家庭礼拝 2019年10月2日 創世記 6:1-22 洪水(箱舟を造る)
起
今日の聖書の個所は、ノアの物語です。人間が生まれてから約千年、10代目のノアの頃になって来ると、この世界の罪深さがだんだん大きくなってきました。罪深い人間と言えば、まず、アダムとエバであり、神様の戒めを守りませんでした。次はカインで、弟のアベルを妬みのために殺してしまいました。カインはアダムとエバの元を離れて、自分で街を作りました。そこには二代目のカインから、7代目のレメクまでが住んでおり、レメクはその繁栄のために傲慢になって、自己中心の世界を作っていました。カインに続く罪深いものはこのレメクなのです。このレメクは、さらに八代目のやバルや、ユバルをもうけて繁栄したのです。アダムの系図の時にはセトの子孫の9代目まではアダムが生きていたので、このカインの子孫の8代目の時もアダムは生きていたと考えられます。
そしてこのレメクに続く罪深いものが、ネフィリムという巨人たちなのです。このネフィリムとは天使が人間の娘に入って子供を産ませたもので、体は大きく寿命も長く人間の悪はますます大きくなっていったのです。このネフィリムはカインの子孫だけでなく、セトの子孫にもいたのかもしれません。とにかく、神様が作った人間の世界は、天使までもが絡んでめちゃくちゃになり、神様が思い描いていた世界とは違ってきたのです。
このころの人の寿命は、千年ほどもあり、それは神様の霊によって支えられて長生きしていたのですが、天使が生ませた子孫も、神の霊によって巨人となって、強い部族を作っていたのです。それで、神様はこれでは、人間たちが、神様の霊をもって強くなりすぎると思ったので、人の寿命を短くし、120年までとしました。
人間たちが、悪いことばかりを考え、神様の言葉を聞こうとせず、その時の快楽のみを追い求めるような世界になっていったのです。そして神様は、人間を作ったことを後悔するようになったのです。
神様は間違いをしないというのが、私たちのイメージですが、ここでは神様が人間を作ったことは失敗だったと後悔しているのです。そしてその結果、神様は人間をすべて滅ぼすことを考えて、やり直すことにしたのです。そしてそこにノアの物語が起こるのです。この6章では、実は二つの物語が混在しています。旧約聖書と言うのは三つの資料からなっていて、それらを編纂したものですが、同じような話が二度続く時には、その資料を並列させていると考えられます。アダムが作られたときの話にもそのような場面がありました。このノアの物語の場合には、1節から8節まではJ資料で、9節の、これはノアの物語であると言って、始まるのはP資料です。J資料と言うのは、神様をヤハウェと呼ぶことからその頭文字をとって、J資料と呼ばれ、人間救済をテーマに描かれています。後半のP資料は祭儀的資料で、歴史的事実を事務的に書いてあるような資料です。でもノアの場合はむしろ物語的になっています。
承
では聖書を読んでみましょう。前半のJ資料によるものです。1節から4節です。
創
6:1 さて、地上に人が増え始め、娘たちが生まれた。
創
6:2 神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。
創
6:3 主は言われた。「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」こうして、人の一生は百二十年となった。
創
6:4 当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、神の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。
このころ地上には人がどんどん増えていきました。数からいえば数億人もいたのかもしれません。神様の祝福とは、この人の数がどんどん増えていくのが祝福でした。人の寿命は千年もあって、しかも子供をどんどん生んでいくのですから、人が増えるのも当然です。よくそれだけの人間を養う食糧が得られたなという思いです。ここにもう一つややこしい話が起こります。神の子らが、人の娘たちが美しいので、各々選んだものを妻にしたというのです。神の子らと言うのは天使たちです。天使たちが人間と結婚するという、複雑な状態が出来たのです。このころの人間には神様の霊がとどまっていました。天使と結婚して生まれたネフィリムにはなおさら、神様の霊に満たされていました。神様の霊がとどまっているために人の寿命が長く体は大きかったのです。そして彼らは英雄としてあがめられました。ですが、神様は神様の霊が人間の中にいつまでもとどまっているのは良くないと思い始めました。そして、人間は肉に過ぎないのだから、人の一生は120までとしようと神様は決めたのです。それから急に人間の寿命は短くなるのです。
それでも人間は、悪いことばかりを考えていました。それで、神様は大きな決心をすることになりました。5節から8節です。
創
6:5 主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、
創
6:6 地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。
創
6:7 主は言われた。「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」
創
6:8 しかし、ノアは主の好意を得た。
