起
今日の聖書の個所は霊について語られています。現代の私たちには、霊と言うのは何か特別のことのように思います。霊と出会うと言うのはめったにないことのように思われます。私達のよく知る霊は聖霊なる神様です。ですが、今日の個所では偽りの霊と真実の霊について語られており、その見分け方も語られています。当時の世界には、霊がたくさんいたのです。何をするにも霊が語り掛け、霊が導き、霊が邪魔をするのです。霊が病気を呼び込み、霊が、清めてくれます。日本にも昔は八百万の神様がいて、どんなものにも神様が潜んでいたのです。家の神様、井戸の神様、山の神様、木の神様、風の神様、数えればきりがないから、八百万の神と言うのです。その神のいるところには霊がいるのです。ですからいつもその霊のご機嫌を取り、霊の怒りを被らないように注意して生活をしていたのです。霊と言うのはこの宇宙に満ち満ちていたのです。
ですが一神教であるユダヤ教には、本当の神様はただ一人の神様しかいないとして、ほかの神様と言うのは単なる偶像に過ぎないとしたのです。ですがそれでも、見えない姿で人間に影響を及ぼす、いろいろな霊がいることを意識していました。人間にいろいろな知恵を与え、導きを与えました。ですがその霊が偽りの霊であるとすると、間違った知恵を与え、間違った方向に導こうとします。そして最後は死に至るのです。それに対して真実の霊と言うのは、人を生かし神様のもとへと導く霊です。
霊は単独で働くのではなく、いつも人間を通して働きます。その霊が働く時ある人は預言者となって、神の言葉を取り次ぎます。またある時には、悪霊を追い出し、清めを行い、癒しを行うこともあります。又ある霊は、人々を快楽へと誘惑し、罪へと導き、神様から引き離そうとします。霊の力は超人間的ですから、どの霊も人間から見れば恐ろしいものであり、驚異的なものなのです。ですから霊が語り掛けてきたと言えばどの霊にでも従ってしまおうとするのです。ですが今日のヨハネの手紙では、その霊の中にも偽りの霊と真実の霊がいるから、偽りの霊に惑わされてはいけないと教えているのです。そしてどうすれば真実の霊に従って行けるのかを教えてくれたのです。
承
それでは聖書から、ヨハネの教えを学んでみましょう。まずこの霊の話になったのは、その前の章で、「神が私たちの内にとどまってくださることは、神が与えてくださった霊によってわかります。」と言った言葉から始まったのです。神様が私たちの内にいるかどうかが、神様与えてくださった霊によってわかると言うけれども、それが本当に神様が与えてくださった霊かどうかをどうして知ることができるでしょうか。もしかするとその神様の霊のささやきと思っていたのが、悪霊のささやきであるかもしれないからです。すべての霊が、聖霊ではないのです。ですから、ヨハネは1節でこう言いました。
1ヨハ
4:1 愛する者たち、どの霊も信じるのではなく、神から出た霊かどうかを確かめなさい。偽預言者が大勢世に出て来ているからです。
ヨハネがこう言ったのには理由がありました。当時色々な予言者がいたのです。預言者たちはそれぞれ、霊の導きによって、霊に満たされて語っているので、普通の人にはそれが良い霊なのか悪い霊なのか区別がつかないのです。霊に満たされて語る言葉には力があるので、すぐその言葉に影響されてしまいます。ヨハネはその予言者の中には偽預言者もいるから気をつけなさいと言います。偽預言者と言うのは神様のことを語っても、神様の霊によって語っているのではないから、間違った教えに導かれ、死に至るから気をつけなさいと言っているのです。霊に満たされるものがすべて正しい霊ではないと言っているのです。神様の霊によるものでなければそれは偽預言者であるから信じてはいけないと言っているのです。
それでは、どのようにして、その霊が神によるものかどうかを知ることができるでしょうか。それをヨハネはこのように語ります。2節と3節です。
1ヨハ
4:2 イエス・キリストが肉となって来られたということを公に言い表す霊は、すべて神から出たものです。このことによって、あなたがたは神の霊が分かります。
1ヨハ
4:3 イエスのことを公に言い表さない霊はすべて、神から出ていません。これは、反キリストの霊です。かねてあなたがたは、その霊がやって来ると聞いていましたが、今や既に世に来ています。
