ばれない。イスラエルがあなたの名となる。」と言ってヤコブをイスラエルと名付けたのです。でもヤコブがイスラエルと名付けられたのは以前にもありました。それは、ヤコブが家族とともにラバンのもとから脱走し、ヤボクの渡しの近くまで来た時、夜に神様が現れて、ヤコブと格闘した時、ヤコブが祝福してくださるまで離しませんと言って、帰らせなかったとき、その人は、「お前の名はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。お前は神と人と戦って勝ったからだ。」と言われたときです。どこが違うかというと、格闘した時はこれからはイスラエルと呼ばれる、と将来のことを予告したのであり、ベテルではイスラエルがあなたの名となると、正式に決定していることが違うのです。ヤコブという名前よりイスラエルという名前のほうがはるかに立派であるということは、ヤコブという意味が、騙すであるとか、エサウの踵をつかんで生まれてきたとか、あまりいい印象を与えない名前なのです。一方イスラエルという名は神と戦って勝ったもの、という意味を持ち、古いヤコブから、新しいイスラエルへの新生が印象付けられるのです。
そして神様はヤコブを祝福してこう言いました。「わたしは全能の神である。産めよ、増えよ。あなたから/一つの国民、いや多くの国民の群れが起こり/あなたの腰から王たちが出る。わたしは、アブラハムとイサクに与えた土地を/あなたに与える。また、あなたに続く子孫にこの土地を与える。」
このようにヤコブを祝福された神様はヤコブと語られた場所を離れて昇って行かれた、と記されています。この時の神様の約束を、そのあとユダヤ人たちはずっと信じ続け、カナンの地は神様から与えられた聖なる場所であるとして、エジプトで奴隷になっていた時もモーセによって、この地に戻って来たし、バビロンに捕囚とされたときも必ずここに戻ってきたのです。そしてエルサレムが陥落して、ユダヤ人たちが散り散りになった後でも、また第二次世界大戦後にイスラエルという国を打ち立てて、ユダヤ人たちはその場所を確保したのです。それはこのヤコブに与えた約束の力なのです。
神様がヤコブに祝福を与えて天に昇られた後、ヤコブはそこに記念碑を立てました。14,15節です。
創 35:14 ヤコブは、神が自分と語られた場所に記念碑を立てた。それは石の柱で、彼はその上にぶどう酒を注ぎかけ、また油を注いだ。
創 35:15 そしてヤコブは、神が自分と語られた場所をベテルと名付けた
ヤコブが最初に神様と出会ったときにもそこに記念碑を立てて、ベテル(神の家)と名付けましたが、パダンアラムから戻ってきて、この地で神様から祝福を受けた時にも石の柱で記念碑を立てたのです。ここにイスラエル民族のスタートが切られたのです。そしてヤコブから12部族が現れ、ユダヤ世界を支配していくことになります。祭壇はすでにベテルに着いたときに作られていますから、それとは別に神様と出会ったときに記念碑も立てたということになります。
結
ヤコブは、パダンアラムから帰ってくるとき、ラバンの追撃を受ましたがラバンと和解し、兄エサウとの再会を恐怖しましたが、これも神様の導きで和解することができました。平和に暮らせると思ったシケムでは、思いもよらない娘ディナの事件があって、もうシケムでは暮らすことができなくなりました。ヤコブは神様の導きにより、結局最初に神様と出会ったベテルに戻ってきました。思いを新たにして、初心に帰って、このベテルに住んだのです。その時ヤコブの決心は固く、もうこの神様以外のものに頼ることなくただアブラハム、イサクから受け継いだ神様のみを信じることにしました。身を清め、外国の神々はすべて一族の中から一掃しました。そして、また神様と出会うことができ、ここで正式にヤコブはイスラエルと名前が与えられたのです。この名前はずっと国の名前としても用いられ、今のイスラエルという国の名も、すなわちヤコブの名前そのものなのです。ヤコブはいろいろな回り道をしましたが、結局、最初に出会った神様とその場所とを信じ守っていくことになるのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様。私たちもまたいろいろな回り道をして、あなたを探し求めているものです。ですがその場所は最初あなたを知ったそのところにあるのかもしれません。私たちがあなたを見出すのではなく、あなたが私たちを見出してくださるからです。どうか私たちも不必要なものを捨て、あなた以外のものに頼ることなく、ただあなたを信じあがめていくことができますように。聖書はそのことを何千回も何万回も語り続けているのだと思います。そのことを素直な気持ちで受け入れていくことができますように。この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>
◆再びベテルへ
創
35:1 神はヤコブに言われた。「さあ、ベテルに上り、そこに住みなさい。そしてその地に、あなたが兄エサウを避けて逃げて行ったとき、あなたに現れた神のための祭壇を造りなさい。」
創
35:2 ヤコブは、家族の者や一緒にいるすべての人々に言った。「お前たちが身に着けている外国の神々を取り去り、身を清めて衣服を着替えなさい。
創
35:3 さあ、これからベテルに上ろう。わたしはその地に、苦難の時わたしに答え、旅の間わたしと共にいてくださった神のために祭壇を造る。」
創
35:4 人々は、持っていた外国のすべての神々と、着けていた耳飾りをヤコブに渡したので、ヤコブはそれらをシケムの近くにある樫の木の下に埋めた。
創
35:5 こうして一同は出発したが、神が周囲の町々を恐れさせたので、ヤコブの息子たちを追跡する者はなかった。
創
35:6 ヤコブはやがて、一族の者すべてと共に、カナン地方のルズ、すなわちベテルに着き、
創
35:7 そこに祭壇を築いて、その場所をエル・ベテルと名付けた。兄を避けて逃げて行ったとき、神がそこでヤコブに現れたからである。
創
35:8 リベカの乳母デボラが死に、ベテルの下手にある樫の木の下に葬られた。そこで、その名はアロン・バクト(嘆きの樫の木)と呼ばれるようになった。
創
35:9 ヤコブがパダン・アラムから帰って来たとき、神は再びヤコブに現れて彼を祝福された。
創
35:10 神は彼に言われた。「あなたの名はヤコブである。しかし、あなたの名はもはやヤコブと呼ばれない。イスラエルがあなたの名となる。」神はこうして、彼をイスラエルと名付けられた。
創
35:11 神は、また彼に言われた。「わたしは全能の神である。産めよ、増えよ。あなたから/一つの国民、いや多くの国民の群れが起こり/あなたの腰から王たちが出る。
創
35:12 わたしは、アブラハムとイサクに与えた土地を/あなたに与える。また、あなたに続く子孫にこの土地を与える。」
創
35:13 神はヤコブと語られた場所を離れて昇って行かれた。
創
35:14 ヤコブは、神が自分と語られた場所に記念碑を立てた。それは石の柱で、彼はその上にぶどう酒を注ぎかけ、また油を注いだ。
創
35:15 そしてヤコブは、神が自分と語られた場所をベテルと名付けた。