家庭礼拝 2016年11月23日ルカ2章1-21 イエスの誕生
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起
今日の聖書の箇所は、有名なイエス様の誕生の話、すなわちクリスマスの話です。クリスマスでは、このルカによる福音書に基づいて、マリアとヨハネは、住民登録のためにナザレから実家のあるベツレヘムに戻ってきたとき、泊まる部屋がなかったために馬小屋で生まれたというストーリーです。その時、野にいた羊飼いたちは、天子の群れを見て、尊い方がお生まれになったとの知らせを聞いて、生まれたイエス様を探し当て、拝んでいったという話が、一般的です。
ルカは医者であり、科学者であるので、その記述は何時何処で誰が何をしたかということを、根拠をもって書いており、非常に説得力のある書き方をしているのです。
ですが、どうしてこの話はルカだけの話となっているのでしょうか。ほかにイエス様の誕生を書き表しているのはマタイによる福音書です。ですが、この二つの福音書を比べてみると、ずいぶん違うのです。マタイでは住民登録のためにベツレヘムにやってきたという話は書いていないのです。マタイは単に「イエスはヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。」と書いてあるだけなのです。そして生まれたイエス様に会いに来たのは、野にいた羊飼いではなく、東方の学者たちなのです。当時の住民登録は、毎年行うものではなく、14年に1回行われました。これは当時で言うと、一世代変わるごとに人口調査をしたというサイクルになります。当時の女性は14,5歳で結婚していたからです。マリアもその様な年だったのです。
マタイではこのベツレヘムでイエス様が生まれた時に大事件が起こっています。それはこの学者達、すなわち占星術の学者達がヘロデ王に、「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどなたですか。」と尋ねたことにより、ヘロデはその地方一帯の2歳以下の男の子を、一人残らず殺させたのです。イエス様は、天子が夢でヨセフに現れ、「エジプトに逃げるように」と、伝えていたのでエジプトに避難して、殺されることはなかったのです。その後、ヘロデ王が死ぬとヨセフとマリアとイエス様はエジプトから戻ってきたのです。ですがまだ心配なので、ベツレヘムではなく遠く離れたナザレと言う町に行って住んだのです。ですがこのエジプトへ逃げた話はルカによる福音書にも書いていなくて、書いてあるのはマタイによる福音書だけなのです。
ですから、一体どれが本当なのかはわかりません。それぞれが聖霊に満たされて書かれたことであるので、私達もまた、聖霊の導きによってその真実を受け止めていくことになります。これらの事を、一つ一つこれは真実でこれは間違いだと言った見方をするのは間違いでしょう。神様の御業は私たちの思いをはるかに超えているのです。私たちが、勝手に真偽を判断したとしても、それはあくまで人間の見方に過ぎないのです。人間の論理や判断をはるかに超えた、神様の御心があることをいつも覚えて受け止めていきたいと思います。
承
ルカによる福音書には、イエス様がいつどこでお生まれになったのかがくわしく書かれています。1節から4節です。
ルカ 2:1 そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。
ルカ 2:2 これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。
ルカ 2:3 人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。
ルカ 2:4 ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
ルカによる記事によると、ヨセフとマリアはガリラヤの町ナザレに住んでいました。その頃ローマ皇帝のアウグストゥスから、全領土の住民に人口調査のために、住民登録せよとの勅命が出たのです。登録する場所は、自分の出身地に戻って登録しなさいと言う事でした。ヨセフの出身地はベツレヘムだったので、そこに戻って住民登録したのです。ナザレからベツレヘムまでは結構距離がありました。120qほどあったのです。ですから3日か4日かけて旅をするほどの距離なのです。これらの事から、ヨセフの本籍はベツレヘムであり、ナザレは、仕事の都合で出稼ぎに行っている場所と言う事になります。これは、キリニウスがシリア州の総督であった時に行われた最初の住民登録であったと書かれています。このような住民登録は、主にユダヤ人に対しては税金を取るためになされていました。
このベツレヘムまでの旅は、ヨセフ一人ではなく身ごもっていたマリアと一緒でした。なぜなら、二人は結婚して一緒になるために一緒に登録する必要があったのです。5節から7節です。
ルカ 2:5 身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。
ルカ 2:6 ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、
ルカ 2:7 初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。
この時、マリアはいいなづけでした。すなわち婚約者でありまだ結婚はしていないのです。ですが、ユダヤのいい名づけと言うのはほとんど結婚した夫婦と同じように扱われていたのです。マタイでは、ヨセフは妻を迎い入れ、そして、マリアは男の子を生んだとされています。これが、結婚をした後なのかどうかははっきりしません。ですが一緒に住むようになってから、子供が生まれたのです。
ヨセフと身ごもっていたいいなずけのマリアがベツレヘムにいるときに、マリアは月が満ちて子供を産んだのです。子供を産んだ場所は馬小屋であり、そこにあった飼い葉おけの中に生まれた赤ん坊を寝かせていた、と記されています。どうして馬小屋で生んだのかというと、宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからと言われています。この事に関してはいろいろな考え方があります。一つは、この時代の宿と言うのは、旅人が連れてきた馬や家畜と一緒に泊まるので、皆馬小屋風の部屋になっていたというのです。ですからヨセフとマリアが止まった部屋が特別悪いものではなく普通だったという考え方です。もう一つは、このベツレヘムはヨセフの故郷なので、何も宿屋に泊まらなくとも、自分の実家や親類親戚知り合いがいただろう、というのです。でもどこにもとまれなかったというのは、マリアの子供が不倫による子供であることが知れ渡っていたので、そのようなものを家に入れると汚れると言う事でどこでも門前払いされていた、という考えです。その様に、親類縁者からも冷たくされたヨセフとマリアは、この後、故郷を捨ててエジプトに逃げたのではないかという考えもあるのです。
