家庭礼拝 2016年7月20日フィレモン8-23オネシモのために執成す 

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起 

パウロは、フィレモンに挨拶をし、フィレモンの愛と信仰とを高く評価して、感謝を捧げますが、まだ逃亡奴隷オネシモの事は切り出しません。この説得の事が失敗すると、オネシモの命にかかわるかもしれないし、人間関係に深刻な影響を及ぼす事なので慎重に切り出すのです。フィレモンとオネシモは主人と奴隷の関係です。そして、パウロとフィレモンは先生と弟子の関係です。また、パウロとオネシモはやはり、先生と弟子の関係です。そしてパウロもフィレモンもオネシモも皆主に仕える者です。このような関係の中で、パウロはフィレモンに先生としてオネシモの事を命じることもできるのですが、そのような権威に頼ることはせず、あくまでも互いに主に仕える一人の人間として、へりくだってフィレモンにお願いするのです。

このオネシモと言う奴隷は、どうも逃げ出す時にフィレモンの所から何かを盗んで逃げたようです。そうでないと旅をすることが出来なかったからです。このオネシモと言う名前ですが、「役に立つもの」と言う意味を持っています。ですからその意味に引っかけて、パウロは話の途中でオネシモの事を、「彼は以前はあなたにとって役に立たないものでしたが、今は、あなたにも私にも役立つものとなっています。」と言う事を言いますが、彼は役立つものとなっています、すなわちオネシモとなっていますと、その名前の意味に引っかけて言っているのです。このオネシモのその後の事は良く分からないのですが、あとで、この地方の教会の監督になっていることが分かります。パウロに、教えられ、フィレモンに許されて、オネシモは立派な信仰者へと成長していったのです。

いよいよ本題への切り出しの言葉が出てきました。パウロは慎重に言葉を選んでこう言います。8節から10節です。

フィレ 1:8 それで、わたしは、あなたのなすべきことを、キリストの名によって遠慮なく命じてもよいのですが、

フィレ 1:9 むしろ愛に訴えてお願いします、年老いて、今はまた、キリスト・イエスの囚人となっている、このパウロが。

フィレ 1:10 監禁中にもうけたわたしの子オネシモのことで、頼みがあるのです。

パウロはこれからお願いすることを、先生として、フィレモンにキリストの名によって命じても良いのだが、むしろ愛に訴えてお願いします、と言いました。パウロは力による解決ではなく、愛による理解による解決を望んだのです。そうでなくてはお互いに本当の解決とはならないからです。そしてこう言いました。「年老いて、今はまた、キリスト・イエスの囚人となっているこのパウロが、監禁中にもうけた私の子オネシモの事で頼みがあるのです。」と言いました。私の子オネシモとは、当時の習慣で、先生に仕えるようになった弟子の事を私の子と呼ぶことがあったのです。オネシモは、監禁中のパウロの所に来て弟子になったのです。多分、フィレモンからこのパウロの事を聞いている内に、自分もそのパウロ先生の所に行って弟子になりたいと言う思いが強くなって、逃げ出してパウロの所に行ったのではないかと思います。そしてそこで、熱心に、イエス・キリストを信仰するものとなり、パウロのためにいろいろつくすものとなったので、パウロも喜んでいたのです。ですが、オネシモは、本当はフィレモンのもの、財産なのです。それをパウロが取っていいはずはないのです。それでパウロはこの手紙を持たせてオネシモをフィレモンの所に返す決心をしたのです。