神様はどんな決心をしたのでしょうか。それは人間がいつも悪いことばかり思い計っているので、神様は人間を作ったことを後悔し、心を痛められたのです。神様の思い描いていた人間の国は、神様を中心にして、互いに愛し合い助け合う、楽園の国だったのですが、カインの子孫のレメクのように、自分の言うことを聞かないものは皆殺してしまえというような、自己中心的で、傲慢で、暴力的な世界になっていたのです。ですから神様は地上に人を造ったことを後悔してこう言われたのです。わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」神様は人類を皆、この地上から拭い去って、悪いものを取り除こうとしたのです。それは人類だけでなく、家畜も這うものも、空の鳥も、これらの動物たちも全部取り除こうというのです。これらの動物には何の罪もないのですが、人間の責任のために、これらの動物もみな犠牲になろうとしているのです。ところがその中で、ただ一人、ノアだけが神様の好意を得たのです。
転
J資料による話はここまでですが、次からはP資料によるノアの話が始まります。これは今までの話とは独立に、このように始まります。9節から13節です。
創
6:9 これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。
創
6:10 ノアには三人の息子、セム、ハム、ヤフェトが生まれた。
創
6:11 この地は神の前に堕落し、不法に満ちていた。
創
6:12 神は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた。
創
6:13 神はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。
この物語は、これはノアの物語である、と宣言して始まります。これは単なる歴史的な話ではなく、神様とノアの信仰の物語となるからです。ノアとはどのような人かと言うと、その世代の中で、ノアは神様に従う、純真な人であったと言われます。この時代の人々は穢れ堕落し、神様に従おうとするものはほとんどいなかったのです。ノアはその中で、神様と共に歩んだ、極めて奇特な人だったのです。
ノアには三人の息子、セム、ハム、ヤフェトが生まれたとあります。カインの系図のところでは、ノアは500歳になった時、セム、ハム、ヤフェトをもうけたとあります。これはとても年老いてからの子供です。今でいうと、ほかの人達は20歳前に子供をもうけているのに、50歳になってから子供をもうけたようなものです。
神様がこの地をご覧になって、それが堕落の道を歩んでいるのを見て、ノアにこういうのです。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。」そう言ったのです。そしてそのことをノアにだけは知らせたのです。なぜならば、神様はノアだけは助けてやろうと思っていたからです。
神様はノアにこう命じました。それはノアとノアの家族を助けるためです。14節から17節です。
創
6:14 あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟には小部屋を幾つも造り、内側にも外側にもタールを塗りなさい。
創
6:15 次のようにしてそれを造りなさい。箱舟の長さを三百アンマ、幅を五十アンマ、高さを三十アンマにし、
創
6:16 箱舟に明かり取りを造り、上から一アンマにして、それを仕上げなさい。箱舟の側面には戸口を造りなさい。また、一階と二階と三階を造りなさい。
創
6:17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。
神様がノアに命じたのは、大きな箱舟を造ることでした。それは洪水に備えて、その船で逃れるためですが、ノアは神様の指示を疑うことなく逆らうことなく、神様が命じたように従うのです。神様が造るように命じた大きな箱舟とは、どのようなものでしょうか。その時の寸法の単位がアンマという単位です。これは肘から、中指の先までの長さで、およそ45㎝です。自分の腕で測ってみたら、本当に45㎝でした。ですがこれを簡単に50㎝として、換算している資料もよく見かけます。その換算で計算すると、長さ150m、幅25m、高さ15mで、三階建てです。ですから一階の高さは5mもある大きな部屋です。その船の材料はゴフェルの木ですが、このゴフェルと言う言葉は聖書の中でここにしか出ていない珍しい言葉です。ですからその意味ははっきりしておらず色々な説はありますが、本当のところはわからないのです。その船の中には小部屋がいくつもあり、船の外側にはタールを縫って、腐らないようにそして、水が入らないようにしてあるのです。そして、側面には戸口を作ってあり、上の方には明り取りも造るように命じました。
そして神様はこう宣言するのです。「見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。」
そして、ノアの家族だけを救おうとして、ノアと神様の契約が結ばれるのです。この契約と言うのは今のように契約書を書いてハンコとサインをすると言う事ではなく、契約するとは、約束したことは必ず実行するということを表しているのです。18節から22節です。
創
6:18 わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。
創
6:19 また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。
創
6:20 それぞれの鳥、それぞれの家畜、それぞれの地を這うものが、二つずつあなたのところへ来て、生き延びるようにしなさい。
創
6:21 更に、食べられる物はすべてあなたのところに集め、あなたと彼らの食糧としなさい。」
創
6:22 ノアは、すべて神が命じられたとおりに果たした。
ノアと神様が建てた契約はこうでした。それはまず、この箱舟に入ることができるものはノアの家族、すなわちノアの妻と子供、そしてその子供の嫁たちがその箱舟に入りなさいと言われました。次には、すべての動物たちの雄と雌の一ツガイを箱舟に連れて入り、ノアとともに生き延びるようにしなさいと言う事でした。更に、食べられるものは全てその船に積み込み、人間と動物の食料としなさい、と言う事でした。ノアは、全て神様が命じられたとおりに果たしたのです。
