庭礼拝 2020年8月12日 創世記 30:25-43 ラバンとの駆け引き

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起 

ヤコブが父と母を離れて、ラバンのところに来たのは、エサウの復讐を恐れたこともありましたが、一番の目的は、父と母から、故郷のラバンのところから、嫁を取るようにと言われてきたのです。ですから、嫁を取ったらもうラバンのところにいる必要はなかったのですが、何の財産もなく、嫁を貰いに来たので結納金の代わりに7年間ラバンのところで働くことにしたのです。ところが嫁にしたかったラケルだけでなくレアもラバンに騙されて押し付けられたので、結局14年もラバンのところで働くことになったのです。その間に子供もたくさんできました。

ヤコブは自分の父と母のことも心配だったのでしょう。ラバンに、そろそろ生まれ故郷に帰らせてくださいというのが今日の聖書の個所です。ヤコブはとても誠実な人で、約束したことはきちんと守る人でしたが、ラバンという人はとてもずるがしこい人で、一筋縄ではいかない人です。そのことはこの結婚のことで、レアのことも押し付けられたことを思えばよくわかることです。ヤコブがラバンのところで働くようになってから、ラバンの財産はとても増えたのです。財産というのは家畜のことで、主にヒツジやヤギの数です。ヤコブは主に祝福された人なので、ヤコブの手にかかるとどんどんその家畜が増えて行ったので、その金の生る木のようなヤコブをラバンは簡単に手放すはずはないのです。それで、今日の小見出しにある、ラバンとの駆け引きが生まれたのです。一体ラバンとの間にどんな駆け引きがあったのでしょうか。ラバンはヤコブを去らせまいとして、策を練り、ヤコブはその策を打ち破るためのいろいろな工夫をして、その問題を乗り切ろうとしたのです。

さて、ラバンとヤコブの知恵比べを見てみましょう。

まず、ヤコブの話の切り出しはこのようになります。25節から28節です。

創 30:25 ラケルがヨセフを産んだころ、ヤコブはラバンに言った。「わたしを独り立ちさせて、生まれ故郷へ帰らせてください。

創 30:26 わたしは今まで、妻を得るためにあなたのところで働いてきたのですから、妻子と共に帰らせてください。あなたのために、わたしがどんなに尽くしてきたか、よくご存じのはずです。」

創 30:27 「もし、お前さえ良ければ、もっといてほしいのだが。実は占いで、わたしはお前のお陰で、主から祝福をいただいていることが分かったのだ」とラバンは言い、

創 30:28 更に続けて、「お前の望む報酬をはっきり言いなさい。必ず支払うから」と言った。

 ヤコブがヨセフを得たのは11人目の男の子としてですから、女の子も入れれば20人くらいは子供がいたのです。そんな年月を経た後ですから、もう約束の14年は過ぎていたのだと思います。そのヨセフが生まれたころに、ヤコブはラバンにこう言いました。「わたしを独り立ちさせて、生まれ故郷へ帰らせてください。わたしは今まで、妻を得るためにあなたのところで働いてきたのですから、妻子と共に帰らせてください。あなたのために、わたしがどんなに尽くしてきたか、よくご存じのはずです。」こう言ったのです。ラバンのもとにいたら、ヤコブは独り立ちできないのです。そこの財産は皆ラバンのものなのでいくら働いて家畜を増やしても自分のものにはならないので、独り立ちできないのです。それでヤコブは私を独り立ちさせて、生まれ故郷へ帰らせてくださいと言ったのです。14年以上の年月が過ぎていれば、故郷の父と母などうなっているかわかりません。父イサクと、母リベカのことはこの後もずっと出てこないのです。兄エサウとの再会の話はありますが、果たして父と母は生きているのでしょうか。実は母リベカのことは語られていないのですが、父イサクは生きていたのです。父イサクの最後の時にはヤコブとエサウは和解して、二人で、父イサクの葬儀をしたのです。イサクが再び登場するのはその時だけなのです。ヤコブの故郷はアブラハムが主によって約束された土地なので、イサクはその祝福の土地に帰りたかったのです。そして、ヤコブはラバンにはっきり言いました。自分がここにいるのは妻を得るためであって、そのために十分に働いたのだから、妻と一緒に帰らせてくれといったのです。これに対してラバンはこう答えるのです。「もし、お前さえ良ければ、もっといてほしいのだが。実は占いで、わたしはお前のお陰で、主から祝福をいただいていることが分かったのだ」とラバンは言い、更に続けて、「お前の望む報酬をはっきり言いなさい。必ず支払うから」と言ったのです。ラバンはヤコブのおかげで、祝福を与えられて、家畜が増えていることは十分知っていたのです。ですから、お前さえよければもっといてほしいと言いました。そしてお前の望む報酬をはっきり言いなさい、必ず支払うからといったのです。このことは何を意味するのかというと、ラバンは、ヤコブを離さないで、報酬を与えて、これからも雇っていきたいということを言っているのです。ラバンは必ず支払うからと言いましたが、ヤコブはこの言葉を信じていないのです。今までさんざん騙されて、ごまかされてきたので、きっと何か策略があるのだろうと思っているのです。そこでヤコブはその裏をかいて、こういうのです。29節から34節です。