そしてこう言いました。11節から14節です。

フィレ 1:11 彼は、以前はあなたにとって役に立たない者でしたが、今は、あなたにもわたしにも役立つ者となっています。

フィレ 1:12 わたしの心であるオネシモを、あなたのもとに送り帰します。

フィレ 1:13 本当は、わたしのもとに引き止めて、福音のゆえに監禁されている間、あなたの代わりに仕えてもらってもよいと思ったのですが、

フィレ 1:14 あなたの承諾なしには何もしたくありません。それは、あなたのせっかくの善い行いが、強いられたかたちでなく、自発的になされるようにと思うからです。

そしてここで、先ほど話した、オネシモと言う意味の「役に立つもの」を引っかけて、「彼は、以前はあなたにとって役に立たない者でしたが、今は、あなたにもわたしにも役立つ者となっています。」と言いました。オネシモは逃げ出したのですから、フィレモンにとって役に立たないものでした。ですが、パウロの所にいてパウロに仕えていることは、フィレモンにとっても有り難い事だったので、今は、あなたにも私にも役立つものとなっていますと言ったのです。

パウロはオネシモが、自分の所で奉仕していることを、フィレモンが悪く思っていないことを知っているのです。だからと言って、それを良い事に自分の手元にずっと置いておくことは、パウロの性分が許さなかったのです。それで、パウロは、「わたしの心であるオネシモを、あなたのもとに送り帰します。本当は、わたしのもとに引き止めて、福音のゆえに監禁されている間、あなたの代わりに仕えてもらってもよいと思ったのですが、あなたの承諾なしには何もしたくありません。」と言ったのです。パウロはオネシモを気に入っていました。パウロの心をよく知っているオネシモの事を、私の心であるオネシモと呼びました。そして本当は、私のもとに引き留めておきたい、と思っていたのです。もしかすると、フィレモンがパウロの所に来て仕えたいと言う話があったのかもしれません、ですから、あなたの代わりに仕えてもらっても良いと思ったのです、と言っているのだと思います。ですが、パウロは、フィレモンにあなたの承諾なしには何もしたくないと言いました。それは、フィレモンがせっかくそのような良い思いを持ってパウロに仕えたいと思っているのを良い事に、自分が勝手に命じているような形をとってはいけないと考えたからでした。すべてはフィレモンの自発的な善意から出ていることですと言えるようにするために、フィレモンの承諾を得たいのだと言うのです。

そしていよいよパウロは、フィレモンに、オネシモをどのように扱ってほしいのかのお願いを言い始めます。これがパウロの本題なのです。15節から17節です。

フィレ 1:15 恐らく彼がしばらくあなたのもとから引き離されていたのは、あなたが彼をいつまでも自分のもとに置くためであったかもしれません。

フィレ 1:16 その場合、もはや奴隷としてではなく、奴隷以上の者、つまり愛する兄弟としてです。オネシモは特にわたしにとってそうですが、あなたにとってはなおさらのこと、一人の人間としても、主を信じる者としても、愛する兄弟であるはずです。

フィレ 1:17 だから、わたしを仲間と見なしてくれるのでしたら、オネシモをわたしと思って迎え入れてください。

 パウロは、オネシモが逃亡した理由をこのように意味づけました。「おそらく彼がしばらくあなたのもとから引き離されていたのは、あなたが彼をいつまでも自分のもとに置くためであったかもしれません。」これは、オネシモの逃亡を、神様の視点から描いて見せているのです。つまり「神様は、しばらくの間オネシモをフィレモンのもとから引き離して、奴隷以上のもの、詰まり愛する兄弟として、作り変えて下さり、フィレモンがいつまでもオネシモを自分のもとに置くことが出来るようにして下さった。」と言う事なのです。これはヨセフ物語のヨセフがなぜエジプトに自分が先に売られてやって来たかの理由に似ているところがあります。パウロはオネシモが、もう奴隷ではなく奴隷以上のもの、愛する兄弟、一人の人間としても、主を信じる者としても、愛する兄弟なのだから、オネシモを私と思って、迎え入れてください、とお願いするのです。自分の先生からこのように言われた弟子のフィレモンが、これを断り切れるとは思いません。きっとフィレモンは受け入れたと思います。

