家庭礼拝 2020年6月3日 創世記 29:1-14 ラバンの家に着く

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起 

いよいよ今日はヤコブがラバンの家に到着する話となります。これからしばらくの間、ラバンの家に厄介にならなければならないし、ラバンの娘を嫁にもらうということもしなければなりません。どういう風にそのことを切り出せばよいかヤコブは不安だったと思います。せっかく遠くまでやってきてもヤコブがラバンの娘を気に入るかどうかわからないし、むしろラバンのほうがヤコブを気に入るかどうかわかりません。しかも父をだまし、兄を裏切って、その神様の祝福を得て兄の復讐を逃れるためにラバンのところに来たのだということがわかったら、むしろ追い出される心配さえあるのです。

このような緊張を強いられる、不安な状況の中で、一つだけとても心強いものがありました。それは旅の途中で、ヤコブが石を枕にして寝ていた時に、神様が現れて、ヤコブに言った言葉です。それはヤコブを祝福してこう言ったのです。「見よ、私はあなたとともにいる。あなたがどこへ行っても、私はあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。私はあなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」ヤコブはこのことをとても喜びました。そして、主が私の神となられるなら、すべて、あなたが私に与えられるものの十分の一を捧げます、と誓願を立てたのです。

ですから、ヤコブは自分のすべてをさらけ出し、正直に告白して、ラバンの家にかくまってもらい、そしてその娘を嫁にもらおうと決心していたのです。自分のような父をだまし兄を裏切るようなものでも、きっと神様が守ってくださって、ラバンに受け入れられるだろうと信じていました。このような思いを抱いて、ヤコブはラバンのもとに来たのです。さてその後はどうなったでしょうか。

それでは聖書を見てみましょう。1節から3節です。

創 29:1 ヤコブは旅を続けて、東方の人々の土地へ行った。

創 29:2 ふと見ると、野原に井戸があり、そのそばに羊が三つの群れになって伏していた。その井戸から羊の群れに、水を飲ませることになっていたからである。ところが、井戸の口の上には大きな石が載せてあった。

創 29:3 まず羊の群れを全部そこに集め、石を井戸の口から転がして羊の群れに水を飲ませ、また石を元の所に戻しておくことになっていた。

 ヤコブはパダンアラムのラバンおじさんの家に向かいました。ここはカナンのベエル・シェバからは東というよりは北にある場所ですが、バビロンなどの東の国の人々はまっすぐに砂漠を超えて西のカナンに来るのではなく、安全な北回りで、カナンに来ることが多かったのです。アブラハムたちも通った道で、その途中にあるのが、このパダンアラムの街なのです。ですから、方角的には北なのですが、東方の人々がたくさんいるので、ヤコブは東方の人々の土地へ行ったと書かれているのです。ヤコブは旅をしている中で、東方の人々が増えてきたので、もうすぐパダンアラムかもしれないとは思っていたと思います。そんな中で、ふと見ると、野原に井戸がありました。旧約聖書にはこの井戸にまつわる話がたくさんあります。水が命の源なのです。ですからそこには人も家畜も集まって、水を得ると同時に情報交換の場所にもなっていたのです。イサクの嫁を探しに来た時も、アブラハムの僕は、井戸のところで待ち続けて、のちのイサクの妻となるリベカと出会いました。この時の井戸は階段を下りて地下の底にたまった水をくみ上げてくるような井戸でした。ヤコブもまた、井戸と呼ばれるところで大切な人との出会いがあるのです。このように井戸にはいろいろなドラマがあります。

その井戸のそばには羊が三つの群れになって伏していた、と言います。当然、その井戸の水を飲みに来たのであるのですが、どうして水を飲まないで待っているのでしょうか。その井戸の口の上には大きな石が載せてあったというのですが、水を待っている人たちが、力を合わせて石をどければ水は飲めるはずです。羊は三つの群れがあったというのは、三つのグループの人たちがそれぞれ順番を待ってそこで、誰かが来るのを待っていたのです。というのも、井戸があるからと言って、勝手に水を使ってはいけないのです。水利権のある人たちだけに利用する権利があるので、水利権のない人たちは、水利権のある人たちにお願いして水を分けてもらっているのです。ですからこの三つのグループの人たちは水利権を持っている人が来るのを待って、それから、羊に水を飲ませようとしていたのです。羊たちが水を飲み終わると、また、その入り口は大きな石で閉ざされてしまうのです。この書き方からすると、井戸は地下におりて汲み上げるタイプではなく、円形の井戸で、羊が、周りからその井戸に首を突っ込んで飲めるような井戸ではないかと思います。そして飲み終わると石のふたをするのです。