このノアのすばらしいのは、非常に地味で目立たないのですが、神様が命じられることには何一つ逆らわず、命じられたとおりに行うことなのです。箱舟を造ることも、動物たちを集めて箱舟に入れることも、そんなこと本当にする必要があるのだろうかなどと考えることなく、全て神様が命じられることだからと信じて、そのとおり行ったのです。それはアブラハムの信仰に通じるものがあるのです。
結
ノアの時代の人達は、多くの罪を犯し悪いことばかり考え、利己的で暴力的でした。ですがその中にあって、ノアは神様と共に歩み続けたので、神様から、好意を得られ救われるものとして、箱舟を造ることを命じられました。ノアは神様の命じるままにその大きな箱舟を大変な労力と時間をかけて、造り、そして神様が命じるように、多くの動物の一ツガイとその食料をこの大きな箱舟に集めたのです。この人間には考えられないことを、ノアは嫌がることなく、ただ神様の命じることを黙々としてやり遂げたのです。このことを神様は良しとされて、ノアの家族を救うことになります。そしてそれまで、繁栄と快楽を享受していた、ほかの人々は全て洪水によって滅ぼされ、ノアの家族だけが残ったのです。ですから人類はこのノアの家族の子孫であり、その子のセム、ハム、ヤフェトの子孫なのです。その内ユダヤ人たちはセム族と言われる、セムの子孫となるのです。セム族と言うのはアッシリア人、アラビヤ人、アラム人、ヘブル人の先祖となったのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、ノアは罪深い者たちが住む人間の地にあって、ただ神様の方を向き神様と共に歩み、神様の言われることに従って歩みました。そのことを神様は喜び、ノアの家族だけは滅ぼさずに救済しようとされました。神様を忘れて罪に陥った人々はみな洪水で滅ぼされてしまいました。どのような繁栄や享楽にあったとしても、神様を忘れて生きるものは、滅ぼされるものです。ノアは何時でも神様と共に歩み神様に喜ばれるものとなりました。私たちの模範となる方です。どうか私たちもまた、世の繁栄や享楽に惑わされることなく、ただ神様と共に歩む歩みをしていくことができますように。
この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(旧約聖書:◇創世記)>>
◆洪水
創 6:1 さて、地上に人が増え始め、娘たちが生まれた。
創 6:2 神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。
創 6:3 主は言われた。「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」こうして、人の一生は百二十年となった。
創 6:4 当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、神の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。
創 6:5 主は、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計っているのを御覧になって、
創 6:6 地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。
創 6:7 主は言われた。「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」
創 6:8 しかし、ノアは主の好意を得た。
創 6:9 これはノアの物語である。その世代の中で、ノアは神に従う無垢な人であった。ノアは神と共に歩んだ。
創 6:10 ノアには三人の息子、セム、ハム、ヤフェトが生まれた。
創 6:11 この地は神の前に堕落し、不法に満ちていた。
創 6:12 神は地を御覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なる者はこの地で堕落の道を歩んでいた。
創 6:13 神はノアに言われた。「すべて肉なるものを終わらせる時がわたしの前に来ている。彼らのゆえに不法が地に満ちている。見よ、わたしは地もろとも彼らを滅ぼす。
創 6:14 あなたはゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟には小部屋を幾つも造り、内側にも外側にもタールを塗りなさい。
創 6:15 次のようにしてそれを造りなさい。箱舟の長さを三百アンマ、幅を五十アンマ、高さを三十アンマにし、
創 6:16 箱舟に明かり取りを造り、上から一アンマにして、それを仕上げなさい。箱舟の側面には戸口を造りなさい。また、一階と二階と三階を造りなさい。
創 6:17 見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊をもつ、すべて肉なるものを天の下から滅ぼす。地上のすべてのものは息絶える。
創 6:18 わたしはあなたと契約を立てる。あなたは妻子や嫁たちと共に箱舟に入りなさい。
創 6:19 また、すべて命あるもの、すべて肉なるものから、二つずつ箱舟に連れて入り、あなたと共に生き延びるようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。
創 6:20 それぞれの鳥、それぞれの家畜、それぞれの地を這うものが、二つずつあなたのところへ来て、生き延びるようにしなさい。
創 6:21 更に、食べられる物はすべてあなたのところに集め、あなたと彼らの食糧としなさい。」
創 6:22 ノアは、すべて神が命じられたとおりに果たした。