そしてさらに付け加えてこうも言うのです。18節から20節です。

フィレ 1:18 彼があなたに何か損害を与えたり、負債を負ったりしていたら、それはわたしの借りにしておいてください。

フィレ 1:19 わたしパウロが自筆で書いています。わたしが自分で支払いましょう。あなたがあなた自身を、わたしに負うていることは、よいとしましょう。

フィレ 1:20 そうです。兄弟よ、主によって、あなたから喜ばせてもらいたい。キリストによって、わたしの心を元気づけてください。

 オネシモが逃亡する際、その旅費としてフィレモンの所から何か盗んでいったのだろうと言う事を前に言いましたが、パウロはその事を知っていて、「彼があなたに何か損害を与えたり、負債を負ったりしていたら、それはわたしの借りにしておいてください。」と言っているのです。それをパウロが自分で支払いましょうと言っているのです。この事はパウロがこの手紙を、自筆で書いているので、契約書にサインをしているようなものだから、大丈夫です、と言っているのです。そうすると、フィレモンはきっと、「いえ私こそ、あなたにいろいろとお世話になっていてあなたに借りがありますから、そんなことはしなくてもいいです。」と言うだろうと言う事を見越して、あなたがあなた自身を、私に負うていることは、良いとしましょう、それは別に気にしないでください、私は支払います、と言っているのです。

そしてパウロはこのオネシモを受け入れてほしいと言う気持ちを、「兄弟よ、主によって、あなたから喜ばせてもらいたい。キリストによって、わたしの心を元気づけてください。」と言って、どうか私の願いを聞いて欲しいと言う事を言っているのです。

そして最後のとどめのように、このように言いました。21節と22節です。

フィレ 1:21 あなたが聞き入れてくれると信じて、この手紙を書いています。わたしが言う以上のことさえもしてくれるでしょう。

フィレ 1:22 ついでに、わたしのため宿泊の用意を頼みます。あなたがたの祈りによって、そちらに行かせていただけるように希望しているからです。

パウロは、私はあなたを信じていますと言い、いやそれ以上の事をしてくれるでしょうとさえも言っているのです。フィレモンに大変な信頼をおいているのです。そして、自分は今牢に捕らわれの身になっていて、いつ解放されるかもわからないのに、さもすぐにでも、フィレモンの所に行って一緒にその事を喜び合いたい、とでもいうように、「私のため宿泊の用意を頼みます。あなたがたの祈りによって、そちらに行かせていただけるように希望しているからです。」と言って、この願いが実現することを強く願っていることを印象付けているのです。

これでパウロの願いはすべて語りました。そしていつものように最後の挨拶をするのです。23節から25節です。

フィレ 1:23 キリスト・イエスのゆえにわたしと共に捕らわれている、エパフラスがよろしくと言っています。

フィレ 1:24 わたしの協力者たち、マルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからもよろしくとのことです。

フィレ 1:25 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように。

 ここに5人の人の名前が挙がり、よろしくと伝えています。これはコロサイの信徒への手紙にも出てきている人々ですが、そこには8人の名前があげられており、ここにはより身近な人々が挨拶をしているのだと思います。特にエパフラスの名前が最初に出てきており、キリスト・イエスのゆえに私と伴に捕らわれていると書かれています。コロサイの時には、アリスタルコが「私と一緒に捕らわれの身になっているアリスタルコ」と紹介されています。エパフラスの名前は、コロサイの1章7節に名前が出てきますが、パウロの教えをコロサイに伝え、コロサイに教会を作り、パウロとコロサイの橋渡し的な働きをした人です。ですから、アリスタルコの様に、本当に捕らわれの身となっていると言うよりは、パウロのためにそば近くにいて自由の利かなくなっているエパフラスの事を、その様に私と伴に捕らわれている、エパフラスと言ったのかもしれません。

 これで、フィレモンへの手紙は終わりました。パウロは自分が牢に捕らわれて自由が利かないのに、逃亡奴隷のオネシモを育て、そして、腰を低くして、弟子のフィレモンに対して、オネシモを受け入れてくれるようにと頼みました。さらには、何か損害があるならば、私がその損害を弁償するからとさえ言っているのです。相手のために最善の事をしようとしているパウロの思いが伝わってきます。相手に対してよい事をするためなら、自分の事など何一つ勘定に入れずに行うことの出来る人なのです。これもパウロに信仰的な見方考え方があるからできることです。私達も、一度私たちの周りに起こっていることを、神様の眼で、捉えなおしてみることが必要なのかもしれません。