このように、神から出た霊かどうかを知る方法は、イエス・キリストが肉となってこられたと言う事を公に言い表しているかどうかでわかると言うのです。すなわちこれは、イエス・キリストが、まことの人間としての肉体を持ってこられたと言う事なのです。当時の新しい教えはギリシャ哲学に影響されており、教会の中でもグノーシスと言う教えが、広まっていました。それは物質は全て穢れたものである、従って人間の肉体も穢れたものである。清いのは精神だけである、だから体などは無視して、その精神的な生き方をするのが清い生き方なのだと、もっともらしく教えるのでその教えに誘われてしまう人が多くいたのです。ですがヨハネはイエス様が人間の肉体をとってこの世にあらわれたということにこだわります。なぜならば、救い主が人間と違って、霊的なものだけであるならば、決して人間の苦しみや悲しみを理解することが出来ず、本当に私たちの思いを理解できるはずはないと考えているのです。イエス様が、本当に人間として表れてくださったから、人間の心からの叫びや苦しみを理解して救い出してくださったのだと言っているのです。一方、グノーシスの人々は、イエスがメシヤとして表れたとは考えられない。なぜならば、メシヤはそのような穢れた人間の姿をとって現れるはずはないからだと言うのです。このように、救い主が、人間の肉体をまとって現れたかどうかと言う事を信じるか信じないかで大きな違いが出てきたのです。
ヨハネはその信仰によって、イエス様が、肉体をとってこの世にあらわれたと言う事を、真理の霊によって知ることができました。ですから、イエス様が人間の体を持っていると言う事を霊によって公に言い表すならばその霊は神から来たものであることが分かると言ったのです。反対に、イエスは人間の体を持っているから、ほかの人間と同じ穢れたものであり、メシアであるはずがないと考えるならば、それは神から出た霊によるものではなく、反キリストの霊であると言うのです。そのようなものには本当の神様のことなど分かるはずがないではないかと言うのです。その反キリストの霊は、かつて来るだろうと予言されていたのですが、今まさにきているのである、と言いました。それはこのグノーシスの教えがまさに反キリストの霊であると言いたいのです。
転
偽預言者の霊がすでに世に来ていて、この世の人々を惑わしていると聞いて、一体信仰者たちはどのようにしたらよいのでしょうか。その偽預言者と闘わなくてはいけないのでしょうか。どのように見分けたらよいのでしょうか。ヨハネはこのように言うのです。4節です。
1ヨハ 4:4 子たちよ、あなたがたは神に属しており、偽預言者たちに打ち勝ちました。なぜなら、あなたがたの内におられる方は、世にいる者よりも強いからです。
ヨハネは教会に残っている人たちに、子たちよと呼びかけました。そしてあなた方は神に属しており、偽預言者たちに打ち勝ちました。と言うのです。これは偽預言者に惑わされずに、教会に残った人たちが、それだけで、神に属するものとなり、偽預言者に打ち勝ったと言う事なのです。ですから、もう恐れる必要はないのです。何もする必要はないのです。既に勝っているのです。なぜならば、その残った信仰者たちの内におられる方は、神様であり、世にいるものよりも強いからです、とヨハネは語りました。偽預言者に惑わされずに、教会に残ったものこそ、神様とともにいるものであり、勝利したものであると言う事なのです。
そして世に属するものと神に属するものをどのように見分けることができるのかを、ヨハネはこう語ります。5節と6節です。
1ヨハ 4:5 偽預言者たちは世に属しており、そのため、世のことを話し、世は彼らに耳を傾けます。
1ヨハ 4:6 わたしたちは神に属する者です。神を知る人は、わたしたちに耳を傾けますが、神に属していない者は、わたしたちに耳を傾けません。これによって、真理の霊と人を惑わす霊とを見分けることができます。
