家庭礼拝 2019年11月13日 創世記 11:10-32 セムとテラの系図
起
バベルの塔の話が終わって、又系図の話が続きますが、よく考えて見ると、これは5章からずっとアダムから始まる系図の話をしていて、その中の主だったところで、ノアの話やバベルの塔の話が、挿入されていることが分かります。
今日はセムの系図のところから始まりますが、これは5章の系図の続きです。5章ではアダムの系図として、ノアまで書かれ、ここまで10代の系図でした。そしてその後にノアの洪水の話が来ますが、それがなければ、その系図の話は、この11章10節からの系図につながります。そしてそこではノアの子供の、セム、ハム、ヤフェトの中の長男セムの系図が書かれています。特にテラの系図が書かれているのは、テラがこれからの主人公のアブラムの父親だからです。その周辺の関係を詳しく説明しているのです。そしてこのセムからアブラムまでが10代となると言う事で、10代ごとに、大きな転換点が起こっているのです。最初に作られたアダムが肉の人となり、10代目のノアが、神に認められた人となり、20代目のアブラハムが信仰の人という風に進化しているのです。
それでは、10章に書かれたノアの子孫の系図はどんな意味を持っていたのでしょうか。今日の聖書の個所のセムの系図と同じように、ここではセム、ハム、ヤフェトの3人の系図が描かれているのです。でもその書き方は5章のようではなく、それぞれの部族がどのように生きていくようになったのかを詳しく書いています。むしろセムの子孫よりも、ハムの子孫のことを詳しく書いており、その子孫がバベルの塔を建てるまでになって、それを危惧した神様によって言葉を混乱させられ、全地に散らされていったのです。どちらかと言うと、セム以外の子孫たちがどのようになっていったのかを表しているのが10章の系図で、5章からの正統的な系図の流れは、この11章の10節から続く系図につながれているのです。ここではもうハムやヤフェトの系図のことは語られず、ただまっすぐにアブラムに至る系図を語り、そしてそこからアブラムの物語が始まるという流れとなっているのです。
テラの系図が特に詳しく書かれているのはその親子関係兄弟関係が複雑だからです。テラには三人の子供が生まれました。アブラム、ナホル、ハランです。アブラムはサラと結婚しましたが、子供が出来ませんでした。ハランには3人の子供が出来ました。男のロトと、女のミルカとイスカです。この男の子のロトはアブラムから見ると甥にあたるのですが、アブラムがテラたちと一緒にウルの地を出発して、ハランまで来るときも、またそのハランを出発してカナン地方に行くときもずっとアブラムについて行ったのです。というのもロトの父親のハランは若くして死んでしまったので、子供のいないアブラムが、父親代わりで面倒を見ていたのかもしれません。
このロトの女の兄弟ミルカはアブラムの弟ナホルと結婚しました。すなわちナホルから見ると姪と結婚したのです。この時代はこのような近親結婚は普通に行われていました。これもその父親のハランが若くして死んだことと関係しているのかもしれません。ナホルは身寄りのなくなったミルカを妻にもらって養ったのかもしれません。
このような兄弟関係や、その子供たちとの関係がこの系図の話から読み取れるのです。これらのことが語られているのは、これから主要な話になってくる、アブラムの背景を語るのに必要だったからです。
承
それでは聖書の語るセムの系図に入りましょう。10節と11節です。
創
11:10 セムの系図は次のとおりである。セムが百歳になったとき、アルパクシャドが生まれた。それは洪水の二年後のことであった。
創
11:11 セムは、アルパクシャドが生まれた後五百年生きて、息子や娘をもうけた。
セムに子供が生まれたのは、洪水の二年後で最初の子は100歳の時に生まれたアルパクシャドです。そしてそれから500年生きたと言う事ですから、600歳で死んだと言う事です。5章のノアまでの系図の話とセムからの系図の話で一番異なる表現の仕方は、ノアまでの系図の話では、だれだれは何歳まで生きて死んだ、というように、最後は死んだという言葉で終わるのです。人間は全て死ぬものであると言う事を強く印象付けるような書き方なのです。ところが、セムの系図の話では、死んだという言葉や何歳で死んだかと言う事は表現せず、最初の子供が出来てから何年生きていたか、という表現で表しているのです。ですから、その寿命は子供が生まれた年と、それから何年生きたかの年を足し合わせて、寿命を計算しなければならないような書き方をしているのです。すなわち、セムの子孫はいつ死んだかではなく、どれだけ生きたかという表現がなされているのです。そしてノアまでは人間は平均で1000年近い寿命を持っていたのですが、セムからはだんだん寿命が短くなり、現代の私たちと同じような寿命になってくるのです。神様が強くなりすぎる人間の寿命を120年にしようとされたからです。セムにはアルパクシャド以外にも多くの息子や娘がいたのでしょうが、そのことに関しては何も書かれていません。
セムの子供の二代目のアルパクシャドから9代目のテラまでの記述は、非常に事務的に何歳で最初の子供が生まれて、それから何年生きたかと言う事が書かれています。12節から26節です。
創
11:12 アルパクシャドが三十五歳になったとき、シェラが生まれた。
創
11:13 アルパクシャドは、シェラが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。
