家庭礼拝 2020年3月4日 創世記 21:22-34 アビメレクとの契約
起
今日の聖書の話も、先週と同じように前の話とのつながりがあまりよくありません。先週はイサクの誕生の話と、ハガルとイシュマエルが追放された話でしたから、この後は22章の「アブラハム、イサクを捧げる、」という話につながるのが自然です。ですが、その間に今日の聖書の話、アビメレクとの契約の話が挿入されているのです。この話は結局のところ、ベエル・シェバにある井戸はアブラハムの物だということを言っているのです。その根拠は、今日の話にあるように、ゲラルの王様アビメレクとの契約を結んでいるからだ、ということになります。
この話がなぜここに挿入されたかというと、先週のハガルとイシュマエルの話で、この母子がアブラハムのところを追放され、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった時に、神様が現れて、ハガルに水のある井戸を見つけられるように、彼女の眼を開かれて、二人は助かったという話から来るのです。この井戸が、今日の話の中心になる、べエル・シェバの井戸なのです。この時はこの井戸はたまたまそこにあったような感じなのですが、そのあとこの井戸のことでゲラルの人々と争いが起こったので、この井戸はアブラハムの物であるということをはっきりさせるために、この物語が挿入されたのだと思います。すなわち、この物語がここに入っているのは、ハガルとイシュマエルがこの井戸を見つけたという関連で、この井戸はアブラハムの物であるということを表すために挿入されているのです。
それにしてもどうして、アブラハムはアビメレクと契約を結ぶことになったのでしょうか。このアビメレクという人はとても穏健なゲラルの王様で、ペリシテの国であり、地中海側の地域を治めている王様なのです。彼は、前にも一度出てきているのですが、分るでしょうか。ソドムとゴモラが滅んだ後、アブラハムがゲラルというところに移り住んできたときのことです。20章のところで、ゲラルの王アビメレクが、サラを王室に召し入れた話がありました。アブラハムがサラを妻ではなくて、妹だと言ったからです。その時アビメレクに神様が現れて、サラを妻にしたならば、あなたは召し入れた女の故に死ぬ、と言われたのです。そしてその女を返さなければあなたも、あなたの家来も皆、必ず死ぬと言われたのです。この時、アビメレクは、アブラハムには神様がいて、とても不思議な力を使うことができるということを知ったのです。アビメレクはこの夢の後、アブラハムを呼び寄せて、サラを返し、「この辺りはすべて私の領土です、好きなところにお住いください」といったのです。アブラハムはここで、生活していたのですが、神様が祝福してくださっているので、どんどん羊も牛も増え、大きな力を持つようになってきたのです。そしてこのゲラルの荒れ野にある、井戸のことで、アビメレクの部下たちと争いになったのです。今日の話はそのあとの話で、その争いを調停するために、アビメレクとその軍隊の長、ピコルがやって来て、争わず、友好的な態度をとるようにと、契約を結ぶようになったのです。その話が今日の聖書には書いてあり、べエル・シェバというのは契約の井戸という意味でもあるのです。そしてその井戸の名前が、地名にもなったのです。
承
それではその話を聖書に沿って学んでいきましょう。22節から24節です。
創
21:22 そのころ、アビメレクとその軍隊の長ピコルはアブラハムに言った。「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。
創
21:23 どうか、今ここでわたしとわたしの子、わたしの孫を欺かないと、神にかけて誓って(シャバ)ください。わたしがあなたに友好的な態度をとってきたように、あなたも、寄留しているこの国とわたしに友好的な態度をとってください。」
創
21:24 アブラハムは答えた。「よろしい、誓いましょう。」
ここに書かれているように、アビメレクはアブラハムに和睦を求めています。アビメレクにはその争いの理由がわからなかったようですが、とにかく、自分がアブラハムに友好的な態度をとってきたように、あなたも、この国と私に対して有効的な態度をとってくださいと平和的に言っているのです。どうして軍隊も持っている王様のアビメレクが遊牧民のアブラハムにこんなにも丁寧に下手に出ているのかというと、アビメレクはアブラハムの力を知っていたのです。それはあのサラの時の出来事があったからです。ですから、今回も、「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。」と言って、神様を味方にしているアブラハムには、軍隊のある私でもかなわないと思って、和睦を求めているのです。そのアビメレクの提案に対し、アブラハムは「よろしい、誓いましょう。」と答えました。
そして、二人は契約を結ぶのですが、その時アブラハムはこう言ったのです。25節から27節です。
創
21:25 アブラハムはアビメレクの部下たちが井戸を奪ったことについて、アビメレクを責めた。
創
21:26 アビメレクは言った。「そんなことをした者がいたとは知りませんでした。あなたも告げなかったし、わたしも今日まで聞いていなかったのです。」
創
21:27 アブラハムは、羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り、二人は契約を結んだ。
アブラハムはここで、争いの原因になったのは、アビメレクの部下たちが、アブラハムの井戸を奪ったからだと言って、アビメレクを責めたのです。アビメレクはそのことを知らなかったので、「そんなことをした者がいたとは知りませんでした。あなたも告げなかったし、わたしも今日まで聞いていなかったのです。」と言って、初めて争いの原因を知ったのです。この井戸は、荒れ野にある、非常に貴重な井戸なのです。多くの羊や牛を飼っているアブラハムにとっては死活問題なのですが、アビメレクの部下たちと取り合いになっていたのです。二人はその理由を聞いて納得して、契約を結び、そのしるしとして、アブラハムが牛と羊をアビメレクに送って、契約を結んだのです。
転
そしてさらに、アブラハムは7匹の子羊を別にして、アビメレクに贈ったのです。28節から31節です。
創
21:28 アブラハムは更に、羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の小羊を別にしたので、
創
21:29 アビメレクがアブラハムに尋ねた。「この七匹の雌の小羊を別にしたのは、何のためですか。」
創
21:30 アブラハムは答えた。「わたしの手からこの七匹の雌の小羊を受け取って、わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」
創