ヤコブはその井戸のそばで待っている人たちにこう尋ねたのです。4節から8節です。

創 29:4 ヤコブはそこにいた人たちに尋ねた。「皆さんはどちらの方ですか。」「わたしたちはハランの者です」と答えたので、

創 29:5 ヤコブは尋ねた。「では、ナホルの息子のラバンを知っていますか。」「ええ、知っています」と彼らが答えたので、

創 29:6 ヤコブは更に尋ねた。「元気でしょうか。」「元気です。もうすぐ、娘のラケルも羊の群れを連れてやって来ます」と彼らは答えた。

創 29:7 ヤコブは言った。「まだこんなに日は高いし、家畜を集める時でもない。羊に水を飲ませて、もう一度草を食べさせに行ったらどうですか。」

創 29:8 すると、彼らは答えた。「そうはできないのです。羊の群れを全部ここに集め、あの石を井戸の口から転がして羊に水を飲ませるのですから。」

ヤコブはそこでは、水を得ることよりも、その付近の情報を得るために話しかけたのです。ヤコブが「皆さんはどちらの方ですか。」と尋ねると、「わたしたちはハランの者です」と答えました。それを聞いてヤコブはうれしくなり、「では、ナホルの息子のラバンを知っていますか。」

と尋ねたのです。するとその人々は「ええ、知っています」と答えました。ヤコブは更に「元気でしょうか。」と尋ねると、「元気です。もうすぐ、娘のラケルも羊の群れを連れてやって来ます」と彼らは答えたのです。これを聞いて、ヤコブはほっとしたと思います。そして、この人々が何でこの井戸の周りで、待っているのか不思議に思ってこう言ったのです。「まだこんなに日は高いし、家畜を集める時でもない。羊に水を飲ませて、もう一度草を食べさせに行ったらどうですか。」ヤコブは、いつまでも待っていないで、さっさと皆で石をどけて、羊に水を飲ませて、また草を食べさせに行ったほうが良いのではないかと、ごく普通の疑問を投げかけたのです。すると彼らはこう言ったのです。「そうはできないのです。羊の群れを全部ここに集め、あの石を井戸の口から転がして羊に水を飲ませるのですから。」この意味がちょっと分かりにくいのですが、井戸の石を転がす権利を持っている人が来るまでは、勝手に石をどけて羊に水を飲ませることができないのだと言ったのです。

その水利権を持っている人が来て、石をどけたら、羊の群れを井戸の近くに集めていたものが、羊に水を飲ませることができるのだから、勝手にはできないのだということを言ったのです。これは乾燥地帯の厳しい掟なのです。そして、その水利権を持っているのはラバンの家族のようです。ですから、この人々はいつも来るラバンの娘、ラケルが羊の群れを連れてくるのを待っていたのです。そしてその時に一緒に飲ませてもらおうとして待っているのです。そんなグループが三つも待っていたのです。

 そんな話をしているうちに、ラケルが羊の群れを連れてやってきました。9節と10節です。

創 29:9 ヤコブが彼らと話しているうちに、ラケルが父の羊の群れを連れてやって来た。彼女も羊を飼っていたからである。

創 29:10 ヤコブは、伯父ラバンの娘ラケルと伯父ラバンの羊の群れを見るとすぐに、井戸の口へ近寄り石を転がして、伯父ラバンの羊に水を飲ませた。

 この人々の話を聞いて、その石をどかせる権利を持つものがラバンやその家族のラケルであることを知って、ラケルが羊の群れを連れてきたときにすぐに、井戸の口に近寄り、石を転がして、まず最初に、ラバンの羊に水を飲ませたとあります。この時石を転がしたのはヤコブだけではなく、まずほかの人々が立ち上がって、石を転がそうとしているのを見て、ヤコブも手伝ったというのが本当ではないでしょうか。ラケルは女性ですから、自分一人では石を動かすことはできません。それで、井戸の周りにいた人々には、水を羊たちに飲ませる代わりに、自分が来た時にその石を転がして開け、そして飲み終わったら、閉じておくということを条件に水を使わせているのだと思います。

 やっとヤコブはラバンの家族に会ったのです。その出会ったことにほっとしましたし、その後、ラバンにも会うことができたのです。11節から14節です。

創 29:11 ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。

創 29:12 ヤコブはやがて、ラケルに、自分が彼女の父の甥に当たり、リベカの息子であることを打ち明けた。ラケルは走って行って、父に知らせた。

創 29:13 ラバンは、妹の息子ヤコブの事を聞くと、走って迎えに行き、ヤコブを抱き締め口づけした。それから、ヤコブを自分の家に案内した。ヤコブがラバンに事の次第をすべて話すと、

創 29:14 ラバンは彼に言った。「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ。」

ヤコブはラケルの羊たちに水を飲ませた後、ラケルにあいさつし、口づけをして声をあげて泣いたとあります。どうしてここまで感情が爆発したのでしょうか。どんな思いがあったのでしょうか。これは私の勝手な推測ですが、危険から解放されて、旅が終わり、やっと目的地に着いた、ということよりも、何か小さい子供が生き別れした母親に何十年後かに再会した時の感情と似ているような気がするのです。それは異質な人種の中に暮らしていて違和感を感じていた人が、やっと自分と同じ種類の人間に出会えたという喜びではなかったのかと思うのです。宇宙人と一緒に暮らしていた人が、やっと同じ人間に巡り合った時の感情です。