ですが、ルカが聖霊によって受け止めた解釈は、人類の救い主となるイエス様が生まれるとき、どこにもイエス様を受け入れるところがなかった、と言う事です。人類の救い主となる方は、馬小屋でひっそりと生まれて、飼い葉おけの中で寝かされているという風な、生まれ方をしたのであって、町の人々は一人として、その存在に気が付かなかったと言う事なのです。
転
ベツレヘムの町の中は、住民登録で帰ってきている人々でごった返しており、誰一人イエス様のお生まれになったことに気が付く人はいなかったのですが、野宿をしている羊飼い達がその事に気が付いたのです。当時、羊飼いと言うのは社会の中で、汚れた罪人と言う扱いをされていました。何となく牧歌的なイメージで、羊飼いとは善良で清い人々というイメージがありますが、当時の人にとってはそうではないのです。なぜならば、羊飼いは手を洗わないで食事をし、安息日でもその律法を守ることをしなかったからです。神殿で礼拝をすることもしませんでした。ですから、汚れたもの罪人と言う烙印を押されていたのです。ですがそのような社会の最下層にいる、羊飼いたちは住民登録でごった返す町の人々とは対照的に、静かに星空を眺め、野宿をしながら羊の晩をしていたのです。8節から12節です。
ルカ 2:8 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。
ルカ 2:9 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。
ルカ 2:10 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
ルカ 2:11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。
ルカ 2:12 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」
野宿をして羊の晩をしている羊飼いの所に天使が来て、主の栄光が周りを照らしたというのです。静かに星を眺めていた羊飼いたちは驚き恐れました。いったい何事かと思ったのです。すると天子は、いつものようにまず、恐れるなと言いました。そして、「私は、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」といったのです。神を信じるユダヤ人たちが、待ちに待っているメシアの誕生を、学者や権力者や信仰者たちに知らせたのではなく、教養もなく、律法も良く知らない、罪人とされている社会の最下層にいる羊飼いたちにこのような大切なことを告げたのでしょうか。それは、この羊飼いたちが、心静かに夜空を眺めて、神様の事を考えていたからかもしれませんが、イエス様が現れたのは、実はこのような社会にあって虐げられている、罪人とされているような人々を救うために来られたので、そのような人々にその喜びを伝えようと思ったのです。イエス様は後に、私が来たのは正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのだと言ったことが既にこの時に起こっているのです。この救い主は、あなた方のためにお生まれになったと天使は言いました。それは、あなた方のように社会にあって、抑圧されている人々を解放するために救い主がお生まれになったと言う事なのです。そしてそのお生まれになった方がどこにいるかと言う事を羊飼いたちに告げました。それは「あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」と教えたのです。
天使たちが、羊飼いたちに必要な事を告げ終わると、天では驚くべき賛美の声がとどろいたのです。13節から17節です。
ルカ 2:13 すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
ルカ 2:14 「いと高きところには栄光、神にあれ、/地には平和、御心に適う人にあれ。」
ルカ 2:15 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。
ルカ 2:16 そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。
ルカ 2:17 その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。
空には天使たちが現れ、主の栄光が周りを照らし、天子のお告げが終わると今度はそれに、天の大軍勢が加わって、神を賛美する大合唱が始まったのです。羊飼いたちは度肝を抜かれたことでしょう。その空は栄光に輝き賛美に溢れていたのです。その天使達が離れて天に去っていったとき、羊飼いたちはじっとしてはいませんでした。すぐに、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合って、急いでベツレヘムに行き、赤ん坊の生まれた家を捜し歩いたのです。そして羊飼いたちはついに今生まれたばかりの赤ん坊を見つけたのです。その赤ん坊は、天子が言っていたように、飼い葉おけに寝かせてあったのですぐにその人だと分かったのです。羊飼いたちは驚いて、天使の言ったことは本当だったのだと驚いて、周りの人々に、その事を知らせて歩いたのです。このような不思議な事を聞かされた人々はいったいどんな反応を示したでしょうか。18節から21節です。
ルカ 2:18 聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。
ルカ 2:19 しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。
ルカ 2:20 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。