ヨハネは偽預言者たちはこの世に属していると言います。ですから利害損得などの、この世のことを話し、世は彼らに耳を傾けると言います。この偽預言者と呼ばれる人たちは、ギリシャ哲学の影響を受けた人々で、信仰的と言うよりは、自分たちの頭で考え出して、いろいろな思想を語る人々なのです。そのうえで神とはどういう方なのか、自分たちはどのように生きるべきかと語るのです。その語る根拠は、自分たちの経験の上からそして自分たちの知恵によって語るので、そのような教えにひかれる人たちは彼らの話に耳を傾けるのです。その人たちも、この世の利害損得に心をひかれているからです。現代でも、科学的で論理的だと称するような宗教は、このような宗教に属するものです。それは必ずしも信仰的なものではないのです。
一方ヨハネは、私たちは神に属するものですと言います。これは自分の考えではなくただ神様を信じる者であると言う事です。神様を信じる者は神様を知ることができるのです。自分の考えで神様を理解しようとする人は神様を知ることが出来ないのです。ですから神様を信じて神様を知る人々は、私たちに耳を傾けますが、神に属していないものは私たちに耳を傾けませんと言うのです。ですから真理の霊と人を惑わす霊とを見分ける方法は、私たちに耳を傾けるかどうかでわかるのだと言うのです。神に属する人は神に属する人に耳を傾け、神に属さない人は偽預言者たちに耳を傾けると言うのです。だからあなたたちは既に勝っているのだから、もう、偽預言者たちのことは心配しなくてもよい恐れることはないと言っているようです。
結
霊の力は、人間の力を超越するので、当時の人々は霊の力に恐れを抱いていました。ですから霊的に力のある人々の言う事を聞いて、教会から離れていく人々もいたのです。ですからヨハネは霊が全て良いのではない、ただ神様から出た霊に従いなさいと言うのです。そして神様から出た霊かどうかを見分ける方法を教えたのです。それはイエス・キリストはまことの人となって世に来られたと、公にいい表すなら、すなわち、信仰告白をするならば、それは神から出た霊がそのように言わせているのであり、それに反するような事を言うのはこの世の霊が語らせているのであると言う事です。そして神に属する人々は神に属する人の声に従い、神に属さない人々は偽預言者の声に従うのだから、あなたたちは何も心配することはない。あなたたちの内におられる方はすでに世に勝っているのだからと言って励ましているのです。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、この世にはいろいろな霊があり、私達を惑わそうとしております。その中にあってイエス様が、まことの人間としてこの世にあらわれ、私たちに憐れみをくださり救ってくださったと言うことを信じることが、まことの霊を信じることであることを教えられました。どうかこの教えから外れることなく、まことの人となったイエス様を信じて、歩んでいくことができますように。人間が考え出すことには限りがあります。ただあなたの教えのみが無限の教えです。どうかあなたに信頼していくものでありますように。あなたをいつも私たちの内におられる方として、あがめていくことができますように。この祈りを、主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(新約聖書:◇ヨハネの手紙一)>>
◆偽りの霊と真実の霊
1ヨハ 4:1 愛する者たち、どの霊も信じるのではなく、神から出た霊かどうかを確かめなさい。偽預言者が大勢世に出て来ているからです。
1ヨハ 4:2 イエス・キリストが肉となって来られたということを公に言い表す霊は、すべて神から出たものです。このことによって、あなたがたは神の霊が分かります。
1ヨハ 4:3 イエスのことを公に言い表さない霊はすべて、神から出ていません。これは、反キリストの霊です。かねてあなたがたは、その霊がやって来ると聞いていましたが、今や既に世に来ています。
1ヨハ 4:4 子たちよ、あなたがたは神に属しており、偽預言者たちに打ち勝ちました。なぜなら、あなたがたの内におられる方は、世にいる者よりも強いからです。
1ヨハ 4:5 偽預言者たちは世に属しており、そのため、世のことを話し、世は彼らに耳を傾けます。
1ヨハ 4:6 わたしたちは神に属する者です。神を知る人は、わたしたちに耳を傾けますが、神に属していない者は、わたしたちに耳を傾けません。これによって、真理の霊と人を惑わす霊とを見分けることができます。