創
11:14 シェラが三十歳になったとき、エベルが生まれた。
創
11:15 シェラは、エベルが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。
創
11:16 エベルが三十四歳になったとき、ペレグが生まれた。
創
11:17 エベルは、ペレグが生まれた後四百三十年生きて、息子や娘をもうけた。
創
11:18 ペレグが三十歳になったとき、レウが生まれた。
創
11:19 ペレグは、レウが生まれた後二百九年生きて、息子や娘をもうけた。
創
11:20 レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた。
創
11:21 レウは、セルグが生まれた後二百七年生きて、息子や娘をもうけた。
創
11:22 セルグが三十歳になったとき、ナホルが生まれた。
創
11:23 セルグは、ナホルが生まれた後二百年生きて、息子や娘をもうけた。
創
11:24 ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた。
創
11:25 ナホルは、テラが生まれた後百十九年生きて、息子や娘をもうけた。
創
11:26 テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた
2代目のアルパクシャドからは子供ができる年が30歳前後になってきますが、テラがアブラハムをもうけた年は70歳となり、アブラハムは父親が年老いてから生まれた子供と言う事になります。これは5章のアダムの系図のところで、子供が生まれるのは大体50歳から100歳で多くの人が子供を作っているのに、ノアは父親のレメクが182歳の時に生まれた子供だし、ノアの子のセム、ハム、ヤフェトが生まれるのはノアが500歳の時という、非常に遅くなってからの子供であるというのに似ています。更にアブラハムの子イサクもアブラハムが年老いてからの子であることを考えると、何か大きな変革の時に生まれる子供は年老いた父親から生まれる子供たちであることを暗示しているような気がします。
これからの子孫はだんだんその寿命が短くなっていきます。2代目のアルパクシャドから、4代目のエベルまではその寿命が四百数十年であり、5代目のペレグから7代目のセレグまではその寿命が二百数十年に縮まり、8代目のナホルの時はその寿命が百数十年に縮まります。このように、セムからの10代で、その寿命は千年から百年に縮まっていくのです。それに応じて、子供をもうける年も少しずつ早まってきます。ですが、それと比較すると、テラやアブラハムはとても遅く子供をもうけるようになるのです。
転
これまでの系図は、セムからアブラハムにいたる系図を説明するためのつなぎのようなもので、これからが本題に入るのです。本題と言うのはアブラハムです。まず、27節と28節です。
創
11:27 テラの系図は次のとおりである。テラにはアブラム、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。
創
11:28 ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだ。
まず、テラには3人の子供が生まれました。それが、アブラムとナホルとハランです。アブラムとはアブラハムの若い時の名前です。この中で、ハランにだけトロと言う子供が生まれました。ほかにはまだ子供がいなかったのです。このとき、セムの直系になるのはロトだけという状況だったのです。実はこの後に出てきますが、ハランはロトのほかに、ミルカとイスカと言う女の子供をも設けました。ですが、ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだと書かれていますから、きっと若死にしたのだと思います。そしてその娘ミルカはアブラハムの弟ナホルと結婚するのです。アブラムはすでに結婚してサラと言う妻がいましたが、子供ができなかったのです。ですから、この時点で、セムの直系の男の子はロトしかいなかったので、アブラムはこのロトの面倒を父親のようによく見たのです。
これらの事情のことは、29節から32節にこのように、詳しく書かれています。
創
11:29 アブラムとナホルはそれぞれ妻をめとった。アブラムの妻の名はサライ、ナホルの妻の名はミルカといった。ミルカはハランの娘である。ハランはミルカとイスカの父であった。
創
11:30 サライは不妊の女で、子供ができなかった。
創
11:31 テラは、息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロト、および息子アブラムの妻で自分の嫁であるサライを連れて、カルデアのウルを出発し、カナン地方に向かった。彼らはハランまで来ると、そこにとどまった。
創
11:32 テラは二百五年の生涯を終えて、ハランで死んだ。
アブラハムたちが住んでいたのは、カルデアのウルの地です。これはユーフラテス川の河口近くの町です。その近くにはハム族の子孫たちが住んでいたシンアルの地がありました。そこにあの有名なバベルの塔も建てられたのです。なぜアブラハムの父テラはこのカルデアのウルの地を去ってカナン地方に向かったのかはわかりませんが、たぶんハム族の異教的な教えから離れるためにカナン地方に移ろうと思ったのではないかと思います。ですが、カナン地方に行く前にハランと言うところまで来るとここにとどまるのです。ハランと言うのは今のシリアとトルコの境界近くの山岳地帯です。カナンの地というのはエルサレムのある地方ですから、ウルの地から西に進めばいいのではないかと思うのですが、そこは砂漠地帯なので、わざわざ北に回って南に回り込んでくる道を通っているのです。その途中にあったのがハランで、そこに住み着いてしまったのです。たぶん父親のテラが年老いて旅をするのが困難になったのではないかと思います。この時アブラハムはサライと結婚していましたが、子供ができなかったのです。サライはのちのサラの若い時の名前です。
テラがカナン地方に向かった時に連れて行ったのは、息子アブラムとその妻サライ、そして孫のロトです。アブラハムの弟ナホルはついてこなかったし、もう一人の弟ロトの父は死んでしまっていたのでした。ですから、この一行はおじいさんのテラとアブラハム夫婦とその子供の様に面倒を見ていたロトと言う事になるのです。テラは205年の生涯を終えて、ハランで死んだと書かれています。
ウルの地を去ってカナンに行こうとしたのはテラなのかアブラムなのかははっきりわかりませんが、私は、アブラムがウルの地を去ろうとして、年老いたテラとみなしごのロトを連れて行ったと言う事ではないかと思っています。それをさせたのはアブラムの信仰心がそうさせたとしか考えられないからです。
結
アダムの系図はついにアブラハムに行きつきました。神様と最初の契約を結んだのはノアですが、アブラハムは、神様との多くの契約を結びました。アブラハムはその契約を守り、神様との信仰の内に生きました。ここまでの旧約聖書の、創造物語は、このアブラハムのことを語るために準備されてきたのです。それはこの旧約聖書が、ついにはイエスキリストを語るために準備されてきたのと同じなのです。
そして、人間にとって何が一番大切かを教えているのです。それは神様との関係です。神様から離れた人間は滅びに居たり、神様と結びついた人は永遠の命を得たと言う事です。このことを語るために、旧約聖書が語られ、新約聖書が語られているのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、あなたの創造の歴史を読み解くことができまして感謝であります。人間にとって、あなたに聞き従うことこそ一番大切なことであることを教えられるものです。それなくしては人間に平安はなく、善い行いもできません。どうか自分の思いをあなたにゆだねて、信仰によって歩むことができますように。そしてあなたの御心を行うよき人となることができますように。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>
◆セムの系図
創 11:10 セムの系図は次のとおりである。セムが百歳になったとき、アルパクシャドが生まれた。それは洪水の二年後のことであった。
創 11:11 セムは、アルパクシャドが生まれた後五百年生きて、息子や娘をもうけた。
創 11:12 アルパクシャドが三十五歳になったとき、シェラが生まれた。
創 11:13 アルパクシャドは、シェラが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。
創 11:14 シェラが三十歳になったとき、エベルが生まれた。
創 11:15 シェラは、エベルが生まれた後四百三年生きて、息子や娘をもうけた。
創 11:16 エベルが三十四歳になったとき、ペレグが生まれた。
創 11:17 エベルは、ペレグが生まれた後四百三十年生きて、息子や娘をもうけた。
創 11:18 ペレグが三十歳になったとき、レウが生まれた。
創 11:19 ペレグは、レウが生まれた後二百九年生きて、息子や娘をもうけた。
創 11:20 レウが三十二歳になったとき、セルグが生まれた。
創 11:21 レウは、セルグが生まれた後二百七年生きて、息子や娘をもうけた。
創 11:22 セルグが三十歳になったとき、ナホルが生まれた。
創 11:23 セルグは、ナホルが生まれた後二百年生きて、息子や娘をもうけた。
創 11:24 ナホルが二十九歳になったとき、テラが生まれた。
創 11:25 ナホルは、テラが生まれた後百十九年生きて、息子や娘をもうけた。
創 11:26 テラが七十歳になったとき、アブラム、ナホル、ハランが生まれた。
◆テラの系図
創 11:27 テラの系図は次のとおりである。テラにはアブラム、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。
創 11:28 ハランは父のテラより先に、故郷カルデアのウルで死んだ。
創 11:29 アブラムとナホルはそれぞれ妻をめとった。アブラムの妻の名はサライ、ナホルの妻の名はミルカといった。ミルカはハランの娘である。ハランはミルカとイスカの父であった。
創 11:30 サライは不妊の女で、子供ができなかった。
創 11:31 テラは、息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロト、および息子アブラムの妻で自分の嫁であるサライを連れて、カルデアのウルを出発し、カナン地方に向かった。彼らはハランまで来ると、そこにとどまった。
創 11:32 テラは二百五年の生涯を終えて、ハランで死んだ。