 

(一分間黙想)(お祈り)

天の父なる神様。パウロはオネシモの事を心を込めて、フィレモンに許しを願い、生まれ変わったオネシモを奴隷としてではなく、愛する兄弟として、受け入れてほしいと願いました。パウロにはいつも神様からの視点がありました。オネシモが逃亡したことに、神様から与えられた理由を見ていました。それはオネシモがいつまでもフィレモンのもとに愛する兄弟としてそば近くにいることが出来るようになると言う事でした。私達も、この世の出来事を神様の視点でとらえなおすことが出来ますように。不幸であったことが不幸とはならず、苦難であったことが喜びとなるのかもしれません。神様の思いを知るならば、全てが善きものと捉えられるのかもしれません。私たちも作り変えられて、いつも喜び賛美するものでありたいと願います。

この祈りを主イエス・キリストの御名によってお祈りいたします。アーメン

 


<<聖書の箇所(新約聖書:◇フィレモンへの手紙)>>

◆パウロ、オネシモのために執り成す

フィレ 1:8 それで、わたしは、あなたのなすべきことを、キリストの名によって遠慮なく命じてもよいのですが、

フィレ 1:9 むしろ愛に訴えてお願いします、年老いて、今はまた、キリスト・イエスの囚人となっている、このパウロが。

フィレ 1:10 監禁中にもうけたわたしの子オネシモのことで、頼みがあるのです。

フィレ 1:11 彼は、以前はあなたにとって役に立たない者でしたが、今は、あなたにもわたしにも役立つ者となっています。

フィレ 1:12 わたしの心であるオネシモを、あなたのもとに送り帰します。

フィレ 1:13 本当は、わたしのもとに引き止めて、福音のゆえに監禁されている間、あなたの代わりに仕えてもらってもよいと思ったのですが、

フィレ 1:14 あなたの承諾なしには何もしたくありません。それは、あなたのせっかくの善い行いが、強いられたかたちでなく、自発的になされるようにと思うからです。

フィレ 1:15 恐らく彼がしばらくあなたのもとから引き離されていたのは、あなたが彼をいつまでも自分のもとに置くためであったかもしれません。

フィレ 1:16 その場合、もはや奴隷としてではなく、奴隷以上の者、つまり愛する兄弟としてです。オネシモは特にわたしにとってそうですが、あなたにとってはなおさらのこと、一人の人間としても、主を信じる者としても、愛する兄弟であるはずです。

フィレ 1:17 だから、わたしを仲間と見なしてくれるのでしたら、オネシモをわたしと思って迎え入れてください。

フィレ 1:18 彼があなたに何か損害を与えたり、負債を負ったりしていたら、それはわたしの借りにしておいてください。

フィレ 1:19 わたしパウロが自筆で書いています。わたしが自分で支払いましょう。あなたがあなた自身を、わたしに負うていることは、よいとしましょう。

フィレ 1:20 そうです。兄弟よ、主によって、あなたから喜ばせてもらいたい。キリストによって、わたしの心を元気づけてください。

フィレ 1:21 あなたが聞き入れてくれると信じて、この手紙を書いています。わたしが言う以上のことさえもしてくれるでしょう。

フィレ 1:22 ついでに、わたしのため宿泊の用意を頼みます。あなたがたの祈りによって、そちらに行かせていただけるように希望しているからです。

◆結びの言葉

フィレ 1:23 キリスト・イエスのゆえにわたしと共に捕らわれている、エパフラスがよろしくと言っています。

フィレ 1:24 わたしの協力者たち、マルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからもよろしくとのことです。

フィレ 1:25 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように。