家庭礼拝 2020年5月20日 創世記 27:30-46 悔しがるエサウ

 賛美歌128悪は罪びとの聖書朗読 祈り 奨励説教 一分黙想 全員祈り 主の祈り 賛美歌141主よわが助けよ

 

起 

 今日も先週のヤコブがエサウをだまして祝福を盗んでしまうという話の続きです。聖書は、一見すると、こんな悪いことをする人を信仰者の模範のように祭り立てて、本当に良いのだろうかと思うところもあります。でもそのようなことでも隠すことなく、神様の祝福がいかに流れ伝えられてきているかを語っているところがすごいところでもあります。むしろ、美化してばかりいる話には信じられないものを感じますが、このように、悪いことをもさらけ出して語る話には、現実の重みをも感じます。聖書というのはこのような現実から離れることなく、現実に基づいて語っているとさえ思います。

 今日の話は、イサクから兄エサウに与えるはずだった祝福を、ヤコブがだまし取ってしまったことがわかってからの話です。この話はヤコブとエサウの話の続きのように思いますが、焦点はこの事件後のイサクとその妻リベカの反応と対応が主な中心になっています。前半ではイサクとエサウの話が続き、後半ではリベカとヤコブの話となっているのです。前半では、エサウがやってきて、ヤコブがイサクから祝福をだまし取ったあとの二人の驚きと嘆きが描かれています。この中では、一度出された祝福はもう二度と与えることができないということに驚きます。それほど大事なことだったのです。祝福とはたった一つしかなかったのです。それをヤコブは知っていました。ですがエサウは知らなかったのです。エサウは嘆き悲しんで、「わたしのお父さん。祝福はたった一つしかないのですか。わたしも、このわたしも祝福してください、わたしのお父さん。」と言ってエサウは声をあげて泣いたのです。実はこのこともまた、エサウの信仰の甘さがあるのです。その祝福が何度でも簡単に与えらるという考えがあるから、簡単に長子の権利を譲ったり、祝福をだまし取られたりするのです。

 一方、リベカはエサウがこのことを恨みに思って、イサクが死んだら、ヤコブを殺そうと考えていることを知りました。このことをリベカは知って、またヤコブに教えます。自分の実家の兄ラバンのいるところに身を隠してしばらくほとぼりの冷めるのを待つように言ったのです。実は、リベカには兄のエサウよりもヤコブのほうが好きだという以外に、嫁姑の問題もあったのです。実は兄エサウはすでに結婚していて、エサウは40歳の時ヘト人ペエリの娘ユディトとヘト人エロンの娘バセマトを妻として迎えていました。ところがこの妻たちはリベカとはうまくいっておらず、イサクにとってもリベカにとっても悩みの種であったと、26章の最後に書いてあるのです。ヘト人というのはその土地に住んでいた人々のことで、古代ヒッタイト人のことを言います。ヒッタイトは紀元前19世紀から13世紀にかけて、小アジアのアナトリアを中心に強大な帝国を作り、シリアやカナンにも飛び地を持っていました。そのカナンに住んでいたヒッタイト人がこのエサウの妻となったヘト人なのです。実はこのヘト人というのはアブラハムの妻サラが亡くなった時、アブラハムが交渉してその墓となる土地を得たのは、このヘト人たちなのです。決して悪い人たちではなかったのですが、信仰も文化も違い、イサクやリベカの出身地の考え方とはだいぶ違い、周りもヘト人だらけなので、イサクでさえも手を焼いていたのです。アブラハムも、自分の息子イサクに嫁を取るときには、その僕に誓わせて、「あなたは私の息子の嫁を私が今住んでいるカナンの娘からとるのではなく、私の一族のいる故郷へ行って、嫁を息子イサクのために連れてくるように。」と命じたのです。そしてイサクの嫁としてその故郷からリベカを連れてきたのです。この地元のカナンの娘とはエサウの嫁になったヘト人たちの事なのです。このように、イサクもリベカも地元のヘト人の娘を敬遠していたのです。ですから、リベカは、かわいがっているヤコブには自分の故郷から、自分たちの一族の娘を嫁にもらって、アブラハム、イサクの祝福と伝統をを継がせたいという思いがあったのです。ですから、ヤコブはエサウから、イサクの祝福をだまし取ったといわれるのですが、その信仰の正当性から考えると、アブラハム、イサクの伝統と文化を引き継いだヤコブに分があるのです。このように、この物語には単にヤコブがエサウから祝福をだまし取ったとは言い切れない背景があるのです。むしろ神様がこのことを計画したと考えるほうが、理解しやすいのです。

さて、聖書の話に戻りましょう。ヤコブがイサクの祝福を受けた後、本来祝福を受けるべきエサウが父の言いつけ通りに、おいしい食べ物を得るために狩りに行って帰ってきました。30節と31節です。

創 27:30 イサクがヤコブを祝福し終えて、ヤコブが父イサクの前から立ち去るとすぐ、兄エサウが狩りから帰って来た。

創 27:31 彼もおいしい料理を作り、父のところへ持って来て言った。「わたしのお父さん。起きて、息子の獲物を食べてください。そして、あなた自身の祝福をわたしに与えてください。」

 兄エサウも狩りから意外と早く帰ってきたようです。普通ならば一日中駆け巡って、獲物を得るのでしょうが、この日は父の命じた狩りをするために急いだようです。イサクがヤコブを祝福し終えてすぐに兄エサウが戻ってきたのですから、長くても半日で戻ってきたようです。そして食事に間に合うように、彼もおいしい料理を作って、父のところに持ってきたといいます。実際の料理はお嫁さんが作ったのでしょう。そしてその料理を父親のところに持ってきて言いました。「わたしのお父さん。起きて、息子の獲物を食べてください。そして、あなた自身の祝福をわたしに与えてください。」そう言ったのです。イサクは目が見えなくなっていたのと、老齢で寝たきりになっていたようです。エサウは父親の言うことを忠実に行う優しい息子だったので、イサクもかわいがったのかもしれません。

寝ていたイサクはエサウの声を聴いても誰の声かよくわかりませんでした。耳も遠くなっていたのです。32節から34節です。

創 27:32 父イサクが、「お前は誰なのか」と聞くと、「わたしです。あなたの息子、長男のエサウです」と答えが返ってきた。

創 27:33 イサクは激しく体を震わせて言った。「では、あれは、一体誰だったのだ。さっき獲物を取ってわたしのところに持って来たのは。実は、お前が来る前にわたしはみんな食べて、彼を祝福してしまった。だから、彼が祝福されたものになっている。」

創 27:34 エサウはこの父の言葉を聞くと、悲痛な叫びをあげて激しく泣き、父に向かって言った。「わたしのお父さん。わたしも、このわたしも祝福してください。」

 このように、イサクは最初エサウの声を聞いてもよくわからず、おまえは誰なのかと聞きました。多分エサウはさらに大きな声で、「わたしです。あなたの息子、長男のエサウです」と答えました。その声を聴いただけで、イサクはその声の主がエサウであることがわかりました。触って確かめるようなことはしなかったのです。そしてそのことに驚いて、すぐさま激しく体を震わせたのです。自分が大きな間違いをしたことに気が付いたのです。そしてこう言いました。「では、あれは、一体誰だったのだ。さっき獲物を取ってわたしのところに持って来たのは。実は、お前が来る前にわたしはみんな食べて、彼を祝福してしまった。だから、彼が祝福されたものになっている。」イサクはエサウの前にエサウだと言ってきたものがいたことを話し、そしてその食事を食べて、その者を祝福してしまったことを言ったのです。この時点で、イサクもエサウもその男がヤコブであると気が付いたと思います。このことを知ると、エサウは、悲痛は叫びをあげて激しく泣いたといいます。エサウらしからぬことのような気がします。エサウは何のためにその祝福を得たいと思っていたのでしょうか。そして、「わたしのお父さん。わたしも、このわたしも祝福してください。」といったのです。何かよくわからないけれども大切なものを取られたという感じだけはしたのだと思います。そして祝福というものがどういうものであるかもわからず、この私をも祝福してくださいといったのです。

 イサクは、このことの現実がどのようになるのかを淡々と語ります。それに対して、エサウは感情的になり、ヤコブに対する怒りをぶちまけます。イサクは、このことが起こったのはもしかして神様の計画かもしれないと思っていたのかもしれません。35節から40節です。

創 27:35 イサクは言った。「お前の弟が来て策略を使い、お前の祝福を奪ってしまった。」

創 27:36 エサウは叫んだ。「彼をヤコブとは、よくも名付けたものだ。これで二度も、わたしの足を引っ張り(アーカブ)欺いた。あのときはわたしの長子の権利を奪い、今度はわたしの祝福を奪ってしまった。」エサウは続けて言った。「お父さんは、わたしのために祝福を残しておいてくれなかったのですか。」

創 27:37 イサクはエサウに答えた。「既にわたしは、彼をお前の主人とし、親族をすべて彼の僕とし、穀物もぶどう酒も彼のものにしてしまった。わたしの子よ。今となっては、お前のために何をしてやれようか。」

創 27:38 エサウは父に叫んだ。「わたしのお父さん。祝福はたった一つしかないのですか。わたしも、このわたしも祝福してください、わたしのお父さん。」エサウは声をあげて泣いた。

創 27:39 父イサクは言った。「ああ/地の産み出す豊かなものから遠く離れた所/この後お前はそこに住む/天の露からも遠く隔てられて。

創 27:40 お前は剣に頼って生きていく。しかしお前は弟に仕える。いつの日にかお前は反抗を企て/自分の首から軛を振り落とす。」

 イサクはエサウの前にきてその祝福を奪っていったものがヤコブであることを知って、こう言いました。「お前の弟が来て策略を使い、お前の祝福を奪ってしまった。」イサクはこのように、事実を語りますが、エサウのように、ヤコブに対する怒りは見られません。それに対してヤコブはこう言います。「彼をヤコブとは、よくも名付けたものだ。これで二度も、わたしの足を引っ張り(アーカブ)欺いた。あのときはわたしの長子の権利を奪い、今度はわたしの祝福を奪ってしまった。エサウは長子の権利のことと祝福のことでヤコブに怒りをぶつけました。確かにエサウには何も悪いことは見当たりません。相手の足元を見て、狡猾に行ったのはヤコブですから、非難されるべきはヤコブです。ですが、イサクにはヤコブのことを特に非難する様子はありません。エサウは父イサクにこう言いました。「わたしのお父さん。祝福はたった一つしかないのですか。わたしも、このわたしも祝福してください、わたしのお父さん。」エサウは声をあげて泣いた、とあります。このエサウの叫びと嘆きには同情せざるを得ません。ですが父イサクは、そのエサウの悲しみに同情するのではなく、現実にどんなことが起こるのかを語りました。それは父親にとっても冷たい現実なのです。起こってしまったことは神様の御心なのだ、とそう思っているように思えます。父イサクはエサウにこう言ったのです。「ああ/地の産み出す豊かなものから遠く離れた所/この後お前はそこに住む/天の露からも遠く隔てられて。お前は剣に頼って生きていく。しかしお前は弟に仕える。いつの日にかお前は反抗を企て/自分の首から軛を振り落とす。」と語りました。これはエサウのこれから住むところは、この豊かなカナンの地ではなく、遠く離れた、不毛の乾燥地帯に住むようになるということです。天の露からも遠く隔てられているとは、雨の降らない乾燥地帯ということです。そしてそこでエサウは武力を頼りに生きていくことになるといいました。しかしそれでもエサウは弟のヤコブに仕えるようになるだろうということでした。ですがいつの日にかその軛を振り落とすことができるだろうという予言を与えました。そして実際エサウはカナンの地から南の乾燥地帯にあたる、エドム地方に住むことになるのです。

 一方、ヤコブのほうはと言うと、まだのんびりと家族と一緒に暮らしていたのです。ですが、エサウはひそかにヤコブを殺すことを計画していました。41節から45節です。

創 27:41 エサウは、父がヤコブを祝福したことを根に持って、ヤコブを憎むようになった。そして、心の中で言った。「父の喪の日も遠くない。そのときがきたら、必ず弟のヤコブを殺してやる。」

創 27:42 ところが、上の息子エサウのこの言葉が母リベカの耳に入った。彼女は人をやって、下の息子のヤコブを呼び寄せて言った。「大変です。エサウ兄さんがお前を殺して恨みを晴らそうとしています。