 創 30:29 ヤコブは言った。「わたしがどんなにあなたのために尽くし、家畜の世話をしてきたかよくご存じのはずです。

創 30:30 わたしが来るまではわずかだった家畜が、今ではこんなに多くなっています。わたしが来てからは、主があなたを祝福しておられます。しかし今のままでは、いつになったらわたしは自分の家を持つことができるでしょうか。」

創 30:31 「何をお前に支払えばよいのか」とラバンが尋ねると、ヤコブは答えた。「何もくださるには及びません。ただこういう条件なら、もう一度あなたの群れを飼い、世話をいたしましょう。

創 30:32 今日、わたしはあなたの群れを全部見回って、その中から、ぶちとまだらの羊をすべてと羊の中で黒みがかったものをすべて、それからまだらとぶちの山羊を取り出しておきますから、それをわたしの報酬にしてください。

創 30:33 明日、あなたが来てわたしの報酬をよく調べれば、わたしの正しいことは証明されるでしょう。山羊の中にぶちとまだらでないものや、羊の中に黒みがかっていないものがあったら、わたしが盗んだものと見なして結構です。」

創 30:34 ラバンは言った。「よろしい。お前の言うとおりにしよう。」

 ヤコブは今までどんなに誠実にラバンに尽くし、家畜の世話をし、その家畜をどんなに増やしたのかを語りました。でも今のままではいつになっても自分の家や財産を持つことはできないではないですかというのです。それに対してラバンは「何をお前に支払えばよいのか」と、金で解決して、このままとどめようとします。すると、ヤコブは何も下さるには及びませんと言って、ただ一つこの条件ならいいですと切り出しました。それは、「もう一度ラバンの群れを飼って世話をしましょう。その中から、ぶちとまだらの羊をすべてと、羊の中で黒みがかったものをすべて、それからまだらとぶちの山羊を取り出しておきますから、それをわたしの報酬にしてください。」と言ったのです。この条件は実はヤコブにとってとても不利な条件なのです。というのも羊は白いのが普通であって、ぶちとまだらの羊と、黒みがかった羊というのはめったにいない少ない羊なのです。ヤギもまだらとぶちのヤギを私の報酬にしてくださいと言ったのです。この条件はラバンにとってはとても有利な条件なので、きっと承諾すると思ったのです。しかももしヤコブの群れの中に白い羊、白い山羊がいたならばすぐにわかるので、それは盗んだものだと簡単にわかるからです。このようにして、ヤコブのものとラバンのものを区別するようにしたのです。この条件はとてもラバンに有利なのでラバンは、「よろしい。お前の言うとおりにしよう。」と言ったのです。

ラバンはいったいこのまま引き下がるのでしょうか。実はこんなことを考えていたのです。35節と36節です

創 30:35 ところが、その日、ラバンは縞やまだらの雄山羊とぶちやまだらの雌山羊全部、つまり白いところが混じっているもの全部とそれに黒みがかった羊をみな取り出して自分の息子たちの手に渡し、

創 30:36 ヤコブがラバンの残りの群れを飼っている間に、自分とヤコブとの間に歩いて三日かかるほどの距離をおいた。

 ラバンは自分の群れをヤコブに任せる前に、その中の縞やまだらの雄山羊とぶちやまだらの雌山羊全部、つまり白いところが混じっているもの全部とそれに黒みがかった羊をみな取り出して自分の息子たちの手に渡したのです。このようにしておけば、いくら少ないとはいえ、ヤコブに渡す羊やヤギはなくなり、繁殖してもごくわずかだから、この土地を離れられないだろうと思ったのです。やはりラバンはずるがしこい人なのです。そして、自分とヤコブの群れを3日ほどかかる距離に離しておいて、わからないようにしておいたのです。ですがヤコブはその上を行くのです。

 さて、ヤコブはどんなことをしたのでしょうか。37節から40節です。

創 30:37 ヤコブは、ポプラとアーモンドとプラタナスの木の若枝を取って来て、皮をはぎ、枝に白い木肌の縞を作り、

創 30:38 家畜の群れがやって来たときに群れの目につくように、皮をはいだ枝を家畜の水飲み場の水槽の中に入れた。そして、家畜の群れが水を飲みにやって来たとき、さかりがつくようにしたので、

創 30:39 家畜の群れは、その枝の前で交尾して縞やぶちやまだらのものを産んだ。

創 30:40 また、ヤコブは羊を二手に分けて、一方の群れをラバンの群れの中の縞のものと全体が黒みがかったものとに向かわせた。彼は、自分の群れだけにはそうしたが、ラバンの群れにはそうしなかった。

 ヤコブのしたことは今の私たちには不思議なことでした。ヤコブはポプラとアーモンドとプラタナスの木の若枝を取って来て、皮をはぎ、枝に白い木肌の縞を作り、家畜の群れがやって来たときに群れの目につくように、皮をはいだ枝を家畜の水飲み場の水槽の中に入れた、というのです。どうしてそんなことをしたのでしょうか。何かのおまじないでしょうか。当時の伝統的な考え方で、家畜は子供を産むとき、その見たものと同じようなものを生むという考えがあったのです。ですから、皮をはいだ白い木肌の縞を作った枝を家畜の水飲み場に入れておくとそれを見て、家畜は縞模様やぶちやまだらなものを生むと考えてそんなことをしたのです。科学的な考えではそんなことはないのですが、ヤコブは信仰的な信念でそうして、本当に縞やぶちやまだらのものを産ませたのです。ヤコブはその縞の枝を水槽に入れて、そこでさかりが付くようにして、その枝の前で交尾させて、縞やぶちやまだらのものを産ませたのです。

 また、ヤコブは羊を二手に分けて、一方の群れをラバンの群れの中の縞のものと全体が黒みがかったものとに向かわせた。彼は、自分の群れだけにはそうしたが、ラバンの群れにはそうしなかった、と書かれていますが、今一つどのようにしたのかわかりません。多分ヤコブは、自分が預けられて養うことになっている群れと、ラバンが養っている群れとの連れていたのかもしれません。そしてヤコブは自分の群れを二手に分けて、一方の群れをラバンの群れの中の縞のものと全体に黒みがかったものとに向かわせたとありますから、自分の雌の家畜をラバンの群れの中の縞のものと全体が黒みがかったものの雄と交尾させたのだと思います。そうすれば自分の家畜のほうにだけ、そのようなのものと全体が黒みがかったものが生まれてくるだろうと考えられるからです。

 またヤコブは別の手を考えて実行しています。41節から43節です。

創 30:41 また、丈夫な羊が交尾する時期になると、ヤコブは皮をはいだ枝をいつも水ぶねの中に入れて群れの前に置き、枝のそばで交尾させたが、

創 30:42 弱い羊のときには枝を置かなかった。そこで、弱いのはラバンのものとなり、丈夫なのはヤコブのものとなった。

創 30:43 こうして、ヤコブはますます豊かになり、多くの家畜や男女の奴隷、それにらくだやろばなどを持つようになった。

 これもちょっと分かりにくいのですが、こういうことだと思います。丈夫な羊が交尾するときには皮をはいだ枝を水ぶねに入れて交尾させたので、そこで生まれるのは丈夫な縞やまだらの羊です。弱い羊の時には、枝を置かなかったので、そこで生まれるのは弱くて白い羊なのです。ですから、弱くて白い羊はラバンのものになり、強くて、縞やまだらな羊はヤコブのものとなったのです。このようにして、ヤコブはますます豊かになり、多くの家畜や男女の奴隷、それにらくだやろばなどを持つようになったのです。

ラバンはヤコブが故郷に帰ろうとするのを必死になってやめさせようとし、ずるがしこい策略をもって、ヤコブが不利になるようにしましたが、ヤコブはそれを上回る方法で、自分の財産を増やすことができました。主がヤコブを祝福したからです。ラバンはヤコブにその白く無い羊やヤギを与えることにしていたので、もうヤコブから取り返すことはできません。そしてヤコブはいよいよラバンのもとを出発する準備が整ったのです。すべては神様がヤコブを祝福し、その恵みを豊かに与えてくださったからなのです。

 

(一分間黙想)(お祈り)

