家庭礼拝 2019年11月6日 創世記 11:1-9 バベルの塔

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起 

 今日学ぶ11章は前半がバベルの塔の話で、後半がセムの系図とテラの系図となり、12章のアブラハムの召命へと続くのです。10章もノアの子孫の話で、ずっと系図の話をしていました。ですからノアからアブラハムにいたる系図の話の中に、突然このバベルの塔の話が差し込まれているのです。

 それで、今回は短い文章ですが、このバベルの塔だけを取り上げることにしました。ですが、この話の教えるところはほかの系図の話よりもずっと私たちにいろいろなことを教えてくれるものだと思います。

 このバベルの塔の舞台になるのはシンアルの地と呼ばれるメソポタミヤ地方です。南の方はバビロニアと呼ばれ、北の方はアッシリアと呼ばれていました。10章のハムの子孫たちはバベルと言う街を作っていたし、アッシリア地方にも進んでいました。ですからこのバベルの塔はバビロニアのバベルに建てられたた塔と言う事になるかも思います。

 このバベルの塔の物語はどうしてこの系図の中間に入れられたのでしょうか。この後に続く系図はセムの系図であり、そしてその子孫のテラの系図です。テラはアブラハムの父親であり、その子アブラハムがカルデアのウルの地を出発してカナンの地へ向かうところまでが書いてあります。すなわち、このバベルの塔の話の後はセムの子孫の話しか出てこないのです。と言う事は、ハムの子孫の話はこのバベルの塔で終わりと言う事なのです。

 このバベルの塔の話は人間の傲慢さの象徴となる話です。それはハムの子孫がどんどん勢力を広げていき、町々を造り、バベルと言う街も作りました。その時に一つの大きな技術革新が起こったのです。それは石器時代から鉄器時代に移るような技術革新が起こったのです。それは何かというとレンガの発明です。それまで泥や漆喰で作っていた建築物が、煉瓦とアスファルトによって、非常な堅固な建築物が出来るようになりました。このことによってますます都市化が起こり、人々はその技術革新によって何でもできるような高揚感を覚えていたのです。そして、神様なんかいなくても自分たちの力で何でもできるような錯覚を覚えていたのです。これは現代の技術革新を髣髴とさせるのです。現代も、コンピューターによる情報革命という技術革新や、遺伝子操作によって、まるで神様にしかできないようなことをやり始めているのです。そして、この技術は人工知能までも生み出して、もはや人間の能力をはるかに超えるようになってきました。この先どうなってしまうのかを危ぶむ人々も増えてきています。聖書はこのような技術革新の行きつくところは何かを、このバベルの塔の物語で教えてくれているのです。

 このバベルの塔を造っている頃は世界は一つの言葉によって成り立っていました。ですから、とても意思疎通が良かったのです。そして、世界中の人が同じようなことを考えて進んでいたのです。そして最後にはどんなことを考えていたかと言うと、このレンガの技術を使って、天まで届く塔のある街を立てて、有名になろうとしました。それは散らされないように、力を合わせられるように一致団結するためでした。そうすれば、神様がいなくても何でもできると思っていたからです。有名になって、自分たちが神様のようになろうとしていたのです。それを見ていた神様は一体どうしたでしょうか。神様はこの人々の危険を感じ、意思疎通がうまくできないように言葉をバラバラにして分断したのです。これがハム族の行き着く先だったのです。現在の社会が、この技術革新とともに分断社会となっていることに、このバベルの塔の時代と同じものを感じるのですが、いかがでしょうか。はたして現代社会はどのようになってしまうのでしょうか。

それでは聖書の11章1節から3節です。

創 11:1 世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。

創 11:2 東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。

創 11:3 彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。

 この章の書き出しは、この世界がどのように動いていたのかを表しています。まず世界中は同じ言葉を使って、同じように話していたというのですから、非常にコミュニケーションは良く、何をするにも効率よく行えたのだと思います。そして、東の方から移動してきた人々はシンアルの地に平野を見つけてそこに住み着いたとありますが、このシンアルの地とはメソポタミヤ地方です。バビロニア地方のバベルと言うところに街を作ったのです。この時代は、いろいろと技術が進み、技術が進むと都市化が起こるのが歴史の教えるところです。東から来た人々はそこに都市を造って住み着いたのです。東から来た人々と言うと、セム族のようですが、バベルの町はハム族が作った町ですから、ハム族はもっと東までも広がっていたのかもしれません。この人々は煉瓦をたくさん作ろうと、話し合ったのです。それを使い石の代わりに煉瓦を用い、漆喰の代わりにアスファルトを使って、堅固な建物を造って、今までにない大きな建物を造ろうと考えたのです。これは建物に関する技術革新なのです。

その新しい技術を使って、この人々は何をしようとしたのでしょうか。4節です。

創 11:4 彼らは、「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。

 すなわち、この人々はその新しい建築技術を用いて、天まで届く塔のある街を立てて有名になろうとしたのです。そして、その一族がバラバラになって力が弱くならないように、全地に散らされることのない様に、その結束のシンボルを造ったのです。本当は結束のシンボルは神様であるはずだったのです。ですから立てるとすれば神殿を立てて、神様のもとに一つとなることが、神様の喜ばれることだったのです。ですがこの人々は自分たちには何でもできると思い始めて、神様無しでも自分たちだけで結束してなんでもできるようにしようとしたのです。ですから、神様に対抗するように、その塔は天まで届くような塔でなければならないのです。