創 27:43 わたしの子よ。今、わたしの言うことをよく聞き、急いでハランに、わたしの兄ラバンの所へ逃げて行きなさい。

創 27:44 そして、お兄さんの怒りが治まるまで、しばらく伯父さんの所に置いてもらいなさい。

創 27:45 そのうちに、お兄さんの憤りも治まり、お前のしたことを忘れてくれるだろうから、そのときには人をやってお前を呼び戻します。一日のうちにお前たち二人を失うことなど、どうしてできましょう。」

 エサウはヤコブに騙されて、祝福まで奪われた後も、イサクとリベカ、そしてヤコブとでしばらくの間一緒に住んでいたのです。ですがヤコブの心には憎しみが募ってきました。だまされたとはいえ、父イサクはヤコブを祝福してしまったからでした。このことは取り消しようがなく、ましてや父イサクが生きている間は、状況を変えることなどできなかったのです。ですから、エサウは父イサクの命がもう長くはないと思い、父が死んだら、そのあとで、必ず弟のヤコブを殺してやる、と思っていたのです。ところがまたしても、このエサウのつぶやきを母リベカが聞いていたのです。この母は、ヤコブが遠くにいるので、僕を使わして、呼び寄せて、そのことを伝えて言ったのです。そしてこういいました。「わたしの子よ。今、わたしの言うことをよく聞き、急いでハランに、わたしの兄ラバンの所へ逃げて行きなさい。そして、お兄さんの怒りが治まるまで、しばらく伯父さんの所に置いてもらいなさい。そのうちに、お兄さんの憤りも治まり、お前のしたことを忘れてくれるだろうから、そのときには人をやってお前を呼び戻します。一日のうちにお前たち二人を失うことなど、どうしてできましょう。」と語って、ヤコブを母リベカの兄ラバンのいるハランに行きなさいと勧めたのです。そしてほとぼりが冷め、お兄さんもこのことを忘れてきたら、人をやってヤコブを呼び戻すから、しばらくおじさんのところにいなさい、と言って、ヤコブを逃がしてやるのです。一日のうちに息子を二人も失うとは、兄が弟を殺せば、その兄も死刑になって殺されるからです。もとはといえば、この母の計略から起こったことですが、この時はしばらくしたらまたかわいいヤコブを呼び戻して一緒に過ごせるだろうと思っていたのです。ですが、この後ヤコブは戻ってくることはなかったのです。ヤコブとリベカが再会したということは、もう聖書のどこにも書かれていません。

 このエサウの祝福をヤコブが横取りしたという話は、どうもエサウのお嫁さんが問題となり、父も母もエサウにはイサクの祝福を与えたくなかったのではないかと思われるところがあります。まるで、イサクがヤコブに騙されたような格好にして、実はヤコブに祝福を与える計画であったような気がします。というのも母リベカも父イサクもエサウのお嫁さんには手を焼いていたのです。

 この章の最後のところで、こうリベカは語りました。46節です。

創 27:46 リベカはイサクに言った。「わたしは、ヘト人の娘たちのことで、生きているのが嫌になりました。もしヤコブまでも、この土地の娘の中からあんなヘト人の娘をめとったら、わたしは生きているかいがありません。」

 母リベカは、エサウの嫁のヘト人の娘たちのことで、生きているの嫌になるほどだったのです。このヘト人の娘は親が決めた嫁ではなくて、行動的なエサウが、自分で見つけてきた嫁なのかもしれません。ですから、ヤコブまでもこの土地の娘の中からあんなヘト人の娘をめとったら、私は生きているかいがありませんと、夫のイサクに言うのです。ヤコブを兄ラバンのいるハランに行かせたのは、そこからリベカの時と同じように、お嫁さんを連れてくることを期待していたのです。ですから、この事件は、その根底には嫁問題があったのです。というのも、嫁問題にはアブラハム一族の純血と信仰の問題がかかっていたからです。

兄エサウと弟ヤコブは運命的な分かれ道に出会ってしまいました。父イサクの祝福は弟ヤコブのほうに流れたのです。それはヤコブがだまし取ったということになっていますが、そこには神様の計画があったような気がします。その計画の中に、イサクもリベカも載せられていったという感じです。父から子に伝えられる祝福が一つしかなかったというのも不思議なことです。でも弟ヤコブは目に見えない祝福の力を信じてその祝福を得たいと思いました。イサクもリベカもその祝福の力を知っていました。私たちもその祝福の力を軽んじるならば、エサウと同じ運命が待っているのかもしれません。このわたしも祝福してください、と願っても手遅れになることもあるのです。