天の父なる神様、ヤコブは14年の勤めを終えて、やっと故郷に帰る決心をしました。こんなにも長い間ラバンのところで働いていたのはそこで嫁を得るためでした。イサクとリベカは、カナンの娘はとってはいけないと言ったので、ラバンのところまで来て、嫁を得たのです。それが神様の祝福の流れでした。そしてそこで得た二人の妻、レアとラケルとによって、12部族のもととなる12人の息子を得ることになります。ラバンはいろいろな計略を用いてヤコブを引き留めようとするのですが、あなたの御力を信じるヤコブにはかないませんでした。ヤコブは自分にどんなに不利に見える条件の下でも、神様がきっとそのことを乗り越えさせてくださると信じていました。すべてはあなたの御心なのです。よさそうに見えることも悪そうに見えることも、あなたにとってはすべては良きことなのです。ヤコブもまたそのことを知ってあなたに従って14年間を過ごしたのです。そしてアブラハム、イサク、ヤコブの歴史は新しいユダヤ人の歴史となりました。すべてあなたにゆだねて歩むものの幸いを覚えて感謝いたします。すべてがあなたによって、祝福されますように。この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。


<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>  

◆ラバンとの駆け引き

創 30:25 ラケルがヨセフを産んだころ、ヤコブはラバンに言った。「わたしを独り立ちさせて、生まれ故郷へ帰らせてください。

創 30:26 わたしは今まで、妻を得るためにあなたのところで働いてきたのですから、妻子と共に帰らせてください。あなたのために、わたしがどんなに尽くしてきたか、よくご存じのはずです。」

創 30:27 「もし、お前さえ良ければ、もっといてほしいのだが。実は占いで、わたしはお前のお陰で、主から祝福をいただいていることが分かったのだ」とラバンは言い、

創 30:28 更に続けて、「お前の望む報酬をはっきり言いなさい。必ず支払うから」と言った。

創 30:29 ヤコブは言った。「わたしがどんなにあなたのために尽くし、家畜の世話をしてきたかよくご存じのはずです。

創 30:30 わたしが来るまではわずかだった家畜が、今ではこんなに多くなっています。わたしが来てからは、主があなたを祝福しておられます。しかし今のままでは、いつになったらわたしは自分の家を持つことができるでしょうか。」

創 30:31 「何をお前に支払えばよいのか」とラバンが尋ねると、ヤコブは答えた。「何もくださるには及びません。ただこういう条件なら、もう一度あなたの群れを飼い、世話をいたしましょう。

創 30:32 今日、わたしはあなたの群れを全部見回って、その中から、ぶちとまだらの羊をすべてと羊の中で黒みがかったものをすべて、それからまだらとぶちの山羊を取り出しておきますから、それをわたしの報酬にしてください。

創 30:33 明日、あなたが来てわたしの報酬をよく調べれば、わたしの正しいことは証明されるでしょう。山羊の中にぶちとまだらでないものや、羊の中に黒みがかっていないものがあったら、わたしが盗んだものと見なして結構です。」

創 30:34 ラバンは言った。「よろしい。お前の言うとおりにしよう。」

創 30:35 ところが、その日、ラバンは縞やまだらの雄山羊とぶちやまだらの雌山羊全部、つまり白いところが混じっているもの全部とそれに黒みがかった羊をみな取り出して自分の息子たちの手に渡し、

創 30:36 ヤコブがラバンの残りの群れを飼っている間に、自分とヤコブとの間に歩いて三日かかるほどの距離をおいた。

◆ヤコブの工夫

創 30:37 ヤコブは、ポプラとアーモンドとプラタナスの木の若枝を取って来て、皮をはぎ、枝に白い木肌の縞を作り、

創 30:38 家畜の群れがやって来たときに群れの目につくように、皮をはいだ枝を家畜の水飲み場の水槽の中に入れた。そして、家畜の群れが水を飲みにやって来たとき、さかりがつくようにしたので、

創 30:39 家畜の群れは、その枝の前で交尾して縞やぶちやまだらのものを産んだ。

創 30:40 また、ヤコブは羊を二手に分けて、一方の群れをラバンの群れの中の縞のものと全体が黒みがかったものとに向かわせた。彼は、自分の群れだけにはそうしたが、ラバンの群れにはそうしなかった。

創 30:41 また、丈夫な羊が交尾する時期になると、ヤコブは皮をはいだ枝をいつも水ぶねの中に入れて群れの前に置き、枝のそばで交尾させたが、

創 30:42 弱い羊のときには枝を置かなかった。そこで、弱いのはラバンのものとなり、丈夫なのはヤコブのものとなった。

創 30:43 こうして、ヤコブはますます豊かになり、多くの家畜や男女の奴隷、それにらくだやろばなどを持つようになった。