この様な都市化が進んで、神様から離れていくような出来事は前にもありました。それは弟アベルを殺したカインの子孫たちでした。特にレメクの代になって、自分は二人の妻を持つようになり、子供たちは竪琴や笛を奏でる者の祖先となり、また別の子供たちは青銅や鉄で様々な道具を作りました。ここには文化の革新や、技術の革新が起こって都市化が進み、この一族は強大な力を持つようになったのです。そして自分たちに逆らうものは、すべて滅ぼしてしまおうという傲慢な人々が起こってきたのです。それがために、神様はついに洪水によって人類を滅ぼすに至り、ノアの一族だけを助け出したのです。

さて、このようなバベルの高い塔を建て始めた人間に対し、神様はどうしたでしょうか。危険を感じたのでしょうか。5節から9節です。

創 11:5 主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、

創 11:6 言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。

創 11:7 我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」

創 11:8 主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。

創 11:9 こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。

 この大きな塔を造り始めたこの町を、神様はわざわざ人間の世界に下って来て、見に来たのです。そのやっていることが心配になったのです。そしてこのようになってしまった原因をこう言いました。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。」神様はこう考えたのです、人間が一つになって、一つの言葉で物事を企てると、なんでもやってしまうようになる。神様から離れて、危険な状態になるだろう。そう考えたのです。そしてこう言いました。「我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」すなわち神様がやろうとしたのは社会を分断して、言葉が通じないようにして、あまり大きなことを考えることが出来ないようにしたのです。人々は言葉が通じなくなったので、何の目的でそこにいるかもわからなくなり、そこにいる必要がなくなって、全地に散らばって行き、この町の建設をやめてしまったのです。本当だったら、神様はノアの時と同じように洪水でまた全てを滅ぼして、また最初からやり直したいと思われたのかもしれませんが、それはもう二度としないと言う事で、言葉を乱すだけでとどめてくれたのです。

これは今のネット社会が、世界中の人々をつなぎ合わせ、まるで一つの生き物のようにして、世界中に大きな変革を起こしていることを髣髴とさせます。世界の人口は増大し、生産規模は拡大し、環境を顧みずに、どんどん前へ進んでいます。どこに行きつくかもわからない走り方をしているのです。このような社会を見て、神様はどのように思われるのでしょうか。この走りすぎる人類の動きを見て、神様が、このようになったのは社会があまりに便利になり、コミュニケーションが簡単になったからこんな大きなことをやるようになったに違いない。この社会を分断して、もっとゆっくり進むようにしようと思われないでしょうか。

技術革新や、都市化が悪いわけではありません。その様な状況が起こると人間は傲慢になり神様を忘れた進み方をするから、神様は危機感を感じるようになるのです。神様の思いを忘れずに、進むならばそれは立派な進歩を遂げるのです。それを指し示しているのが、アブラハムの信仰なのです。神様は、ハム族のように技術革新に溺れるものではなく、セム族のアブラハムのように、神様への信仰に根差した生活をするようにと言う事を指し示しているのです。

 人類の技術革新は、人類にすばらしい恵みを与えてくれますが、そのことによって神様の恵みを忘れ、自分たちで何でもできると考えるところに、神様の怒りを買うところがあり、滅びに至る道があります。カインの末裔がそうであり、ハムの末裔がそうでありました。ですが、現代の人類は大丈夫でしょうか。この素晴らしい技術で、神様だけが無しうることを人類もできると思ってはいませんでしょうか。世界中をスマホ一つで、情報交換し、飛行機に乗ればどこにでもすぐ行け、月にでも火星にでも行くことも出来ます。遺伝子操作により、治らない病気は治り、死なない人間も出てくるのかもしれません。人間の欲望が、どこまで行くのかわかりません。この自然を破壊してでもまだまだ大丈夫と思っているところがあります。神様の怒りがどこで落ちるのかわかりません。人類の分断はすでに起こっています。富んでいるものと貧しいもの、南の国と北の国、若い人々と大人の人々、宗教の違う人々、肌の違う人々、この様な間でだんだん分断の溝は深くなり、どうなってしまうのだろうかと心配するのです。技術革新のスピードを人間はコントロールできるでしょうか。神様の裁きを受けてしまうのでしょうか。

 

(一分間黙想)(お祈り)

天の父なる神様。あなたの恵みによって、私たちが生かされていることを忘れることがありませんように。私たちのできることはわずかなものです。いつもあなたに行くべき道を尋ね、あなたの指し示す道を歩んでいくことができますように。私たちが聖書の教える出来事を理解して、技術革新に溺れることなく、信仰によって歩んでいくことができますように。どうか人類全体が、落ち着いた調和の取れた歩みをすることができますように。この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン

 

 

<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>

  

◆バベルの塔

創 11:1 世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。

創 11:2 東の方から移動してきた人々は、シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。

創 11:3 彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。石の代わりにれんがを、しっくいの代わりにアスファルトを用いた。

創 11:4 彼らは、「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。

創 11:5 主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、

創 11:6 言われた。「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。

創 11:7 我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」

創 11:8 主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。

創 11:9 こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。