 

(一分間黙想)(お祈り)

天の父なる神様。祝福はヤコブに与えられました。そしてヤコブはその祝福だけをもって、リベカの兄のラバンのところに行って、生活を始めます。このヤコブの祝福の話は目に見えない祝福が与えられることがいかに大きな出来事なのかを教えられます。私たちも目に見える恵みではなく、あなたから与えられる目に見えない恵みと祝福とに目を留め、いつも感謝して生きることができますように導いてください。あなたと共にありますように。

この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン

 


<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>  

◆悔しがるエサウ

創 27:30 イサクがヤコブを祝福し終えて、ヤコブが父イサクの前から立ち去るとすぐ、兄エサウが狩りから帰って来た。

創 27:31 彼もおいしい料理を作り、父のところへ持って来て言った。「わたしのお父さん。起きて、息子の獲物を食べてください。そして、あなた自身の祝福をわたしに与えてください。」

創 27:32 父イサクが、「お前は誰なのか」と聞くと、「わたしです。あなたの息子、長男のエサウです」と答えが返ってきた。

創 27:33 イサクは激しく体を震わせて言った。「では、あれは、一体誰だったのだ。さっき獲物を取ってわたしのところに持って来たのは。実は、お前が来る前にわたしはみんな食べて、彼を祝福してしまった。だから、彼が祝福されたものになっている。」

創 27:34 エサウはこの父の言葉を聞くと、悲痛な叫びをあげて激しく泣き、父に向かって言った。「わたしのお父さん。わたしも、このわたしも祝福してください。」

創 27:35 イサクは言った。「お前の弟が来て策略を使い、お前の祝福を奪ってしまった。」

創 27:36 エサウは叫んだ。「彼をヤコブとは、よくも名付けたものだ。これで二度も、わたしの足を引っ張り(アーカブ)欺いた。あのときはわたしの長子の権利を奪い、今度はわたしの祝福を奪ってしまった。」エサウは続けて言った。「お父さんは、わたしのために祝福を残しておいてくれなかったのですか。」

創 27:37 イサクはエサウに答えた。「既にわたしは、彼をお前の主人とし、親族をすべて彼の僕とし、穀物もぶどう酒も彼のものにしてしまった。わたしの子よ。今となっては、お前のために何をしてやれようか。」

創 27:38 エサウは父に叫んだ。「わたしのお父さん。祝福はたった一つしかないのですか。わたしも、このわたしも祝福してください、わたしのお父さん。」エサウは声をあげて泣いた。

創 27:39 父イサクは言った。「ああ/地の産み出す豊かなものから遠く離れた所/この後お前はそこに住む/天の露からも遠く隔てられて。

創 27:40 お前は剣に頼って生きていく。しかしお前は弟に仕える。いつの日にかお前は反抗を企て/自分の首から軛を振り落とす。」

◆逃亡の勧め

創 27:41 エサウは、父がヤコブを祝福したことを根に持って、ヤコブを憎むようになった。そして、心の中で言った。「父の喪の日も遠くない。そのときがきたら、必ず弟のヤコブを殺してやる。」

創 27:42 ところが、上の息子エサウのこの言葉が母リベカの耳に入った。彼女は人をやって、下の息子のヤコブを呼び寄せて言った。「大変です。エサウ兄さんがお前を殺して恨みを晴らそうとしています。

創 27:43 わたしの子よ。今、わたしの言うことをよく聞き、急いでハランに、わたしの兄ラバンの所へ逃げて行きなさい。

創 27:44 そして、お兄さんの怒りが治まるまで、しばらく伯父さんの所に置いてもらいなさい。

創 27:45 そのうちに、お兄さんの憤りも治まり、お前のしたことを忘れてくれるだろうから、そのときには人をやってお前を呼び戻します。一日のうちにお前たち二人を失うことなど、どうしてできましょう。」

◆ヤコブの出発

創 27:46 リベカはイサクに言った。「わたしは、ヘト人の娘たちのことで、生きているのが嫌になりました。もしヤコブまでも、この土地の娘の中からあんなヘト人の娘をめとったら、わたしは生きているかいがありません。」