 きっとラケルは何のことかわからなくて戸惑ったと思います。ヤコブはラケルに、自分が彼女の父の甥に当たり、リベカの息子であることを打ち明けました。それを聞いて驚いたラケルは、すぐに走って行って父ラバンに、ヤコブが来ていることを伝えたのです。そして、ラバンは、妹の息子ヤコブの事を聞くと、走って迎えに行き、ヤコブを抱き締め口づけしたのです。そして、ヤコブを自分の家に案内したのです。ラバンにとってもヤコブと出会ったことは、同じ種類の人間に出会ったようで、とてもうれしかったのです。ヤコブは、なぜ自分がここに来たのかを話しました。ヤコブがラバンに事の次第をすべて話した、とあります。洗いざらい話をしたのです。それはいいことも悪いことも、自分が父イサクをだまし、兄エサウを裏切り、母の勧めで、兄ラバンのところに逃れるように言われ、父からはラバンの娘から嫁をもらうようにと言われたこと。さらには、夢に神様が現れて、ヤコブを祝福したことなども全部話したのだと思います。ヤコブにはもう怖いものはなかったのです。すべて包み隠さず話しても、神様がきっと守ってくださるということを信じていたからです。でもそこまで洗いざらい話せば、もしかすると、こんな胡散臭い奴は早く追い出したほうがいいと思われるかもしれないのです。ですが、ラバンは彼に言ったのです。「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ。」ラバンはヤコブの言葉に真実があることを確信したのです。そして本当に信頼するに足るものだと思ったのです。それで、「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ。」と、ヤコブを自分の家族兄弟と同様だとして、受け入れたのです。

ヤコブはついにラバンの家にたどり着きました。そしてラケルにも出会いました。ヤコブはラバンに事の次第をすべて話しました。ヤコブはそのいろいろな事情だけでなく、きっと自分がいかに罪深いものかも話したような気がします。洗いざらい話をして、運を天に任せた時、ラバンは「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ。」と言って信用してくれたのです。受け入れてくれたのです。ヤコブがここまで打ち明けることができたのは、夢に現れた神様が、「見よ、私はあなたとともにいる。あなたがどこへ行っても、私はあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。私はあなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」といったことを信じることができたからでした。ヤコブもまた、神様と共に歩むことができたのです。

 

(一分間黙想)(お祈り)

天の父なる神様、ヤコブは神様が守ってくれると語ってくれたことを信じて、自分のしたことを洗いざらいラバンに話すことができました。そして、そのことの中にラバンは神様の働きを見ることができたのだと思います。怖れて隠すものは、信用されませんが、恐れずに打ち明けるものは、正しいものとして受け入れられます。その勇気を与えてくださるのは神様です。どうか私たちもあなたを信じて何も恐れずに、ありのままの自分を表すことができますように。ただあなたを信じて歩ませてください。この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン

 

<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>  

◆ラバンの家に着く

創 29:1 ヤコブは旅を続けて、東方の人々の土地へ行った。

創 29:2 ふと見ると、野原に井戸があり、そのそばに羊が三つの群れになって伏していた。その井戸から羊の群れに、水を飲ませることになっていたからである。ところが、井戸の口の上には大きな石が載せてあった。

創 29:3 まず羊の群れを全部そこに集め、石を井戸の口から転がして羊の群れに水を飲ませ、また石を元の所に戻しておくことになっていた。

創 29:4 ヤコブはそこにいた人たちに尋ねた。「皆さんはどちらの方ですか。」「わたしたちはハランの者です」と答えたので、

創 29:5 ヤコブは尋ねた。「では、ナホルの息子のラバンを知っていますか。」「ええ、知っています」と彼らが答えたので、

創 29:6 ヤコブは更に尋ねた。「元気でしょうか。」「元気です。もうすぐ、娘のラケルも羊の群れを連れてやって来ます」と彼らは答えた。

創 29:7 ヤコブは言った。「まだこんなに日は高いし、家畜を集める時でもない。羊に水を飲ませて、もう一度草を食べさせに行ったらどうですか。」

創 29:8 すると、彼らは答えた。「そうはできないのです。羊の群れを全部ここに集め、あの石を井戸の口から転がして羊に水を飲ませるのですから。」

創 29:9 ヤコブが彼らと話しているうちに、ラケルが父の羊の群れを連れてやって来た。彼女も羊を飼っていたからである。

創 29:10 ヤコブは、伯父ラバンの娘ラケルと伯父ラバンの羊の群れを見るとすぐに、井戸の口へ近寄り石を転がして、伯父ラバンの羊に水を飲ませた。

創 29:11 ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。

創 29:12 ヤコブはやがて、ラケルに、自分が彼女の父の甥に当たり、リベカの息子であることを打ち明けた。ラケルは走って行って、父に知らせた。

創 29:13 ラバンは、妹の息子ヤコブの事を聞くと、走って迎えに行き、ヤコブを抱き締め口づけした。それから、ヤコブを自分の家に案内した。ヤコブがラバンに事の次第をすべて話すと、

創 29:14 ラバンは彼に言った。「お前は、本当にわたしの骨肉の者だ。」