21:31 それで、この場所をベエル・シェバと呼ぶようになった。二人がそこで誓いを交わしたからである。
アブラハムが契約の羊と牛とをアビメレクに贈った後、さらに羊の群れの中から、7匹の雌の子羊を別にして、贈ろうとしているので、アビメレクは不思議に思い、「この七匹の雌の小羊を別にしたのは、何のためですか。」と尋ねました。するとアブラハムはこう言ったのです。「わたしの手からこの七匹の雌の小羊を受け取って、わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」と言ったのです。ここではそのために、べエル・シェバ、すなわち、7匹の羊を贈って、証された、アブラハムの井戸、という名前になったと言っているのです。このベエル・シェバという名前になった、もう一つの伝承が、最初に書かれていた、神にかけて誓って(シャバ)契約された、井戸(ベエル)という意味もあるということです。いずれにしても、神様に誓ってアブラハムの物になった井戸か、7匹のメスの子羊を送って、アブラハムの物になったか井戸かの違いはありますが、ベエル・シェバというのはこの名前そのものがアブラハムの物になった井戸という意味となり、この地方の名前にもなったのです。あのハガルとイシュマエルが、べエル・シェバの荒れ野でさまよっていた時、神様によって与えられた井戸で救われたのが、このべエル・シェバなのです。
そのあと二人はどうしたでしょうか。32節から34節です。
創
21:32 二人はベエル・シェバで契約を結び、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った。
創
21:33 アブラハムは、ベエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ。
創
21:34 アブラハムは、長い間、ペリシテの国に寄留した。
二人が、ここで、契約を結ぶと、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った、と書かれています。20章ではアビメレクはゲラルの王様として書かれていましたが、ここではペリシテの王様という風に書かれています。ゲラル地方はペリシテの南端にある小さな地方なのですが、ペリシテと言えばずっと北にまで広がる地中海側の大きな国です。ダビデの時代やほかの時代でもよくイスラエルと争いのあった国です。ですからもしかすると、それぞれこの話が書かれた時代が違うのかもしれません。ここでは、アブラハムは長い間ペリシテの国に寄留したと書かれていますが、ベリシテの国のゲラル地方に寄留したものと思われます。長い間契約のおかげで、平和に過ごしたのです。アブラハムはこのべエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ、と書かれていますが、このぎょうりゅうの木というのは大きくなる木のようで、きっと遠くからでも見えるように、植えられたのだと思います。アブラハムにとってこの井戸は神様から与えられた井戸であるので、永遠の神、主の名をここで呼んだのです。
結
今日の話は、べエル・シェバという名前の原因譚ともいうべき二つの説が書かれている話です。一つは神にかけて誓って(シャバ)契約された、井戸(ベエル)という意味であり、もう一つは7匹の羊(シェバ)を贈って、証された、アブラハムの井戸(ベエル)という意味です。どちらもこの井戸がアブラハムの物であることを証しする話であり、このべエル・シェバという名前自体が、アブラハムの物であるということを示している話なのです。この井戸の話が、ハガルとイシュマエルがこのベエル・シェバで救われる話に関連付けて語られているのです。ここにも神様の業がなされていたのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、今日はべエル・シェバにまつわる話でしたが、ここにもあなたの御業が与えられ、アブラハムとアビメレクは契約を結んで、アブラハムは平和に過ごすことができました。アビメレクはアブラハムには神様が付いているので、力づくでは押し切れないと知っていたのです。それほどアブラハムの神様の力を感じていたのです。これは私たちも信仰の力によって、神様の栄光を表すとき、力づくで私たちをねじ伏せようとさせるものの思いを変えることができるかもしれません。神様、どうか私たちもトラブルの中にある時にはただあなたの栄光を表して、平和の裡にあなたが働かれることを信じていくことができますように。何よりも主を第一にすることができますように導いてください。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>
◆アビメレクとの契約
創
21:22 そのころ、アビメレクとその軍隊の長ピコルはアブラハムに言った。「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。
創
21:23 どうか、今ここでわたしとわたしの子、わたしの孫を欺かないと、神にかけて誓って(シャバ)ください。わたしがあなたに友好的な態度をとってきたように、あなたも、寄留しているこの国とわたしに友好的な態度をとってください。」
創
21:24 アブラハムは答えた。「よろしい、誓いましょう。」
創
21:25 アブラハムはアビメレクの部下たちが井戸を奪ったことについて、アビメレクを責めた。
創
21:26 アビメレクは言った。「そんなことをした者がいたとは知りませんでした。あなたも告げなかったし、わたしも今日まで聞いていなかったのです。」
創
21:27 アブラハムは、羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り、二人は契約を結んだ。
創
21:28 アブラハムは更に、羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の小羊を別にしたので、
創
21:29 アビメレクがアブラハムに尋ねた。「この七匹の雌の小羊を別にしたのは、何のためですか。」
創
21:30 アブラハムは答えた。「わたしの手からこの七匹の雌の小羊を受け取って、わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」
創
21:31 それで、この場所をベエル・シェバと呼ぶようになった。二人がそこで誓いを交わしたからである。
創
21:32 二人はベエル・シェバで契約を結び、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った。
創
21:33 アブラハムは、ベエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ。
創
21:34 アブラハムは、長い間、ペリシテの国に寄留した。