ルカ 2:21 八日たって割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた。これは、胎内に宿る前に天使から示された名である。
この羊飼いたちの不思議な話を聞いても、人々は不思議には思っても信じることはなかったのです。なぜなら、羊飼いたちはその人たちよりも教養のない身分の低い人たちとみなされていたからです。信じるに足りないと思われている人たちだったのです。ですが、マリアは別でした。これらの出来事を全て心に納めて、思いめぐらしていたのです。なぜなら、マリア自身も天使の声を聴いたからです。そして、羊飼いたちの言ったことと、自分が天使に言われたことを繰り返し思い出し、確認しながら、その話が真実であることを思ったのだと思います。でもやはり誰も信じることがないと思って、マリア自身も他の人には言わなかったのだと思います。羊飼いたちは、その夜天使によって言われたことが、その通りであったので、天子の語ったことを信じ、その子が救い主であることを信じて、神様を崇め、賛美しながら帰っていきました。羊飼いたちは本当に心から信じて賛美したのだと思います。でも町の人々は信じることはなく、不思議に思うだけだったのです。
イエス様もまた、洗礼者ヨハネと同じように、8日たって割礼の日を迎えた時、天子に言われたようにイエスと名付けられました。夫のヨセフはこの事に反対はしなかったのでしょうか。その事は何も書いていませんが、とにかく天使の言った名前通りになったのです。これはマリアが羊飼いの話を聞いて、心に納め、思いめぐらした結果なのではないでしょうか。マリアは天使の言葉を信じて、イエスと名付けたのです。イエスとは「神は救いである」という意味の名前なのです。
結
洗礼者ヨハネが生まれた後、イエス様はベツレヘムの馬小屋で生まれました。そこに、天子の声を聴いた羊飼いたちが現れて、マリアにその天使の話を告げて言いました。それは、「まさにその通りに、この子は飼い葉おけに寝かされていた、この話は本当に起こったのだ」といったのです。この羊飼いたちの話を聞かなければ、もしかすると、マリアはその子が救い主となると言う事を信じられなかったかもしれません。そんなことを考えるのは途方もない事のように思われたからです。でも、この時羊飼いたちの話を聞いて、きっとマリアは、その子が救い主にであると、信じたのではないでしょうか。
(一分間黙想)(お祈り)
天の父なる神様、イエス様はおとめマリアから生まれました。預言されたようにベツレヘムで生まれ、羊飼いたちに告げたように、飼い葉おけに寝かされていました。その名はイエスと名付けられました。これらの事はすべて、神様の御業によってなされたのです。人はただ神様の御業の道具としてその事を信じて行っていったのです。私たちも、御心に委ねて生きていけば、神様の良き僕として、用いられて生きることが出来るのではないかと思います。そこにはきっと悩みも苦しみもなくなるのではないかと思います。どうか私達もまた、あなたに委ねて信じて生きるものとなりますように。人間の考える計画は浅はかなものです。ただ神様の計画だけがなりますように。どのような結果になってもそれを喜んで受け止めていくことが出来ますように。
この祈りを主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン
<<聖書の箇所(新約聖書:◇ルカによる福音書)>>
◆イエスの誕生
ルカ 2:1 そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。
ルカ 2:2 これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。
ルカ 2:3 人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。
ルカ 2:4 ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
ルカ 2:5 身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。
ルカ 2:6 ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、
ルカ 2:7 初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。
◆羊飼いと天使
ルカ 2:8 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。
ルカ 2:9 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。
ルカ 2:10 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
ルカ 2:11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。
ルカ 2:12 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」
ルカ 2:13 すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
ルカ 2:14 「いと高きところには栄光、神にあれ、/地には平和、御心に適う人にあれ。」
ルカ 2:15 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。
ルカ 2:16 そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。
ルカ 2:17 その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。
ルカ 2:18 聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。
ルカ 2:19 しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。
ルカ 2:20 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。
ルカ 2:21 八日たって割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた。これは、胎内に宿る前に天使から示された名である。